「ドラゴンボール」
DB 『IF』

DB IF 小説 『王と王子の会話』

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時期的には『帰還』~『侵略』までの間で、王と王妃の関係についての話です。

ベジータがマザコンになっていますが、それでもよければ




















「あれほど美しく聡明で強い…全てにおいて完璧な母上がいるのに、何故他の女共などに傾倒する?」
王子の脳裏に王妃の姿…美の女神をそのまま写し取ったかのごとく、神々しい前に美しく凛とした気品のある…全宇宙の支配者たるサイヤ人の王妃に相応しい姿が鮮明に浮かぶ。
王が髭を撫で、皮肉に満ちた笑みを浮かべる。
「…完璧、か。だから儂はあれの側にはおれぬ」
「どういうことだ?」
「何処にも非の打ち所のない王妃。確かに立派すぎるほど立派で、儂よりも優れている事は認める。
……嫌いではないが、一人の女としてみることが出来ぬだけだ」
「何故だ?母上程美しい女はこの世の何処を探してもいないぞ」
王子にとって王妃は理想の女とも言うべき存在だ。
その女を妻にしているのに、王は他の女の所にも通っている。
その様を見ていれば、母や自分が侮辱されているとしか思えない。
王家は血を拡散させて、血を薄めてはならないというのに、王はハーレムを作り身分問わず気に入ったサイヤ人の女達を囲っている。
こんなこと歴代の王族では有り得ない。気が狂っているとしか思えないというのは王子の考えでもあった。
王子の非難に満ちた眼差しに、王が愉快そうに哂い、彼の頭を撫でる。しかし王子はその手を振り払い、更に苛立ちと嫌悪を込める。
「王子。お前はまだ子供だから、男女の事などわからぬだろう。
お前も大きくなり、女と交わるようになれば嫌でもわかる。
賢すぎる女は男心を無残に踏みつけ、完璧すぎる女は共にいても癒すどころか疲れ果ててしまう」
王の脳裏に結婚した当初の王妃の姿が甦る。
数千年ぶりに王族以外の血をいれるというために、王家に継ぐ家柄の祭司から王妃、メーマを迎えた。
長年に渡る近親婚により、血が濃くなりすぎた。そのため死を齎す血の業が王族を蝕んでいた。
最早血を薄めない限り、王族は一人残らず死に絶える運命にあった。
後の世代を血の業から解き放つためには、血を薄めなければならなかった。
そのため他の女の元に通っていたのだが、それは王妃の矜持を酷く傷つけ、屈辱を与えた。
それが王妃の人格に大きな影響を与えてしまう。
「妻」として女として認められないのならば、せめて国の大役を担う「王妃」としてだけでも王の隣に立つ。それができるのは他の女達ではなく、国に選ばれた自分だけだという思いが、彼女の誇りを支えた。
そして「完璧な王妃」として、自分の足で立ち、存在価値を証明しようと躍起になった結果が、今の彼女だ。
冷徹で威厳溢れる王妃にはなったが、くるくるよく変わった表情や笑顔はなくなり、人間味が薄れた。
メーマは王妃として立派になった。しかし、それは王の望んだ姿ではない。
自分で妻との関係を壊しておきながら、まだ未練たらしく昔の妻の事を考えるなど…愚かでもあり、王妃を侮辱することだ。
そんな自分に、自嘲する。
「男は自分より上の女に憧れこそすれ、愛する事はできない。 同等なら、互いに切磋琢磨し、高めあう事もできよう。自分より下なら庇護欲も湧こう。……しかし、己より上をいく女では…男は惨めな思いをするだけだ」
王が求めるのは、昔の…”王妃”になる前の妻だけであり、今の”完璧”な王妃ではない。それだけだ。
これはただの、身勝手なわがままに過ぎない。しかしどうしても諦める事が出来なかった。
王の言葉に王子が眉を顰め、険しい目つきで王を見上げる。
「それは父上の都合だろう。 そんな理屈を並べる前に母上の気持ちを考えたことがあるのか?」
限られたごく一部の人間にすら心を許すことのない、孤高で凛々しい王妃。
心を許せる人間も、許そうと思える人間も存在せず、誰もおらず、あらゆる侵入を拒む巨大な城の中、一人孤独に君臨する”女”を捨てた王妃。
「時折ハーレムに通い、母上の元には訪れない。それが母上をどれ程惨めにさせているか……!」
誇り高い彼女は王が他の女の元に通う事について、表は全く出していないが、酷く傷ついていた。
「……あれが、私の訪れを歓迎しないだけだ」
「そうさせているのは父上だろう!!」
王の身勝手な物言いに激昂する。
幼い頃にはサイヤ人の中で最も強く偉大で誇り高い父上と、純粋に慕っていた…。しかし、もうそれはできない。
王や戦士としては尊敬できるが、男としては、最低の屑だ。
王子の考えを読み取ったかあのように、王が寂しそうに自嘲の笑みを浮かべる。
「……とても、儂を尊敬できぬ…か?」
「…王として、戦士としてなら尊敬している」
「そうか……」
王が続きを言おうとした時に、家臣から急務の呼びかけがきた。
それに王が応えた後、振り返り王子を見る。
「王子。これから儂は政務に出るが、昔のように一緒に…」
「断る!」
厳しく険しい口調で拒絶すると、さっさと出て行くように急かす。
その姿に王が苦笑する。
「…あまりメーマを”美しい”と言うな。その言葉は…あれにとって最大の侮辱だ」
去り際にふと王が呟く。
王子がその意を問おうとするが、王は既に踵を返していた。
王の背中は一切の質問を拒絶していたため、疑問を言葉に出来なかった。
王子が王の後姿を見送る。
その姿だけでも貫禄と威圧感に溢れており、王者に相応しかった。
しかし、今の王子にとっては嫌悪の対象となる”男”の後姿に過ぎない。
―俺は、絶対父上のようにはならない。 一人の女のみを愛さずに、他の女の元に通う男になど…
「誰がなるものか」
酷く冷たい声音で呟いた。












『帰還』のカカロットや王の登場シーンを考えている時に思いついた話ですが。
ベジータ王の、王妃に対する思いですね。基本的には『IF』設定も原作設定もこれと同じですが、『IF』の王様の方が可愛げがあります。原作設定ではフリーザとか色々とストレスがあったためか、扱いはかなり酷いですから。

ちなみに王の好みは、自分より下の穏やかな気性の庇護欲の湧くタイプ…今の王妃と正反対だから、昔の王妃に戻ってくれないかな?という気持ちがあるわけです。
ベジータの好みは、自分と対等に接して、互いに高めあえるようなタイプ(だからブルマに惚れたんでしょう)

ベジブルの馴れ初めの一部を少し使いました。

2010 8/10に未完から小説へ移行しました。
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