未完

火星物語 未完 『強さの定義』1

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注意
オリジナル要素があります。
フォボスが十代半ばで、ブラパン党に所属しています。










オリジナル設定の説明。
風使いは血筋で、身体能力は常人よりも優れている。















「はぁ!!」
気合と共に振り下ろされる木刀による攻撃は鋭く、重い。
攻撃を繰り出しているのは十代半ば頃の少年で、頑強に程遠く全体的に細く引き締まった印象を与える。
少年と手を合わせているのは屈強な犬族の青年だが、やはり少年に押され気味のようであった。
腕の芯まで痺れ、骨が軋むような切込みを受けながら、青年が感嘆の思いを抱く。
―本当に強くなったもんだ。
初めて出会った時など、戦い方を全く知らない子供だったのに。
それが歴戦の戦士をも退ける強さになったのだから、感慨も深くなるものだ。
素早く正確に自急所を狙ってくる斬り込みを、負担にならぬように力のベクトルを変えつつ受け流していく。
根本的に身体能力が違うのだから真正面から受け止めていては、体が壊れる。
彼にとっては当たり前の防衛手段でも、少年にはそれが手応えのなさとなって苛立ちを募らせているようだ。

攻めに転じようとした足が縺れて、崩れかけた体勢をすかさず取り直したエマークの姿に、フォボスが構えていた木刀を下ろした。
「エマークさん。もう終わりにしましょう」
「馬鹿言え、まだ勝負はついてないぜ」
荒い息の強がりにフォボスは困惑と躊躇いを見せた。
勝負など、端から見ても既についている。
手合せから十分程度しか経ていないが、既にエマークの体は限界を迎えつつあった。
フォボスの繰り出す攻撃の数々は、鍛えられたエマークの目を以ってしても必死なほど速く、木刀を受け流すだけでも全身の筋肉が悲鳴を上げるほど強かった。
疲労困憊のエマークに対し、フォボスは未だ余裕のある様子だ。
もしかしたら、物足りなさすら感じているかもしれない。
出来るならば本気での勝負をさせてやりたいが、それは現在では限りなく不可能だ。
遥か昔に絶滅し、最早彼以外に存在しない伝説の民族の血。それがフォボスに常人から大きく逸脱する類稀な身体能力を与えていた。
それと共にフォボスが過去の世界やこの時代で潜り抜けてきた死闘の数々も、彼の力となっている。

大きく息を吸い込んで、深く吐き出して、呼吸を整えると、木刀を構えなおす。
エマークの強固な意志にフォボスは逡巡を打ち切ると、隙のない構えをした。

エマークが体力を取り戻すと先手必勝とばかりにフォボスの間合いに一跳びすると、木刀を振り下ろした。
すかさずフォボスが木刀を跳ね返すが、あまりも手応えのなさに目を丸くする。
僅かに生じた隙に、エマークの目が鋭く眇められた。
命のやり取りをする戦闘中のフォボスには絶対に通用しない。無意識に手加減をして、直感を封じ込める手合せのときのみに有効な手段だ。
フォボスの隙に乗じる形でエマークが彼の肺めがけて木刀を勢いよく突き出した。
幾ら木刀で、風使いであっても無傷ではいられない場所を、狙ったのだ。
木刀が触れる寸前、フォボスの目の色が変わり、鋭く光った。
大きく腰を低く沈め、木刀をよけると、大地を蹴飛ばして大きく踏み込む。
一秒にも満たない動きと、心臓を狙う剣先にエマークが防衛本能のみで見えない木刀を叩き落そうとした。
しかし触れる寸前にフォボスが木刀を引いたために大きく空振りしたエマークだったが、すぐさま体勢を整えて応酬しようとした時。
フォボスがエマークの足を払い、みしりと骨の悲鳴を上げる音と共に尻餅をついた。
反応する間もなくフォボスの足がエマークの胸を踏みつける形で叩きつけられて、仰向けに倒される。
背中を強か打ちつけただけでも痛みが走ったが、逃さぬとばかりに踏みつけられて肋骨が悲鳴を上げる痛みが耐えがたかった。
睨みつけることも、苦悶の呻き声を上げることもできず、フォボスの振り上げた木刀だけが視界に入ってくる。
僅かの間を置いて息を呑む音が聞こえた。
それと共にエマークの動きを制限していた足は慌てて退けられて、木刀は喉元を突き刺さることなく、地面に落とされた。
「ごめんなさい!!」
深々と頭を下げるフォボスに、エマークがあらゆる感情を含んだ息を大きく吐いた。
フォボスは殺気や敵意に反応し、自分の身に害を及ぼすと判断すると同時に冷徹な戦士へと豹変する。
過去での熾烈な戦いを生き抜くために身につけた”切り替え”で、一種の条件反射だ。
この場合。暴走したフォボスも悪いが、フォボスの本気を少しでも引きずり出そうとしたエマークも悪かった。
「フォボス。極力実践と訓練の見境をつけろといつも言っているだろう」
それをわかっていても、骨にヒビをいれられたとなれば、文句の一つでも言いたい。
普段の訓練では適当にいなしているようだが、極稀に本気を出して訓練相手に大怪我をさせることも、今までにあったのだから。
「わかっています。 ………でも、僕にもどうしようも出来ないんです」
条件反射は骨の髄まで染み込んでおり、本人が自制できるものでもない。

このままではいけない。なんとしてでもフォボスの暴走をなくさなければならない。
皆それは分かっており、唯一の方法は戦いの場から隔離することだろう。
しかしフォボスがブラパン党の一番の戦力である事実は揺ぎ無く、最後の風使いを手放すことなど出来ない。
戦いにある限り、フォボスの暴走は続く。

「フォボス。厳しい言い方をするようだが、聞け」

「お前の剣は人を殺すために鍛え、磨き抜かれたものだ。そんな戦い方では誰も守れやしない。出来るのはただ、人を殺す事だけだ!
お前はこの火星のために戦うブラパン党員であり、いずれは総帥にもなる存在だぞ!!
……だから、己の心に負けるな…フォボス」

「俺がお前に教えたのは守るための剣と、その基礎だ。……今はもう、殺すための剣は封印しろ」
例えそれが今でも尊敬する二人から教わり、幾度も彼の命を救ってきたものであったとしても。…今の時代にはそれは必要ないのだから。

言い訳
木刀は魔法で強化しているから折れないんです。
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