「ドラゴンボール」
DB 『IF』

DB IF 小説 V×B 『とある朝』

 ←DB 小説 『サイヤ人にとって尻尾を…とは?』 パン・ブラ編 →DB IF 小説 『ある朝』 飯ビー
注意
オリジナル設定があります。
時期的にはベジブルが出会ってから半年後の話になります。
ベジータは15、ブルマは14の時の話です。



















オリジナル設定の説明
サイヤ人は近親婚を繰り返しても平気な遺伝配列をしている。















地球がサイヤ人の植民星になって以来、都市は破壊され新たにサイヤ人の都市が築かれた。その中でも最もステータスが高い都市はサラダ市といい、嘗て西の都と呼ばれていた場所だ。サラダ市は一等地として、サイヤ人の貴族の別荘が軒並み建てられており、サイヤ人の世襲王子ベジータの屋敷もあった。
そしてベジータの屋敷の一角にある広さと優美さを兼ね備えた部屋が、ブルマに宛がわれた部屋だった。
生活に必要な設備は勿論、研究室も備えており、まさにブルマのために作られた区画だ。
彼女が連れてこられた当初は必要最低限の物しか置かれていなかったが、半年かけてブルマが自分の好みの内装に変えていった。

研究室でブルマがパソコンを操作し、画面を食い入るように見つめていた。
そこに映し出されていた映像は、地球の技術を遥かに凌駕した宇宙最先端の技術と科学知識に纏わるデータだ。
科学技術に纏わる資料を読み漁るのがブルマの日課であり、日々の楽しみだ。そのため知識欲に取り付かれて資料を読み漁り、機械作りの際には睡眠や食事を疎かにすることが多い。
その度に部屋の主が彼女を研究室から引きずり出して、食事や睡眠を取らせている。
それは彼女にとって、不思議極まりないことだった。
―一体どういうつもりかしら? 無理矢理連れてきたくせに丁重にもてなすなんて
ここでの暮らしぶりや、王子自らが直に彼女と接する。
同族以外を見下し、人間と見ないサイヤ人のすることではなかった。

夢中になったブルマの集中力は凄まじく、例えすぐ側で声をかけられても気付かずに目の前の作業に没頭し続けるのが常だった。
「おい、ブルマ」
背後から声をかけられるが、彼女は呼びかけられたことすらも気付かずに、機械弄りをする手を止めなかった。
「おい!」
勢いよく肩を掴まれ、彼女の体が大きく跳ねる。
「もう!!いきなり何すんのよ!?」
勢いよく振り返り抗議の声を上げる。しかし声の主の姿を見た途端、目を大きく見開き、頬を赤らめる。
そこにいたのは彼女と同年代の黒髪黒目の整った顔立ちをしたサイヤ人の少年。全宇宙の支配階級サイヤ人の世襲王子ベジータ本人だった。
風呂上りで逆立っている髪も垂れ下がり、前髪は額に張り付き、より一層幼い印象を与えた。
普段は腰に巻いている尻尾も、水気を切るかのように後ろで何度か揺れている。
だが、彼女が驚いたのはそんなことではない。
彼は何も身に纏わずに、その身体を無防備に晒していた。
ブルマが頬を赤らめたまま、手で顔を覆い隠し、ベジータの背を向ける。
「あ…あんたね!!純粋無垢な乙女の前に裸で現れるなんて、一体どういう神経してんの!?」
更なる抗議をぶつけるべく、ベジータの顔だけを見つめる。
「いつも言ってるけど、風呂上りにそんな格好うろうくのは止めなさい!!」
早口で捲くし立て、手近においていたタオルを勢いよく投げ渡す。ベジータがそれを容易く受け止めると、腰に巻く。
このやりとりもいつものことだった。
ブルマが憤りを露わにベジータを上目遣いに睨む。
「貴様だって人のことは言えんだろう。 そんな下品な格好をしやがって……」
ベジータが吐き捨てるように言い放つ。
ブルマはいつも肌を露出させた服を着ており、慎みというものに欠けていた。
下品すぎる。慎みを持て。
いつも彼女が好んで着る服を見るたびに、彼が口にする台詞だ。
「いいじゃない。あたしがどんな格好をしようと、あんたには関係ないじゃない。
大体、サイヤ人の王子様が裸でうろつく方がよっぽどマズイでしょ」
「ここには俺しか入れないから問題ない」
「あたしがいるじゃない!!」
「だからだ」
ブルマ以外の人間はいないから、外とは違い”王子”でなく”ベジータ”としてリラックスできる。
誰もいないというならば、惑星ベジータのプライベート領域でも同じ事が言える。だが、それでは彼は王子のままで一人の人間に戻ることはない。
ベジータが王子から人間に戻るには、理由はわからないがブルマが大きく関わっていた。
ブルマが半眼でベジータを見る。その視線に気まずさと苛立ちを覚えるものの、当初の目的を口にする。
「飯の時間だ。さっさと来い」
「え、もうそんな時間?」
ブルマが目を丸くしながら時計を見る。
最後に見たときから針は大分進んでおり、もう昼間近かった。
夜更けに時計を見たから、昨日の朝から一睡もせずに資料を読み漁っていたことになる。
ブルマが立ち上がろうとしたとき、ふらついて倒れこむ。咄嗟にベジータが彼女を抱き支えたおかげで、床への激突は避けられた。
抱きしめられる形になり、ブルマの頬が忽ち紅潮していく。
普段は気に止めないが、戦闘民族という異名を持つサイヤ人なだけあって、鍛え抜かれた逞しい体だと、直に肌で感じる。彼女の鼓動が高鳴っていく中、ベジータが口を開く。
「いつ寝た?」
「えーと…」
ベジータが鋭い眼差しで射抜くように彼女を見据えて、問いかける。
昨日の朝に仮眠と朝食をとって以来、ぶっ通しで資料を読み漁り、機械弄りをしていた。
ブルマがベジータから極力目を合わせまいと逸らすが、ベジータに顎を掴まれてしまい、目を合わさざるを得なかった。
「………昨日の、朝かな…?」
「まずは寝ろ。飯はその後だ」
「えぇー!!」
抗議の声を上げるが、ベジータに睨み返されて引き下がるしかなかった。

ベッドに横になるが、やけに目が冴えて眠ることが出来ない。
眠れない原因はわかっている。
先程の事を思い出すだけでも頬が上気し、鼓動が早くなる。
―もし今ベジータが戻ってきたら…。
平静でいられる地震がない。
必死に先程のことを頭から追い払い、別の事を考える。
彼女の一人だけなら研究と勉強に夢中になって不健康な生活になる。だからベジータは時間を捻出して、彼女の元に頻繁に訪れているのだろう。
規則正しい生活をすればいいとなるが、それは出来なかった。
―でも仕方ないじゃない。 宇宙最先端の知識と技術に触れられるんだから、科学者として、多少の睡眠や食事を削ってでも取り込みたいのは当然よ
いつまでもここにいられるかわからない。今は大丈夫でも先の保証は何もない。だからこそ、今のうちに様々な事を知りたい。
ベジータに捨てられたら、彼女に待ち受けるのは道具として扱われる”奴隷”としての人生だ。だからといって誰かに必要以上に媚びるのは彼女の矜持が許さない。
彼も媚びずに自分の思いを口にするブルマを気に入っているのか、多少無礼な振る舞いをしても危害を加えることも追い出すこともない。

天井をボンヤリと眺めていると、扉が開く音がする。彼女が起き上がり、そちらを見るとサイヤ人の民族衣裳に着替えたベジータが粥と苺を載せたトレーを持っていた。
好物を見て、ブルマが目を輝かせる。
ベジータが呆れたようにブルマを見る。
「まだ起きてたのか?」
「寝られないのよ」
そっぽ向きながら答える。

ブルマが真っ先に苺に手を伸ばそうとするが、ベジータが容器を遠ざける。
「地球人はひ弱だから、まずは粥を食べろ」
長時間食べていない中、固形物を食べたら胃に負担がかかって消化に悪い。
声に出されなかった言葉に、返す言葉が見つからずに渋々粥に手を伸ばす。
ブルマが粥を食べるが、ふとある疑問が湧いた。
普段は口に出さない思いだが、今は無償にその答えを知りたかった。
食事の手を止めて彼を見返す。
「ねぇ…なんでよくここに来るのよ? 暇なの?」
彼が暇でないことを知りながらも口にする。だが、そうでなければ彼が頻繁に来る理由が分らなかった。
ブルマの予想通り、ベジータは鼻で笑う。
「そんなわけあるか」
「じゃあ、なんでよく来るのよ?」
「来たら悪いか?」
「そう言ってないでしょう?」
互いに顔を合わせる形のまま、二人の間に気まずい沈黙が流れる。
その空気に耐えかねてベジータがそっぽ向き、ブルマが食事を再開する。

ブルマの姿を眺めながら、ベジータが考えを巡らせる。
この女の何がそこまで気になるのか。
容姿は今まで見た女の中では上等だが、彼の理想とする母に比べれば”普通”だ。だから容姿ではない。
ならば性格かと考えるが、彼女は彼の”嫌いなタイプ”に当てはまっていた。何より下品なのが気に食わない。格好は言うまでもないが、寝相は悪い。言動も下品極まりない。
彼にとっての”いい女”は、母のように美しさを備え、上品で誇り高く気品に満ちて、苛烈さと冷徹さを併せ持った凛とした男前な女。女を強調せずに内側から魅力を醸し出すような女だ。
極度のマザコンだと父王や叔父に言われているが、強く美しい理想となる完璧な女が身近にいるのだから憧れて当然だ。
しかしブルマは彼の”好み”に当て嵌まらない下品な女だ。けれど彼女は自分をしっかり持っており、ハッキリと自分の意思を言い、媚びる真似をしないことに好印象を持っていた。そもそもベジータは何でも従うような自主性のない者は人間として嫌いだ。
世継ぎの王子という身分柄、下心を持って媚びる連中に対しては嫌悪と侮蔑を抱いていた。
あれば気が散るが、なければ物足りない。理屈抜きに存在自体が気になって仕方ない。他の誰にも絶対渡したくない。気兼ねも警戒もする必要のない、過ごし易い人間…それがベジータのブルマへの評価だ。
決してブルマの下品なところが気に入っているわけではない。
ふと、彼女がじっと見つめていることに漸く気付き、少し動揺しながら問いかける。
「何だ?」

眉間に皺を寄せ、彼女を見つめるベジータを見消す。
半年の生活でそれが何かを深く考え込んでいる時の癖だと分った。
彼女はベジータのことが気に入っていた。地球人が侵略者であるサイヤ人に好意を抱くなんてありえないが、そんな事知ったことでないと開き直っている。
ベジータは昔から聞いていたサイヤ人と大きく異なっていた。
彼らは自分達以外の種族を全て物として扱うと聞いていた。その王子なら選民思想が根付いているだろう。だがベジータの言動はブルマを一人の人間として認めているものだ。
だから彼女の事を悪く思っていないのは確かだ。そうでなければ、身の安全の保証だけでなく、サイヤ人の富裕層並の待遇を与えない。
愛か恋かと聞かれても、そんな漠然とした不確かなものはわからない。ただ、彼の事を気に言ってるのは確かな事実だった
彼女自身でも気付かないうちに見つめていたのか、ベジータが訝しげな顔を向ける。
「何だ?」
その声で彼女が我に返る。
彼の顔を見ていると、今まで封じ込めていた疑問が湧き上がり、どうしても尋ねたくなった。
「ねぇ、ベジータ。 あんた、あたしを抱かないの?」
「き、貴様!!そんな下品な事を…!!」
ブルマが思い切って疑問をぶつけると、ベジータが絶句して顔を赤らめ、怒鳴る。
「だってサイヤ人って美人の異星人は浚って制度例にするんでしょう?」
待った悪びれていない様子でブルマが更に言葉を続ける。
「だから連れてこられたときは覚悟してたんだけど、アンタ何もしてこないじゃない」
父ブリーフ博士の元からここに連れてこられた当初は、慰み者になる事を覚悟した。
悲嘆に暮れるよりも自分達をこんな目に遭わせたサイヤ人の親玉をぶん殴らないと気がすまなかったので、この部屋に連れ込まれた時に渾身の力で殴った。しかし頑強なサイヤ人には一切効かず、手を傷めるだけだった。
殺されると恐怖に襲われたが、慰み者になるくらいなら殺された方がマシだと、ベジータを睨みつけた。
しかしブルマの予想を大きく裏切り、ベジータは彼女を殺さなければ、手を出さなかった。
同じベッドで寝るときも、抱き枕のようにただ抱きしめるだけだった。
その度に彼女は緊張で眠る事もできなかった。
―まるで人のぬくもりを欲しているみたいね
半紙の端々から察するに、両親とはあまり触れ合ったことがないようだ。
育ての親という叔父も世話が必要な時期を過ぎてからは、主と臣下という距離をとり、”教育者”として次期国王に相応しい者に育てたようだ。
世継ぎの王子という立場上、誰も彼に気安く触れる者はいない。
自覚していないだけで、本当は人の温もりに飢えているのだろう。だがそんな姿をサイヤ人に見られるわけには行かないから、異星人であるブルマに温もりを求めている。
ふとそんな考えが浮かんだ。

「一つ聞く。…貴様、男と寝たことあるか?」
ベジータが瞳に嫉妬を宿し、何処か剣呑な表情で問いかける。
「え?ないけど…」
少し頬を染め、ベジータから目を逸らす。
彼女は十歳の頃からサイヤ人に見つからぬように隔離されていたので、父親以外の異性と接する機会はなかった。
「そういうあんたこそどうなのよ? 宇宙の支配者であるサイヤ人の王子なんでしょう?」
女を抱いていて当然。そう考えると、とてもおもしろくない。
―でも十分有り得る話よね。何たって王族なんだし
ネットで調べた現王の情報ではハーレム専門の星が幾つも存在しているらしい。
但し王家では基本的に近親婚が当たり前で、家族内の異性以外を伴侶にしてはならないという不文律まである。
それが破られたのはの南北王朝の統合と、現王が祭司の一族から伴侶を迎えたという二回だけ。
長い年月も親子兄弟間のみで婚姻を繰り返すなど、地球人では不可能なことをサイヤ人の王族は続けてきた。
それまで血統と純血にこだわっていた王家が、現王の代になってから急激に方向を転換して同族のみを集めたハーレムを作るといった数々の慣例を無視したことをやっている。
それらの理由からサイヤ人社会から凄まじい批難を浴びている。
何故凄まじい批判に晒され、立場を危ぶむことをしてまで血を拡散し薄めようとしているのかはわからない。
ブルマの言葉にベジータが吐き捨てるように口を開く。
「女など、媚を売って侍ろうとする奴らばかりだ。 腹の中じゃ何考えているか分らん」
答えながら彼の心に過ったのは父王のこと。
彼が女に対して嫌悪感を抱ている理由は様々あるが、その中でも一番大きいのは彼の父王だ。
数多の女達を侍らせ、長年に渡って築き上げられた血を薄めるなど、気が狂っているとしか思えない行動を繰り返す姿。
本来なら嫌悪など生易しい感情で済まされないが、政治的手腕と戦闘能力はサイヤ人の王に相応しい。だからその点では尊敬していた。
だからこそ父を堕落させ、母を苦しめる女達への嫌悪が、性に対する潔癖すぎる性格になったのだろう。
ブルマがぐいっと身を乗り出し、ベジータに顔を近づける。
「じゃあ、あたしはどう思ってるの?」
「お前はブルマだろ」
”ブルマ”だから他の女に持つような嫌悪を抱くこともなく、接していられる。
今までずれていた歯車がピタリとはまったような、そんな感覚がした。
ベジータの答えにブルマが落胆と憤りを覚える。
―あたしのことを女とすら見ていないのか、こいつは?
彼女の思いを他所に、ベジータが母星ではみせることのない寛いだ表情を浮かべていた
「お前だからこうして過ごせるんだ」





言い訳
育つ環境によって性格や考え方も大きく変わってくるのです。


2011/3/11 小説へ移行
スポンサーサイト


総もくじ 3kaku_s_L.png ドラゴンボール
総もくじ 3kaku_s_L.png 火星物語
総もくじ 3kaku_s_L.png 聖剣伝説
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ
総もくじ  3kaku_s_L.png ドラゴンボール
総もくじ  3kaku_s_L.png 火星物語
総もくじ  3kaku_s_L.png 聖剣伝説
もくじ  3kaku_s_L.png その他
もくじ  3kaku_s_L.png 未完
もくじ  3kaku_s_L.png 考察もどき
もくじ  3kaku_s_L.png 短文
もくじ  3kaku_s_L.png 裏部屋
  • 【DB 小説 『サイヤ人にとって尻尾を…とは?』 パン・ブラ編】へ
  • 【DB IF 小説 『ある朝』 飯ビー】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【DB 小説 『サイヤ人にとって尻尾を…とは?』 パン・ブラ編】へ
  • 【DB IF 小説 『ある朝』 飯ビー】へ