未完

DB パラレル 未完 『螺旋』3―2

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悟天が龍球都市に還ってきてから一日以上が経過していた。
あれから悟飯から牛魔王邸虐殺事件の詳細を聞かされ、激しく憤り悲しんだ後に、その犯人と政府要人の連続殺人犯とは手口が似通っているため、同一人物である可能性もある事を話したため、悟天は少しずつだが、その少年と接触した時の事を話してくれた。
彼が一週間いたという所を聞いたが、不思議な事に少年の顔と同じように酷く曖昧にしか主出せなかったため、詳しい事はわからなかった。唯一の手掛かりといえば”やけに静かな場所”くらいだ。


ターレスは十代後半くらいだとされているが、それ以前に警邏隊に寄せられた目撃情報は十代半ば。そのため政府ではその目撃情報は単なるデマか、見間違いという見解と共にターレスの共犯者という見解もあったのだが、悟飯とピッコロは二つの事件の犯人は別人だと考えていた―牛魔王邸虐殺事件はターレスの仕業だが、政府要人連続殺人事件は、ターレスとは接点のない者の仕業だと―ものの、立場上政府の方針に従って捜査するしかなかった。

病院の待合室で悟天が悟空とクリリンと一緒にチチの面会許可を得るための申請待ちをしていた。
退屈なのか先程からキョロキョロと周囲を見回していた悟天が溜息をつき遠くを見るような目になる。
「なーんか複雑だよね。俺達はただ幼馴染みと会おうとしているだけだよ? しかも警邏隊員も一緒に面会するっていうのに、何でこんなに時間がかかってんの?おかしくない?」
長時間待たされている事の憤りをぶつけるように悟空とクリリンに愚痴る。
―ここまで申請に時間がかかってんのは、部外者の悟天さんがいるからですよ!何でそれがわからないんですか!?それとも分かってて言ってるんですか!?
クリリンが心の中で文句を言う。
そもそも何故こんな事になったのか?当初はチチを刺激せぬように面会を控えていたのだ―特に悟空は―しかしここまでの流れを考えると、どうも悟天の掌で踊らされている気がしてならない。
…悟天は初めから自分達を連れてくるつもりだったに違いない。他の隊員や悟飯かピッコロの同行を進めても、もっともらしい理由を並べ立て、こちらが反論を言う暇も、それどころか考える暇すら与えぬように、口と行動で捲くし立て、気がついた時には既に彼らの早退届は受理され、病院の待合室にいた。
人に有無を言わせぬところや、それを可能とさせる頭の回転の速さを見ると、容姿以外は似た所はないといえる悟飯と悟天は血の繋がった兄弟なのだと実感させられる。
そんな思いを抱きながらクリリンが悟天を宥めているも大した効果はないようだった。
悟天が不機嫌そうに眉をしかめ、唇を尖らせる。しかしいくら童顔で人好きのする顔立ちとはいえ、30近い男がしてもとても可愛らしいとはいえない。
何とか悟天の気を紛らせるものはないかとクリリンが周囲に視線をめぐらせたとき、此処最近彼がよく思い浮かべてしまう女性の姿を見て、頬に血が集まってくる。クリリンの変化を目敏く見つけた悟天がその視線の先を辿り、訳知り顔になるとニヤニヤ笑って彼の脇を小突くが、クリリンはそれに気づかなかった。
女性が此方に近づいてくるのを見て、悟天が怪訝な面持ちになるが、すぐに観察するように女性…ハチを見る。彼の好みとは大きく異なるが、それでも彼女が美人の分類に入るのは素直に認めた。
彼女と顔見知りっぽいクリリンに尋ねる。
「誰、あれ?」
「チチの専属看護師ですよ」
「ヘェー……なんか想像していたより美人だね。 クールビューティーって感じ?」
「あぁ見えても強ぇぞ。オラなんかあっという間にやられちまった」
悟空が悔しそうに言うが、悟天は大して感心を寄せておらず小馬鹿にするような笑みを浮かべる
「ハハハ、俺や兄ちゃんをKOしたってならともかく悟空じゃあんまり凄くもないよ。 そんなの子供の頃の俺だって簡単にできる事じゃん。
……でもたかが地球人の女性が最弱とはいえサイヤ人の悟空を簡単にKOするなんて普通できないよなぁ」
悟空を史上最弱のサイヤ人として完全に見下し軽蔑している悟天だったが、それでも彼が並の地球人より遥かに強いことは知っている。


ハチが悟空達の元に来ると、先日痛めつけられため悟空が僅かに身を強張らせる。ハチが悟空を睥睨した後にクリリン達に視線を向ける。
「チチとの面会の申請だけど、部外者とその男以外ならいいよ」
「そんな!それじゃ意味ないよ!俺がどれくらい待ったと思ってんの!?」
悟天が抗議の声を上げるが、ハチは冷たく悟天を睨む。
「たかが三十分だろ?数百年は生きる長命なサイヤ人にとって、これっぽちの時間などあってないようなものじゃないか」
「寿命は異なれど、時間は平等に流れゆくものなんだよ。
それから話を逸らさないで、駄目だって言うならちゃんと納得できる理由を述べてよ。 もし言えないなら面会を許してくれるんだよね?」
何処か寒気を催させる冷たく無機質な笑みを浮かべる。その顔は悟飯と似ていた。
人を見透かすような鋭い知的な目つきをした悟飯と、人懐っこく大らかで明るい目つきをした悟天。実は似ている所の少ない兄弟だったが、二人には確かに同じ血が流れている。
ハチが悟天に鋼よりも鋭い眼差しを向けるが、悟天も負けじと睨み返す。
悟天を値踏みし、威圧する眼差しを送るが、そうすることにより彼の実力を悟り、逆に乗っ取られる前に引き返す。
ハチが根負けしたのか、かぶりを振るうと溜息をつく。
「…………チチに関しては政府の機密情報だ。おいそれと話すわけにはいかない。
部外者の同行については、警邏隊の承認を受けているのなら問題はない。 ただし私も同席する事が条件だ」
ハチが喜びに目を輝かせる悟空を拒絶するように冷たく見遣る。
「但しお前は駄目だ。 …理由はよくわかっているだろう?」
「けどあん時は……」
悟空が反論しようとするが、ハチの氷の刃のように鋭く、冷たい瞳と目が合うと、それまで渦巻いていた抗議の言葉が急速に霧散していく。
悟天に誘われた時には、うまくいけばチチにあえると期待していた―悟天はその手の立ち回りがうまいから―のに…これでは来た意味がなくなる。
だがハチと戦っても以前のように軽くあしらわれてお仕舞いだ。彼女を怒らせてチチの見舞いがなくなれば悟天も怒り、何をされるかわかったものではない。
ここは大人しく引き下がり、悟天達を見送る事しか残された道はなかった。
「………わかった。オラ、もう…けぇる」

特別監視房に向かっている道中、悟天がクリリンとハチの後姿を交互に見比べる
クリリンが頬を赤くさせ、どこか瞳を潤ませながらハチを見つめているの事に、悟天が悪戯めいた笑みを浮かべると、気配を絶ち、彼に悟られぬように新しい玩具の耳元に行き、そっと囁く。
「あの子、美人だね。 クリリン、あぁいうタイプが好みだったんだ。なんか意外」
「うわぁっ!?悟天さん!!急に何するんですか、あんたは!?」
言葉よりも急に耳元で息を吹き込むように囁かれた事に驚きながら、発言の主を睨みつける。しかし悟天は面白そうに笑う。
急に大声をあげたクリリンを、ハチが振り返り睨む。クリリンが顔を赤くしたまま悟天を睨むが、悟天は愉しそうにクリリンの反応を見ていたものの、人懐っこい笑顔で何でもない事を手振りで示すと、ハチは不審そうに彼らを見ていたが、二人の様子から悪巧みではないと―悟天は全く信用できないが、何故かクリリンは信用できた―考え、放置する事にした。
ハチが歩き出し、振り返る気配がない事を確認すると悟天が歩くペースを落とし―クリリンも一緒に―ハチから距離をとる。
「一体何のつもりですか、悟天さん!?」
小声ながら強い口調で非難する。
「ん?弟分が意中の女性を見つけたっていうんだからこんな面白い…祝福してあげようと思っただけじゃないか」
本音が流れ出た言葉にクリリンが悟天を睨むが、悟天は意に介さずに更に言葉を続けていく。
「俺、てっきり家庭的なタイプが好みだと思っていたんだけれどね。 まぁ、綺麗だからいいんじゃない、あの人。向こうも満更でもない様子だし…結婚式には是非俺も呼んでね!」
悟天が何を言っているのか理解した途端、クリリンの全身が紅潮する。
蓼食う虫も好き好きにしたって…とか十人十色だから様々な好みがあるんだろうけれどねぇ…等々と失礼な言葉を言われていたが、今のクリリンには聞こえていなかった。
―悟飯さんに劣るものの悟天さんの観察眼は優れている。 ……だからもしかしたら…脈あり?
あんな美人が自分に好意を持つとは思えないものの、それでも額にキスをしてくれた事もある。考えれば考えるほど、他の人間に対する態度よりも柔らかい…かな?と思えてくる。
そこまで考えた途端、悟天の女たらしとしての評判を思い出した途端、ギョッとして全身から血の気が引いていく。その考えを読み取ったのか、悟天がクリリンを安心させるように笑顔を浮かべる。
「大丈夫だよ。俺は美人が好きだけど、あーゆのじゃなくて、チチちゃんみたいに可愛く家庭的なのが好みだから」
「………十歳年下の女に手を出したらロリコンになりますよ。 大事な弟がロリコンだと知ったら、悟飯さんがどんなに嘆く事か……」
呆れたような口調だった。
「チチちゃんはもう大人じゃないか。 それに俺が誰を好きになったとしても、兄ちゃんに文句は言わせないもん。
大体お前達は俺の事を中年というけど、俺はまだ二十代だよ。それを忘れるなよ。それにサイヤ人は150歳までは若者だから、俺はまだ若いの!
全く何でチチちゃんは、あんなマダオの何処に惹かれたんだろう?戦う事と食べる事しか興味がないくせに俺よりも弱い。仕事も出来ない、まるで駄目な男じゃないか…」
―いつもの事ながら毒舌だよなぁ…
悟天は悟空を目の敵にして、事あるごとに蔑むような言動をとっている。
何故悟天が此処まで悟空を…純血サイヤ人であるカカロットを嫌うのか、クリリンには理解できないが


「チチにとって悟天さんはお兄さんのような存在だから、そんな事言っても仕方ありませんよ」
「サイヤ人である俺とチチちゃんにとって十歳なんて年の差と呼ぶほどでもないよ。それに俺はまだ二十代だよ。
本当は兄としてではなく、男として好かれたかったのに……」
「……悟天さん、忘れているようですけど、チチは悟空の許婚ですよ」
悟飯さんが認めたんですからねと釘を刺すように言うと、兄の名が効いたのかそれ以上悟天がこの話題を持ち出す事はなかった。






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