未完

火星物語 未完 『風呂での攻防』1

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19話『アショカの脅威』前提
~もしカンガリアンでフォボス達が風呂に入ってたら~
サスクエ予定






どこかに隠れているかもしれないカンガリアン国王を探すために、それぞれ別行動を取る事になったフォボス達だが…

カンガリアン城下の一角。
何処か暗く寂れた印象を与える路地を、フォボスが物珍しそう周囲を見回しながら散策する。
目の前に広がる光景は彼の時代の下カンガリアンや、アンサーの時代のカンガリアンとは異なる景色と空気だった。
―これが400年前のカンガリアンかぁ…。
彼の時代のように寂れてもいないが、600年前のような活気はなかった。
600年前のカンガリアンは世界各地から商人や観光客が訪れ、世界最大の都市と呼ぶに相応しかった。
答辞に活気に満ちたカンガリアンの町並みと、今現在のカンガリアンとの落差を残念に思っていると、背後から誰かに肩を叩かれた。
―アショカ兵か!?
気配すら感じさせなかったそれにフォボスが驚き、攻撃態勢に入れるよう瞬時に全身の筋肉に力がはいる。
バサラ将軍率いるアショカの精鋭部隊の撤退と、謎の機械が攻めてきた事で―その正体はフォボスが試運転の際に暴走させたバスだ―アショカ軍は城に立て篭もっている。だが、市民の暴動抑圧のために兵士が街中に残っていてもおかしくない。
殺されなければ、殺される。
最早、フォボスの心の奥深くまで染み込んだ考えが、彼の体を動かす。
先手必勝とばかりに勢いよく振り返り、スパナで相手の体をなぎ払おうとしたが瞬時に動きを止める。
そこにはよく見知った人物がいた。
「サスケ!」

フォボスとサスケが並んで歩く。
集合場所に向かう道すがら、先程フォボスがいた区域はカンガリアンで最も治安が悪い事を話すと、フォボスが目を丸くする。
「え?あそこってそんなに危ない所だったの?」
600年前はただの商業区域だったのだが、この時代では物騒極まりない場所に変わり果てていた。

思案げな面持ちになったフォボスを見る。
偶然フォボスが物騒極まりない区域に向かうのを見かけて後を追いかけたが、もし何かあったとしても今の彼なら乗り切れるだろう。
肩を叩いた時、何と誤解したのか攻撃しようとした時に見せた敵意と反射神経。
さすが未熟とはいえ、風使い。もう既に戦士として必要なものを見につけていた。
人を信用しすぎるという難点はあるが、将来有望であることは間違いない。


「フォボス。クエスと合流したら風呂に入ろうぜ?」
「え、いいの?風呂って結構金かかるんじゃなかった?」
アンサーのテラフォーミングの成果もあり、600年前よりは水が豊かになっているとはいえ、地域差はある。
水の都カンガリアンでもやはり風呂は高い。フォボスの時代の価値観ではありえないほどの高値だ。
―…随分太っ腹だな…。
初めて会った時、ソドムで水を頼んだときには少し嫌そうな顔をしていたのにと内心呟く。
あの頃は過去の世界では水が貴重だという事を知らなかったが、今では度重なる過去への旅を経て、フォボスの価値観は大きく変わっていた。

コアラップ広場。
200年前のコアラップ王女10歳の西端を記念して作られた像があり、カンガリアン住人の憩いの場でもある。
クエスが像の前で手持ち無沙汰に佇んでいると、仲間の気を感じて顔を上げる。
フォボスとサスケの姿を見つけて、


「わりぃ、遅くなっちまった」


「サスケ、どうしてフォボスと一緒なんだ?」
「途中で会ったから、そのまま一緒に戻ってきたぜ」


フォボス達が情報収集の成果を話し合うが、その結果は芳しくなかった。
「一体国王は何処にいるんだろう?」
「そう簡単に見つかる所にはいねぇだろうな」
フォボスが溜息混じりに愚痴ると、サスケが肩を竦める。


「それじゃ、次は何処に行く?」
クエスに気づかれないように、フォボスとサスケが互いに視線を交わせる。

カンガリアンの風呂。
それは全世界に有名な存在だ。
水の都と呼ばれるだけあって、何処よりも安く提供されている。その価格は庶民が入れる程の安価だ。


フォボスが暖簾をくぐろうとした時、クエスがフォボスの肩を掴む。
突然の行動にフォボス崖幻想に振り返ると、クエスが何処か剣呑な目つきでフォボスを見据えていた。
「フォボス、ちょっと待て。 何でいきなり風呂なんだ?」
「それは…」
フォボスが助けを求めるようにサスケに視線を向けると、クエスがサスケに顔を向ける。
「俺が言ったんだ。決戦に備えて疲れをとっておいたほうがいいだろうってな」


「…サスケ…随分まじめな顔だな?
その顔は……何かいやらしい考えを隠している顔だ」
長年の経験から、その顔をしている時の彼の考えはわかるようになっていた。


サスケが冷や汗をかき、瞳に焦りの色を浮かばせる。
「ななな何言ってんだ、クエス!!自分の肉体を常にベストにしておくのは戦士として当たり前の事だ。戦場ではわずかな疲れは命取りになることもある。違うか、クエス?」
クエスが疑うように冷や汗を垂れ流しているサスケを見る。
彼の言葉にも一理あるが、嫌な予感も覚えていた。


風呂に入り、疲れをとりたいという方向に気持ちが傾きかけるが、それを堪える。
「駄目だ、駄目だ。風呂の中では武器どころか服さえ着てないんだから」
サスケが何か言おうとした口を開く直前、フォボスがサスケの体を押しのけてクエスに詰め寄る。
「ちょっと待ってよ!
僕も体を洗いたいんだけど…」
この時代に来てから、碌に体を洗えずに香水とかで誤魔化してきていたが、フォボスにはもう耐えられなかった。
先程の流れでいけば、確実に風呂に入れずじまいになる。
体力を回復させるためにも、何よりも体を洗うためにも、ここは是非風呂に入っておきたい。
フォボスの必死な思いが伝わったのか、クエスが思案する面持ちになり、頷く。
「………分かった。それじゃ風呂に入るとしよう」
彼女の言葉にサスケが朗らかに笑う。
「そうか!そりゃよかったぜ!!」
「…………………」
クエスが半眼でサスケを見る。

クエスが女湯に行く前に振り返り、真剣な表情で二人をしっかりと見据える。
「…サスケ。絶対に覗くなよ。
フォボス。しっかりサスケを見張っていてくれ。
何か悪さしようとしたら、容赦なくぶってもいいぞ」
「そりゃないぜ、クエス。 それじゃまるで俺が何かするような言い方じゃねぇか」
フォボスとクエスが何とも言えない表情でサスケを見る。
―……確かに、見張っといた方がいいかも。
僕まで変な疑いをかけられるのは嫌だし。

広々とした公衆浴場。
本来なら多くの客がいるが、今はアショカの占領下のため、実質的にフォボス達の貸しきり状態だった。
久し振りに入る風呂に身を浸す。
湯気と共に全身の疲れや血の臭い…それに付随した感情が水と共に体の外へと流れていく。
まるで全て浄化されるような心地よさを感じる。
過去に行くまで分からなかった。
水がこんなにも貴重で、風呂が此処までの快感を与えるものだなんて。
フォボスが湯船の中で全身を伸ばし、あまりの心地よさに顔を緩ませる。

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