未完

DB パラレル 未完 『螺旋』 VBスピンオフ 番外編

 ←あけましておめでとうございます →火星物語 未完 『Liar』
『大切な人=親?妻?』



注意
ベジブルは十代後半です。
オリキャラ要素が非常に強いです。
行為の後の会話なので、性的なニュアンスを含む描写や台詞があります。
螺旋のVBスピンオフシリーズのネタバレを多く含んだ内容になっています。













行為の後の気だるい体、夜の静寂に包まれた二人だけの空気。
その中では普段言えないこと、聞けないことなどが、口から出る事もある。
例えば…
「ねぇ、ベジータ。あんたっていつも叔父さんの事ばかり言っているけど、そんなに好きだったの?」
つい先程まで熱く燃え上がり、共に絶頂に達した夫―世間一般では恋人というのだけれど、彼らの間柄は最早夫婦だ―に今まで疑問に思っていた事を尋ねる。
ベジータにとって育ての親だという叔父は大事な存在だったらしく、無意識に―後で聞いても怪訝な顔をされたから―叔父上とよく言っている。一ヶ月前など…いや、思い出すだけでも腹立たしくなるから止めておこう。
ベジータの叔父…サイヤ人社会で王家に次ぐ影響力を持っていた祭司であり、宰相。王妃の弟でベジータの育ての親。地球の企業で唯一C.C社にサイヤ人の技術を使った商品の開発と販売を許した、C.C社の大恩人のような人。それからとてつもない美男子で地球人の中に出回った数少ない写真一枚でも数千万以上の値がついている程だという。
彼女が知っているのはそこまで。彼がどんな人間だったかなどは何も知らない。趣味や好物、誰を愛し愛され、どんな事に興味を持っていたか…彼本人について何も知らない。
ベジータに会う前に亡くなっているのだから、何も知らなくても当然だと思うのだが、それでもベジータがあそこまで慕う叔父について少しでもいいから知りたくなった。
ベジータに聞いてもあまり教えてはくれないし、ラディッツやナッパに至っては露骨に顔を顰められるので、今まで聞けずじまいだった。
本当なら聞きたい時に聞けばいいのだけれど、どうしても今まさにサイヤ人を完全に滅ぼさんとしている地球人である手前、彼の大切な記憶に触れるのを躊躇ってしまうのだ。
それでも、どうしても彼が誰よりも慕っているであろう叔父について知りたいから意を決して尋ねたのだ。
「当然だろう?叔父上は俺の育ての親だぞ」
何を当たり前な事を聞くと言わんばかりに答えた。
ベジータにとって、自分の両親は縁遠い存在だった。親である前に王族なのだからそれも当然なのだが、私生活で一緒にいる事など稀だった。母親とはわりと多く接していたが、それでも多忙であるが故に一緒にいられる時間は短かった。
彼にとって親とは王であり、王妃であるが、私生活を共有しない存在。”親”というよりも仕事の上司で、誇るべき人物という認識だ。
彼の”親”という対象は、赤ん坊から亡くなるまで、ずっと彼を育て、勉学を教え、強く鍛え、サイヤ人としての…王族としての誇りを、ベジータの人格の核を作り上げ、形成させた叔父、唯一人だった。
しかしブルマにはそのあたりの事情が分からないのか、怪訝そうな顔をしていた。
彼女からしてみれば、ベジータ王はサイヤ人狩りが始まる直前になくなり、メーマ王妃もベジータが十歳の時になくなっている。それだけ生きていたのなら、何故サイヤ人狩りの半年前になくなった叔父…祭司レーコンを、育ての親と慕うのは奇妙に思えた。
それは実の両親が子育てをするという、彼女にとって当たり前な事から生じた疑問だ。根本的なところ…親に育てられたという時点で違っていたため、話が噛み合っていなかった。


ベジータがブルマに叔父との思い出の数々を聞かせると、ブルマが幸せそうに微笑んだ。
ベジータに幸せな記憶があり、そんな大切な宝物を自分にも見せてくれた、その事実が、彼に大切な思い出を共有出来る相手として認めてもらえた彼女にはとても幸せで、嬉しかった。
「あんたって、本当に大切に育てられたのね」
そこまで言った所で、目に陰りが生まれる。
―そんな大切な人を亡くして間もなくに、実の父親ばかりか国が滅ぼされる事になるなんて…。


政府はベジータの12歳の誕生日で国中が大賑わいのため、それぞれの都市は外部からの―不穏な動きをする地球人達よりも、酒の回ったお祭り気分のサイヤ人達が暴れないかの警備に回した―警戒を緩めていた幾つもの都市を、同時に不意打ちで攻撃したのだ。大混乱の中、逃げ延びた人もいたが、多くの人々がその犠牲となった。
初めて出会った当初は人間によって酷く痛めつけられた手負いの獣のようで、ブルマや博士、夫人に心を許すことなく不信感を露わにしていた。
―懐かしいわね。あの時はひたすら警戒と不審に満ちたベジータに少しでも自分を見てもらおうと必死だったわ。
今から思えば随分自分勝手な理由だったけれど。
初めて名前を呼んでくれた時の事、笑顔を向けてくれた時の事は今でも鮮明に覚えている。
二人の間に信頼関係が芽生える前はブルマは、地球人の裏切りにより国を失い、民を失いつつあるベジータを気遣わなければならないと分かっていても、一向に変わることのないベジータの頑なな態度に―欲しいものはなんでもすぐに手に入れることが出来たのに、彼の心だけは手に入らなかったからだ―苛立ち、愛しさ余って憎くさえ思える事があった。ベジータもそんな彼女に反発して、激しい口論ばかりを繰返していた時期もあったくらいだ。
けれど一度信頼関係が芽生えれば、後は似た者同士の二人。信頼は確固としたものになり、愛に変わるのにも時はかからなかった。


サイヤ人から全てを奪い、滅ぼそうとしているのは地球人だが、それでもベジータはブルマを深く愛していた。
彼の部下であるナッパとラディッツはその事をよく思ってはいないが、彼らがどう思うとベジータには知った事ではない。そして彼らもそんなベジータの気質を知っているため、無駄に終わる口出しはしないのだ。


「あたしと叔父さん、どっちが大切?」
聞いても意味のない事だとわかっていても、どうしても聞きたくなった。いや、これだけは聞かなくては気がすまない。幾ら答えが分かっていようとも!
既に答えを予測しては―彼の今までの言動から当たる確立が非常に高い予測だ―嫉妬が湧き出るが、こればかりはどうしようも出来ない。一人の人間の心を全て手に入れることなど、不可能だとわかってはいても嫉妬心というものは湧き上がってくるのだから、仕方ない。彼女はそう理屈づけていた。
ベジータにとってこの問いが、愛情豊かに優しく、厳しく育ててくれた、深く愛している叔父と―彼にとっては両親のような存在だ―”最愛”の妻のどちらかが大切か、と聞いているようなものだ。だからベジータが困るのは当然だし、”親”と争っても仕方のないことだというのは頭の片隅では理解している。けれど、これ以上醜態を晒すのは止めろという、頭の中に聞こえる声を無視した。
マザコン、ファザコンというよりは叔父に恋しているのではないか?という考えが、彼女の中を占めていた。今までや先程の口振り、そして老若男女、ありとあらゆる者が見惚れるほどの美形なら、恋の対象になってもおかしくない。特にそれが一番自分の身近にいた人間ならば。
ブルマの問いにベジータが何のつもりかと眉根を寄せるが、彼女の目が本気である事を示しており、無視する事も出来なかった。
叔父に対して抱いていたのは尊敬、敬慕、親愛…子供が親に対して抱くものであり、弟子が師に対して抱くものと同じような感情であって、何を勘違いしているのか他の連中が言うような恋着の類はない。
愛し恋したのはブルマただ一人だ。親友のような友愛を抱いたのもブルマだけだ。
親であり師、妻であり友。抱く想いの質が全く違うというのに、比較できるわけもなく、どちらも大切だという答えになる。しかしそんな答えではブルマは絶対納得しないにだろう。
面倒な性格だと思いつつも言葉を紡ぐ
「叔父上は俺にとって親であり師だ。お前は俺の妻だろ。
お前は何と答えて欲しい?俺が叔父上に恋しているか?幾ら美しかろうと、叔父上は男だぞ。俺は男に恋するような嗜好は持ち合わせておらん!」
「でも美しいとか綺麗だとか、男に対して使う言葉じゃないのに連発しているじゃない!!」
「それは事実だぞ。他に言いようがない」
「ホラ!やっぱりあんた叔父さんに恋してるんじゃない!!」
「何でそうなる!?」
怒鳴り合うが次第に馬鹿らしくなったのか、その勢いは弱まっていく。



ブルマがベジータの腕に抱かれたまま、彼の顔を覗き込むように見る。
彼女の青い目…黒髪黒目のサイヤ人では絶対にありえない、彼女の瞳に思わず彼が見惚れていると
「もし子供が生まれたら、なんて名前がいい?」
思っても見なかった発言にベジータが顔を赤らめる。
「いきなり何を言いやがる!?」
彼らがこの関係になって数年は経っているのに、ベジータはいつまでも変わらずに性的なニュアンスのあるものは”下品”と言い、嫌っている。…初めての時は両者合意だったけれど、ベジータが先に手を出したのだが。
しかしブルマはベジータの怒りを何処吹く風の如く受け流す。
「あら、頻繁にこんな事してるんだから何時出来てもおかしくないわよ」
「……避妊はしてるだろうが」


「そうねぇ…男ならトランクスかソックス。女ならリグジェかキャミーなんてのはどう?」
問われてもベジータにはどれも変な名前にしか聞こえない―地球人の名前はどれもこれも変だという認識を持っていた―しかし、ただ聞く分には”変な名前”という感想だけだが、自分の子供の名前として聞けば、違和感は更に増幅し、もっとセンスのある名を考えたどうだ?と言いたくなる。
サイヤ系の名前を幾つも考えるが、これといっていいのが浮かばなかった時、ある一つの名前が頭の中に浮かび、その名を口にしていた。
「ターブルだ」
「え?」
突拍子もなく言われた言葉に間の抜けた声しか出せなかった。
「もし最初に男が生まれたら、ターブルという名にしろ」
「ターブルって…確か”王になれない者”って意味じゃなかった?」
以前ベジータから聞いた王家の話では、ターブルというのは「王になる資格があっても、王にはなれない者」という意味合いで、”ベジータ”になる事の出来ない者は”ターブル”と呼ばれていたらしい。
本来、ベジータもターブルも称号であり名前ではないのだが、称号を持つものは自分の名前自体存在しないので、それが”名前”として通っているだけに過ぎない。
祭司である叔父は名前のない…一個人を存在しないものとする、その風習を嫌い、彼の事を”ベジータ”ではなく王子と呼んでいた。
「けれど、そんな名前をつけていいの…?」
「王になろうにも国がないのでは、王になれんだろう。第一、二人もベジータがいては紛らわしい」
ブルマが戸惑いながら聞くがベジータは鼻を鳴らすだけだった
もうサイヤ帝国はない。生き残っている人間も数十人ではとても国としては名乗れない。子供が生まれて成人する頃には、純血のサイヤ人は数えるほどしかいなくなっているに違いない。


ブルマがベジータに抱きつき、彼の首に腕を回して深く口付ける。
「もう、仕方ないわね。じゃあ、男の子だったらターブル、女の子だったら私が名前を決めるわよ
早くターブルや他の子供達に会いたいわね」
「もう夜明けだぞ」
「大丈夫よ。そもそも今日はあたしもあんたも休みじゃない」
ブルマとベジータも特別な学校に通っており、与えられたレポートを提出し、出席日数を満たしていればいいのだ。もう出席日数はクリアしたので、後はレポートを―通常ならば殺人的な量と質だが、頭脳明晰な彼らにとってはそれほどでもない―提出するだけでいい。
だから彼女が言ったのは学校の事ではなく、彼らが携わっているC.C社の仕事の事だ。
ベジータが何かを言おうとするが、やめて、


「なら今日一日覚悟しろ」
彼の腕が背中に回り、引き寄せられる。
「望むところだわ、王子様」
嫣然と微笑み、口付けられる。
――そして二人の密事が始まる。





言い訳
…行為の描写とかないから、これくらい大丈夫だと思うのですが…いかがでしょうか?
スポンサーサイト


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ
総もくじ  3kaku_s_L.png ドラゴンボール
総もくじ  3kaku_s_L.png 火星物語
総もくじ  3kaku_s_L.png 聖剣伝説
もくじ  3kaku_s_L.png その他
もくじ  3kaku_s_L.png 未完
もくじ  3kaku_s_L.png 考察もどき
もくじ  3kaku_s_L.png 短文
もくじ  3kaku_s_L.png 裏部屋
  • 【あけましておめでとうございます】へ
  • 【火星物語 未完 『Liar』】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【あけましておめでとうございます】へ
  • 【火星物語 未完 『Liar』】へ