未完

DB パラレル 未完 『螺旋』1―断章

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悟空が悟飯に引き取られた時の話です。








副題 『運命の子』

俺達兄弟は、サイヤ人の血を引いているというだけで”人間”として扱われなかった。蔑まれ、迫害という名の”イジメ”に遭い続け、人間としての尊厳を踏み躙られていた。
死んだほうが遥かにマシだという生活の中、ピッコロさんに支えられて守られて、悟天を支えて守りながら、俺は両親と約束した夢…学者になるという目標のために、頑張ってきた。奪われる前の幸せだった…あの時の両親の笑顔を糧に、そして混血であるだけの理由で蔑む連中を見返すために。
学者になるというのは俺の生きる目標でもあり、両親との約束だったから、絶対に叶えなければならない夢だった。

俺の運命を変えたのは、一人の赤ん坊。
その赤ん坊を市長が俺の前に連れてきたのは、俺が15歳の頃。
蒸し暑かった夏も過ぎ去り、秋にさしかかろうかという季節だった。
都市一の有名高校の受験をトップで合格した俺は、子供の頃からの夢を叶える為に日夜勉強をしていた。
そんなある日、龍球都市の市長から極秘に呼び出された。
龍球都市の市長―亀市長は、俺達兄弟が幼かった頃に一時期面倒を見てもらっていたことがある。
けれど幼かったのと、短期間だけだったので、さほど育てられたという実感は持っていない。
今まで俺達に碌に関心を示さなかった市長が、俺に何の用かと思いながら、彼の元に向かった。
―この時に、破綻が始まった。
市長の前に来た俺の前に、彼は一人の赤子を俺の目の前に差し出した。
その赤子は、純粋サイヤ人にしか生えない尻尾を生やしていた
それを見て酷く驚いたのと同時に嬉しかった。まだ純血のサイヤ人が他にも生き残っている事が証明されたから。


「…亀市長。この赤ん坊は、どうしたんですか!?」
もう純粋サイヤ人は殆ど生き残っていない。
この街にも嘗ては何人かいたが、俺達兄弟と一緒に暮らしてくれていた三人は別の町に移り住んだし、唯一生き残っていた最後のサイヤ人の女性も、数ヶ月前に産後の肥立ちを悪くして亡くなっている。
混血ならまだしも、純粋サイヤ人の赤子など、もはや存在しないといっても過言ではないのに、何故ここにその赤子がいる!?
「驚いたか?」
「えぇ…。そりゃあ…」
純粋サイヤ人の赤ん坊が目の前に居る、なんて誰だって驚くだろう。


「残念ながら、この赤子の出生に関する質問は答えられん。
名前はカカロット。偽名に悟空という名を与えた」


「俺をここに呼んだのは、この赤子の事ですよね」
疑問ではなく、確認するかのように問われたその言葉に市長が頷く。
「さよう。
悟飯。お主ももう15歳じゃな。そして龍球高校の難解な受験をトップで合格するという、頭脳明晰で尚且つ混血とは思えぬ程の強大な力を持っているお前なら最適じゃろう。
この赤子を、引き取ってもらいたい」
「…え…?」
「悟飯。お主にはこの赤子を引き取り、警邏隊に入ってもらう。
高校は中退しろ」
悟飯の目が見開かれ、絶望に満ちた表情になる
「……何故?」
そんな事を問うが、その答えは分かりきっていた。
彼の持つ卓越した頭脳とサイヤ人の身体能力は危険な仕事の多い警邏隊には、喉から手が出るほど欲しいものだろう。
混血である彼を警邏隊が正式に入れる事で、政府内での立場が悪くなろうともそれでも悟飯を求めている。
未だ混血への差別意識が根強く残る、この世界で碌な働き口のない混血の状況から考えれば有難く思うべきなのだろう…
―でも、俺は…。
「何故、俺なのですか?
俺と弟を育ててくれた時とは立場が違えども、ピッコロさんだっています。
それに俺は15歳ですが、弟はまだ子供です。弟を養わなければならないのに、赤ん坊の面倒なんてとても見切れません。
俺は学生です!なのに中退して警邏隊に入れだなんて…!!
俺よりももっと相応しい人間が居るのに、何故、俺なのですか!?」


「この赤子には、重要な秘密がある。
それを守るためにお主には、この赤子を引き取り、育て、赤子を確実に守るために警邏隊に入ってもらう必要がある。
……異論は、許さんぞ」


―…俺は政府によって、子供の頃からの夢を奪われた。
幼い頃からどんな迫害に遭ってきても、それでも夢を”希望”に生きてきた。


自分の全てだった夢を、生きるための目標だったものと永遠に決別させられただけでなく、これからの人生を憎んでも憎み足りない政府の手足となって生きていくのだ。
それもこの赤子の子守のために――。
――沢山勉強して、偉い学者さんになりたい――
それは、もう叶わない…夢。両親との誓いも失われてしまった。
俺の人生においての夢であり希望であり目標であったものが、完全に壊れた瞬間だった。
――――その時、俺の胸に渦巻いたものは――――…………
名前を与える事すら出来ない、どす黒い感情は心の全てを侵食していく。
「…はい、わかりました」
視聴の求めに応じて、微笑みながら頷く。
「引き受けてくれるか?」
「…そもそも断るという選択肢などないでしょう?」
何処か皮肉めいた笑みを浮かべる悟飯に、亀市長が安堵したように頷く。


悟飯が眠っているカカロットの顔を覗き込み、微笑を浮かべる
「はじめまして、カカロット。俺が君の新しい親だ」
誰かが悟飯の顔を見ていればわかっただろう。
その笑みには、感情が一切宿っていなかった事を。
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