「火星物語」
火星物語 お題

火星物語 小説 『お題5―1』

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『ランディ登場』1


注意
風使いは血筋という前提です。









風使い。
それは遥か昔に滅び、今の世に存在していない幻の一族。

ハーネスが風使いの資料を手に入れた。
それを耳にした時はただのデマだと思ったものの、万が一のこともある。
念には念を入れて調べる。その程度だった。
所詮、それが本物であるはずがない。何故なら風使いは数百年前に滅びた存在なのだから。
あの”風使い”の情報を求めての作戦となれば、もっと大規模になるところだが、今回は少人数で行うことにした。
罠の可能性が高いものに、多人数で飛び込むことは出来ないし、失敗した分大きな痛手になる。
第一、今は忙しいので確認作業に人を多く使えない。
エマークを行かせたのは、少人数でも確実に生き残り、尚且つ作戦を遂行できるという確信があったからだ。
先程の報告では、何の問題もなくバスジャックに成功し、資料を確認している段階だった。
風使いが滅びて久しい今の世では、風使いに纏わる様々な伝説が入り乱れて、情報の真偽を確かめることは非常に困難になっている。
だが、この任務の前にエマークには風使いに関する知識を徹底して覚えさせた。
正しい知識さえ持っていれば、間違った情報に流されることもない。
だから、後はハーネスの得ようとした風使いのレポートが本物か否かの報告を待つだけだった。

『あの資料は偽物でしたが、それよりも大きな収穫がありました!!』
偽物の時点で作戦は失敗に終わっているというのに、エマークの声は昂ぶっていた。
直情型の部下でも、此処まで分かりやすいほど感情を露わにするのは珍しいと思いながらも、次の言葉を待つ。
『風使いです!! 風使いが、まだいたんです!!』
―風使いが本当にいただと?
ランディの中に渦巻いた感情は、捜し求め手に入らぬと諦めていたものを見つけた歓喜か、それとも……。
共に報告を聞いていたシェイルが驚きのあまり、目を見張る。
「風使いがまだ存在していたの!?」
驚きのも無理はない。
風使いは400年前にアショカによって滅ぼされて以来、今まで確認されてはいなかった。
常人とは比べ物にならぬ身体能力と、多大な魔力を宿す。唯一”風”を操ることが出来る民族。
その血を巡って太古から暗黒の歴史が続いている。
持ちすぎた力ゆえに有史以前から迫害を受け続けていたが、600年前のアロマ建国と同時に世界各地に散らばっていた風の民の殆どは彼の地に移住した。
迫害から逃れるために一箇所に集まらなかった風の民がアロマに終結したのは、建国王が風使い故に。
迫害されない国は、当時の風の民にとって天国か楽園だったのだろう。
移住した風の民達は、風の谷と呼ばれる場所で平穏に暮らしていたが、アショカとの戦いにより絶滅した。
アショカからすれば、人間を遥かに凌駕した力と魔力を持つ風使いたちが本格的には向かう前に根絶やしにしたかったのだろう。侵略戦争開始直後に風機や暗殺集団を送り込んで風使いや風の民を大量虐殺した。中には実験体としても解剖していたという。
強力な力を持っていながらも数の少なかった風の民は、国という大きな力に敵わずに皆殺しにされた。
戦争終末時に生き残っていた風使いはたった四人。
アロマの王女と風の忍者と謎の風使い。そしてアショカ将軍。
王女達三人でアショカを滅ぼしたものの、その後の足取りは不明だ。アショカ将軍と相打ちにしたという説が一番有力とされている。
本当のことは、もう誰にも分からない。
超特大地震と400年の間に頻発した戦争により、当時の資料の殆どが破棄され、失われた。
当時の事を伝えるのは僅かな資料と口伝のみであり、その信憑性も薄い。
しかし、これだけは言える。
風使いは最早この世に存在しない幻の一族であり、血を残す者がいても発現するほど濃い血は存在し得ないと…。
ランディの中にもカンガリアン王家の血が、アロマ王家を通じて得た風使いの血が流れている筈だが、それが発現した事は一度たりともなかった。
風を呼んだこともなければ、身体能力に優れているというわけでもない。
ただ人よりも魔力が多少優れているだけだ。それでも風使いの魔力には遠く及ばない。
それらを考えれば、エマークが見つけたという風使いは、素人判断でも見分けがつく程の特徴と力を有していたという事だ。
「……エマーク。それは本当か?」
『間違いありません!!優れた身体能力という風の民特有の特徴を持っていましたし、何よりも風を使いました』
―決定的だな…。
風の事を徹底的に教え込まれたエマークが言うのだから、何も知らない人間が言うよりは遥かに信憑性がある。
「……ならば、ハーネスや他の国々よりもその風使いを”保護”しなければなるまい……」
”保護”。
最早その風使いは、人として真っ当な生活を送ることは許されない。
今風使いが見つかったとなれば、その身体能力の秘密を遺伝子単位から調べ上げられ、サンプルは解剖されるだろう。若しくは生体兵器として作り変えられ、二度と人間には戻れない体にされる。
強力な力の代償は、一人の風使いの人生と、風使いを本当に滅亡させる事に他ならない。

乗員リストから割り出した風使いの身元は、アロマ出身のA710という少年だ。年齢から考えるに命名の儀を受けにカンガリアンに来たのだろう。
  ――外に出ようとせずに、ずっと閉じこもっていればよかったものを――
風使いの少年と共にカンガリアンに行ったという、鳥族の少年も必要とあらば使える。
  ――今の世では、誰にもその身に流れる血を知られることはなかったかもしれぬのに――
捕らえるにしても、強硬な手段をとれば、覚醒を促す。
  ――そうすればその血ゆえに闇社会に引きずり込まれることもなく、普通の人間としての一生を終えることが出来ただろうに――
少年を手に入れ、操るのならば、覚醒していない段階が望ましい。
  ――だが、その血の事は知られてしまったのだ――
下手に動けば他の組織に風使いの存在が勘付かれる。風使いがハーネスや他の組織の手に落ちるのだけは、何としても防がなければならない。
  ――もう、引き返すことは出来ない。 ……君は、最後の風使いになる――
風使いを手に入れるのは、我々ブラパン党だ。
「……最後の風使いか……。是非とも会ってみたいものだな……」
その消えるような呟きを聞いたものは、誰もいない。

2011/7/2 小説へ移行
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