未完

聖剣伝説3 未完 『似たもの親子』2

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似たもの親子』1の続きです。

注意
主人公がケヴィンの話です。
HOM・ガウジェレ前提です。
ケヴィシャル前提です。
オリキャラ要素があります。











「…何でオイラがシャルロットの事が好きだと分かった?」
感情を隠すことについてはホークアイ程ではないが自信がある。なのに父はほんの短い時間の接触のみで、ケヴィンが心底シャルロットを愛しているという事に気づいた。
ケヴィンの問いに獣人王は聞くのも愚問とばかりに
「フン、そんなことか。儂は王である前にお前の父だぞ。息子が誰に好意を寄せているかも気づかぬようでは、親失格だ」
―今までの言動の時点で、親失格だっ!!
そう罵ってやりたいのを必死で堪える。
ケヴィンが物心ついてから甘える事も許されずに、ずっと格闘術を教え込まれ世間一般の父親や愛情と程遠い扱いを受けてきた。それでも鍛えられた格闘技のおかげで今まで大切な仲間を守り、生き延びられた事を考えれば、そして外の世界を知った今となっては蟠りはあるものの、とてつもなく不器用ゆえに非常に分かりにくいが、深い愛情を込めて育ててくれた…と思えるようになってきた。
だから非難を口に出す事はなかったものの、それでも視線に乗せる。


「目が同じだった。……儂があれを見ていたときの目と、お前があの娘を見るときの目は、同じだ」
何処か遠くを見るように―ケヴィンの向こうに若い頃の自分と、亡くなった妻の姿を見るように―言った台詞にケヴィンが目を見開く。
「ケヴィン。敵国の人間だろうが、種族の違いだろうが、身分に思い悩んでないで、伝えるものは伝えろ」
ケヴィンが驚きに満ちた顔で獣人王を見る。
彼が思い悩んでいた事をそのまま言った獣人王に、
獣人王が不敵な笑みを浮かべる
「伝えなければ、何も始まらん」
「…………父さんも同じ事を思い悩んだのか?」
「そうでなければ、こんな事は言えん」


「お前が生きて、ここにおる。それが儂の結果だ」


「……母さんの事。オイラ、何も知らない」
自分が幼い頃に亡くなったという母。父から聞かされる事は全くなかったし、獣人達も口に出す事を酷く嫌っていた。しかし姉代わりの女性に色々と教えてもらった―何かを隠しているような印象を受けていたが、それは母の死を隠していたのだ―ものの、父の口からどうしても母の事を聞きたかった。
「母さんの事、教えて」
何かを探り、確かめるようにケヴィンを見ていた獣人王だったが、暫くの沈黙の後に十数年口にしなかった事を言葉にしていく。
「…髪の色はあれ譲りだな。性格はあれとその叔父に似ている」
ポツポツと呟かれる言葉を、一字一句聞き逃すまいとケヴィンが耳を澄ませ獣人王を見つめる。
その視線に懐かしい顔が重なるが、獣人王はその面影を封じることなく言葉にしていく。


「こんなに可愛げなく育つのなら、もう一人くらいあれに似た娘が欲しかったものだ」
長年口に出すことなく、心の中に堰き止められていた思いはいったん口に出せば止め処もなく溢れ出す。いつの間にか“母の事を話す”という目的を忘れ、惚気話と成り果てていた。
ケヴィンも初めは父から母の事を聞くという、幼い頃から待ち望んだことに真面目に聞いていたのだが次第に恥ずかしくなり―仲間内ですら無性に恥ずかしいのだから、両親はその比ではない―慌ててストップをかける。
途中で止められた事に獣人王はいたく立腹していたが、何時間にも渡って惚気話―それも無縁だと思っていた存在のそれだから、余計に困る―を阻止するため、ケヴィンは最大の強敵である父を前にしても頑として引き下がる事はなかった。
渋々ながら引き下がった獣人王を、此方のペースに乗せるべく早口で捲くし立てる。
「オイラが知りたいのはそういうことじゃなくて、母さんの名前とか、出会った時とか、何処の国の人間かってこと!」
先程の獣人王の台詞…“敵国の人間”という言葉が、先程からケヴィンの頭の中を巡っていた。
獣人にとって人間は敵だが、それでも“国”と限定することは彼の知る限りあまりなかった為生じた疑問だ。
その問いに獣人王は重く溜息を漏らす。
「…あいつはペダンの人間だった」
そう答えた途端、ケヴィンが驚きと怒り、様々な感情が入り乱れた顔になる。
「…ペダンだって!?」
20年前のミントス焼き討ちや獣人城陥落により、多くの獣人達が犠牲になった。姉代わりの女性やルガーの両親も、ミントス焼き討ちの時に幼い彼らを庇うため殺されたのだと。
獣人達はまだ幼いケヴィンにペダンの悪行を話した後、言外にこう滲ませていた。
――お前には、その悪魔のような人間の血が流れているのだ、と――
それらの事情からケヴィンにとってペダンとは絶対悪というべき国であり、最も許しがたい存在だった。


「………父さんは、それでも一緒になったのか?」
「当然だろう。儂は心底あれに惚れぬいておったからな。
ケヴィン。貴様も外に出てよくわかっただろう。我らを蔑む人間もおれば、仲間と見なしてくれる人間もいるのだと。
………今のお前は、人間そのものを悪だといえるか?」
「まさか!!」
強く否定したケヴィンを獣人王が微笑を湛えて見る。
「それと同じだ。 ……あいつらは我々のために戦ってくれた。 儂の、仲間だ」


獣人王がケヴィンから背を向け、窓の向こうを見る。それは会話の打ち切りを意味していた。
「ケヴィン。これ以上知りたければ、全てが終わってから話してやる。
……だから、早く帰って来い」
獣人王にしては珍しく消え入りそうな小声だったが、ケヴィンの耳にはしっかりと届いていた。
その言葉に目を丸くして、獣人王を見るも、力強く頷く。
「…わかった!」
ケヴィンがドアノブに手を書け、開こうとした時に呼び止められる。
「ケヴィン。ドS神官…ベルガーに会ったら、こう伝えろ。…馬鹿野郎…と」
ベルガー。仮面の導師。元闇の司祭で、シャルロットの想い人のヒースの父親。
獣人王と彼との接点がわからずに困惑し尋ねようとするも、獣人王の背中は一切の質問を拒絶していたため、疑問を口に出す事は出来なかった。
「………わかった……」
ケヴィンが部屋を出て、獣人の優れた聴覚を以ってしても彼の足音が聞こえなくなった頃に、獣人王が天空に輝く月を見上げる。
「………さて、アイツが帰ってくるまでに話す事を整理せねば」
―何から話そうか?




言い訳
ケヴィンはHOMでの戦いを殆ど知らないという前提なので、驚いたり困惑したりしていたけれど、きっと帰って来てから獣人王に今までの分を色々と聞かせて貰えるんでしょう。
ケヴィンがガウザーとベルガーの接点を知らなかったのは、『似たもの親子』1にベルガーの話題が一切出ていなかったからです。
まぁ、獣人王はヒースを見て、黒幕が誰か気づいたので、彼の事を口にしなかっただけなんですけど。
ちなみに彼らの冒険は一年近くに渡るものだと思っているので、後半であるこの時期だったらHOMでの戦いは20年前になると思って、19年前ではなく20年前という表記にしました。
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