未完

聖剣伝説2 未完 『祝福』

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注意
シーク・ファウナッハ色が強いです。
オリジナル設定があります。
こちらの設定を使っていますので、まずはこちらをお読みください。
















オリジナル設定の説明
タナトスという例外はあるものの、四天王になれるのは貴族の血筋だけです。















舞台設定
シーク…18。ファウナッハ…16。ゲシュタール…14。タナトス…不明。














「ファウナッハ。 君の誕生日はいつだ?」
宝石の如き瑠璃を髪と瞳に宿した同僚の問いに、薔薇色の髪を持つ女は深紅の瞳を見開かせた。
彼の問いに答えられずに、双方の間に沈黙が流れる。

帝国は故郷と異なり、誕生日に年を重ねて生まれた事を祝福し、感謝する習慣だ。だから同僚でもあり、特別な想いを寄せる女性の誕生日を祝いたくて、内心緊張しながらも尋ねた。
だが、答えはなく沈黙のみが返ってきた。
彼女から伝わるのは、困惑と動揺の気。
何故だろう?私はただ、誕生日を聞いただけだ。
玲瓏な美貌を持つ青年シークが、戸惑ったように目の前の女性を見つめていた。

同僚の問いかけに答えられなかった。
彼のことだから、公式の誕生日が本物でない事に気付いて、聞いているのだろう。
しかし幾ら記憶を探っても”誕生日”と呼べるものはなかった。
父親から認知されるまでは”存在しない”ものとして戸籍にすら記載されず、認知された当日に作られた戸籍には生年月日が登録されている。
だがそれは”認知された日”であって、”生まれた日”ではない。
両親も彼女の誕生日など覚えていない。
――誕生日はいつか?――
相手が彼でなければ、適当に答えるだけだ。しかしシークを相手に何故か嘘をつく気になれない。
真摯な目で尋ねられた問いに、嘘もつけずに黙っているしか出来なかった。
沈黙が次第に重苦しくなり、戸惑いがちに見られる事に耐え切れずに、ファウナッハが大きく息をついた。

「……わからないわ」
暫しの沈黙の後、ファウナッハが淡々と呟いた。
「わからない?」
――自分の誕生日なのに?――
言葉として放たれていないが、目はそう問いかけていた。
「……私の育った環境を知っているでしょう? あなたと違って親に愛されていないもの」
シークは混血というだけで人として扱われぬ迫害や、過酷な差別を受け続けていたが、父親には深く愛されていた。
しかし彼女は産まれてから母親と共に隔離され、魔法の才を発現してからは解放と共に、父に出世の道具として扱われた。
双方とも形は異なれど、潜在的な力への執着と、世界を憎む心は同じだ。
力への強い執着が、タナトスという死神に魅入られた彼ら四天王の運命を更に狂わせるが、それは今は与り知らぬこと。

「……ねぇ、私の事よりも、あなたの誕生日はいつなの?」
彼女の問いに彼が答える。それはまだ数ヶ月も先だった。
「以外だわ。 東国方面には誕生日がないって聞いていたけれど…違うのね」
「本来は数え年…正月を迎えるごとに年を重ねる風習だ。 けれど父上は私が生まれた事を感謝したいと、誕生日を祝ってくれていた」
彼女を気遣って、なるべく感情を込めぬように話す。それでも幸せな記憶から滲み出る声音は優しかった。
子供の誕生日と妻の命日は同じ。
それでも、父親は純粋にシークを祝ってくれていた。


「……祝わないか?」
「え?」
聞き逃しかねないほど小さい声だった。辛うじて聞き取れたが、意味を計りかねて思わず尋ね返す。
シークが真摯な眼差しで彼女を見つめる。
絶世の美男子に一心に見つめられて、彼女の頬に血が集まる。
「四天王になれた日を」
ファウナッハが瞠目する。
誕生日が分らなければ、それに代わる日を祝えばいい。
思っていた言葉を、こんな形で出されて酷く驚いた。
四天王になった時。それまで属していた”世界”から解放された瞬間だから、祝うとすればこの日以外は存在しない。
日の入らない暗い室内。敵意と無関心しか向けない母と一緒に閉じ込められていた生活。毎日恨めしい思いで僅かに見える光…太陽を眺めていた日々が鮮明に蘇る。
幽閉した父を憎み、外にいるものを妬み、外の存在を毎日知らしめる太陽を怨み、憧れていた。
無力な自分が何よりも憎くて、”力”を求めていた。
シークも同じ想いを抱いていることh、初めて会ったときからわかっていた。
孤独と傷を抱えて、憎しみと悲しみに染まった目で世界を睨みつける。そんなところが似ていると感じた。
ただ、彼の親を深く愛する気持ちは一生掛かっても理解できないけれど。

先天的に魔法の才能があり、それを表してからは”外”に出られた。それでも屋敷にいる限り、心はいつもあの場所にあり、常に怯えていた。
暗闇の空間に戻されるか分らない恐怖から解放されたのは、タナトスによって四天王に任ぜられた時。城に召し上げられ、もう二度と足を踏み入れることはないと確信できたあの日。
四天王になった時、漸く”ファウナッハ”が生まれた。

「……シーク…あなたって本当に……」
一旦言葉を区切る。
様々な思いが駆け巡るが、それらは言葉として出されなかった。
「……いえ、なんでもないわ」


「シーク。私が四天王になった日を知っている?」
そんなこと調べればわかることだ。しかし今、彼の口からどうしても聞きたかった。
シークが日付を言うが、それは少しずれていた。
ファウナッハが呆れと落胆の入り混じった面持ちで、深く溜息をつく。
「日にち、違ってるわよ」
「いや、この日で間違いない」
力強く断言した彼に、彼女が言い返そうと息を吸い込んだ瞬間、シークが言葉を紡ぐ。
「……覚えてないのか? お前が四天王として私達に紹介された日だ」
驚きのあまり彼女が目を丸くさせる。
彼の言葉の意味を読み取り、次第に頬が赤く染まっていく。
その姿に、彼女と初めて会った日…タナトスに連れられて現れた姿と、今の姿が重なる。
あの日、彼女の姿を目に映した瞬間、心臓を鷲掴みにされたような衝撃が走り、目が離せなくなった。
視線が重なった瞬間、一瞬でも永い時が流れ、鼓動が速くなり、頬に血が集まった。それを誰にも悟られたくなくて、終始顔を伏せていた。
当時はそれが何の感情かわからなかったが、今なら分る。だが、想いを口にする事は……多分、ないだろう。





言い訳
シークは自分の気持ちに気付いているけれど、ファウナッハは…まだ出来ていない頃の二人です。
二人とも初対面の時から少しずつ惹かれ合っていたという設定です。

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