未完

DB 未完 『王子の支配者 ~写真を巡る騒動~』1

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注意
『王子の支配者』という題からわかるように、ベジータ総受けの話になります。















「貴様、勝手に人の妻を!!自分の妻をやりゃーいいだろ!!チチの乳の写真を!!」
「い、いや、あいつプリプリじゃねぇし…こ、殺されちまうよ…」
ベジータの凄まじい剣幕に悟空が及び腰になりながらも、キッパリと拒絶する。
自分の妻をあのボケたエロジジイ界王神様に差し出すのは、絶対に嫌だ。
その思いは一切口に出さずに、怒り狂うベジータを驚きながら見つめる。
悟空の中のベジータは間違ってもこんな事は絶対口にしなかった。それほど7年という年月は彼を大きく変えたのだろう。
その事実に喜びと不満が湧き上がる。
理由は分らないが、変わったベジータと変えたブルマに憤りを覚える。
それを嫉妬と呼ぶのだということを、その感情に無縁だった悟空にはわからなかった。

悟空がベジータを観察するようにまじまじと見つめる。その視線に彼が訝しみ、鋭い眼差しで睨み返す。
悟空の視線に、何か碌でもない理由が篭められているような…嫌な予感を覚えた。
警戒して身構えるベジータの肩を悟空がガシッ!と強く掴み、逃げられぬように拘束する。
「貴様、何しやがる!?」
「……おめえ、やっぱり色っぽいなぁ。 この際ブルマの写真じゃなくて、おめぇの写真でもいいや」
間近に顔を近づられて、飛び出した爆弾発言に、一瞬何を言われたのか意味を計りかねた。
だが彼の聡明な頭脳は現実逃避や混乱を引き起こすことなく、言葉の意味を突きつける。
「……バカロット。貴様、自分で何を言っているのかわかっているのか?」
凍えるような低い声で憎たらしい下級戦士を恫喝する。
だが、悟空は何事もないようにベジータの耳に顔を近づける。
「おめぇ、ブルマを差し出すより自分が犠牲になろうとは思わねぇのか? それじゃ、到底愛妻家とは言えねぇぞ」
非常識極まりない言葉に、ベジータの額に青筋が立ち、眦を決する。
この男にだけは、こんな事を言われたくなかった。
「くそったれ!! 今すぐ貴様を殺してやる!!!」
「ちょ、ちょっと待て!ブゥが……」
「知るかっ!!」
怒声を合図に、激しい戦いが繰り広げられる。
持てる全てを尽くしてバカロット悟空を攻撃するが、悟空はのらりくらりとかわしていく。
それが更にベジータを苛立たせ、彼の内で激しく渦巻く怒りを増大させた。
―殺すっ!!この馬鹿を絶対殺してやる!!
強烈過ぎる思いが、彼の心を占領していた。

「ご、御覧なさい!!粉々になった魔人ブゥが元に戻りますよ!!」
「え!?」
その言葉と共に、とりあえず写真を巡る騒動は一時休戦になる。

ブゥを倒し終えて、ナメック星のドラゴンボールで甦った地球に戻る前に、悟空がベジータを一心に見つめる。
先程の戦いでも思ったが、この七年という年月の間にベジータは大きく変わった。
人間としての魅力が増したというのか、しっとりとした大人の色香を漂わせている。
常にC.C邸内にいるためにか、最後に会った時よりも色白になっていた。それがより彼を艶かしくしていた。
先程の写真の話は本の冗談であり、変わってしまったベジータへのからかいから。決して本気ではなかったが、彼のエッチな写真もいいと思い始めていた。
但しそれを話すのは後だ。今この場で口に出せば、また収拾がつかなくなる。
限界以上の力を出し切って疲れている中、戦いたいとは思わない。
どうせ戦うのなら、万全の状態に限る。
―じゃあ、一週間後にでも界王神のじっちゃんに提案してみっか。
意味深な笑みを浮かべる悟空を、悟飯がじっと見つめていた。

ブゥとの戦いによって荒れ果ててしまった界王神界を、界王神がたったひとりで修繕に奔走していた。
戦士達が帰ってから今に至るまで粉骨砕身働き詰めの彼が、寝転がったまま釣りをしている先祖を殺意の篭った目で恨めしそうに睨む。
か弱い老人を働かせ、老骨に鞭を打たせるような薄情な子孫を持った覚えはないっ!!と一喝されてから、ひたすら世界を回復させるために奔走していた。
―……いっそ、この色ボケたオイボレを始末した方が、世界や女性の方々の平和の為にいいかもしれませんね……。
そんな考えが、何度も何度も数え切れぬほど彼の頭の中を堂々巡りしていた。
呑気に寝転がり、鼻くそをほじくりながら釣りをしている老界王神の姿を見ていると、魚の餌になれと突き落としたくなる衝動に駆られた。
しかし老界王神は、子孫の殺意と恨みと憎悪に一切気付かずに、気の抜けた様子で大きく欠伸をする。
「ふあぁぁ~……暇、じゃなぁ……。 なーんにもすることがなくて退屈じゃ……」
甦って以来、水晶球は子孫に取り上げられ、界王神界に閉じ込められていた。
宇宙のギャルとウハウハしたかったのに、今同じ世界にいるのは男一人。
全く以って、つまらない。
身近にピチピチでプリプリのギャルがおらず、外部からの接触も完全に断たれたこの状況は、拷問に等しかった。
「…何でもいいから、面白いことはないかのー……?」
言い終えると同時に周りの空気が急に凍えた錯覚を覚えたが、気のせいだろう。
寝ぼけ眼で釣竿を見下ろす。
目下の楽しみといえば、巨大魚をどれだけ釣り上げるか。それだけだった。
そうこうしているうちに竿に力がかかる。

「おぉ!!来た来た来たキタアァァーーー!! これはとんでもない大物じゃ!」
引きずり込まれないように懸命に足を踏ん張る。それでも巨大魚の怪力は凄まじく、老界王神の体がどんどん湖に引き摺られていく。
これほどの大物が釣れることなど、長い人生の間でもそうあるものではない。
逃がしてなるものかとばかりに、更に力を込める。
だが、時間が経つにつれて、次第に劣勢に追いやられる。
―絶対に、釣り上げるんじゃぁ!!
背後に子孫の気配を感じ取り、巨大魚と対峙しながら大声を上げる。
「おい!!そこのお前!! 何をしている!!早く手伝わんか!!」
呼ばれて界王神が怒りに拳を震わせるが、にこやかな笑顔を貼り付けたまま先祖の元に向う。

長い攻防の末、巨大魚が疲れてきたのか抵抗が弱まる。
それを読み取り、老界王神の目がカッと大きく見開かれる。
「今じゃあー!!」
勢いよく竿を回そうとした、その瞬間。
「よっ!」
眼前に悟空が突如現れた。
一瞬時が止まり、力の抜けてしまった老界王神が巨大魚に引き摺られるまま湖に落ちたのを見て、界王神がほくそえむ。
―そのまま魚の餌になって、二度と私の前に姿を現すな。
そんな思いは微塵も出さずに、にこやかに悟空に話しかける。
「悟空さん、お久し振りです」
界王神のやけに上機嫌な表情の中に、どす黒いものを感じ取り、悟空が思わずひいた。
「…お、おう……」
「それで、何の御用ですか?」
「界王神のじっちゃんに大事な話があったんだが……」
「それは残念ですね。 ご先祖様はつい先程巨大魚の餌になってしまわれました……」
「えぇ!?」
「私でよろしければお話を窺いますよ?」
「…おめぇが……? …………やっぱ、いいや。オラ、じっちゃんに話しをしに来たんだ」
「どういうことですか、それは? あの非常識極まりない色ボケたジジイが私よりも頼りになると言いたいんですか?」
「そういうわけじゃねぇけど……」
ばしゃばしゃという水音に二人が湖を見下ろす。
ゾンビのようにのろのろと這い出た老界王神の姿に、界王神が舌打ちをする。

「界王神のじっちゃん。例の写真のことなんだけど……」
「おぉ!!待っておったぞ!! それで、約束の写真を持ってきたんじゃな?」
興奮で鼻息を荒くして、嬉々と尋ねる。
「…そのことなんだが、別の写真で構わねぇか?」
「何を言う!?おぬしが最初に言い出したことじゃろう!!」
約束と違うと、悟空の襟首を掴んで怒鳴り散らす。
悟空が老界王神の肩をガシッと強く掴み、まじまじと彼の目を見つめる。
「いや、ブルマよりも色っぽい奴の写真なんだ!! 絶対後悔や損はさせねぇ!!」
「………それは本当じゃろうな?」
疑惑に満ちた眼差しを目の前のサイヤ人に向ける。
特上級のピチピチでプリプリのギャルなら別に構わないが、あれほどの女はそういないと長年の勘が告げていた。
悟空が力強く頷く。
その目は嘘をついている者の目ではなかった。
老界王神が少し考えを巡らせた後、悟空から手を放して詰問する。
「で、それはどんな女子じゃ?」
途端、悟空の目が宙を泳ぎ始めた。
老界王神の目が細くなり、鋭さを増す。
「……純血のサイヤ人だ。年はオラとそう変わらねぇ」
「確かに純血サイヤ人は類稀な美女揃いじゃったが、もう純血種は男を除いて滅んだはずじゃぞ」
脳裏に在りし日の純血サイヤ人の女達の姿が浮かぶ。
均整よくバランスのとれたそれは他の民族が持ち得ない肉体美。
宇宙に数多く存在する人型種族の中でも上級に値するほど、その顔立ちも整っていた。
…言ってみればサイヤ人は男女共に地球で言う不細工は殆どいなかった。
「本当にその女子は純血のサイヤ人か? まさか地獄から連れてくるというんじゃなかろうな?」
「……………」
「……………」
「おい、なんとか言わんか?」
「じっちゃん! ベジータの写真で手を打たねぇか?」
「馬鹿言うなっ!! わしゃあ男なんぞに興味はないわ!!」
「そんな勿体無いこと言うなよー!水晶球であいつの体を見てみろよ。 そんじょそこらの女よりよっぽど艶と色気があるぜ!!」
「ふざけるなっ!! 男なぞに感じるほど、わしゃあ耄碌しておらん!!」
老界王神が喚きたてるが、それらは全て耳から抜けていた。
悟空の中では、最早ベジータの写真を渡すことが決定していた。
ブルマを敵に回せば命はないが、ベジータなら大丈夫だと言う思いがあったから。
しかし、その考えが、その行為がどれほど恐ろしく、危険に満ちているかを…悟空は年月の重みと、ベジータと言う人物を過小評価しすぎていた。
これは騒動の始まりの、ほんの一幕。

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