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試行錯誤

聖剣伝説をメインに、気の向くまま二次創作を綴っていくサイトです

聖剣伝説2 未完 『生贄』

未完

注意
私的設定があります。
2→FF外伝が前提です













娘達がマナの樹になる、と人柱になる未来が決定づけられたあの時。
ランディは世界のために娘達を差し出さなければならない無念に、胸が押し潰された。

自らが引き受けられるのならば、今すぐにでもマナの樹になる。
だが、男であるランディにはその資格はなかった。

いっそ、彼が女であったのなら。
そう考えることもあったが、それは無意味な仮定だ。
もしそうであったのなら、あの戦いの後ランディはすぐにでもマナの樹となっていた。
神獣の破片が降り注いで、世界にもたらされた猶予も目に入らず。どのみちマナの樹になるのなら早くなって世界を安定させた方がいいと判断して。
そうして残るのは、なんだ?失うものは、なんだ?
ディラックだけでなく、ポポイとランディを失い独りぼっちになったプリム。存在しなかった娘達。スペアのなくした千年限りの世界の寿命。
それらを考えれば、ランディが男として産まれたのはなるべくしてなった、としか言えない。

代わりに他のマナの血族がいれば。そう浅はかに願ったこともある。
だが、その娘にも人生があり、親兄弟、友人達が、大切な誰かがいる。
娘や自分達と同じ嘆きや悲しみを、他者に押しつけて良しとは……出来なかった。

彼ら親子に残された時間は残り僅かだ。

遊び疲れて姉の膝枕で眠る妹の頭を優しく撫でる。
亡き母の面影が濃い姉と違い、妹は父の母に似ていると、以前ジェマが教えてくれた。

マナの樹がなくなっても、辛うじて神獣の遺したマナが世界の崩壊を繋ぎ止めていた。
神獣が”封印の眠り”に就いている今、世界の滅亡を防ぐには新たなマナの樹が必要だ。
彼女達姉妹が人間を捨てて、マナの樹という人柱にならない限り世界は救われない。
それはルサ・ルカに言われなくとも分かっている。
マナの枯渇による世界の歪みと悲鳴を、姉妹達は誰よりも肌で感じ取れるのだから。

姉がマナの樹となった後、妹はスペアとして封印されることが決まっている。
今は、人間としての最後の猶予として与えられた大切な時間だ

マナの樹になりたくない。
もっと、大切な人と一緒いたい。美味しいものを食べたい。友達とたわいのないことをお喋りしたい。
お洒落だってしたいし、恋も成就させて父と祖父に花嫁衣装を見せたい。
人間のままでいたい。人柱に、生贄になりたくない。
それが偽らざる本音だ。
世界の滅亡の前には、姉妹のささやかな望みなど叶うわけもない。
仮に姉妹がマナの樹にならなければ、大切なものがある世界は滅ぶ。
世界のため、なんて曖昧なもののためでない。親族、友達、恋人、大切な人達を守りたい。彼らが平穏に暮らせるようにしたい。

産まれた時から既に道は決まっていた。
ならば、嫌々進むよりも堂々と誇りを持って進もう。
もう、マナの女性はこの世に二人しかいない。
誰も彼女たちの身代わりになれない重責だ。
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聖剣伝説HOM 未完 『ナイトソウルズの下拵え』

未完

注意
ナイトソウルズの食糧事情について捏造してます












ナイトソウルズのメンバーが一堂に会して食事をするのは、原材料を極秘事項にするためだ。
食材に何を使っているか、テケリにだけは断じて知られるわけにはいかない。
魔物と意思疎通を交わし、MOBに愛着を抱いているテケリに、おかずは君の友達だ、なんて知られた日にはテケリによるMOB謀反もありうる。何より箝口令を敷いたユリエルの怒りを買う。
ならば、ロジェ達に残された道は一つ。
テケリには、隠し通すのみだ。
材料の調達も、戦後に行うため多少減ったところで気付かないだろう。……多分、きっと。
捌く作業はテケリが寝ている早朝に終わらせる。
まだメンバーが少なかった頃はキュカが一任していた作業も、今ではキュカとアルマとガウザーの合同作業だ。
ジビエが趣味の一つだというアルマの手際は見事で、キュカよりも断然早い。
そう言えば、比べる相手が悪すぎだと愚痴を返された。
ガウザーは……別格過ぎる。彼は素材の構造を正しく理解していれば素手で捌けると、実際に鳥類や兎科目を刃物は使わずに捌ける御仁だ。
間近で見ていても言葉をなくすアレは、知識と技術がなければ出来ない神業だ。

いくらテケリに気付かれないように早朝で終わらせると言っても、作業工程でどうしても血は出る。
血の臭いは強烈で、中々落ちない。
軍属で嗅ぎ慣れているとは言え、戦闘が行われていないのに血の臭いを漂わせていたら不審に思われる。テケリは勘の鋭い子供だから、余計に気を付けなければならない。
テケリに悟られないためまだ薄暗く、肌寒い時刻に水浴びと作業着の洗濯と、臭いを誤魔化すためにガウザーの鼻が曲がるほどの香水をたっぷりかけるのがロジェやキュカ達の習慣だった。
……ロジェの役目はキュカ達が魔物を屠殺後捌く時に着る黒い作業着の洗濯だ。だからキュカ達の作業には居合わせて、手伝うこともある。
けど、それも昨日まで。
今日からはファルコンがくれた臭い消しが煩わしさを解消してくれる。

「臭い消し?別にそんなのいらねぇだろ」
とりつく島のないキュカにロジェが唖然として、アルマがやれやれと肩をすくめた。
キュカは頭の回転が速い時は男前なのに、鈍い時はどうしてこうも……とアルマとしては頭が痛くなる。
「どう考えても必要じゃないか。
そもそも、あたし達がこんな朝早くから沐浴しなくちゃならないのは、テケリに気付かれないようにするためだよ」
「だが、こんな臭い消しで本当に消えるのか?」
「それは試してみないと分からないけど、ナバールの薬だよ。性能は間違いない!」
半信半疑のキュカに、ロジェが大丈夫だと太鼓判を押す。

「もし万が一にもテケリにバレたらどうなるか……それはわかっているな?」
「……かなり不味い」
ロジェの恫喝に、キュカが冷や汗を流す。
テケリを怒らせればMOBは使えなくなる。それだけでも致命的だが、何よりもロジェ達が恐れるのは笑いザメの怒りの鉄槌がバレる切欠を作ったロジェ達作業班に振り下ろされることだ。

臭い消しを振りかけると、しつこくロジェ達につきまとっていた血の臭いが嘘のように消えた。
水浴びしてもこびりついて中々採れなかった悩みの種が、こうも簡単になくなるとは。
ロジェ達の花ではかぎ取れなくなっただけかと、ガウザーに尋ねてみれば彼は眉間に皺を寄せて苦々しく答えた。
「……信じられんが、オレの鼻でも全く感じない。
これは……とても恐ろしい代物だ」

「便利じゃないか。これさえあれば毎朝の煩わしさも少しは解消される」
「……便利か。それ以上に恐ろしく、あってはならないものだとオレは思うぞ」
どんなに返り血を浴びても臭い消しを振りかければ、痕跡が消え去る。
暗殺や密偵には有用だ。
血の臭いがいつまでも残り、中々消えないのは命を奪ったからだ。
それすらも呆気なく消す。それは一種の冒涜ではないか?
ガウザーの感じるナバール製の臭い消しへの嫌悪は共有されなくとも構わない。だが、便利の一言で片付けてそれ以上踏み込んで考えようとしないロジェ達に……苛立った。

聖剣伝説HOM 未完 『こんなやりとり』

未完

注意
私的設定があります。












「なぁ、ロジェ。貴族が軍隊に入るってなら、まず士官教育から始めるんだよな?」
「余所はどうか知らないけど、ペダンではそうだな」
「……なら、どうしてお前が一兵卒から始まってるんだ?」
「は?」
ロジェは自身を庶民出身だと名乗っているが、それは嘘だとキュカは睨んでいる。
一見すると庶民の皮をうまく被っているが、ツーマンセルを組んで行動を共にしていたら、結構ボロが見えてくるのだ。
貧民街出身のキュカからしたら、これでよくもまあ、庶民だと言い張れると怒りを通り越して呆れるしかない。
「お前の身分なら、仕官コースが約束されているんじゃないのか?」
「イヤだな、キュカ。オレは庶民だよ?」
「いちいち白々しいんだよ」
王冠を被って尚庶民だと言い張るのか。どこまで図太い神経をしているんだ。
ロジェの場合、本気でなりきっているつもりで、悪意など微塵もないのだろう。端から見れば良い印象は与えないが……。

ジェレミアも本来は士官教育から始めるべき身分だが、彼女は貴族であることを隠して入隊した口だ。
書類選考時に戸籍の確認をするが、その辺りは叔父である大臣が上手く誤魔化したらしい。
貴族でない者が仕官になろうと偽称すれば極刑だが、貴族が一兵卒から始めても咎める法はない。
それにジェレミアはどちらかと言えば、工兵の側面が強く、航空艦の操縦や整備が主な仕事だ。比較的安全な勤務の一つだと考えれば、一兵卒から始めた貴族の令嬢に軍が配慮した結果だろう。

「そもそも、オレの出自は貴族じゃないよ」
「ホー……。だとしたら、大富豪の御曹司か?」
「いや、だからね……」
「貴族の令嬢と婚約している身で、貴族じゃないなんて説得力皆無なんだよ!!」
「そんな大袈裟な話じゃない。
オレとエレナ。二人の気持ちが通い合って、エレナがオレのプロポーズを受けてくれた。それだけのことじゃないか」
ロジェ自身、エレナとの婚約に際して障害らしい障害もなく、とんとん拍子に決まったのは、彼の出自にあるとわかっていても、それを口に出すことは躊躇われた。
エレナやユハニにも話していなかったが、いつの間にか身上調査をされていた。
彼女たちの立場を考えれば当然のことだから勝手に調べられたことへの怒りはないが……。
ミラージュパレスから出された後は別の戸籍が用意されて、ロジェも身元引受人の元で成人するまで暮らした。
それなのに、何故幻夢の主教の弟だとわかったのか。個人情報保護法はどうなっている。あれか、貴族が調査する分には、無視される類いか。

「貴族と庶民じゃ、恋愛なんて出来ないぜ。
特にペダンじゃそうだろう」
「うーん……そうかな?」
ロジェが庶民として暮らすための知識の源泉たる漫画や小説などの一般書物でも、身分違いの恋を扱った話は幾つもあった。
彼自身貴族階級からの差別や迫害など今まで受けたことがないので、階級格差と言われても実感はない。
そもそも幻夢の主教からすれば、王侯貴族関係なく下々の民だ。他国人など塵芥同然だ。
全ペダン人にとって雲の上の存在である主教の弟が、他国人のキュカと組んで行動しているのだから、人生どうなるか全く以て分からない。
「そうだぜ。なのに、お前は何の障害もなく、生きて貴族の令嬢と婚約までしたんだ。
それがお前の身分が庶民でないという何よりの証拠になるんじゃないか?」
貴族か庶民か。
身分の違いをわざわざ言うなんて、キュカはどういうつもりなのか。ロジェにはよくわからない。
オレは主教の資格がないからミラージュパレスを追放された。それが全てだ。

ゾイド/0 小説 『連なり』

その他

注意
私的設定があります









「困ったなあ」
ここはどこだろうと周囲を見回せど、草原の中にぽつんと建つ一軒家があるだけだ。
バーサークヒューラも見失い、ベガが帰ってこなければサラがどんなに心配するか。
幼い頃に両親を亡くしてから養育してくれた大切な叔母。彼女のおかげでベガはゾイドウォーリアーという天職に就けた。
サラは子供のベガを裏稼業に引きずり込んだことを影で悔やんでいるようだが、そんな心配はいらない。
ゾイドに乗って戦うことは、ベガにとっては生き甲斐で。これを取り上げられたら、それこそ抜け殻になってしまう。
そんな大恩あるサラのために一刻も早く帰らないといけないのに、今どこにいるのかもわからないなんて!
あの家にお邪魔して、サラと連絡を取ろう。
常日頃知らない人と接触してはいけないと口うるさく言われているが、今は有事だ。それに、何かとベガに甘いサラのことだ。後でちゃんと謝れば許してくれる。
「ごめんください」
扉にノックしようとするが、手はすり抜けてしまった。
――え?
すり抜けた手と扉をまた見て、もう一回試してみれば、同じ結果だ。
「……どういうこと?」
僕、気付かないうちに死んじゃったの?
動揺に涙腺が刺激されるが、グッと堪える。
僕がここにいるのだから、この状況の手がかりが一つでもあるはずだと、扉をすり抜けて、家の中に入った。

必要最低限の家具しか置いてない、殺風景な内装、というのが第一印象だ。その中で女の子用の小物類が目立っている。
家の中を一通り探索したが、家主の家族は外出しているのか、誰もいない。
調べている時に見つけた服装や新聞などから、ここが千年以上前の世界だとわかった。
どうしてと思案している途中に、玄関の扉の開く音が聞こえて、慌てて物陰に隠れる。
そっと顔を覗かせて、家主達を見て……とても驚いた。
それは三人家族だった。話している声は全く聞こえないが、それでも楽しそうな空気は伝わってくる。
男性は目の色以外はベガとそっくりだ。もし彼が大人になったら、こんな顔になるだろう。
女性はどこか叔母のサラに似ている。サラはもっと濃い青の髪で、スタイルもいい。改めてみればそんなに似てないかな?と思うが、パッと見サラと似ている気がする。
そして男性と女性に興奮して早口で話しかける、青の髪に菫の瞳の綺麗な女の子は。
「父さん?」
女の子は微かな記憶に残るベガの父親と瓜二つだった。違うとすれば、性別だけ、というほどに。
あまりの衝撃に、ベガは隠れるのも忘れて見入ってしまう。幸いなことに、家主達にはベガは見えないようだった。
大昔の世界に、ベガとその家族の面影がある一家。
「……もしかして、僕のご先祖?」
ベガとサラ。たった二人きりの一族で、先祖など考えたこともなかった。
それが、今目の前にいる。
惹かれるように足を踏み出して、家主達にに近づいて、おそるおそる手を伸ばす。
女の子の頬に伸ばした手は、やはりすり抜けてしまった。
残念に思い落胆するが、もし気付かれたらどうするつもりだったのか、と考えればこれで良かったと思う。
「いつまでもこんな所にいないで、早く帰らないと」
サラが、心配する。
どうすれば、元の時代に帰れるのかと考えていると、また玄関の扉が開く音が聞こえた。
ベガがそちらを見ると、そこにいたのは荷物を持つ青と黒の二体のオーガノイドだ。
アルティメットX関連の資料で更に見せられた、古い文献だけの存在。大昔に絶滅したオーガノイドの現物に、ベガの目が輝く。
凄いとはしゃいで、黒のオーガノイドに近づいて、顔を見上げたときに既視感を覚えた。
勿論、オーガノイドに会うのは初めてだ。それでもこの既視感は……気配は、ベガのよく知るものだ。
男性がオーガノイドの持つ荷物を取り上げて、その頬を撫でる。うっとりと男性の手に顔をすり寄せるオーガノイドの姿に、まるで犬みたいとくすりと笑った。
そして、思い出す。
黒いオーガノイドは、バーサークヒューラの、中の気配に似ていることを。
「ヒューラ?」
そう、呟いた途端。全てが白に包まれる。

目を覚ませば、荒野の中、バーサークヒューラのコクピットに乗っていた。
「今のは、一体……?」
わけがわからない。
サラに通信をとり、すぐ応えた彼女に、やっと帰ってこられたのだと安心する。
「サラ、僕はずっとここにいたよね?」
『ええ、バーサークヒューラを操縦している途中に、どこへも行けないわ』
「そう、よかった。
四年に一度の大舞台に緊張して、あまり眠れなかったのかな。 夢を見てたんだ」
『居眠り運転は駄目よ』
「大丈夫だよ。例え眠っててもヒューラが運んでくれる。その後は起きて戦うから。
それじゃあね、サラ」
通信を切り、バーサークヒューラのゾイドコアに意識を向ける。
「ねえ、ヒューラ。さっきの白昼夢は君が見せたの?」
バーサークヒューラの鳴き声にベガが頷いて笑う。
「そう。だとしたら、嬉しい。
僕と、君が大昔から繋がっていたことが。ずっと海底で僕を待っていてくれたことが、嬉しいよ」

火星物語 小説 『相似』

火星物語 小説

注意
フォボスの血縁捏造設定があります。












芸術の都ラブリー。
この華やかな都が、後のアショカへ、そしてハーネスに繋がっていくなどフォボスにはとても信じられなかった。
賑やかな町を興味深く観光しながらも、いつも通り人々の中に面影がないかを注意深く見る。

新しい町に着いたフォボスが必ずやることは、町行く人々を観察して、話しかけることだ。始めの頃は単なる趣味だとアンサーは考えていたが、どうやら違うらしい。
いつでも聞く機会があると後回しにしていた疑問。旅の終わりが近づいていると感じるようになってからは、今更聞くのも躊躇われて尋ねられなかった。
その葛藤も、今回で終わりだ。
「ねえ、フォボス」
すれ違う親子を見ているフォボスに声をかける。
「君、よく街の人を観察してるけど、なにか理由でもあるの?」
フォボスのそれは顔も知らない探し人を捜している風情があったからこそ、アンサーは今まで興味を持ちながらも聞くに聞けなかった。
「……大したことじゃないよ。ただ……」
「ただ?」
「過去の世界にいる僕や知り合い達の先祖を探していたんだ」
過去を旅する中で、自身や知人の先祖を捜す。
天涯孤独の身の上で、自分のルーツもわからないフォボスにとって、先祖探しはどうしても叶えたい願いだった。
知人達の先祖探しは……好奇心だ。
「ご先祖を? ……でも600年も離れてるんだよ。わかるの?」
アンサーの純粋な問いに、フォボスは顔を曇らせる。
リビドーの古代文明研究所の所長と、カンガリアンで見かけた下手なダジャレを言う男。
これまでの旅で、アービンと村長の先祖らしき人は見つけられたが、肝心のフォボスの先祖については分からない。
「……ううん。やっぱり見ただけじゃ分からなかったよ。
でも、知り合いの先祖らしい人は見つけられたから、それで十分かな」
見ただけで先祖が分かるなんて、都合のいい話はない。わかっていたとはいえ……残念だ。
落ち込むフォボスに、アンサーがなんと声をかけたらいいかと迷う。
いつか君のご先祖が見つかるよ。
……もうアンサーの時代に来られないフォボスに、そんなこと言えない。
堂々巡りに陥ったアンサーの思案を破ったのは、フォボスの言葉だ。
「こうして先祖探しをするのって、やっぱりおかしい?」
以前セイラに話したとき、彼女は言葉を濁しながらも無理だと言った。
実際その通りだったけど、それでも探さずにはいられない。
「そんなことない! 僕だって、もしフォボスの時代にいけたら、僕や、知り合いの子孫を探すよ!!」
アンサーだって、もし未来にいけたらフォボスと同じことをする。遊び人だったポチの子孫は案外簡単に見つかるかも知れないけど、それでも気になって会う人に面影がないかと探すだろう。
それこそ、行く先々で人を観察していたフォボスのように。

アンサーとフォボスのやりとりを少し離れて見ていたポチはやれやれと溜息を吐く。
「あいつら、なんで気付かないんだ?」
小柄で愛らしいアンサ-と、すらりと手足の長く凜々しいフォボス。
顔形や体格は異なれど、表情や仕草は酷似している。
何故気付かないのかとポチとしては首を傾げざるを得ない。
あの二人は互いの相似に気付いていないが、第三者としてポチは早い段階で気付いていた。以前にもそれとなく話したが、その時の二人の疑問と困惑の表情すらそっくりで、呆れてしまった。
赤の他人が、そこまで似るものか。
ポチから言わせれば、フォボスの先祖はアンサーだと確定している。
ただ、そうなると……。
「……やっぱ、これは言うべきじゃねえよな」
フォボスの話では、アンサーはアロマという国の建国王になるらしい。そうなるとフォボスは王子の筈だが、彼は天涯孤独の庶民だ。
……王国が滅びるのは、珍しくはない。フォボスは亡国の後に生まれた、それだけの話だろう。
いずれ起るであろう暗い未来を話して水を差すのは、ポチの柄じゃない。
今は精々、アンサーが曇らないようにする。それがアンサーの友人として、保護者としてのポチの役目だ。


言い訳
ステータス画面のフォボスとアンサーのポーズ絵は、同じ表情や動作です。(ちなみにセイラ、タローボー、クエス、サスケ、ポチはそれぞれ個別のポーズ絵があります)

聖剣伝説3 未完 『子供と孫の違い』

未完

注意
私的設定があります。
エリオット・ジェシカ(ホークリ前提)です。
彼女の選択』のフレイムカーンの話です。












ジェシカとエリオットが付き合っている。
その報告を聞いたときの、フレイムカーンの心に真っ先に宿ったのは、恥辱と憤怒だった。

「……駄目だ。そんな汚点はあってはならん」

フレイムカーンはエリオットを好んではいるが、所詮は一個人としての感情にすぎない。
娘との結婚相手?他国人である時点で論外だ。
なんとしても、別れさせなければ。
例えジェシカが泣き叫ぼうとも、フレイムカーンを罵ろうとも関係ない。絶対にあってはならないことだ。
――ホークアイには許したのに、ジェシカは許さないのか?――
どこからか、亡きイーグルの声が聞こえた気がした。
「…………イーグル。お前ときたら……」
年の離れた妹に甘かったイーグル。ジェシカの悲嘆を避けるべく黄泉国より声を届けてきたか。
「いいか、イーグルよ。我らは片鱗とは言え、雲上様の血を受け継ぐ貴い存在だ。
我らは血の同胞との婚姻が大原則。もしジェシカが中流層の男を選べば……儂とて鬼ではない、無理矢理引き裂かず説得する。それでもジェシカが貫き通すのなら、祝福しよう。
だが、他国人の血が直接入るのは絶対に駄目だ」

――ホークアイは?――
「…………あいつは……。 いずれ飛び立っていただろう。それが、予想よりも早かっただけだ……。
なによりも、儂にはホークアイを幸せにする義務がある。 あいつが今不幸だというのなら、ローラントを滅ぼしてでも奪い返すぞ」
――本気でやるつもりか?――
「……馬鹿言え。そんなことすれば、儂が恨まれるではないか」
――ジェシカには恨まれてもいいのに、ホークアイには恨まれたくないのか?――
「…………儂とて、ジェシカに嫌われたくはない。だが、こればかりは仕方がない。
イーグル。お前が死んでしまった以上、儂の子供はジェシカだけなのだ」

ホークアイも同じように他国人と結婚したが忌避や嫌悪よりも、ホークアイが幸せでいてくれたら彼がナバールから離れても良かった。
ローラント王女との結婚も、フレイムカーンが強硬に反対したらホークアイも引き下がったに違いない。しかし、フレイムカーンは止めなかった。
ホークアイを外に出さないために阻止すべきだと分かっていても。例え会えなくなっても、ホークアイには幸せでいてほしかった。
自分の選択によって陰りの顔を側で見続けるよりは、離れていても同じ空の下を幸せに生きていると思えば、フレイムカーンにとって己の悲哀に目を閉ざし、本望だと胸を張って答えられる。

幼いホークアイを引き取ったあの日。フレイムカーンは、彼の両親や祖父母に必ず幸せにすると誓った。
何よりも尊いその誓いだけは、破ってはならない。ましてや己の一存でホークアイを不幸にすれば、それこそ彼らに合わす顔もない。

ホークアイがどんなにナバールを愛していても、いずれ外へ飛び出してしまうとフレイムカーンはいつしか覚悟するようになっていた。
外への憧憬を抱く姿を見た時からか、それとも彼の祖父母が風に由来する名前を持っていたからか。
風が吹いているのだ。いつまでも鷹が岩屋の中に留まっているわけがなかろう。去るのを惜しんで、飛び立たずにいられない鷹の風切り羽を切るなど惨いことはナバール首領である前に一人の祖父として出来なかった。
しかし、ジェシカは駄目だ。
他国人と結婚することがジェシカの幸せだと説かれても、到底許容できない。
それどころか血を汚す娘に、理不尽な憤りをぶつけて殺してしまう恐れすらあることをフレイムカーンは自覚していた。
「……何故、こんなことに……」
ジェシカ。お前はナバールから出てよい存在ではない。
その血は、ナバールの次代のために。その身の還るべき場所、死ぬ場所はナバールだけだ。

ギミカルハート 小説 『傷心の妖精』

その他


――Q。ルミエッタさん。あなたの黒歴史はなんですか?

「え……?黒歴史、ですか?」
困惑深げに首を傾げる妖精だったが、暫し黙った後に笑顔を貼り付けた。
「今まで素晴らしい出来事が多かったですから、私に黒歴史なんてありませんよ。 ええ、一つも!」
「……ルミエッタ」
背後から聞こえた懐かしい声に、妖精が勢いよく振り返る。
そこにいたのは、今ではもう会えないはずの、恋しい賢者の石像だった。
「け、賢者様!? どうしてここに?」
「それはまあ……なんだ。こちらの都合というヤツだ。
ところで、君の黒歴史はダンガンゾーンでの「がおー」ではないのか?
あれは素晴らしい演技だったが、女性の君には些か……」
「きゃー!!何を仰られるんですか!?」
怒りと照れのあまり、顔を林檎と見紛うほど紅潮させ、賢者の頬を思いっきり叩く。
しかし、石像はヒビ一つはいらず、多少グラつくだけに終わった。
「む……前より強度が増してますね」
「それもこの空間ならではの特徴だな」
「賢者様。そもそも」

――では、ルミエッタさんの黒歴史はダンガンゾーンでの「がおー」でよろしいですね?

「違います!!」
謎の声の問いかけにルミエッタはすかさず反論した。
「ルミエッタの黒歴史か……。邪妖精女王ルミエッタという線も……」

――ああ、それもありましたね。

「ダンガンゾーンでのルミエッタは、今から思い返せば……ああ、これ以上はやめておこうか」
「いや……。もうやめてください……」
賢者の石像と謎の声が繰り広げる、心の傷口に塩を塗り込む非道に。ルミエッタは怒るよりも、なにやら悲しくなって、普段は元気一杯の触覚は垂れ下がり、頭を抱えて蹲っていた。
「ルミエッタ。そんなに落ち込むなんて、君らしくないぞ。
多少黒歴史が暴露された程度で悲観するなんて、大人げない。私なんか」
「私の黒歴史を掘り下げたくせに何を言ってるんですか!? もう、乙女のことが何も分かってない賢者様なんて、デリカシーがない以前の問題です!!」
……今のルミエッタは一言で言うなら、阿修羅の如き形相で賢者の石像に掴みかかる邪妖精女王だ。

――A。では、ルミエッタさんの黒歴史はダンガンゾーン全般ということでよろしいですね。
  私はそろそろ立ち去りますので、後はお二人で語らってください。

「こんな状況でどうしろと!? ああ、ルミエッタ。何も言わずに帰らないでくれ!!」

聖剣伝説3 未完 『使い道』

未完

注意
私的設定が強い話です。
2→3という時系列です。










美獣が淡々とした眼差しで、横たわる少年を見下ろす。
魔法による深い眠りの中にある少年は、魔法を解除しない限り目覚めない。今、致命傷を与えたらそのまま永遠の眠りに落ちるだけだ。

「これが、黒の貴公子様の新しい身体か……」
魔王の腹心であり、魔王の新たなる身体になることを定められた美獣の主。
黒の貴公子の起死回生の一手が、ローラント王子エリオットの身体にある。

闇の血族の力を損なうことなく全て引き継げるのは、同族とマナの血族だけだ。
それ以外の種族では、膨大な魔力に身体が耐えきれずに塵も残さず消えるか、互いの力が相殺して自滅するかのどちらかでしかない。
しかし、たった一つの例外がある。
それまでエリオットを見る目に感情を乗せていなかった美獣に、熱が篭もる。
「この子供が、かの巨大なる空の器とは僥倖だった」
闇の血族は最早黒の貴公子以外存在しておらず、妖魔の力も乗せられた彼の魔力に耐えられる器など存在しないはずだった。
只人であるにも関わらず、無限に等しい闇の血族の力を全て引き継げられる希有な存在。”巨大なる空の器”。
魔界の中枢を支える永遠をゆく者候補になり損なった存在。ただ力を受け入れられるだけの器が造られ、肝心の中身が注がれなかった不良品。
呪術師タナトスすら見向きもしなかった廃品だが、黒の貴公子にとっては唯一無二の希望だ。

魔王が黒の貴公子に転生の儀を施す前に、黒の貴公子はエリオットに乗り移る。
これは美獣と黒の貴公子の二人だけの秘密だ。
何よりも闇の血族の血を欲する魔王がそのことを知れば、即座に転生の儀を執り行い、黒の貴公子の魂魄を抹消して乗り移るだろう。
元来魔王に仕えていた美獣にとって、魔王に黒の貴公子の陰謀を伝えるのが正しい忠義の在り方だ。だが、彼が妖魔となる前、まだ人間の幼子だった頃から知る美獣は、黒の貴公子を死なせるには忍びなかった。何より……。
今ではもう思い出せない、妖魔になる前の記憶。ただの猫であった私にも守りたい誰かがいた。主を守れなかった未練と無念は、今でも胸にこびりついて剥がれない。
ここで黒の貴公子を裏切れば、また同じ思いをするかもしれない。そして……今度は裏切るのだから、もっと酷い。

新たなる身体を得たい黒の貴公子にとっては、巨大なる空の器を手に入れた今が最初で最後の機会だ。

聖剣伝説2 未完 『導きの明かり』

未完

注意
私的設定があります。













床から生えた手に足首を掴まれた。ダークリッチの手首から生じた禍々しいオーラが、ランディの身体を包む。
ランディの身体を乗り移りに適した心にすべく、これまでの人生の中でタナトスが乗り移ってきた歴代の闇の血族達の思念の一部を解き放った。
ダークリッチの手首を斬りつけようとする直前、ランディの精神を虚無へと押し流すべく怒濤の勢いで物心着く前からの孤独な日々が蘇る。
余所者と邪険にされ、疎外され、誰一人理解者も心を許せる友もいなくて、常に遠慮と緊張と屈辱と諦念を強いられてきた。幼い頃は理不尽だと夜な夜な泣いたこともあった。どんな目に遭っても僕には家族がおらず、余所者だから仕方ないと、これまで言い聞かせてきた。
恐慌し、錯乱の渦中にいるランディの精神にとどめを刺すべく、タナトスは更に悪意を注ぎ込む。

ランディを呑み込もうとする闇と間もなく同一化すると分かっていても、抗うこともせずそれを受け入れて……。

「ランディ!!」
「ニイちゃん!!」
闇に呑み込まれかけたランディの意識に、何よりも大切な二人の声が届いた。
プリムとポポイが、僕の名前を呼んでくれる。
それだけで自分が何の価値もなく虐げられる余所者でも、聖剣の勇者という偶像でもなく、ただランディという一人の人間として生きてもいいのだと確信できる。
彼らとの記憶が、温もりが、日常が明かりとなって、ランディを闇の中から導く灯台となった。
こんな所で負けてられない。僕にはまだ生きて、やりたいことが沢山ある。
必死に闇から這い出してランディを引き込もうとする亡者達に僅かばかりの憐れみを抱くが、彼らの望みを叶えてやるわけにはいかない。
生きる。僕のままで生き延びる。
ただそれだけを念じて、亡者達を押しのけ、突き飛ばし、蹴って踏みつけてでも光の元へひたすら邁進する。
ランディを闇の中に引きずり込む力は、凄まじい。けれど光明がある今、負けられない強さがランディにはあった。

「……僕は……」
タナトスが身体を失い、乗り移りに集中している今。不死のタナトスを倒せるのは、この瞬間しかない。
「負けるわけには、いかないんだ!!」
強制的に精神干渉が解かれ、ほんの数秒の隙を晒したダークリッチの心臓めがけて聖剣を深々と突き刺す。
いかにタナトスといえども肉体を失い、精神を消耗している時に聖剣で核を貫かれては一溜まりもない。
ダークリッチが霧散するように消えていき、数多の命を犠牲に悠久の時を生きた呪術師は、塵一つ残さずにこの世から消失した。

聖剣伝説 『女神の騎士』 未完 番外編 【彼の名前】

未完

注意
二部の時系列です。












女神の騎士となり、一万年近く生きてきた彼は、本来の名前を大昔に忘れていた。
そもそも人間の脳は数千年生きる前提で作られておらず、妖魔に寄生されていなくとも古い記憶はどんどん失われていく。
かつて数千年以上生きた三柱のように一カ所に留まらず、客観的な視点を持たない彼が今まで生きてきた正確な時間や、名前が分からなくなるのを責めるのは酷といえよう。

「ドーラ」
名前を呼ばれたとき、極稀に違和感が脳裏をかすめるときがある。彼自身、今の名前が本名だとは微塵も考えていなかった。
悠久の年月を生きて、何度も頭部を破壊しながらも再生して生き続けているのだ。本名なんて、いつの間にか忘れていた。
遙か古の出来事である人間だった頃の記憶は生きていく過程で塗り潰されて、消えてしまっている。覚えているのは女神によって保護された最低限の記憶のみ。
為すべき事は分かっており、それを為すために生き続けるのが彼に与えられた責務だ。

「ドーラ」
傭兵仲間に呼びかけられると、剣の手入れを止めて顔を上げる。
太陽のような笑顔は誰かを連想させるが、如何せん生きてきた年数が年数だ。誰が誰だか心当たりが多すぎる。ましてや忘却の彼方に消え去った者達も含めると、もう……わからん。
それでも”不死者”と畏れられている俺に臆せず、また不死の正体を突き止めようと欲望を滲ませず、自然体で接してくる奴は本当に珍しい。
その度胸を買って、話を聞いてやることにした。
男が語るのは世間話から始まり、この戦争の勝敗にまで及んだ。必ず勝つと意気込む男に理由を尋ねれば、国に家族がいるのだと語った。たった一人に妹と婚約者を守るためになんとしても勝つと熱く語る男に、彼はその熱意を傾けられる存在がいる男のことを羨ましく思った。

愛する者の記憶も、不死者になる前の幸せな記憶も、俺には何もない。
あるのは、肉体と魂に刻まれて彼を生かし続ける、女神の絶対なる命令だけだ。

不死者である生を終わらせる方法は、ただ一つ。女神の望みを達成することのみだ。
いつ訪れるか分からない遠い未来に訪れる暴走したマナの女神を、永遠の命を与えた存在を殺す。
女神の命令を叶えれば、彼は女神の騎士から人間に戻れる。
そして、その時は彼が人間を辞めてから一万年以上の月日を越えてやってきた。
世界各地で起きる様々な異常現象と、新たなるマナの種子の存在。
間もなく、その時は近い……。

「ドーラ」
『――――』
 夢うつつにマナの声が聞こえる。
その名前と重なるように、何かの音が聞こえたような錯覚を抱いた。

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