「ドラゴンボール」
DB パラレル

DB パラレル 小説 『螺旋』 VBスピンオフ 『信頼』1

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副題 『信頼』1














注意
オリキャラが出てきます。













ベジータが一通り体を動かし、傷の具合を確かめる。痛みはあるものの、動かせない程ではなかった。
パルスにより弱体化させられた力が蘇るのは、パルスを浴びてから三ヶ月。戻る際には、前兆もなく一瞬で戻るのだという。
―あれから三ヶ月近く経っているから、そろそろ力が戻るだろう。
瀕死の状態でかくまわれてから今に至るまで、この家の一人娘はうっとうしい程、彼に部屋に入り浸っていた。
名を呼ぶのを止めろと言っても、一向に聞かずに彼の名を呼び続ける。
女が名を呼び、笑顔を見せるたび、まるで心に直接毒を盛られているかのような感覚を覚える。
居間は本来の力とは比較にならないほど弱いが、それでもあの女より強いのは確かだ。本当に嫌ならば、無理矢理にでもいう事を利かせられるはずだ。
それをしないのはまだパルスの影響が抜けきっていないのもあるが、例え実力行使に出ても女が絶対言う事を聞かないからだ。
女の強情さと気丈さは、閉口しながらも内心では気に入っている。もし彼女がサイヤ人ならば最高の友になるだろう。
だからこそ早く出て行きたい。あの女の側にいたくない。このままでは自分が自分でなくなりそうで恐ろしい。
―俺は誇り高いサイヤ人の王子だ。そして奴らは卑劣な手段で俺達を滅ぼそうとする、下等生物だ。完治した暁には、地球人共を皆殺しにする。 …例外なく、だ。
そう何度も言い聞かせるも、その度にブルマや博士、夫人の顔が浮かび、彼の決意を揺るがしていく。

彼が”毒”と称するものは、叔父を亡くしてから初めて得た人の温もり。

今にも崩れそうな廃屋。
夜遅い時間だというのに明かりも碌につけていない、その中には柄の悪い屈強な男達が幾人もいた。
どの男達の瞳も淀み、知性の欠片すら感じられない。だがただ一人、中央に座る額に大きな傷のある、色黒の肌を持つリーダー格の男ゼッドには冷酷ながらも他の男達とは異なり目は淀んでおらず、知性が宿っていた。
男達が囲いを作るようにゼッドを中心に思い思いの格好で座り込んでいる中、ゼッドがドスの利いた顔で、この場で唯一貧弱で気弱そうな男に問う。
「おい、本当だろうな?カプセル・コーポの邸宅にサイヤ人が要るってのは?」
「へ、へい!!連中が発している特殊なエネルギーを探知しました!! あの分だと、パルスを受けて弱っているサイヤ人に間違いありません!!」
おどおどとした様子で答える男の瞳を鋭く見据えたゼッドが、一瞬思案する顔になる。
「うむ…。ならば俺達でも比較的楽に捕らえられるかもしれん。 但し相手はサイヤ人だ。弱っていようとも油断するな」
全員が肯定の声を上げる。
「大企業の邸宅ともなればセキュリティはかなり厳重だが、それはもう手筈は整っているんだろうな?」
男達が互いに顔を見合わせる。それだけでゼッドには答えがわかった。
「…いえ、それはまだ……。何分、データが集められないので…」
苦虫を潰したような顔になるゼッドに恐れをなした一人が、言い訳がましく続ける。
ゼッドが露骨に顔を顰めて舌打ちする。
「ホゥ…。それでは貴様らは俺に報告するまでの間、何をしていた? ただ遊ぶだけの無能か、貴様らは!?」
苛立ち混じりの声音で詰問すると、男達が皆一様に顔を伏せる。
賞金稼ぎでもある彼のチームの面子は腕は確かだが、頭脳労働者がいなかった。いたことにはいたのだが、やっかんだ馬鹿共に追い出されていた。
馬鹿共を見せしめも兼ねて殺し、今までは自分がその代役を行っていたが、やはり一人では補えない部分も出てくる。
特にパルスで弱ったサイヤ人を捕らえるとうのは、連中が力を取り戻すまでの間が勝負だ。なのにこれほどまでに時間を浪費させる部下の無能が許せなかった。
捕らえようとしているサイヤ人がいつパルスを浴びたのか分からなければ尚更厄介だ。
パルスの効果が切れれば連中の力は前触れもなく一瞬で蘇る。もし捕らえようとしている間に力を取り戻されれば、こちらが油断している分、被害がでかくなる。
三ヶ月以内に起きたサイヤ人の都市への襲撃情報を頭の中で幾つか列挙させる。
その中でも特に三ヶ月近く前に行われたサイヤ人狩りで王都が滅びた際に、結構な数のサイヤ人が逃げ延びたと言う噂を聞いた。
捕らえようとするサイヤ人が、もしその時逃げ延びた奴だとすれば、一刻を争う。

―…これもいい機会だ。こいつらを始末してから、一から作り直した方が早い。 サイヤ人を捕らえた金で新しく人を雇うか。
次はミスをしないように、しっかりと見定めなければ。
ゼッドが手を二回叩き、連中の顔を上げさせた後に、彼らを見渡す。
「もういい、貴様らに任せていては時間の無駄だ。 カプセル・コーポ邸の情報は俺が手に入れる」
力強く宣言すると、重々しく立ち上がり、部下達を睥睨する。
「準備が整い次第、カプセル・コーポ邸に潜入し、サイヤ人を捕らえる。 政府からは当分遊んで暮らせるほどの報酬がたんまりともらえるぜ」
色めき、沸き立つ男達をゼッドが冷めた目で観る。
―愚かな連中だぜ。

ベジータが寝ている時に、ブルマが音を立てないように慎重に扉を開けて、気配を殺して足音を立てないように抜き足差し足でベッド近くまでゆっくりと歩を進める。
いつも彼女が見ている顔は険しさの滲み出ている顔だ。出会った当初より幾分かましになっているが、穏やかな顔はみたことがない。
こうして眠っている間だけはベジータの穏やかな顔が見られるので、この時間はブルマにとっても貴重な時間だ。
ベジータは呆れを通り越して感心したくなるほど規則正しい生活をしているため、彼の寝込みに近づくことは容易い。後は起こさない距離を見誤らなければいい話だ。
いつもは落ち着き払っているので年上に見えるが、寝顔だけを見ているととても同い年には見えなかった。
―中々可愛い寝顔をしているもんね。
気持ちよさそうに眠る顔を見ていると触りたくなるが、そんなことをすればこの貴重な時間が消えてしまう。もどかしさを抑えつつも、寝顔を見つめる。
この顔を見ていると、彼がどんな夢を見ているのかが気になる。
…恐らく自分達地球人が奪った、幸せな夢を見ているのだろう…。
ブルマが物思いに耽ている中、彼が微笑む。
初めて見るベジータの幸せそうな顔に、ブルマの脈拍が上昇して顔に血が集まる。
ベジータに聞こえるのではないかと危惧するほど、煩い音を立てる心臓を必死に押さえようとするが、激しく脈打つ心臓は収まる事を知らなかった。
このまま部屋にいられなくて、兎に角慌てて部屋から出て行き、廊下を走り自分の部屋に駆け込んだ。
部屋に入るなり、扉を勢いよく閉めた途端、全身から力が抜けて扉に深く凭れ掛かる。
何度も深呼吸をして、呼吸を落ち着かせた後、彼女の脳裏に先程見たベジータの微笑みが蘇る。
瞬く間に鼓動が激しくなり、誰もいないと分かっていながら赤くなった顔を隠したくて、両手で顔を覆い隠す。
自分がこれほどまでにあの少年のことが好きだったとは思いもしなかった。
それに気づかせてくれたのは、あの寝顔だ。
そこまで考えたとき、彼女の頭の中に氷を詰め込まれたような錯覚を覚え、先程まで全身を包み込み、抑えなければ外に暴れ出してしまうと思っていたほどの興奮が急速に収まっていく。
彼がどんな夢を見て、あの顔を見せたのかは分からないが、それでも幸せな夢だったのだろう……。彼にその記憶を与えた者にまで理不尽な嫉妬を覚えてしまう。

居間は無性に、あの形のいい頭を割ってでも、あの瞬間に彼が見ていた夢の内容が知りたかった。

ベジータが目を覚ました時に、この最近頭を悩まし続ける少女の残り香を嗅いで、眉を潜める。
先程彼女が立てた慌しい音に、目が覚めてしまった。
―あいつは静かにする事も知らんのか?
ベジータの目には、ブルマは生活リズムも不規則な自己管理の出来ていない駄目人間としか見えなかった。
呆れを色濃く宿した嘆息を漏らした後に、再び横になる。
夢の続きを無性に見たかった。
目を閉じて、眠気が訪れるのを待つが、一向に睡魔は彼の元に訪れない。
暫くすると眠りにつく事を諦めて、先程の夢に思考を巡らせるが、そこでどんな夢を見ていたかを思い出せない事に気づく。
彼の叔父や母の夢ではない事は確かだ。誰かと一緒にいた事は覚えているのだが、その誰かがどうしても思い出せなかった。
漠然としたイメージでは、自分はその人間の事を誰よりも大切に思っていたような…?
そこまで考えて鼻で笑う。
叔父以上に大切な人間はいないと即座に否定するも、先程の夢の内容が無性に知りたかった。

幸せな夢から現実に目覚めさせたブルマへの怒りが全くない事を、彼は気付いていない。



言い訳

まだまだブルベジ優勢ですが…『信頼』の間にベジブルになるように頑張ります。

2011/5/4 小説へ移行
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