「ドラゴンボール」
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DB IF 外伝 『帰還1』

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『IF』外伝の一話目である『帰還』は、地球に”星送り”されていたカカロットが任務を終えて、惑星ベジータに帰還してから、バーダックと会うまでの話です。





―――次男カカロット。二日後に惑星ベジータに帰還。それまでセンターにて”手続き”をされたし―――




『帰還』


全体的に古ぼけており、人の気配をあまり感じさせない寂れた酒場の片隅に一人の男が浴びるように酒を飲んでいた。
男の風貌は、赤いバンダナを頭に巻きつけ、サイヤ人の民族衣装を着ていたが、下着を身につけず、着物に似たデザインの上着を着流し、胸元を大きくはだけさせたなりだった。一般的なサイヤ人同様、重力に逆らうような癖の強い黒髪と黒目。黄味がかった肌をしており、頬に大きな傷がある二十代そこそこの若い男だった。だが、他と違うのは酔っていても尚周囲を射抜くような鋭い目をしている事だった。
男…先日上級戦士になったばかりの、元下級戦士バーダックが、忌々しそうに杯を重ねていく。それはまるで何かを酒で紛らわそうとしているかのようだった。
―クソッ!こんなに酒を飲んでも、全然酔い潰れねぇ…
彼がグラスに入った真っ赤な酒を見つめていると、それが血溜まりと重なり、その中に数年前に亡くなった妻が倒れ伏している光景が過ぎった。バーダックが大きく目を見開き、鼓動が早くなっていく中、赤子が妻の胎を突き破り、この世に産まれ出た光景が思い出され、辺りが血の一色に染まっていき、産室も医者も、全て消え、彼と胎を裂かれた妻の遺体のみになった。その彼が絶叫を上げると同時に、バーダックがグラスを粉々に握り潰した。ワイン…異星の酒が手を濡らし、まるで血に濡れているようだった。
彼が舌打ちし、体内に渦巻き爆発寸前の感情を抑えるかのように、目を強く閉じ、両手を血が出るまで強く握り締めた。そうして、感情の波が落ち着いた頃合に
「おい!グラスを持って来い!!それと酒もあるだけよこせ!!」
苛立たしげにカウンターにいた店主―惑星ベジータでは珍しい異星人であったが―めがけて怒鳴り散らす。店主が慌ててグラスや酒を持ってくる中、彼の脳裏には血の色を伴って先程の”悪夢”が繰り返されていた。

バーダックが無言で杯を重ねている時、背後から気配を感じた。彼が瞬時に身を強張らせ、攻撃体制に入った時
「バーダック。やけに荒れてるじゃないか」
「…トーマか」
彼が横目でその人物を確認し、それが物心ついてからの幼馴染み―最もトーマが幾つか年上だが、若い時期の長いサイヤ人には大した問題ではない―であり、悪友でもある、彼のチームの参謀、トーマである事を確認した途端、周囲を張り巡らせた警戒と攻撃態勢を問いた。
彼の服装は、バーダックとは違い、チャイナ服に似た下着を身に纏い、上着も着崩さずに着ている、サイヤ人の民族衣装だった。
―こいつの気配すらもわからなくなっていたとは…流石に酔いすぎたか?
そう彼が思案する中、トーマはバーダックの警戒網が解かれたのを見計らったように隣に座り、店主に酒と軽食を注文した。
バーダックが、手にしていたグラスに入った酒を一気飲みした後、彼の方に顔を向け
「…わざわざこんな所まで探しに来るとは、何のようだ?」
ここは彼のいつも通っている店ではない―顔見知りに会うのが嫌だったのと、何よりも一人で静かに飲みたかったからだ―それなのに、ここを見つけたとなると、余程彼を探し回ったということだ。
トーマは肩を竦め、呆れた表情を浮かべて
「あのなぁ…センターから苦情が来てお前の家に行ってみれば、家中、部屋一杯に溜め込んでいた空の酒瓶だらけ。しかも、いつもの店にいない、気を消しているとなると、誰だって探すだろ」
そう話しながらもセリパと二人でバーダックの家に行った時に、家中に散乱した酒瓶や樽、明らかに八つ当たりしたであろう痕跡があった事、そして二人で馴染みの店や場所、人などに手分けして聞き回った事などを回想した。
正直なところバーダックが先程抑えていた気を放出しなければ、今日中に見つけることは困難だっただろう。
―普段は自棄酒するような奴じゃないのになぁ……そこまでカカロットの事を思い出したくないのか?
トーマがそう思案する中、バーダックが
「何故、お前の所に苦情が来る?」
トーマが半眼で彼を見ながら、酔いすぎて頭もロクに回らないのか?とぼやいた後、
「連絡してから二日間、音信不通な上に当日になっても一向に来る気配はないとなれば、チーム全員に連絡がいくのは当然だろう?」
まぁパープキンとトテッポは別のチームの応援に配属されて五日前からこの星にはいないから、育休で休んでいた俺とセリパの所に苦情が来て、こうして探し回る羽目になったんだがと続けた。
バーダックがそれを聞き、気まずげにトーマから顔を逸らし
「…悪かったな」




当分バーダックがメインです。カカロットはまだまだ先かな…
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