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DB 小説 『サイヤ人にとって尻尾を…とは?』 ラディッツ編

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舞台
ラディッツ襲来時

注意
オリジナル設定があります。
















悟空が起死回生とばかりに渾身の力を込めてラディッツの尻尾をつかみ、どうだとばかりに顔を見上げた。
しかしその反応は悟空の予想とはどれも異なるものだった。
力が抜けて崩れ落ちるわけでもなく、そのままの体勢で固まり、目を大きく見開いた状態で悟空を凝視していたのだから。
―あれ? こいつ尻尾を握られても平気なのか……?
だとしたら非常にまずい。
尻尾さえ握れば後はどうとでもなると楽観的に考えていた悟空に危機感が襲った。
何がショックなのか、全身を青褪めたまm悟空を凝視していたラディッツの止まっていた時が、ゆっくりと動き出してゆく。
それに従い血の気を失っていた肌が赤銅色に染まり、人相の悪い顔立ちにも更に険しさが増した。
唖然とラディッツを見上げている悟空を余所に、反撃に備えるためにピッコロが身構えたまま様子を窺っていると……。
ラディッツが突如この世のものとは思えぬ悲鳴を上げ、驚きのあまり手を放した悟空と、突然の事に攻撃すら忘れたピッコロを完全無視して、地面に突っ伏して泣き叫び始めた。
「イッヤァアアァァーーー!!!!!! 弟に”初”をとられたぁーーーーー!!!!」
現実に起きた事を拒絶するように、必死に頭を振るって忌まわしい出来事を消し去ろうとする。
しかしその屈辱の記憶は消えるはずもなく、更にラディッツを嘆き悲しみの坩堝に沈めこんだ。
「ひでぇ……。こんなのってあんまりだ……。 今まで異星人どもから必死に守り抜いていたのに、よりにもよって何で……」
嗚咽交じりに切実な思いを零した。
フリーザ軍にいる間、サイヤ人の尻尾というもの珍しさに興味本位から触れようとする者もいた。
不幸中の幸いだったのはラディッツの尻尾は父親譲りの毛並みの悪さだったことだ。それによりさほど興味をもたれなかった。それよりもベジータのこの世のものとは思えぬ素晴らしき寵最高級の尻尾が”セクハラ”に遭いやすかったのだ。
けれど中には物好きもおり、執拗にラディッツの尻尾を付け狙う者もいるにはいたのだ。
そんな不届きな連中から、ラディッツは命懸けで尻尾を必死に守り続けてきた。
女とこの有為の最中とてナッパは尻尾を愛撫に好んで使っていたが、ラディッツはしっかりと尻尾を腰に巻き、これでもかというほど守りに守り抜いてきた。
守りを優先しすぎて鍛えていなかったので、悟空の力一杯掴まれた時には絶っていられないほどの脱力感が全身を襲った。だが、それよりも”カカロットに尻尾を掴まれた”という衝撃があまりにも強すぎて、彼が倒れるのを防いだ。
カカロット。異母弟で、ラディッツの初恋で永遠の理想である継母を殺して生まれてきた弟。そして彼らの家庭を崩壊させた張本人。
それ故にラディッツにとって、カカロットはこの世で一番憎んでいる存在だった。
弟への怨恨と憎悪に比べればサイヤ人だから弱虫だからと執拗なまでに嫌がらせしてくる異星人共の嫌悪など、まだ許せる範囲に収まってしまうほどだった。
そんな存在に今まで必死に守ってきた”尻尾の純潔”を奪われた衝撃は計り知れない。
突如として泣き喚き出したラディッツに悟空達が困惑を露わに互いに見交わす中、ラディッツが啜り泣きながら天を仰いだ。
「うぅ……。 こんなことなら王子かナッパに掴まれた方がよかった……!!」
これはあくまでも例えであり、そんな場面があったわけではない。もしあったとしても一堂は激しく拒絶するだろうし、特に潔癖なベジータは「ありえん」と一蹴する。
それでも同じサイヤ人の付き合いの長く身分の高い二人なら、恐れ多く尻尾の純潔を奪われても悲しみはなかっただろう。
ようはカカロットに尻尾の貞操を踏みにじられるくらいならば、誰でもよかったのだ。

幼い子供のように大柄の体を震わせながら嗚咽交じりにすすり泣くラディッツに、悟空が恐る恐る声をかけた。
「……おめぇ、一体どうしたんだ?」
尻尾を握れば、嘗ての自分のように力が抜けて倒れると思ったが、いきなり泣き喚いて地面に突っ伏して鳴き続けるラディッツの姿は異様の一言しかない。
それまで困惑し呆然としていたピッコロが、悟空の言葉に我に返った。
「おい、孫!! 今のうちにこいつを倒すぞ!!」
「えー!! 今のこいつと戦っても面白くねぇよ」
「貴様ぁ!! そんな事を言っている場合か!!
こいつを殺さねば地球が滅ぼされて、俺様が世界征服できなくなるんだぞ!! それでもいいのかっ!?」
怒りのあまり緑とも赤とも言いがたい奇妙な体色に染まり、悟空を恫喝した。しかし悟空はあっけらかんと笑いながら
「でもオラ、戦うんだったらやっぱり楽しみながら戦いてぇよ。 今のこいつと戦ってもつまんねぇだろ。
せっかく強ぇ奴なんだから、とことんと楽しみながら戦いたいじゃねぇか!」
無神経極まりなく現状を弁えない、自分お楽しみだけを優先させる悟空の言葉と態度に、ピッコロの中で何かがぶちギレる音が響いた。

悟空にとっては突然怒り出したピッコロとの一戦を終え、双方ボロボロになりながらも二人とも生きていた。
先程まで激しい戦いがすぐ側で行われていたのも気づかないのか、泣き続けていたラディッツに悟空が心底呆れた面持ちで見下ろす。
「なんかよくわからねぇけど、尻尾握られたくらいでそこまで泣く事はねぇだろ。
オラなんか何度も尻尾を握られまくってんぞ」
その言葉がラディッツの耳に入った瞬間、それまで泣いていたラディッツの動きが止まった。
ギシギシと軋みながらぎこちなく振り返り、悟空の顔を見上げた。
「……今、なんて?」
「だからオラなんか尻尾をよく握られて……」
悟空が最後まで言い終える前に、ラディッツが悟空の胸倉を掴み上げて、真っ直ぐ射抜いた。
「何だって?」
「いや、だから……」
しかしラディッツは悟空の言葉を聞いてはいなかった。
急に悟空の両肩を強く掴むと、肩を震わせて大粒の雫を地面に落とした。
「……可哀想に……」
「はぁ!?」
ついさっきまで敵意丸出しだった男の台詞とは思えぬ言葉に、悟空が素っ頓狂な声をあげ、ピッコロは唖然と口を開いたままラディッツを凝視した。
「…俺さ、お前のことが憎くて、憎くてたまらない……。そのことには変わりない。 変わりないけどなぁ……」
顔を上げて、泣き腫らした目で悟空を見つめた。
あまりの形相に悟空は額に汗を流して退こうとするも、力強く拘束されているので剃れも叶わなかった。
悟空の抵抗を全て封じ込んで、なおもラディッツの言葉は続いた。
「あの人の子供が、凛々しく誇り高いあの人の子供なのに……下等人種共に尻尾をいいようにされて、誇りも人格も踏みにじられたと考えるだけで……悲しすぎる……」
ううっと大の男、敵に目の前で泣きつかれてどう反応すればいいのか却って困ってしまう。
しまいには悟空の両手を掴んだまま膝を突き、嗚咽を漏らし始めたのだから。
何故尻尾を握られただけでここまで大げさな反応をするのかよく分からないまま、とりあえず慰めの言葉をかけようとしたが……。

「って、やっぱり許せるかぁ!! ボケェ!!」
勢いよく立ち上がるなり悟空の顎に強烈なアッパーを浴びせて、倒れ付した悟空の身体を何度も踏みつけた。
「てめぇ、記憶を失っていてもサイヤ人だろう!! なのに何で尻尾を守らないんだ!あぁ!?
しかも好き勝手いいようにされたら幾ら屈強な奴でも自害するぞ!! 死んで、先祖達に謝罪するだろ!!
こんな度を越した恥知らずの愚か者など、あの人の子供でもなければ俺の弟でもねぇよ!!」
思いつく限りの罵声を浴びせながら、倒れ伏している弟に怒りと憎しみと涙の限りを尽くして暴行を繰り返す。

それは感情が爆発して宇宙ポッドから飛び出した悟飯に、ラディッツが打ちのめされるまで続いた。


2012/3/25 小説へ移行
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