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DB 小説 『電話の応対』 2

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注意
悟天→トランクス→ベジータ前提です
黒悟天要素があります。
サイヤ人はテレパシー能力を持っています。
悟天が悟空を嫌っています




















勝手を知る自分の部屋の如くくつろいで、トランクスの了承も得ずにチャンネルを変えていく。
バラエティ、ドラマ、ニュース、映画、アニメ…
悟天のテレビとは比べ物にならないほどの数のチャンネルを素早く変えていく。
パオズ山という秘境に近い辺境の田舎では、チャンネル数も殆どない。だからこそ、悟天がトランクスの部屋に入り浸り、テレビを見るのは子供の頃からの習慣だった。
無作為にチャンネルを変えている中で、僅かに興味ある内容が流れているのを見て取って、手を止める。
トランクスが手を止めた悟天を見た後に、テレビに視線を向ける。
「………悟天。まさか、お前……」
「いやだな、俺は犯罪には絶対に加担しないよ」
それは振り込め詐欺の手口や、被害者、加害者の証言などを集めた番組だった。
「…まだ何も言ってないだろ?」
「言わなくても、君の目が言いたい事を物語っているもん。 大体俺達、生まれた時からの付き合いだよ。目だけで何を言いたいかわかって当然じゃないか」
「…ヘェー……」
「君の反応が物凄く気になるけれど、あえて突っ込まないでおくよ。
それよりも、最近多いみたいだね」
言葉の途中でテレビに向けて、顎をしゃくった。
トランクスが親友からテレビに視線を向ける。
今は、振り込め詐欺の手口が詳細に紹介されていた。
「こんなのに引っかかる奴が馬鹿なんだ」
一顧だにせずに冷ややかに切り捨てる。
「冷たいね、君。 まぁ、そんなところがトランクス君の魅力の一つだよ」
「やめろ!寒気が走る!!」
鳥肌を立て、身を守るように両腕を抱えたまま、悟天から身を遠ざける。
―…そんなに嫌なのかな、ウインクが。
トランクスは自分の事は棚に上げて、父親と同じく潔癖なところがある。だから同性同士の恋愛ごとは酷く嫌っていた。
悟天に関しては子供の頃から”そういう人間”だと思われているが、もしこれが赤の他人だったら一生口を利いてくれないだろう。
すぐに思考を切り替えて、別の事柄を口にする。その切り替えの速さが悟天の長所であり、短所だった。
「そういや、俺のところにもこれと同じなのがきたよ」
「ヘェー、どんな?」
悟天が用意した逃げ道に、トランクスはすぐに飛び込んだ。
「父さんが電車で痴漢したから、慰謝料と示談金を払えば事を荒げないっていうの」
「ハッ、お前のところ貧乏だろう?払える額なんて高が知れてるじゃないか」
「……幾ら俺でも傷つくんだけど?」
実際貧乏であるのは本当のことだし、世界一の富豪のトランクスならどんな名家でも貧乏になる。それに世が世なら惑星の王様で、下級戦士など貧乏どころか口を効くことすらない存在だ。だからあまり怒る気はしない。
他の人間が今のトランクスと同じように口にしたのなら、決して許しはしないが。
「そもそも、一般的にはそう思われてないもん。 サタンさんってあれでも超有名人だからね。その家族である俺達も金持ちだと思われているみたい」
世間ではサタンの親族という事で贅沢三昧の生活をしていると思われているが、現実は違う。祖父からの仕送りを頼りに生活をしていた時期もあるし、借金して食いつないでいた時期もある。
富豪とは無縁の、貧乏に近い生活。数少ない収入の殆どは食費に消えてゆき、ギリギリの生活だった。
大好きな母親が家系のやりくりと借金で悩み苦しんでいる姿を見て、悟天は家計の負担にならぬように大好きな母の料理を食べる量を制限して、少しでも家計の足しになるように危険だが高額のバイトを幾つも掛け持ちするようになった。
そんな悟天にとって、借金を増やす原因というべき悟空はどうしても許せなかった。

「フーン、そういうものか? そんなことより、お前は何て答えたんだ?」
「何年も家族を放り出すだけでなく、稼いでこないマダオなんて俺の父さんじゃないので、刑務所にぶち込むなり、何なりとしてくださいって冷酷に行ってから電話を切ってやったよ」
本当はもっと過激な事を口にしたがわざわざ言う必要はない。
ケラケラ無邪気に笑いながら答える悟天に、トランクスが頬を引き攣らせる。
「うわぁ…。毒舌だな」
―この程度で「毒舌」だなんて、トランクス君って純粋だなぁ。 そんなところも好きだけどね。
トランクスが知ったら、この場から追い出されるようなことを考えているなど思わせないような幼い素振りを見せる。
「だって、事実だもん。 俺、ずっと母さんと兄ちゃんとピッコロさんに育てられたようなもんだし!! あのマダオはただ母さんに種付けしただけじゃないか。
しかも、七年間死んでいて、いなかったもん! 生き返ってからも尊敬できる父親じゃなかったし!!」
悟空が生き返るまでは、大切な人々が立派だったと語る父親に夢を抱いていた。
誰もが自分と父親とを重ねる事はコンプレックスだったが、それでも誰よりも強かった―これについてはトランクスと何度も喧嘩した―父親を尊敬し、彼と瓜二つであることを誇りに思う時期も、確かに存在していた。
だから悟空が生き返った時は純粋に嬉しかったし、もうこの世にいられないと知った時はとても悲しかった。あの時はヒュージョンを教えてくれた、立派な師匠だった。超化3の脅威的な力、今まで知りえなかった事を教えてくれた、文句のつけようがない素晴らしく完璧な存在だった。
もしあそこで終わっていたら、一生父親を理想として、トランクスのベジータ崇拝に近いくらい―越えてはならないところを越えた変態には絶対にならないけれど―慕っていただろう。
ブゥ戦時の悟空は、それぐらい格好よすぎるほど格好よかった。
けれど、現実は当時の彼には幸せで、今の彼には不幸だった。
家族揃っての生活が始まった当初はひたすら嬉しくて、悟空にべったりだった。だが、修行で家には殆ど寄り付かず、食事と寝るために返ってくるような生活を繰り返す悟空に、激しく憤った。
父親というのは家族と共にいるものではないのか?少なくとも、母親を泣かせるものではない。
当時の悟天の知る家族はベジータ達とクリリン達と近所というようにごく限られていたが、少なくとも彼らは妻を泣かせていない。
悟空が生き返った事により家計が苦しくなったことも相俟って、悟天の中で悟空は三人生活の中に入り込んできた異物として認識された。
今まで夢を見ていた分、現実との落差に絶望し、落胆し、憤慨した。
好きだった反動以上に裏切られたことで、より嫌いになった。
「だから俺にとっては父さんはただのそっくりさん! 兄ちゃんとピッコロさんの方がまだ”父さん”だよ」
悟天にとって”父親”はこの二人だけだった。

苦笑するトランクスを尻目に、悟天は髪を弄くりながら、親友を横目で見る。
「ねぇ、俺にばっかり話させるなんて不公平じゃない?」
「はぁ?」
思わず声を上げて、お前が勝手にベラベラ喋り始めたんだろうがとやや強気に言い返した。
だが、悟天はトランクスの言葉を完全に無視して、身を乗り出してトランクスに詰め寄る。
「次はトランクスの番だよ。 ねぇ、君のところはどういうのが来るの? 色々と来ているんじゃないのか?」
トランクスが僅かに眉を顰めて、悟天を見つめる。
暫くの間口を閉ざしていたが、重々しく口を開いた。
「……一番多いのは、ブラが傷害事件及び器物損壊事件を引き起こしたから、治療費と賠償費を払えと言うものだ」
「うわっ! そうやってありえる内容を持ち込まれたら大変じゃないか。 断っても本当の事だったら、一大事だよ。それ!!」
「馬鹿!そんなもの声の調子で分る」
「声?」
「本当の事だったら、恐怖で震えてかすれているんだ。 その現場を見た奴なら支離滅裂な事を言うぜ」
得意げに口角を上げたトランクスに、悟天がこめかみに一筋の汗を流す。
―まぁ、魔女の破壊現場を見たら、一般人の神経では耐えられないだろうね。
何故かわからないが、ブラは悟天達の同年代の頃とは比較にならない強さを持っている。
例えトランクスと悟天がヒュージョンして、超化3になっても、彼女に勝てる自信は…皆無だ。
それぐらい、ブラは脅威的な力を持っている。
そして彼女の最も厄介なところは、強大な力を持て余しているだけでなく、身内や認めた者以外の人間を全て見下し、人間扱いしない事にあった。
ブラは幼少期に強大な力を制御できず、何度もエネルギーを暴走させた。そのたびに心無い人間達に”化け物”と恐れられ、蔑まれ、精神的に酷い虐めにあった。
自分ではどうしようもない問題で化け物とされ、人間扱いされなかった怨み。自分より弱い存在に蔑まれた憎しみ。
地球人への嫌悪と憎悪によって、地球人蔑視とサイヤ人至上主義が彼女の中で形成された。
悟天にとって、それらは決して他人事ではなかった。自分達も恐怖と迫害の対象になりえたかもしれないのだ。
だから悟天は、世間の害意の犠牲になったブラに同情と哀れみを抱いていた。
とはいっても、自分の力に耐えられるという理由で、散々弄ばれたので”魔女”として畏れてしまうのだけれど……。

「勿論、本当かどうかを確認するぞ」
「フーン…。どうやって?」
「ブラとのテレパシーで、本人に確かめれば確実だ」
以前携帯電話で連絡を取ろうとしていたが、その時は電源が切られていた。
咄嗟にテレパシーを試みて事情を聞けば、詐欺の電話が来る数十分も前からしつこい無言電話が数え切れないほどきたので、電源を切っていたそうだ。
最近の手口には狙った相手の情報を下調べするという用意周到なものもあり、確認が取れないように施された妨害工作だった。
そんなことがあったので、今度からはテレパシーで確認するという方法が自然と決まった。
これならば地球人に妨害する術はなく、素早く確実に相手に確かめられる。
「それで相手が嘘をついていたら音声を録音し、逆探知を仕掛けて、社会的に抹殺するんだ」
「そこまでする? 無視してあげればいいのに」
「家族の名誉を貶す奴を野放しには出来ん。 いいか、悟天。敵は徹底的に滅ぼし、全て根絶やしにするのが基本だぞ」
サイヤ人の王に相応しい顔で、力強く断言する。
「………さようで」
答える言葉も見つからず、それだけを口にした。
暫しの沈黙が部屋の中を流れる。それを破ったのはトランクスだった。
「…いくら力の有り余った独裁政権の女帝まっしぐらなブラでも、何の理由も目的もなく人を傷つける馬鹿じゃないから、殆どは嘘の電話だ。
……それだけ、あいつを誤解している馬鹿が大勢いるってことだ」
忌々しそうに吐き捨てられた言葉が、悟天の胸に深く突き刺さった。
それは世間に向けられた言葉であっても、”ブラ”という人間でなく”魔女”として恐れている人々に対する憤りが篭められていた。




言い訳
この話には続きがあるのですが、あまりにもトランクスがベジータに対して変態一直線になっていて、トランクスの全てを受け入れている悟天にさえ引かれる内容になるので、いつか裏に掲載します。


2011/9/26 小説へ移行
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