未完

火星物語 未完 『殺人シェフ』

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11話『アンサーの覚醒』でポチが石化した後。





アンサーが料理を作っている時に、焚き火の準備をするフォボスを見る。
彼と出会ってから今まで、フォボスが料理を作っているところは見たことない。


「ねぇ、フォボス。
僕ばっかりが料理を作るってのも不公平だよね?」
カンガリアンに向かうまでの道中では、”その時に出来るものが行う”という暗黙のルールがあり、フォボスは一体何処で覚えたのか、食料調達や野宿の準備を主にそれ以外にも手伝っていたのだが、一つだけフォボスが一切手をつけていないものがあった。
それは料理だ。
いつもそれとなく提案するも、のらりくらりとかわされてきて、時にはポチに料理をさせて、今日にまで至る。
こうなれば何が何でもフォボスに料理をさせようというのは、最早アンサーの意地だ。
ナラハンヌの毒でポチが石化したため、もうポチに任せるという手段はとれないし、料理を作る僕がストライキをすればフォボスは作らざるを得ない。
頭の中で作戦を立てるも、今こうして料理を作っているという時点でそれを実行に移す気はないのだろう。


「ねぇ、フォボス。明日はフォボスが朝ごはん作ってよ」
フォボスが目を見開きアンサーを見るが、やがて目を伏せると
「…でも僕は料理が作れないんだ」
「それでも全然作れないってわけじゃないよね?
フォボスは頭がいいし、手先も器用だから、すぐに覚えるよ。
沢山作らないと、下手でも上達しないよ」
「……そういう問題だったら、とっくに上手くなってるだろうね……」
どこか遠くを見ながら意味深な台詞を呟いた。



フォボスが食材を前に、包丁を持ち憂鬱な面持ちになる。
彼とすれば、絶対に料理など作りたくなかったのだ。けれど、その姿勢がアンサーの好奇心に火をつけてしまったのだろう。
彼の時代の料理…水を多く使うものは作れないので、クエスの時代で覚えた料理を作っていた。
その手際はとても”料理下手”とはいえないものだった。
アンサーがフォボスの料理の手際を見るが、彼の目から見て、特におかしい所は見当たらない。
―料理が作れるのに、どうして”作れない”なんて言ったんだろう?
作るのが面倒だからという、ポチにありがちな理由も、フォボスには通用しない。
何か理由があるはずだと、フォボスの手際を更に鋭く観察する。
フォボスが背中のアンサーの視線に、彼に気づかれぬように溜息を漏らす。


出来上がった料理が並べられる。
それはとても”下手”な人間が作ったものとは思えないし、”問題”もなさそうだった。


「うわぁ、美味しそうだね」
料理を食べようと箸を伸ばした時、全身に悪寒が走った。
―なんだろう?こんなに美味しそうなのに、絶対に食べてはならないと、
更に手を伸ばそうとするが、体は目の前の料理を断固拒絶するかのように、指一本動かなかった。
箸を手にしたまま硬直しているアンサーと、手すらもつけようとしないフォボスが


「…どうしたのさ、フォボス。こんなに美味しそうに出来てるんだから、食べたらどうだい?」
「…アンサーこそ、中途半端なところで固まってないで、そのまま口まで運んで食べれば?」


「料理を作った人が一番最初に食べるというのが、この時代のルールなんだよ」
「何それ、今までそんな素振りすらなかったじゃないか」


「ねぇ、フォボス。僕の分の水、あげるからさ…」
「水くらいで買収されるほど安くないから」
「水ってとっても貴重なんだよ。それに君、よく喉が渇いたとか言ってるじゃないか」
「わかってるよ。でも、こればかりは嫌だ」


「………………」
「………………」


暫くの間、互いに食べる順番を押し付けあっていたが、


周囲から感じた敵意に、フォボスの身体が


襲撃者を見て、フォボスとアンサーが驚き
「サンドワーム!?」
以前、追い掛け回されたサンドワームよりは小さいが、それでもフォボス達にはどうしようも出来ないほどの大きさのサンドワームだった。


アンサーがサンドワームを見据えながら、フォボスに確認するように小声で
「…どうする?」
「こんな大きなサンドワーム、僕達の手には負えない。
風を使おうにも、数分の間は隙だらけになる。その間に攻撃されたらアウトだ」
「ってことは…」
「逃げるしかないだろう」


「相手を刺激しないように、距離をとってから…」
「わかった」


フォボス達が、少しずつ後ずさりながら距離をとろうと


サンドワームがフォボスの作った料理を、一気に飲み込んだ途端、サンドワームの全身の体色がどす黒く変色し、驚愕に染まるアンサーと、どこか遠い目になるフォボスを尻目に、サンドワームが横倒しになり、辺りに地響きが轟いた。
瞳孔は開き、口から血と泡を垂れ流しながら、痙攣するサンドワームを
―あぁ…全部食べたらあぁなるのか……。
今まで彼の料理を食べるものは、一口だけで症状が現れてしまい、それ以上は絶対に口をつけようとしないのが常なので、最後まで食べた者を見た事がなかったのだ。


屍になったサンドワームを、硬直しながら見ていたアンサーが、ポツリと呟いた
「…………これからは、僕が料理を作るから、フォボスはもう二度と、絶対に作ったら駄目だよ」
料理を作ったたびに、セイラに、アービンとランプーに、クエスとサスケに言われたのと同じ台詞を言われて、それまで堪えていたものが一気にあふれ出した。
フォボスが肩を震わせ、地面には大粒の雫が幾つも零れ落ちた。

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