「ドラゴンボール」
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DB 小説 『サイヤ人にとって尻尾を…とは?』 悟天・トランクス

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注意
少し下品な表現があります。
悟天→→トランクスです。
トランクス→ベジータ要素もあります。














舞台
トランクスと悟天が十代後半の時















悟天が退屈そうにトランクスとの待合場所に指定したお洒落なオープンカフェでちびちびとコーヒーを飲んでいた。
彼の考えではこんな所は恋人同士がデートに来るような場所だから、そんな所を待ち合わせ場所に指定したトランクスに何か思惑があるのではないかと勘繰ってしまう。
トランクスは好きだ。だがそれはあくまでも幼馴染み、親友としての好きであって、男同士で付き合うとか…そういう嗜好は一切ない!自分は可愛い女の子が好きなノーマルな思考の持ち主だと断言できる。
そもそもトランクスは極度のファザコンだから、その系統の心配はしなくてもいい。それよりもクラスメイトのカマーに狙われて俺の貞操が―とっくの昔に童貞ではなくなってるけど、尻の穴に突っ込まれるような真似だけは死んでもされたくないからね――危ないから、まずそちらをどうするかの対策を立てなくては。
一杯のコーヒーをゆっくりと時間をかけながら少しずつ飲んでいくが、とうとうコーヒーが底をついてしまった。
もう一杯頼もうかと思ったが、常日頃デート三昧でサタンからのお小遣いも殆ど使い果たしているため、今の残金は40、これではチ○ルチョコを買うしかない。そもそもトランクスに奢ってもらう事を前提にしているのであまりお金を持たなくても良かったのだが、予定時間を大幅に過ぎているというのにトランクスは一向に来る気配がない。
―何をしているんだろう?いつもは鬱陶しい程時間に正確なのに。
幼い頃から慣れ親しんだ気を探るが、その場所に思わず溜息が漏れる。トランクスはまだ学校に居た。
「休日なのに忙しい事だね、本当に」
皮肉たっぷりに吐き捨てるように呟くが、それは雑踏の賑わいの中に消えた。
こんな事ならローズちゃんとのデートに出ていればよかったと思うものの、金銭上の問題と、トランクスに誘われたためにその案は一番最初に却下されていた。
トランクスは普段は好青年だが、キレると怖い。ベジータかブルマか、或いは祖先の誰かの遺伝子を引き継いだのかは定かではない。けれど本当にブチギレた姿など、見たくもない。戦いの場ではあれが発現しないのが本当に不思議だ。敵に恐怖を与えるのに十分の効果を持つというのに…。その事は悟天の中でトランクス七不思議の一つに数えられている。
ドMならS気質(ベジータ関連ではMになるらしい)トランクスと付き合いやすいだろうが、悟天もS気質を持っている。時々トランクスを完全に屈服させ、服従させたくなる。ベジータの場合、威風堂々とした王者の風格や貫禄があって、生まれながらの支配者そのものだ。彼になら無条件で支配されたい。しかし何故かトランクスだと支配欲をそそられる。最もこんな事を言えば自分の身が危なくなるので絶対に言わないけれど。
―それにしても遅いなぁ…休日なのに学校で何やってんだろう?
トランクスも当分来る気配がない、お金もない。とすれば…やることはひとつ。
悟天が周囲を行き交う男女を観察する。洒落たカフェなだけあって、お洒落に気遣った男女が何組も来ていた。
彼らに自分が―男一人が延々と何の理由もなく居座っている姿―どう思われているか、敢えて考えないようにする。
頬杖をつきながら、行き交う女性達の顔や服装などを見て、頭の中で点数をつけていたりするが…それでも話す相手がいないというのは本当に退屈だ。張り合いがなさ過ぎるのだ。
大体にしてこういうものは批評しあう相手がいてこそ、楽しく盛り上がるものだ。一人でやったとしても盛り上がる事はなく、それどころか虚しく感じてしまう。今度やる時は大人数でやるべきだ。ナンパ仲間でも誘ってやってみるか。
そう、この手の話ならば、他の誰でも盛り上がる事は出来る。
しかし、”血”に関係する話となれば、話せるのはこの世でただ二人…兄と親友だけだ。
純血と混血では怪力、大食など、大まかなところが同じなため、皆同じ”サイヤ人”というカテゴリーに入れがちだが、それは誤解だ。戦いを至上の喜びとする精神構造は勿論のこと、体の組成一つとっても細かな所でも様々な違いがあり、混血ゆえにサイヤ人と地球人にはない性質まである
それでもサイヤ人の特性…遺伝子は地球人と比べれば超優性なのか、混血、クォーターでは尻尾を初めとした、サイヤ人の特性が多く受け継がれているため、純血でも血や体の事について話せるものの、共感し合えるのはやはり混血のみだ。
サイヤ人とその眷属の共通点についてベジータと語ろうものなら、トランクスと戦わなきゃならない。悟空に至っては端から当てにしていない。あんなのに答えを期待しろというのか?
そもそも父親とは名ばかりのマダオに何を相談しろというのだ。まだ兄の方が”父親”らしい。
その次はピッコロさんで、次がベジータさん、そしてクリリンさんか。
自分の中で思い当たる”父親に相応しい人物”を順に並べると、何故か涙が溢れてくる。
触覚つきの緑の肌とか、トランクスと兄弟だとか、クリリンと同じ身長だとか…その他の想像が浮かび上がるが、どれも遠慮したい。特に最初のと最後のは。
そもそもピッコロは性別がないし、俺達が勝手に男だと思い込んでいるだけで本当は女にもなれるんだろうけど、それでも実の父親としては…あれ、ピッコロさんってお母さんにもなれるんだよね? ピッコロさんが兄ちゃんに執着するのはその手の理由もあるのかな?……あまり想像したくないけどね。
ベジータさんは…ブルマさんを裏切るなんてまずありえないし、というかベジータさんって散々言い寄られて言うってゴシップにあるけれど、でもブルマさん以外の女の人は眼中にないんだよね。俺もトランクスと兄弟になりたいと思っていたけれど、そういう形の兄弟は嫌だ。血が繋がっていないからこそ、より深く繋がれるんだから。あ、俺の名誉のために言うけど、決してBLとかそっち系じゃないよ。
クリリンさんは……………………
完璧に脇にそれた思考を元に戻す。
そもそも混血は彼と兄と親友と未来の魔女の四人しかいない。
そうなれば互いに必要な存在になってくるのは、当たり前だ。(未来の魔女は激しく遠慮するけどね)
趣味の話―悟天の本当の趣味をトランクスは知らない―だけでなく、彼らの中に流れる特殊な血に纏わる話まで出来るのは、この世でもあの世でもトランクス唯一人だ。
自分には様々な意味でトランクスが必要だとつくづく感じていると、よく見知った…肉親以外で最も自分に馴染んでいる気配を感じた。
あまりにも長く待たされた事に対する怒りよりも、トランクスに抱きつきたいという衝動がこみ上げるが、それを黙殺する。
そんな事をすればトランクスに殺される。いや、殺されはしないだろうけれど、喧嘩になって俺が負けて、おごりもなくなるので我慢する。けれどトランクスが走らずに歩いている事を感じ取り苛立つ。
俺がどれだけ待ったと思っているんだ?仕返しにその小奇麗な顔をぶん殴ってやりたい。…我慢するけど。
トランクスが漸く視界には言った時には悟天は拗ねて頬を膨らませ、唇を尖らせていた。
「おい、悟天」
「トランクス君!!遅かったじゃないか!!一体俺をどんだけ待たせるつもりなのさ!?というかこんな所で一人待つ俺の気持ちってちゃんと考えてんの!?」
「仕方ないだろ!今日は色々と忙しかったんだから…」
恥ずかしい程、大声で喚く悟天の元にブツブツ文句を言いながら向かう。
トランクスからしたら、忙しい中来てやっているのに悟天にここまで怒られる筋合いはない。遅刻したのはとても悪いと思っているが、そんなのは自分も同じだ。いや、余計質が悪い。悟天はいつも待ち合わせるたびに遅刻してきて、しかも悪びれずに笑ってごめんね、トランクス君。遅くなってさと謝るたびに、どんな気持ちでいるか……。悟天はそうした人の気持ちを読み取る能力が著しくかけているとその度に思う。
それでも悟天に対してさほど怒る気がしないのは、やはり混血という、この世で数人しか居ない同胞意識によるものだろう。他人がそんな事を一度でもやったら絶対に許しはしない。
ベジータだって、何だかんだと悟空に執着している。
トランクスにとっては、面白くもなんともない、それどころか腹立たしいくらいだ。
そうこう考えている間に、悟天が目敏く、いつもと違うものを見つけた。
悟天がトランクスの腰に巻かれた毛皮のベルトらしきものを見て怪訝そうにそれを見つめる。
「ねぇ、トランクス君。それ、何?」
「…俺の尻尾だけど…」
「ふーん」
何を言われるかと覚悟を決めたトランクスの心中とは裏腹に、悟天はその答えにはさほど興味を持たずに、受け流すだけだった。
あまりにも淡白すぎるその態度に、トランクスが拍子抜けする。
「…お前、驚かないのか?」
この尻尾が生えてきた時、身内はともかく、他人は酷く驚いていたものだ。
まぁ、そういう民族の血が流れていると話したものの今度はどんな民族かという質問攻めに遭った。全く忌々しい。
切ろうにも、感覚があるので切りにくい。引っ張るなど、論外だ。妹に強く握られ引っ張られた時に走った激痛はトラウマものだ。
いつもはベジータに尻尾の処理を任せているのだが、今日に限って彼はブルマと一緒に北の支社に行っているため、このまま生やしておくしかなかった。
何より午後を開けるため午前は忙しく、北の支社まで行きベジータの事情を話して切り取ってもらう時間がなかったのだ。全く、何で北の支社ってあんなに遠いんだ?
腰に巻いていれば、毛皮のベルトにしか見えないのだから、十分誤魔化しが効いた為、それでよかったのだが…。
悟空や悟飯には尻尾が生えていないので、てっきり初めて尻尾を見るかと思っていたが、どうやらそうではないらしい。
「うん。兄ちゃんの尻尾もあるし、それに時々だけど俺も尻尾生えるからね」
大体、サイヤ人なんだから尻尾が生えるのは当然だよねと尻尾をうっとりと見つめながら続けた。
悟天がトランクスの腰にしっかりと巻きついた尻尾を観察すると、今まで見たことのない程つややかな毛並みだという事が分かった。その事に感心と、そして僅かな嫉妬を抱く。
「ヘェー!トランクス君の尻尾って、凄く毛並みがいいんだね!!」
見つめているだけでどんどん触りたくなる欲求に駆られてしまう程、悟天の目にはトランクスの尻尾はとても魅力的に見えた。兄の尻尾の時は艶のある綺麗な尻尾だというのはよく思うのだが、此処まで触りたいという欲求に駆られる事はなかったのだ。
悟天が期待に目を輝かせながら、上目遣いでトランクスを見つめる。
「ねぇ、トランクス君。尻尾触らせて?」
悟天のその表情から何か察したのか、トランクスは悟天から尻尾を隠して即答する。
「絶対嫌だ!」
トランクスが青褪め、尻尾の毛が逆立つも、悟天にはそれが見えていないのか唇を尖らせて不満に満ちた顔になる。
「えー!ちょっと尻尾を触るだけじゃないか。ねぇ、トランクス君~。僕と君との仲じゃないか、ね?」
「ぜーったいに、駄目だ!!大体、同族の幼馴染みってだけで、何で尻尾を弄られなきゃならないんだ!?」
そんなに尻尾が好きなら、悟飯さんのか自分の尻尾でも生やして、触りまくってろ!と言い放つ。しかし悟天はしれっと言い返す。
「そんなことしたら、俺が兄ちゃんに叱られるよ」
まぁ、兄ちゃんの尻尾の毛並みも独特の艶があってよかったんだけど、でも触られるのは熟睡した時だけだよねと、その感触を思い出しながら頬を赤く染め幸せそうに笑顔で言った。
トランクスが悟天のその様子を見て、幾分か引く。
何を思い出しているのか分からないが、もうずっと撫で回して首に巻いていたかったなぁという言葉を聞き、全身の毛が総毛立つ。
―コイツの頭の中には尻尾の事しかないのか?…いや、そもそも尻尾を触られるという事がサイヤ人にとってどんな意味があるのか、分かっているのか!?
絶対に分かっていない。分かっていたら、実の兄弟同士でそんなことするわけがない。悟天が悟飯に殺される事なく、こうして生きている時点で、悟飯も悟天も…悟空も知らないということだ。
―クソッ!!バカロット!!親だってならちゃんと情緒教育しろ!!
…悟天は悟飯とピッコロと時々クリリンに(極稀にベジータ)育てられており、悟空が生き返ってからは、強さの面では尊敬していたものの暫くの間、悟空の日常生活を見て―三人家族の中にいきなり入り込んできた異物と認識して―以来、頑なな態度をとり、それが今に至っている。だがそんな事はトランクスの知った事ではなかった。
現実逃避をしても無駄なのだが、心は現実逃避をしたがっていた。
思考を巡らせている間に、悟天の魔の手が尻尾に向かったのを見て、トランクスが悟天の手を殴り…払いのける。トランクスの本気に近い攻撃を受けて、悟天が蹲り、痛そうに手を押さえて、非難めいた目でトランクスを見るが、彼はその姿を冷たく見下ろすだけだった。
「そんなに尻尾を触りたければ自分の尻尾でも触ってろ!!」
「力が抜けるからやだ!」
それに尻尾触られると背筋がゾゾッとなって、嫌な気分になるんだよ!と悟天が手の痛みのあまり、涙目で反論する。
「大体、俺の毛並みは兄ちゃんと違ってやけにゴワゴワして、ボサボサなんだもん!あんなの触っても全然楽しくない!!」
同じ兄弟だというのに、悟飯と悟天の尻尾の毛並みには大きな違いがあった。
悟飯の尻尾の毛並みは上等で、滑らかで艶のある毛並み…絹のような手触りなのだが、それに対して悟天の毛並みは…あまりよくないのだ。例えるなら野生の熊に近い。やたらと毛は硬いし、幾ら整えてもボサボサだし、力強いといえばそれまでだが、それでもあの毛並みの悪さには自分の尻尾だからこそ、嫌気が走る。
嘗て生えていた悟空の尻尾の毛並みと瓜二つだと聞いたときには、心底絶望したが…
一体、何であそこまで違いがでるのか。それは悟天の専らなの悩みの一つでもあった。
その答えを聞き、トランクスの中で怒りが芽生える。
―お前が尻尾を触られるのが嫌なように、俺だって嫌なんだ!!
大体、自分の尻尾を触るだけでも、そうなるのに他人に触られるなど…論外だ!!
サイヤ人は生来、尻尾を他人に触れられるのを嫌う人種だというのがわからないのか、こいつは!?

一向に了承せずに、頑ななまでに拒絶するトランクスの姿を見て、悟天の中でトランクス限定の嗜虐心が顔を出す。普段のトランクスには隙がないため、滅多にそれは顔を出す事はないが、それでも今は上手くいくかもしれない。
―尻尾を触らせる事を了承させたら、どんな顔を見せてくれるんだろう?
その思いはフツフツと湧き上がり、今やトランクスの尻尾を自由にしたいという目的にトランクスの精神を嬲り、屈辱に歪みながらも決して諦めない顔を見たいという目的が加わった。
正攻法では触らせてくれない。例え触れたとしても、悟天の見たい顔が見られない。完全に屈服させる一歩手前で了承させなければ、楽しみも半減する。
そう結論を出すと、悟天の頭はそのために回転を始め、トランクスを脅すのに最適な記憶を高速で探し出す。その記憶を見つけると手段も芋づる式に浮かび上がる。
得た結論に悟天は今まで欲しくて欲しくてたまらない玩具をやっと手に入れた時のような、そんな気持ちになる。
悟天の顔に嫌な予感を覚えたトランクスが、逃げ出そうとする前に
「逃げるの?世が世ならサイヤ人の世襲王子のトランクス君が、戦わずして逃げるんだ。ヘェー、知らなかったなぁ…。トランクス君がそんな臆病だったなんて。ベジータさんが知ったら、失望するだろうなぁ」
最後の言葉を強調して言う。
悟天の台詞にトランクスの動きが止まり、激し怒りを宿して悟天を見る。その目…戦う前に見せる戦士の目を見て、悟天の背筋に快感が走る。
「…逃げる、だと?俺は誇り高いサイヤ人の王子だぞ!絶対に逃げるものか!!」
―かかった!! プライドが高すぎるのも、考えもんだね。トランクス君。
悟天がトランクスに気づかれぬように勝利の笑みを浮かべる。
いつもはこんな手段に乗らないが、今のトランクスは頭に血が上っており、簡単に引っかかった。
トランクスが自分の思い通りに動く事が、楽しい。
このまま掌の上で踊っていて欲しいが、反撃して欲しいという思いもあった。
しかし今はトランクスを屈服させる方が先だ。
悟天がトランクスの両肩に手をあて、耳元で囁くようにそっと呟く。その声は今のトランクスにとっては悪魔の囁きそのものだった。
「触らせてくれないんだったら、ベジータさんにあの事言っちゃおうかな~?」
「あの事?それだけじゃ何かわからないぞ」
そう鼻で笑いながら言う。
悟天が何か見ていたとしても、どうせそれを長期間覚えている事なんて不可能だろう。だって、悟天だし。
トランクスが、余裕の表情で悟天を見ていると、悟天が勝利を確信した喜びの笑みを漏らす。
「君が十歳の時に、重力室で気絶したベジータさんに、したこと…。俺、ちゃーんと見てたんだからね!」
悟天がそう話している間に、トランクスの顔色はどんどん青くなっていった。
「な、何でお前がその事を!?」
「だって、あの時新作のゲームをしに君の家に遊びに来ていたじゃないか」
―だから、何で悟天、お前がそんな事を覚えているんだ!?
内心絶叫するも、それは表に出る事はなかった。
トランクスの中での悟天の頭脳評価…特に記憶力に対するそれはあまりよくない。
約束をしてもいつもすっぽかされたり、遅刻を繰り返し、更には悪気のない笑みで「ごめんね、トランクス君。つい忘れちゃった」というのを子供の頃から繰り返されていたのだから、悟天の記憶力に対する評価が極端に低いものであったとしても、誰も文句を言う事はできない。
だというのに悟天は自分顔負けの記憶力を持っていることに、すぐに気づかされる。
「僕が覚えている限りで5歳からあるよね。特にブウ戦後からファザコン度合いが激しくなっちゃって、初めて見た時は慣れている僕でも…流石にドン引いたよ。そんなものを潔癖なベジータさんに知られたら…どうなるかは、トランクス君が一番わかるよね?」
「悟天!貴様…!!そんな事を知られたら、父さんに嫌われるだろう!!」
ただでさえ父さんはブラを溺愛しているってのに…!こいつは、俺の株を最安値にするつもりか!?
悟天の胸倉をキツク掴む。それでも非常に悔しい事ながら悟天の方が身長が高いので、胸倉を掴んで持ち上げる事は出来なかった。
そもそもベジータが小柄なのは、幼少期にフリーザによって餓死寸前の栄養失調の状態が何年も続けられたため、栄養が身長にまで行き届かなくなったのが原因だ。元々サイヤ人は大柄、長身になる遺伝子配列をしているのだから。トランクスの身長はブリーフ博士の隔世遺伝とサイヤ人の遺伝子が混じり合った結果だ。
トランクスにとっては腹立たしい事に、サイヤ人社会ではトランクスの身長はチビにあたる。
トランクスが憎々しげに悟天を睨みつけるが、悟天はそれを意に介さずに―瞳の奥に喜びの色を見つけたが、気のせいだ―トランクスの肩に手を置き、顔を近づけて、鼻先をくっつける。
「じゃ、尻尾触らせて?」
尻尾を触らせてくれないと、全てベジータさんに暴露するよ?と、トランクスに囁くように言った。
「クッ…!卑怯だぞ、悟天!!」
本当に、これがあの悟天か?というより、こんなに記憶力がいいならもっと成績がいいはずだろう!?
まぁ、退屈とばかりに授業をろくに聞いていなさそうだが…
悟飯さんのように常に頭脳明晰ならこちらも警戒のしようがあるが、悟天は馬鹿なのか賢いのかわからないところがあるから、余計に厄介だ。質が悪い。

悟天はトランクスに止めの一言を、そっと耳元で囁く。
その言葉を聞いた瞬間、トランクスの全身から力が抜け落ちて、地面に膝をつく。
―負けた…。屈辱だ…!
まぁ、昔なじみだし、同じ混血だから少しくらいは構わないだろう、そう自分を納得させようとするが、到底出来るものではなかった。
しかし、何をどう考えようとも結果は変わらないのなら、もう開き直るしかない。
「………少しだけならいいぞ」
待ち望んだ承諾の答えに、悟天が喜色満面になり、嬉しそうに跳ねる。
「やりぃ!!ありがとう!トランクス君!!」
トランクスが、拳を強く握り締め、引きつった笑顔を浮かべた。

「ヘェー!近くで見れば見るほど、凄い毛並みのよさだね!」
それが目を輝かせながら、トランクスの尻尾を見つめた感想だった。
実際、彼の尻尾の毛並みの良さは今まで悟天が見たいかなる動物の毛並みよりもよかった。いや、比較の対象にならないくらい、トランクスの尻尾の毛並みはよすぎるのだ。
同じ尻尾だというのに、自分や兄とは比べ物にならない程の極上の毛並みを嫉妬交じりに堪能しつつ撫でまわる。
悟天が尻尾の毛並みを乱さぬように流れに沿うように撫でながら
「トランクス君って兄ちゃんのより比べ物にならない程毛並みいいんだね。やっぱり王族だからかな」
まぁ、見た限りで明らかに違うってのはわかってたけどと呟く。
悟天が尻尾を握っている時に、トランクスの悔しさに満ちた顔を、屈辱を必死に堪える目を見上げると、背筋だけでなく全身に甘い陶酔が駆け上る。
―すっごくゾクゾクさせる顔じゃないか。 そんな顔をされたら、完璧に屈服させたくなるよ。
悟天は何時のころか分からないが、自分の二面性に気がついていた。
トランクスを孤高の帝王として崇拝したい自分と、トランクスの全てを手にいれ、芯から隷属させたい自分との想いに。
相反するその思いは、悟天の胸を焼き尽くし、体を引き裂くほど強く激しくなる。抑えつけられている衝動は、時々トランクスをからかう事によってガス抜きをしているが、そろそろ限界が近づいていると本能的に察している。
今のトランクスの姿を、サイヤ人の誇りの象徴である尻尾を、悟天に好きにさせている…屈辱的な扱いを必死に堪えるトランクスを見ているだけで、体の芯が熱く、漲ってくる。
抑圧された感情と欲望は息苦しさを伴っているが、それもまた快感となって、悟天を更なる高みに連れて行く。
トランクスの尻尾を撫でまわす。たったそれだけの事なのに今までの恋人との行為で得た事のない快感を得ていた。
…これは病み付きになりそうだ…。
―自分は可愛い女の子好きなノーマルだ。それは間違っていない。しかし、トランクスだけは特別だ。この尻尾は別格だ。
自らの理性に言い聞かせるように頭の中で何度も呟く。
ただトランクスに対してのみ、困った性癖が出るだけなのだと。
尻尾を撫で回して、毛並みを楽しむだけでは次第に物足りなくなってきた。
尻尾の毛並みとトランクスの表情は十分楽しめるものだ。しかし、同じ刺激だけでは飽きがくるというもの―幾ら尻尾が超最高級の毛並みであり、トランクスの屈辱と怒りと悔しさに満ちながらも、それを必死に堪える顔など滅多に見られぬものであったとしてもだ。
尻尾を見つめる。すると唐突にまぶたの裏にあるイメージが過ぎる。
無償にその光景を再現したくなり、トランクスの尻尾を…口の中に入れる。

ずっと触っていたいくらいという、恐ろしい事を言いながらも、毛並みにそって撫でたり、尾骨を確かめるように少し強めに撫でたり、頬ずりされて、トランクスの顔が思いっきり引き攣る。感情に影響されてか、尻尾の毛並みが逆立つものの、悟天は意に介さずにトランクスの尻尾を好き勝手に撫で回していた。
―いつまでやってるんだよ、こいつは? 黙ってたらエスカレートするからな…。こいつは
もういい加減止めさせるかと思い、口を開きかけたとき、尻尾を水平にし、少しの間見つめていた悟天が、急に尻尾を噛んだ。それでトランクスがギョッとした表情になる。
彼の脳裏に甦ったのは、幼い頃尊敬し愛する父に言われた言葉だ。

『トランクス。サイヤ人にとって尻尾はとても重要で民族の象徴だ。生えてきても触らせるものじゃない』
『うん、それくらいわかってるよ』
ベジータはトランクスが物心つく前から、サイヤ人についてのありとあらゆる知識を叩き込んでいたので、そうしたサイヤ人の一般常識はトランクスの中ではそれはもはや普通の常識と化していた。
当たり前な事を、今更…といわんばかりのトランクスに、ベジータが言い聞かせるように真剣な面差しになる。
『まぁ、待て。話は最後まで聞け』
ベジータがサイヤ人社会における尻尾の位置と重要性を細かく説明する。その中の説明に少し興味をそそられて、トランクスが疑問を投げかける。
『尻尾を噛まれたら駄目なの?』
なにやら思い出したのかベジータが頬を赤らめる。途端にトランクスが少しだけ不機嫌になる。
ベジータがその顔を見せるのはブルマ関連のみだ。
―尻尾を巡って、ママと何かあったんだな。
ベジータが今までにない真剣な面持ちでトランクスを見据える。
『…………サイヤ人にとって、尻尾を噛むというのは……』
その後に続けられた言葉は、トランクスにとって衝撃的であった。

トランクスが、尻尾を歯を立てて噛み、嘗め回している悟天を、全身真っ青になりながら目の前に起きている光景を信じられずにいたが、それでも凝視していた。
―こいつ…俺の尻尾を……。嘘だ…嘘だ…!!嘘だぁぁーーー!!!!!
トランクスの脳裏で、彼が頭を抱えて絶叫したと同時に、彼が超化し、その体を包むようにスパークが走る。
「どうしたんだよ、トランクス君?」
突然豹変したトランクスに対して恐怖を覚え、問いかけながら顔を挙げた時に見たトランクスの顔は…
憎悪と敵意と殺意に満ち溢れた、修羅よりも恐ろしい形相だった。
その顔を見て、悟天がギョッとした表情になり、後ずさりながら
「ト…トランクス…君?何さ、その顔…?アハハ…怒っちゃった? ちょっと尻尾を噛んで舐めただけじゃないか」
悟天にしてはたったそれだけの事だ。しかしサイヤ人文化における尻尾を噛む事、舐める事の意味を知っているトランクスにとって、悟天の先程の行為は到底許せるものではない。
トランクスが今までにない程マジギレしているのを嫌と言うほど感じていたので、怒っている理由がさほど分からなくとも謝る。
「トランクス君……怒ったのなら本当にごめんね。…でもさ、俺と君との仲……だしね?」
だから多少の悪ふざけは…と続けようとしたが、続けられなかった。トランクスが悟天の胸倉を掴み、今まで誰にも見せた事のないような殺意と憎悪に満ちた目で悟天を睨んでいたから。
「下品な真似をするんじゃねぇーーーーー!!!!!」
腹の底から絶叫し、唖然としていた悟天の顔面を、全力で、ありったけの殺意をこめながらぶん殴った。それで悟天は突然の事に受身をとれずに、それの直撃をくらってしまった。
悟天が遥か空高くに飛ばされたのを確認したトランクスが、顔を伏せ全身を震わせて泣きながら
「う…うぅっ…パパ……パパァ…。
俺、悟天にあんな…あんな……下品で破廉恥極まりない事を……誇りを完全に…踏みつけにされた……」
その記憶を抹消しようとすればするほど、あまりにも鮮明に思い出されていく。とても彼には我が身に起きた出来事として、許容できる…認められる範囲をあまりにも越えすぎていた。
「嫌だ…嫌だ!!嫌だあーーー!!!」
トランクスが、この世の終わりとばかりに泣き叫んだ。



余談として、これから数日間トランクスは自室に引きこもり、ずっと泣き続けていた。そして悟飯はベジータからサイヤ人にとっての尻尾に関する事を聞いてから、悟天を厳しく叱り付け、二度と尻尾を生やすことはなかったそうだ。



2010 3/21に小ネタ(未完)から小説へ移行しました。
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