「ドラゴンボール」
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DB 小説 『血の病』1

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注意
時期的には王がフリーザに反旗を翻す数日前です。
オリジナル設定があります。
















オリジナル設定の説明。
サイヤ人は近親婚を行っても平気な遺伝配列をしている。
王家は一万年以上もの間親子兄弟間のみの近親婚を行ってきた。
濃くなりすぎた血の異常で体が腐るという遺伝病がある。これが発病すれば決して助からない。
サイヤ人は約三百年の寿命があり、150歳までは若いままで残りの150年で少しずつ年老いていく。
















その呼び出しがあったのは、突然の事だった。
フリーザ軍の基地にいる際、王から緊急の召還を受けた。
今までになかった事態に王子が疑問に思うものの、本国からの呼び出しゆえにフリーザから小言を貰いつつ、直ちに帰還した。

王の私室の前に立ち、いつもより鋭い眼差しで扉を見つめる。
―一体何の用だ?
それは召還を受けてから今に至るまで、堂々巡りを繰り返し続ける疑問。
養育者が処刑されて以来、二人きりで王と会うことは皆無だった。
実際のところ王子はそれ以前から王と距離をとっていたが、処刑後は更に態度を硬化させて、極力王を避けていたのだ。
王は何度か王子の線引きを超えようとしたが、決して無理強いはしなかった。
王子の頑なで冷ややかな拒絶に、親子という距離を求めることは不可能だと察したのかもしれない。
とにかく、”王命”での呼び出し出なければ、そのまま無視していたのは間違いない程、両者の間は冷え切っていた。
それらの考えを振り払い、王子が扉に手をかざす。
セキュリティが気の波動から王子を認識し、部屋の中にいる主の承認を得てから扉が開いた。
一瞬にして分解された扉を通り抜け、室内に足を踏み入れる。王子が入った直後、分解されたはずの扉は瞬く間に再構築された。
途端、部屋の中に充満する甘い香りに、王子は思わず顔を顰めた。
甘い臭いですらも吐き気と頭痛を訴える体質の王子にとって、部屋の中は耐え難い環境だった。
―さっさと用を済ませて、こんなところ出て行ってやる。
一瞬湧いた形ない疑問も、その思いを前に霧散していく。
そうして一刻も早く目的を達成すべく、自分を呼び出した男の姿を目で探り、その姿を認めた。
いつも通り誇り高きサイヤ人の王に相応しい貫禄を当然の如く纏った王は、深く椅子に腰掛けて王子を睥睨していた。
ふてぶてしい印象の強い姿に、王子の苛立ちは更に増幅された。
「おい、貴様。 一体何の用で俺を呼び出した」
母星に帰還する際にフリーザや腰巾着共から聞き流すのに胆力を要する小言や皮肉を言われた経緯があるため、自然と王を睨みながら刺々しい口調になった。
しかし王はそんな子供の反応が面白いのか、クツクツ笑う。
「ベジータ王子、そう逸るな」
王の余裕に満ちた態度は王子にとっては無力で無知な子供扱いされているようで、余計に癪に障るものだった。
苛立ちと憤りと少しの敵意を篭めて、視線に乗せる。
それらを一身に受けても、王は幼子の反抗など意に介さないのか僅かな動揺すら起こさなかった。
変わらぬ王の態度と眼差しに、今の状況こそが子供だといわれているのを察した王子が渋々牙を収める。
それを見計らった王が口を開く。
「王子。忙しい中お前を呼び出したのは、他でもない。
……どうしても見せたきものがあるのだ」
真摯な言葉にベジータの眉間に皺が寄った。
以前似たような事を言われて呼び出された際には、閨の技術に纏わる映像などを見せられたことがある。
それを思い出しただけでも腹立たしくなってきた。
「また下らないものだったら、今度こそ貴様を生殖不能にしてやるぞ」
言いながらそれはないとわかっていた。
そんな”下らない”理由で王命を使い、わざわざフリーザ軍から自分を連れ戻す程、目の前にいる男は愚かではない。
「安心せよ。そのような遊び、今日は用意しておらん」
穏やかな笑みを湛えて、王子の元に歩み寄るとその頭に手を伸ばすが、王子は反射的にその手を勢いよく払い除けた。
我が子の拒絶に父王はいつもの事ばかりに傷ついた素振りを見せずに、再び椅子に腰掛けた。
「王子。これはお前にも深く関係していることだから、よく見て記憶に叩き込め」
その言葉と同時に、たっぷり布のある裾を捲る。
そこにあったのは健康的な筋肉質の腕ではなく、どす黒く変色し、爛れ、腐り果てた腕だった。
あまりの出来事に王子が思わず後ずさり、驚愕の面持ちで王を見遣った。
心臓が激しく脈打ち、目の前の変わり果てた父王の腕と顔を凝視する。
戦場で様々な凄惨な光景を目にして、また凄惨な光景も自ら作り出していた。しかし、身近な人間のただならぬ変貌を目にしては、今までの経験など役に立たなかった。
不覚にも、他人の前で年相応の幼子のように驚き、動揺する失態を晒してしまった。
”殺戮王子”と内外から恐れられる王子の常にない姿に、王は内心目を瞠る。
これでも目の前にいる王子は子供だったのだと、思い直すにはその姿は十分だった。
「驚いたか。 儂はあと二ヶ月も生きられぬと典医が申していた」
自嘲するように薄く笑った。
「……なんだ、これは?」
王の声に我に返った王子が平静を取り戻し、やや掠れた声を発する。
未だ驚きと若干の怯えを滲ませた王子の言葉に、王が自嘲する。
「これは王族特有の遺伝病よ。一度発病すれば、遺伝子は瞬く間に暴走し、健康な肉全てが腐り果てる。
……治療法の存在しない、不治の病だ」
言葉を区切り、数えるほどしか見せた事のない我が子を思う真摯な父親の眼差しで王子を見つめる。
「王子、よく覚えて覚悟するがいい。
お前にも王家の……一万年以上にも渡る近親婚の末の濃すぎる血が流れている。 一代限り別の血を入れたとしても、それは僅かに薄めた程度にしかすぎん。
……この病からは逃れる事は出来ぬのだ。
お前もいつかこのように体が腐る。それが明日か数百年後かはわからぬが……。この病、腐食病は必ず発病する」
普段なら一蹴する内容でも、目の前で腐りゆく”父”の体を前に否定はできなかった。
いつか自分もこのように体が腐り、死に絶えることなど耐えられない。
彼の養育者の死と共にフリーザを始末すると誓った。それを成し遂げられないまま……?
腐りかけた腕を凝視したまま絶句する王子の姿に、普段見る事のない年相応の姿を見つける。
せめて、王子の腐食病の発病が少しで遅い事を祈るのみだ。
「香を焚き、腐臭を隠し通しているが……この甘ったるい臭いには閉口させられる」
王が眉を顰めて、忌々しそうに言い放った。
そこで部屋に入った時に浮かんだ疑問の答えが分った。
血の濃度故に王と王子は肌の色以外の姿だけでなく、体質も同じだ。そして両者とも甘いものに酷い拒絶反応を引き起こす体質だった。
「……逃れる術はないのか?」
一縷の希望を求めての言葉に、王は緩やかに首を振った。
「残念だが、それは不可能だ。
遺伝子の異常が起きていない時点で不老不死にでもならぬ限り、この病からは決して逃れることは出来ん」
――不老不死――
王が何気なく口にしたその言葉が、後のベジータに多大な影響を与えることになる。

「……このまま腐り果て死んでゆくのはサイヤ人の王として、何としても避けなければなるまいな…。 成すべき事を成さねば、死んでも死に切れぬわ」
部屋を立ち去る前に聞こえた王の言葉の真意を、この時のベジータは気付くことはなかった。

強大な戦闘能力と引き替えに命を大きく削り、宇宙では平均を大きく下回る寿命しかないサイヤ人。
たかが300年程度であの脅威的な力を持つフリーザを殺せるのか?そして伝説のスーパーサイヤ人になれるのか?
寿命は長いに越した事はない。戦い続けられるように若い体であった方がいい。
そして王族の血の業から逃れるためには不老不死しかない。
それが不老不死を願った理由。









言い訳
この程度ではグロテスクのうちに入らないと思ったので、注意書きしませんでした。

2012/2/26 小説へ移行
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