未完

DB パラレル 未完 『螺旋』2―1

 ←聖剣伝説3 パラレル 未完 『砂漠の王国』プロローグ →DB パラレル 未完 『螺旋』2―2
彼が覚えているのは、全身を焼き尽くすほどの痛みだった。

眩しくて、少しでも光を遮りたくて体を動かそうとするが、自分の体ではないように動かしにくかった。


突然光が遮られて、影ができた。
瞼を辛うじて開けると、見たこともない無機質な天井と、彼の顔を覗き込んでいるクリリンの顔がそこにあった。
悟空の目が開いたのを見て、クリリンが涙目で目を輝かせる。
「悟空!!もう無事なんだな!?あんな大怪我を負っていたから、もう駄目かと思ってたけど、本当に助かってよかった!!」
「……クリリン…。一体何がどうなってんだ……?」
声を出す度に肺の辺りが痛かったが、それでも声を出し切る。
「悟飯さんが瀕死のお前を教会前で見つけたんだよ!! …幾らサイヤ人でももう駄目かと思ったけど、メディカルマシンのお陰で助かったんだ」
その言葉に違和感を覚える。
―オラ…教会なんかに行ったけ…?
回らない頭で記憶を掘り起こしていくも、意識を失う前の出来事が不明瞭で何が起きたのか殆ど思い出せなかった。
悟空が記憶を探っている間にもクリリンが
「あ、メディカルマシンってのは詳しい理屈はよくわからねぇんだけど、数年の大怪我も数日で治す程に治癒能力を限界以上に引き上げる機械らしいぜ。 昔カプセルコーポっていう機械専門の会社があったんだが、元々はそこの商品だったんだ。なんでもサイヤ人の技術を使ったものらしいんだが、量産される前に会社がなくなったから、数少ないメディカルマシンは数十億から数百億の値段で取引されているって話だ。
警邏隊にはそれがあったから、死に掛けていたお前でも助かったんだぜ」


「…オラ、どれくらい寝てたんだ?」
「三日間だ。傷は当日のうちに治ったんだが、それ以後は意識不明が続いていた。 血を多く失いすぎたために脳に重大な欠陥が残って、生涯植物人間だろうといわれていたけど、やっぱりサイヤ人は違うよな」


不明瞭だった記憶が色と形を帯びて、あの時に何が会ったのかを克明に思い出していく。
悟空が勢いよく上半身を起こし、クリリンの肩を強く握り締める。この時ばかりは先程まで彼を苦しめていた痛みも薄れていた。
「オラ、教会になんか行ってねぇ!!あの夜、チチの家に行ってたんだ!!」
「何だって!?悟空!それは本当なのか!?」
「あぁ、間違いねぇ」


クリリンが目を伏せて
「…………生き残ったのはチチだけだ。
チチの部屋は消し炭になるまで焼かれていたが、チチは自室隣にある風呂場の浴槽の中で発見されたよ」
チチの無事を聞いて、悟空が安堵の表情を浮かべる。
彼は気づかなかった。クリリンの拳が何時になく固く握り締められ、顔も強張っていた事に。
安心したところで彼女の今が気になる。
大体、自分が重体で意識不明だったというのに、この部屋には彼女の匂いが一切感じられないのはどういうことだ?あの事をまだ怒っているのだったら、今すぐに謝りたいのと、彼女の薄情さを詰ってやりたい気持ちになる。
「チチは何処にいるんだ?」
「…302号室にいる」
「そっか」


「…これは関係者しか知らないことだが、現場には強力な力を持つ者同士が争った痕跡があったんだ。
しかも至る所に人造人間の部品が散らばっていた」
そのことは政府から戒厳令を敷かれている為、総督と隊長、そして最初に現場に行った者しか知られていない。
人造人間が関わっている事はマスコミや一般には知らされておらず、サイヤ人のみの仕業とされている。
クリリンの言葉に悟空が眉を顰める。
「人造人間? あの人造人間か?」
人造人間とは、昔、サイヤ人狩りが始まる前に作られた存在だ。人間を遥かに凌駕する力を持つサイヤ人に対抗するために、特殊な検査に合格した人間のみを改造し、対サイヤ人用の兵器にしていた。
初期の頃が最も強く、量産化のため検査を廃止し、コストのかからないように作られるようになってからは初期の10分の1程度の力しかなくなったという。
サイヤ人にとって人造人間は不倶戴天の怨敵であり、人造人間にとってもサイヤ人は滅ぼすべき存在だ。
そんな敵同士の連中が手を結ぶなど、絶対にありえない筈だった。



悟空が部屋を出て行った後、クリリンが拳を壁に叩きつけて、悔しげに歯軋りをする。
「畜生っ!!何であんな事に…!!」
犠牲者達やこれからの彼らの行く末を考えれば、犯人に憤り以上の殺意と憎悪を覚える。
クリリンが湧き起こる怒りを抑えていると、ノック音の後にウーロンが入ってくる。クリリンの様子に気づかないのか、彼に近づきながら
「ついさっき悟空が走っていったけど…あいつもう動いていいのか?」
「…体自体は当日のうちに治ってたんだ。だから問題はないだろう」


ウーロンが気遣わしげにクリリンを見て
「お前さ…本当の事を言わなくてもよかったのかよ?どーせ隠しててもいつか気づくことじゃねぇのか?」
「馬鹿野郎!!本当のことなんか言えるかっ!!」
クリリンがウーロンの胸倉を掴み、物凄い剣幕で怒鳴りつける。


「それにしてもサイヤ人ってのはスゲェよな。胸が貫かれて片肺が完全に潰されてたんだから、人間だったら発見される前にとっくにくたばってるぜ! 何つーか…化け物みたいな生命力だよな」
「…止めろよ、そんな言い方。
地球人だろうがサイヤ人だろうが悟空は…カカロットはカカロットなんだぞ。だから”化け物”なんて呼ぶのは止めろ」
しかしウーロンのような考え方の持ち主が多いのは事実だ。サイヤ人や混血を化け物として恐れ、蔑む人間はこの星の人類の過半数を占めている。
元々この星は彼らの星で、地球人達は別の星から流されてきたというのに、世話になっておきながら恩を仇で返し、生き残った者達やその眷族を徹底的に差別するなど。
「…やっぱりおかしいぜ、そんなの」
クリリンの発した言葉は小さく、側にいたウーロンにさえも聞こえなかった。

スポンサーサイト


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ
総もくじ  3kaku_s_L.png ドラゴンボール
総もくじ  3kaku_s_L.png 火星物語
総もくじ  3kaku_s_L.png 聖剣伝説
もくじ  3kaku_s_L.png その他
もくじ  3kaku_s_L.png 未完
もくじ  3kaku_s_L.png 考察もどき
もくじ  3kaku_s_L.png 短文
もくじ  3kaku_s_L.png 裏部屋
  • 【聖剣伝説3 パラレル 未完 『砂漠の王国』プロローグ】へ
  • 【DB パラレル 未完 『螺旋』2―2】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【聖剣伝説3 パラレル 未完 『砂漠の王国』プロローグ】へ
  • 【DB パラレル 未完 『螺旋』2―2】へ