「聖剣伝説」
聖剣伝説3(HOM)

聖剣伝説HOM 小説 『出会い』1

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注意
オリジナル設定があります。
こちらの設定を使っているので、まず一読してください。
サンドアローの両親という、オリキャラのみの話になります。(父親の方はまだ出ませんが)
3は2の遥か未来の世界という大前提があります。
















いつの頃か定かではないが、東から流れてきた移民が砂漠に要塞を築き、不可思議な力を用いて要塞周辺を自然豊かな大地に変貌させた。しかしそれも長い年月によって失われ、今では”楽園”と呼ばれた自然は存在せず、砂だけが要塞を覆っている。
その要塞はナバールと呼ばれ、8つに分れた神獣による戦乱で、砂漠の国家が瓦解した後、砂漠に君臨している。

オアシスの都ディーン。
遥か遠い昔、この地が”カッカラ王国”と呼ばれていた時代から栄えている都市。その歴史は古く、一説ではマナの要塞が作られた時代から存在していたと言うが、その真偽は定かではない。
今では嘗ての繁栄は陰り、港町サルタンの方が活気に満ちていた。
砂漠の都ゆえに風が吹くたびに砂塵が舞い、砂粒が至る所に付着する。
オアシスの近くにある都なので、普段はここまで砂塵が舞うことはない。しかしジンの日は風に乗って遠くから運ばれてきた砂がディーンに舞う。だからこの日は町に行き交う者は皆、砂が気管に入らぬように口元に防砂布を巻いていた。

多くの人間で賑わう雑踏の中、一人の女性が人の波を縫うように歩を進めていた。
吹き付ける砂塵によってくすんでしまっているが、白銀の髪と切れ長の淡い金の瞳をしている。
目元以外は、布に覆われているので顔立ちは分らないが、その眼光は鋭く、見るものに勝気で男勝りな印象を与える。
機能性を重視した服から覗くのは艶やかな褐色の肌。腰に提げているダガー以外にも、外から見て分らないが服の至る所に暗器が仕込まれていた。
その肢体はしなやかで、すらりと長い手足は猫を髣髴とさせる。体は細く引き締まっており、女がただの町娘でなく、戦士だと示している。
彼女…シルフはナバール最大の機密事項である血統者の末裔だ。
嘗て命辛々砂漠に逃れた彼らは純血種のみだった。しかし狭い同族の血のみでの婚姻を繰り返すうちに滅びの兆しが現れ始めた。衰退から逃れるため彼らは他民族の血を自らの中に取り込んでいた。
その試みにより滅亡は免れたが、血を薄めた事により大幅に弱体化してしまった。そのため大規模な環境改造は不可能となり、”楽園”は消滅した。
もうこれ以上血を薄めないために遠い昔から血統者は同族のみの婚姻を絶対としており、血の濃度が釣りあう者との婚姻を推奨している。
そうして、今のナバールが出来上がった。

ナバールは砂漠に君臨している軍事国家として広く知られており、様々な集団があるが、その中で有名なのは忍者の集団。
その中で彼女の仕事は主に都市の偵察と、砂漠の治安を守る職種だ。
情報がなければ治安を守ることが出来ない。それゆえいつも周囲の噂話や有益な情報を聞き逃さぬように、神経を集中させるのが習慣だ。
街中には様々な情報が溢れている。
「蛇王団だが、この数日出没していない…」
「お客さん、そりゃないよ。それじゃこっちが丸損…」
「灼熱の砂漠だけど、最近あそこで化け物を…」
「まぁ、奴らが出現しない方が…」
「どうせ元値はこれの半分だろう?だったら…」
「そりゃ本当かい!?それじゃ、あの付近を…」
「悪辣な略奪集団だからな、蛇王団は…」
「ふざけるなっ!!俺達は命懸けで商売して…」
「灼熱の砂漠以外は蛇王団が出没しない…」
視覚、聴覚による情報だけでなく、”気”からも情報を収集する。
血の薄いシルフでは気から得られる情報はごく僅かに限られているが、その親和度と精度を上げるための訓練を誰よりも励んでいた。

馴染みの居酒屋兼宿屋の扉をくぐる。いつもは繁盛しているのに、今日は客入りが悪かった。
それまで顔を覆っていた布を外しながら、カウンターを目指す。
漸く明らかにされた素顔は非常に整っており、誰もが認める美女だった。

ここの店主はその道に名の知れた情報屋だ。
四十代そこそこの冴えない風貌をしているが、裏社会では名の知らぬ者はいない程の逸材だ。
ゴミだと思われていた情報が、何時黄金に化けるか分らない。情報を精するものが世界を制する、という信念を持っている。
彼女はその信念だけは気にいっていた。

シルフが慣れた様子でカウンター席に腰を降ろすと、それまで他の客と雑談していた店主が慌てて彼女の元に向う。その様子はどこか滑稽だったが、それだけ彼女への思いを窺い知ることが出来た。
「よっ!シルフ!! いつ会っても美人だな!」
シルフが頬杖をついて色っぽく笑う。意中の相手の笑みに店主が顔を赤らめる。
いつもと代わり映えしないやり取りを終えた後に、彼女が誰にも気付かれないように静かに大きく息をつく。
情欲を滲ませた目を向けられるたびに辟易する。
好きでもない男に好意を向けられるのは、いい気分ではない。
シルフがげんんりしてるのを見てみぬ振りして、店主が年代物のウィスキーをグラスに注ぐ。
彼女の目が大きく見開かれる。
「こんな高いものを出されても、金は払えないよ」
「これは俺の奢りだから気にしないでくれ」
―気にするな、だって?
心中で毒づくが、言葉として出されない。
吐き出す事を許されない、逃げ道のない想いは彼女の中で駆け巡ってゆく。
この男の下心に満ちた気は不愉快極まりない。
極力店主と会いたくないのが本音だ。けれどこの男の持つ情報網を失うのは惜し過ぎる。
「なぁ、シルフ。今日こそは…」
「それよりも蛇王団について聞きたいことがあるの」
店主の言葉を途中で遮り、愛想笑いを貼り付けたまま問いかける。
蛇王団。砂漠に住むものならば、その名を知らぬものはいない悪辣極まりない略奪集団だ。
砂漠の遺跡に根城を持つ傭兵崩れの盗賊団で、様々な都市や集落、行商を襲い、金品や人間も全てを根こそぎ奪っていく。
連れ去られた人間達の末路は悲惨極まるものだ。
バイゼルのブラックマーケットとも深い繋がりがあり、他国の貴族は富豪、商人とも癒着関係にあるという。
あまりの暴虐ぶりに漸くナバールの上層部が重い腰を上げ、蛇王団を討伐しようとした矢先だった。
「蛇王団?」
「そう。この数日、蛇王団が出没してないみたいなんだ。 今までそんなことなかったし…何か理由があるんじゃない?」
鋭い眼差しで、店主の目を射抜き問いかける。強い眼光に彼が息を呑む。





言い訳
シルフは雰囲気と髪の色を除けば、ホークアイと瓜二つというイメージです。(性格は違いますが…)

2011/7/30 小説へ移行
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