「ドラゴンボール」
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DB 小説 『An ancient song』 ~Trunks side~ 1

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注意
黒ブルマ要素があります。
一部グロテスクな表現があります。
オリジナル設定があります。












オリジナル設定の説明
サイヤ人は約300年生き、150年かけて年老いていく。
















何時のころか分からないほど古く―もしかしたら俺の最初の記憶かもしれない―決して忘れない記憶がある。
とても幸せな気分で暖かく力強い腕に抱きしめられている俺に、誰かが歌を唄ってくれていた。
覚えている限り記憶に該当する声の持ち主はいなく、誰かは思い出せないけれど、俺はその人の事がとても大好きだったことはよく覚えている。
その歌を聴いているだけで、どんなに機嫌が悪くても落ち着いて、安らかな気持ちになっていた。

あの声と腕の持ち主は…誰なのだろう?


俺が物心着く前から世界は人造人間という人の形をした悪魔の玩具として存在していた。
人造人間の襲来も恐ろしかったが、それよりも厄介なのは人間のほうだ。国がなくなり治安が悪化し人心が乱れた事で様々な犯罪が横行していた。
強盗傷害殺人強姦、ありとあらゆる“犯罪”と呼ぶべきものが日常と化していた。
俺は種族の特性ゆえ―サイヤ人は地球人と比べて遥かに早熟で、2~4歳までの間に身体、言語や思考回路などが急速に成長若しくは発達する。そうでなければ星送りなどというシステムは成立しない―二歳になる頃には、飛ぶ事はできないものの、既に自分の身の回りのことができるようになっていた。
三歳くらいまでは人造人間や荒廃した世界ゆえの暴徒から身を守るために、母さんと様々な所を逃げ回っていた。人造人間ならまだしも、自分よりも弱い連中から逃げなければならないのが、酷く悔しかった。

―戦いたい!逃げたくない!!

幼い頃から敵を前にして自分の意に反して逃げ続けるという、戦闘意欲を高められながらも発散する事を許されない状況は過度のストレスとなり、叶えられる事のない戦う事への欲求は身を焦がした。しかし八つ当たりも出来ずに無理矢理封じ込める事で熱いものが全身を駆け巡り、気が狂いそうになった。
そんな時いつもどこからかあの歌が…力強い存在と共に感じた歌声が聞こえてきた。頭に響く声を頼りに正確になぞらえる様に口ずさんでいたら、先程まで理性を焼き焦がそうとしていた破壊衝動は嘘のように消えて、熟睡する事ができた。
発散する事を許されない、高められた戦闘意欲という名の破壊衝動を、あの歌で鎮める。そんな事を一年近く繰り返していた。
ある時俺と母さんのいるシェルターに数人の強盗が入り込んできて、鉢合わせてしまった俺は笑い声と共に手足を撃ち抜かれた。大方すぐに殺すよりも苦しむさまを見て楽しもうという魂胆だろう。よく自らの愉悦のために弱者を狙った猟奇的な殺人があった。その被害者となるのは老人や女子供だ。奴らは俺が“弱者”だと思ってすぐには殺そうとはしなかった。
痛みと共に今まで“あの歌”に鎮められ、抑制されていた破壊衝動が対象物を見つけた事によって喜悦の声を上げた途端爆発し、目の前が真っ赤に染まった。
直後の事は何も思い出せないが、気がついたときには両手足や首を引き千切られ、焼け焦げた人間だった肉片が幾つも散らばっていた。俺自身返り血をべっとりと浴びて、鉄臭い臭いが不快だった。顔を上げると目の前に母さんがいた。
反射的に怒られると身体を強張らせたが、俺の予想とは裏腹に母さんは聖母のように微笑んで、俺の頬を優しく撫でた。

「よくやったわね、トランクス」

抱きしめられた腕の中で、今まで母さんが…身を守るために鍛え、銃火器の扱いだけでなく、格闘術も並の人間より使える、地球人女性の中では強い分類に入る母さんが、俺が物心ついてから逃げ回っていたのはこのためではないかと戦慄した。そして何か棘のようなものが、深くどこかに突き刺さるのを実感した。
悟飯さんが言うには母さんは昔自分で俺や自分の身を守っていたらしい、そして一歳頃の俺は虫も殺せない愚図な子供だったそうだ。そんな俺がこの世界で生き延びる事など…ましてや人造人間に勝つことなど不可能だろう。だから母さんは俺の中に眠るサイヤ人としての側面を強く出させるために、あえて敵を前に逃げ回り、戦闘意欲を刺激させたのではないか。
一瞬理由も分からずに母さんが恐ろしくなったが、すぐに感謝の思いで一杯になった。母さんは俺が生き延びるために必要な心を覚醒させてくれたのだから。

あれから数日もしないうちに、今まで兄代わりでいつも俺と遊んでくれていた悟飯さんと厳しい修行をする事になった。
あまりの厳しさに最初は逃げ出したくなったが、すぐに踏みとどまった。
もう、逃げるのはこりごりだ。逃げはしない。俺はサイヤ人の王様だ。王様は死ぬときまでずっと戦い続けるものだ。
俺はサイヤ人の王族なのだと、母さんは教えてくれた。王は死ぬときまで決して戦いから逃げないのだと、頭の中に響く声は教えてくれる。その言葉を頼りに、サイヤ人の王族の誇りを自分が汚してはならない。だからどんな厳しい修行にも文句一つ言わず、傷だらけになってもすぐに立ち上がって戦った。
そんな俺を見て悟飯さんは何を思ったのか、修行の後には必ず俺に様々な事を教えてくれて、一緒に色んな所へ飛び回った。
草花や大地、海と空、星々のこと。動物や人々の生活について。どれもこれも今までの暮らしでは知る機会のないものばかりだったので純粋に楽しくて、無駄な時間とは分かっていながらもこの時間を修行の次にとても大切にしていた。
ある時、悟飯さんから父さんの話を…サイヤ人の話しを聞かせてもらったことがないのに気付いて、その事を聞いてみた。すると彼は困ったように微笑むばかりだった。

「こんな時代に生まれなかったら、君には全く別の人生も……ブルマさんに刷り込まれた価値観以外のものを自由に…沢山持てたんだろうな…」

とても寂しそうに自分の目を見つけられた時に、始めて人を殺して母さんに微笑まれたときに入り込んだ棘を、この時強く感じた。
母さんは俺を生かすために必要なものを与えてくれる。それでも足りないものは悟飯さんが教えてくれる。これの何が不満なのだろう?
けれど何故か分からないが、何処か寒々した思いを感じた。

母さんが俺に誰かを…父さんを重ねていることは知っている。悟飯さんも母さんほど表立ってはいないが、俺を見る瞳の奥で父さんを見ている。
誰も俺を見ていない。俺の奥にいる父さんを見ていると考えた途端、恐ろしくなってそれ以上考えるのをやめた。それでも恐怖は拭えずに全身が震えた。救いを求めるように数年ぶりに“あの歌”を唄うと恐怖は鎮められ、代わりに湧き上がって来たものは父さんへの思慕、そして母さんや悟飯さんがそこまで慕う父さんへの興味だった。
それ以降、今まで辛く感じた事のない修行が久方振りに辛いものに思えてきて、無理をせずにギブアップや休む事を自分から提案―今まではトランクスの状態を見て、悟飯から言い出すのが常だった―するようになった。
悟飯さんは口ではいろいろと言っていたけれど、瞳の奥に今まで見たことのない安堵の色を浮かべるようになった。

芽吹かなかった種は元から蒔かなかったわけではない。芽吹く絶好の機会を待っているだけ。だから今からでも遅くはないんだ。少しずつでもいいから情緒という名の種を芽吹かしていこう。 …戦う事だけが王様じゃないんだから。

悟飯さんの言葉がとても印象的で、頭が熱く感じると同時に涙をいつまでも流していた。
人造人間を倒すだけが全てではない。奴らを倒した後には…俺達には数百年という長い寿命がある。
悟飯さんや母さんを連れて世界旅行に行こう。今まで見た事も聞いた事もないものを少しでも多く知りたい。母さんは宇宙船を持っている。だから世界旅行の後には三人で惑星ベジータのあった場所に行ってみるのもいいかも知れない。大丈夫、時間はたっぷりある。だって俺達には数百年という気の遠くなるような果てしなく長い時間があるのだから。
“あの歌”を唄うと不思議とそんな気持ちになった。人造人間に勝てるという根拠のない…それでも確信を持つ事ができた。

厳しい修行を毎日しているも人造人間との差は縮まる事はなく、焦りだけでなく無力感に苛まれる。
敵との実力差に本当に自分が強くなっているかも疑わしくなる。気は昔とは比較にならぬ程増している。しかし幾ら強くなっても人造人間に勝つことは出来なかった。
それと共に最近トランクスには気にかかっている事がある。
最近人造人間との戦いで悟飯の傷が増えてきて、つい先日には瀕死の重傷を負わされた。奴らは自分達と戦える貴重な玩具を壊さぬように細心の注意を払いながら遊んでいた。なのに悟飯は傷の度合いが酷くなってきている。それが示す事は唯一つ…奴らが悟飯に飽きかけているということだ。そして悟飯もその事に気づいていながら、どこか受け入れている節がある。恐らくトランクスを超化させるための切欠として、生贄になるつもりだろう。
そんな事は絶対に許さない。悟飯が死ぬ事も、ましてや自分を強くするための踏み台になるなど…。

―このままでは駄目だ!!俺は、もっと強くならなければならないんだ!!

その思いだけでより厳しい修行もした。少しでも悟飯の足手纏いにならないように、いつも守られてばかりでなく、彼を助けられるように頑張ってきた。
しかしどんなに頑張ろうと、悟飯にとってトランクスは戦友ではなく最期まで守るべき存在だったと知ったのは、トランクスが地に伏して冷たくなった悟飯の亡骸を前にした時だった。
何が起きているのか理解できない。目の前にあるものが何かを知ってはならない。
頭は激痛を訴える程警鐘を鳴らしているものの、体はゆっくりと“それ”に近づく。頭の半分はこれが何か理解するのを拒んでいるが、もう半分には分かっていた。そしてそっと囁くのだ

――これは悟飯の死体だ。死体など今まで嫌になるほど見てきたし、自分でも作った事もある。だから見間違えるなんて、ありえない――

その囁きによって全てを理解した瞬間、時が止まった。それは刹那でもあり久遠でもあった。果てしなく短く、果てしなく長い間、トランクスの中では時が止まっていた。
時が動き出した時、彼の全身に今まで感じた事のない感情が、悟飯や人造人間に関する記憶が暴走し、声にならぬ咆哮を上げる。
―――――
全てが真っ赤に染まり、今まで存在自体感じた事のない“何か”が目の前に現れた。
“それ”を手に取った瞬間、瞬く間にトランクスの姿に形成した。“それ”が強大な力を有している事は分かっていた。本能の赴くまま“それ”に歯を突きたて、噛み砕き、食らう。ここで食らわずに引き下がれば、自分の力を制御できずに暴走し、塵も残さず消し飛ぶだけだ。

―生きる!俺は生きるんだ!!

強靭な意志で腹の中で暴れているものを封じ込めようとするが、それをするにはトランクスは弱かった。超化に達するだけの実力にまだ届いてはいなかった。
腹の中から“それ”が手を伸ばし、突き破り顔を出す。トランクスの血で真っ赤に染まった“それ”の顔は悪魔のような笑みを浮かべて、彼を嘲笑し愚弄した。

――これは弱いのに、分相応な力を求めた罰――

“それ”が哄笑した途端、体内の力が暴走し、自爆へと繋がっていく。
恐怖、怒り、憎悪、悲しみ…様々な不の感情が渦巻き、死へのカウントダウンを始める。
せめて感情から、苦痛から逃れたくて、最期の力を振り絞り“あの歌”を唄う。
すると今まで体から流出し消滅していた生命力が元に戻り、暴走していた感情と力は鎮められていく。
歌から逃れるように“それ”がトランクスの中に入る。すると先程の力の暴走により傷つけられた内臓や“それ”が傷つけた傷が一瞬にして完治した。同時に今まで感じた事のない程強い気が体内を巡っている事を実感する。
トランクスは始めて勝利の雄叫びを上げた。
―――――
トランクスの声にならぬ咆哮の後、刹那とも呼ぶべき空白の間を挟んで、トランクスの髪が逆立ち、金色に輝く。母親譲りの水色の瞳がこの世ならざる翡翠の瞳へと変貌した。
直後、許容範囲を大きく超えた力にトランクスが意識を失い、超化が解かれる。


これより悟飯の最期の望み通りに超化を果たせるようになったトランクスだが、あの瞬間何が起きたのかを覚えていなかった。ただ怒りなどが限界点に達した瞬間、“あの歌”が聞こえた事以外、何も。


言い訳
未トラの時代って病んでいても“それが当たり前”という、怖い時代というイメージがあるので、こうした設定になりました。
ブルマに関しては一部、ターミ/ネーターのサラをイメージしました。(身体を鍛えているとか銃火器はお手の物とか、あの辺り。そうでなければ荒廃した未来で二十年近く生き延びるのは不可能だと思ったので)
ブルマはちゃんとトランクスを愛しているけれど、彼を生かすために心を鬼にしているんです。
ベジータを失って更にトランクスまで失うのは耐えられないから、彼を生き延びさせるためなら手段を問わない、というのが当サイトの未来編でのブルマのイメージです。

最後のシーンに関して。
ただ超化させるだけでは物足りないと思ってあのシーンをいれました。超化の切欠の瞬間、何が起きているかは誰にもわからないので、こういうのもありかな?という気持ちで。
強い感情が超化のきっかけとなるんだったら、スーパーサイヤ人って千年に一人の伝説の存在だなんて言われないと思うんです。
超化できるだけの力がなかったら、体が力に耐え切れなくて自爆するって可能性もありですよね?
あれは力を飲み込むか、力に飲み込まれるかという意味です。超化に耐えられるだけの強さがあれば楽に超化できますが、そうでなければ力に乗っ取られて自爆するという…。ホラー要素を少し入れてみたんですが…見事に失敗しました。
何より悟飯が亡くなった頃に超化できるだけの力を得て、あとは切欠だけとは…ちょっとねぇ。だって、ベジータが苦労して手に入れた超化なんだから!!そう簡単にその範囲まではいけないだろう、という思いもあり、こうしたシーンを入れました。
あれはあくまでもトランクスの精神世界のものに近いので、現実に流れている時間は一瞬です。

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