「聖剣伝説」
聖剣伝説3(HOM)

聖剣伝説HOM 小説 『出会い』3

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注意
オリジナル設定があります。
こちらの設定を使っているので、まず一読してください。
サンドアローの両親という、オリキャラのみの話になります。











酒場が賑わいを増していく中、シルフと男が静かに談笑をしていた。
最初は黙り気味だった男も、次第に口を開くようになった。だが、完全に打ち解けてはおらず、一線を引いていた。
シルフが酒を飲み干して、男の顔を見つめる。
店に入った当初は疲労困憊でいつ倒れてもおかしくなかったが、休息して満腹になったことで疲れが薄れたのだろう。顔色がよくなっていた。
「聞いた事のない訛りだけど、砂漠出身じゃないのか?」
何気なく尋ねられた問いかけに、男が一瞬目を伏せる。しかしすぐに穏やかだが拒絶する目を向ける。
「…あぁ、違うよ」
故郷に関して頑なに口を閉ざす男に、シルフが困って、内心溜息を漏らす。
彼の故郷に纏わる情報を得て、血の濃い者を確保する。
それを聞き出そうと様々な切り口から攻めても、男はすぐ口を閉ざしてしまう。
―それにしても、何処の出身なんだ?
聞いた事もない訛りと発音の癖。
仕事柄ファ・ディールに存在する言語と共通語での訛りや癖を叩き込んだシルフでさえも、男が何処の出身なのかわからなかった。

カウンター近くの勝手口から片目の鋭利な眼光を持つ青年が入ってきて、店主に耳打ちをする。途端に店主の顔色が変わり、血の気をなくす。
店主が周囲を警戒深げに窺い、青年を別の部屋に連れて行く。
普通なら雑音に紛れて聞こえなかっただろう。しかし忍者として物心つく前から訓練されたシルフは違った。
鍛え抜かれた聴覚でそのやりとりを一字一句聞き留めた彼女が愕然とする。
――蛇王団のアジトが壊滅――
「…蛇王団が…」
感情を抑えきれずに震えた声で呟くと、隣に座っていた男の目が伏せられる。
隣の男が立ち上がる気配を感じて、シルフが我に返りそちらを向く。
男は足早に出口まで行くが、窓に視線を向けた途端、足を止める。
彼を追いかけたシルフがその視線の先を辿ると、街中の雑踏に蛇王団の幹部の姿を見つける。
―蛇王団!!
咄嗟に男と蛇王団を秤にかける。
長年追い続けてきた蛇王団。
何故か心を惹きつけて放さない、この世で最も血の濃いであろう男。
天秤は彼女の予想とは裏腹に、すぐ片方に偏っていく。
シルフが足早に男の背後に行き、周囲に気付かれぬように静かに抑えた声で話しかける。
「奴ら、蛇王団の幹部だな。 お前、連中の仲間か?」
立ち止まり、振り返った男を鋭い眼光を睨み、冷淡な声音で尋ねる。
男が不愉快そうに眉根を寄せる。
「違う。 あんな連中と一緒にしないでくれ」
忌々しそうに吐き捨てたその声には嫌悪のみ。
シルフが距離を詰め、爪先立ちをして男に顔を近づける。
「じゃあ、どうして隠れる?」
「……ゆえあって、連中から隠れているだけだ」
「だけどあんたほどの実力があれば、容易く返り討ちに出来るんじゃないのか?」
彼女の言葉に、男が目を瞠り、シルフを凝視する。
「職業柄の勘だが、あんたからとても強い力を感じる。 なのに何故だ?」
男がシルフから逃れるように扉に手を伸ばしかけるが、彼女が素早く間に入り込み、その前に立ちはだかる。
苛立たしげに彼女を見る男の眼を、射抜く。
「あんたの術は不完全じゃないのか? 下手すれば連中に気付かれるぞ」
男が息を呑む。水色から深紅に変わった揺れる瞳は、かなり動揺していることを示していた。
「何故、只人の貴女が……」
―只人!?
それは最大の禁句。彼女にとって存在自体を否定する侮辱の言葉。
血統者としての誇りを持ち、他の者達に負けぬように修練を積み重ねてきたシルフにとって、血統者でなくただの人間だと呼ばれることは耐え難い屈辱。
憎悪に突き動かされた衝動が身体を動かす前に、理性を総動員して頭に上りかけた血を寸前で押し留める。
燃え滾る怒りと憎しみを、全て凍らせる。
「……………そんなことはどうでもいい」
能面のごとく全ての感情を消し去った無表情で、男を見る。
「連中に見つかりたくなければ、下手に動かない方がいいと言っているんだ」
突然様子の変わったシルフに、男が訝しげな眼差しを向ける。だがシルフは彼の視線から逃れるようにカウンターへと向った。
その後姿を見送った男が目を伏せ、逡巡した後に彼女を追う。
シルフが元の席に座った後、男が彼女の隣に座り、探るように見る。
シルフが横目で男を見やる。
「…何?」
棘のある冷ややかな声音にも関わらず、男は引き下がらなかった。
「何を怒っているんだ?」
「…あんたには関係のないことさ」
シルフがふいっと視線を逸らす。
男が何か言いたげに彼女を見ていたが、彼女から漂う拒絶の空気にそれ以上言葉を紡がなかった。

事情を聞き終えたらしい店主がカウンターに戻ってきて、シルフの元に足早に向う。
「シルフ!!先程入手したての、とっておきの情報があるんだ!!」
店主が身を乗り出し、シルフの手をがっしりと強く掴む。
彼女の中で不愉快が全身を駆け巡り、鳥肌が立つも、それを面には出さなかった。しかし気は隠せず、先程まで思案に耽ていた男が彼女を見る。
さりげなく力強い拘束から逃れて、愛想笑いを浮かべる。
「さっき、蛇王団が壊滅したって言っていたけど…それは本当?」
店主がギョッと彼女を見るが、シルフの鋭い眼差しに逃れられないと観念して、肩を竦める。
「そのようだぜ。もう何日も砂漠の洞窟の中に放置されて、悲惨な有様だったそうだ。 今日ブラックマーケットから帰って来た幹部達が見つけて発覚したてわけだ。
殺しの手口から見て、犯人は一人。それもかなりのプロって話だ」
「断定する理由は?」
「状況から見て10分以内にアジトを壊滅させたらしいからな」
「奴らをそんな短時間で?」
シルフが驚きに目を丸くする。
屈強な蛇王団とその頭を短時間で皆殺しできるほどの実力の持ち主。
この国内でそれだけのことが出来る人間はシルフの知る限り数人しかいない。しかし彼ら全員はナバールの上層の者だから、除外してもいい。それ以外で考えられるのは獣人の戦士か、アルテナの高位魔導師くらいだ。
彼女が情報を吟味する中、店主が真剣な面持ちに身を乗り出す。
「シルフ。その蛇王団を壊滅させた奴について手掛りとなる情報があるんだ。 …何なら、他にリークせず、無料で教えてやってもいいぞ」
――どうするかはお前次第だ――
情欲を滲ませた目と提案に彼女の眉間に皺が寄り、店主に軽蔑を露わにした眼差しを向ける。しかし店主は意に介さず更に続ける。
「お前だって、親友の仇を横取りした奴が許せないだろう?」
その言葉にシルフの目に強く鋭い光が宿るが、それは一瞬で消えた。
彼女が嫣然と微笑むと、女神の笑みに店主が顔を赤らめる。
「悪いけど、お断りするわ」
穏やかだが断固たる口調で答える。
シルフが躊躇いを感じさせぬ自然な動きで、二人のやり取りを黙って観察していた男の腕に手を回し、身を寄せる。
「彼ともう約束しているの」
予想外の流れに店主と男が目を丸くして、唖然と彼女を見つめる。
男が口を開こうとするが、シルフが腕に絡みつく手に力を込める。彼女の意図に気付き、男が口を閉ざす。
店主が愕然として、男を射殺さんばかりに睨みつける。
シルフが心中で舌打ちをすると、カウンターに銀貨を幾枚か置き、身を乗り出して艶やかな笑みを浮かべる。
「早く部屋の鍵を渡してくれない?」





言い訳
次回、漸く男の名前と本当の姿が明らかになります。

時期的にはHOMの数十年前なのでシルフはペダンの言語もしっかり習得しています。ビーストキングダムは”国”という形はとっていないけれど…努力家な彼女のことですから獣人の言葉としてちゃんと覚えてます。

2011/7/31 小説へ移行
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