未完

DB パラレル 未完 『螺旋』1―5

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暗い夜道の中、重い足取りで寮までの道を歩いていく。
落ち込みながらも、思考は先程の事へと向かっていく。
何故、チチにあんな事をしたのか、自分でも分からない。
あの時、強い衝動が湧き上がって…まるで意識を誰かに乗っ取られたかのように、体が勝手に動いたのだ。
そこまで考えて、自己嫌悪に陥る。


―明日、チチに謝らねぇとな…。
とはいえ、チチが会ってくれなければ話にならない。
いつもは周りが呆れるほどの前向きな志向の持ち主である悟空だけれど、今回ばかりはそうもいかなかった。


悟空が意気消沈しながら警邏隊の寮に帰ると


胸ポケットに入れている無線が
眠気を堪えながら無線に出ると、相手はクリリンだった。


『悟空か、今まで何やってたんだよ!?』
「あぁ、すまねぇ。ちょっとな…」


『隊長からの命令で、至急本部に来るように!』
「えー…。オラ今、すっげぇ眠たいんだ」
今までにない程の眠気もさることながら、あんな事があった今、仕事をする気には到底なれなかった。
それに今はまるで別の人間の体のように、重く感覚がないほどの脱力感と睡魔が彼を襲っていた。
『お前なぁ…普段あんなに寝てるじゃないか!!』
―普段寝てるといっても、オラからすれば殆ど寝てないのと変わりねぇんだよ。
クリリンの発言に、心の中で答えるが、それを口にすることはなかった。


『お前がそんな事を言うかと思って、パンちゃんをそっちに向かわせたから、無事でいたいなら、急いで本部に来る事。いいな!』
そこまで言うと通信を切った。
悟空の全身から血の気が引いた時、扉を勢いよく蹴飛ばす音が部屋中に響いた。
悟空がそちらを見ると、怒りを露わにしたパンが、そこにいた。
「悟空…いえ、カカロット!乙女の大敵である夜更かしを行わせるとは、いい度胸じゃない!!」
悪魔降臨の如く、禍々しいまでに恐ろしい―悟空視点―オーラを漂わせながらそこに佇むパンを、悟空が後ずさりしながら制する。
今この時ばかりは、つい先程まで彼を苦しめていた眠気も何もかもが吹き飛んでいた。
「落ち着け!パン!!おめぇを呼んだのはクリリンだ!!」
「でも呼ばせてるのも全て…あんたのせいでしょうがぁ!!!このバカロットォーー!!!」
パンが叫び声を上げると、気の嵐がパンを中心に渦巻き、少し離れたい地にいる悟空の体を後ずらせた。
パンは優しいと他の皆は口を揃えて言うが、自分はその優しさなど知らない。
昔から何が気に入らないのか、悟空を目の敵にしていたが、此処最近、それが酷くなっていた。特にパンが15歳の誕生日を迎えてから、彼女の彼への扱いが酷くなった。
―オラ、パンに何かしたっけな…?
今までの言動を思い出すも、思い当たる節も何一つ見つからなかった。


宿舎内に悟空の悲鳴が響き渡ったものの、それを聞くものは当事者達以外誰も居なかった。

パンが満足に動けない悟空を引きずりながら、本部に向かう。
まるで荷物のような扱いだが、それを指摘する者は居なかった。
皆、悟空の傷だらけの有様と、パンの恐ろしいオーラを漂わせたその姿を一瞥し、係わり合いを持ちたくないとばかりに避けていた。


クリリンが、悟空の全身ボロボロな有様に、一瞬同情するが、連日連夜の捜査で疲れきっている中、睡魔や自分の都合を優先させる悟空に対して苛立ちが湧き上がってくる。
パンから救うべきか、見放すべきか。
苛立ちと友情が天秤にかけられるが…結局悟空を見放した。
仕事に向かっていくクリリンを恨めしそうに見る悟空を、パンが慣れた手つきで引っ張っていく。


悟飯の部屋の前に着くと、彼女がノックをして
「パパ。バカロットを連れてきたわよ」
「パン。オラの名前はバカロットじゃねぇ。カカロットだ」
悟空と呼ばないのなら、ちゃんとカカロットと呼んでほしい。
悟空の訴えを黙殺したパンが室内に入ると、書類と向き合っていた悟飯が振り返った。
「パン。ご苦労様」


「ねぇ、パパ。こんな居眠りばかりの悟空よりも、あたしの方が警邏隊に向いていると思うけど…どう?」
「パン…。またその話か。
俺やビーデルが、学校に行けず早くからこんな所で働くことになったから、パンには高校や大学に行って、様々な勉強をして、何の危険もない、普通の人生を送って欲しいんだ。
警邏隊って、危険な仕事を大事な一人娘にさせられるわけないよ」
勉強して、高校や大学に通って欲しい。
パンが幼い頃から悟飯はその教育方針でパンを育てていた。
聞く所によると、悟飯はある事情により高校を中退して、警邏隊に入ったらしい。
自分が出来なかった事を、子供に押し付けるなんて最低だと思いつつも、一度その事を詰った時の悟飯の顔が……
そこまで考えて思考を振り払う。
「でもあたしだって…」
「パン」


目に涙を溜めながら、悟飯をキッと睨む。
「もう、パパのバカ!!
あたしだって、クォーターなんだから、そこらの地球人より断然強いのに!!
この分からず屋!!頑固者!!」
そこまで怒鳴ると、扉を壊れんばかりに勢いよく開き、走り去る。
悟飯が物鬱げに溜息をつく。
娘を危険から遠ざけたいだけなのに、パンは安全な所で守られているのを嫌い、自分から危険に近づいていく節がある。
その度にどれだけ肝を冷やす思いをしているか…。
あそこまで警邏隊に入隊したがるのも、俺やビーデルの手伝いを少しでもしたい、と思っているのだろうけれど、そこまでこの仕事は甘くない。
パンが何かと悟空を目の敵にし、辛く当たっているのだって、彼女が子供の頃に忙しさにかまけて、あまり構ってやれなかったのに、悟空にだけは構っていた事が許せなかったんだろう。
悟飯としては、悟空は自分が後見人だから、ちゃんと立派な大人に育て上げるという責務があったから育てていただけだ。
決して実の娘を蔑ろにしていたわけではない。忙しい中でもちゃんと愛情をもって接していた。けれどそれがパンに伝わらなかったにすぎない。
実の子供に対しては、大丈夫だろうとどこかで甘えていたのかもしれない。
それがパンの悟空への嫉妬と敵対心を産み育てる事になったのだろう。


書類の中にあった報告書に目を通す。
それに目を通していく内に、彼の口角が歪む。

警邏隊の主だった面々が会議室に集まった時、悟飯とピッコロが室内に入ってくる。


「こんな夜遅くに皆を招集したのは他でもない。
例の殺人犯の目撃情報が幾つか手に入った。
……それも犯人は、この町にまだ潜伏している可能性が高い」
どよめく彼らを押さえ
「犯人は十代半ばの少年らしき人物。全身ユーノというブランドを身に纏っている」
正面にある巨大なスクリーンに、目撃証言から作成された全身のイメージ図が映し出される。
悟空がそのイメージ図を見た時に、既視感を覚えた。
何処かで見た事あるような気がするが…多分気のせいだろう。
そう結論付けると、次の疑問が浮かび上がってくる。
悟空が隣に居るクリリンに、小声で
「なぁ、ユーノって何だ?」
あまりの悟空の無知さにクリリンが呆れながら
「お前なぁ…。ユーノっていったら、全世界で有名なブランドだぞ。
デザインと機能性を兼ね備えた、ファッション業界では老舗の会社だ。
サイヤ人の技術と製法を使っているのか、あそこの生地はちょっとしたことじゃ傷一つつかない
内勤以外の警邏隊の制服の生地はユーノから卸売りしてもらってるんだぜ。
じゃなけりゃ、半月もしないうちにオマエの隊服なんかボロボロになってるだろう」
「ヘェ…そっかぁ。やたら頑丈だと思ってた」
今まで着ていた服は、彼の特訓や修行に耐え切れずにすぐに敗れていたが、警邏隊の制服はそんなことはなく、長持ちしていた。
そのため、日常生活でも警邏隊の制服を愛用していた。
そんな事を言いながら服を摘んでいる時に、悟空の喉元めがけて、ペンが物凄い速さで飛んできた。
悟空が咄嗟に警棒で庇うと、ペンが警棒に突き刺さった。
ペンが警棒に深く突き刺さるほどの速度と強さで、
彼らの背筋が凍り、ペンが投げられた方向を見ると、悟飯が笑顔で
「そこ。静かにしないと次は本当に当てるよ」
…つまり、防ぎきれない速度で投げるという事だろう。
―十分当てるつもりだったじゃねぇか…
喉元めがけて投げられたのに、この悟飯の発言は
「オラだけじゃなくて、クリリンも…」
クリリンがギョッとした顔で悟空を見るが、それを無視する。
先程クリリンだって悟空を見捨ていたのだから、自業自得だ。当然の報いだ。
「どうせ悟空から話しかけたんだろう?だったら君の責任だよ。
それに人間相手に手加減できるほど俺は、器用じゃないよ」
嘘だ。わざとやっている。
その場に居た者全てが、そう考えていた。
大体、人間相手に手加減が出来ないようなら、警邏隊の隊長などが務まる訳がない。


「犯人が何時までこの町に潜伏しているか分からない以上、今日は警邏隊総動員して街中を虱潰しに探す。
それぞれが担当する区域をしっかりと覚えておくように。
この捜査には警邏隊の威信もかかっている。何が何でも連続殺人犯を草の根を掻き分けてでも探し出して、捕らえるように。
…それが出来なければ、殺しても構わない。…以上、解散!!」


9.10 公開
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