「聖剣伝説」
聖剣伝説2

聖剣伝説2 小説 『妄執』3

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注意
2は3(HOM)の遠い昔という設定です。
シーク、ファウナッハ、ゲシュタールは誰もが振り返るほどの美貌の持ち主です。




















マナの要塞内のとある隠し部屋の中。
そこは主である呪術師が”人間”だった頃に使っていた研究室だ。
広々とした部屋を埋め尽くすように並べられた品々は、長い年月かけて主が研究して書き溜めてきた、知識。そして主の強大な魔力の宿った呪具の数々。
魔法の知識がある者ならば、それらを命に変えても手に入れたいと魂の底から願うだろう。
これら品々は呪術師の魔力によって、時の流れに侵食されることはない。
この空間の中で唯一時の流に身を任せるのは、主である呪術師タナトスのみ。
その精神は不滅でも、数百年も昔に乗っ取った体は限界が迫っていた。身体は所々腐り、朽ちかけており”換え時”が間近まで迫っている。

タナトスが足元に転がる物体を、感情に宿らぬ目で見下ろす。
嘗て生きていたそれらは、タナトスの部下であり、彼が長い生涯の中で執着した数少ない存在。
聖剣の勇者達によって、美しい姿を見る影もなく破壊された玩具。
自分と同じ死臭が物体から漂ってくる事実に、愉悦の笑みを零す。
欲しかった。どうしても、彼らを永遠に自分の側におきたかった。しかし”生きている”限り、玩具達は絶対タナトスのものにはならない。
だから彼らを”自分のもの”にするために、死ぬように仕向けた。
―まさか、ここまでうまくいくとは思わなかった。
思い通りの結果になった愉快さと満足に、クックッと喉を震わせる。

傷だらけで醜くなった姿のまま残すつもりは毛頭ない。朽ちることなく永遠を留めるなら、自分が魅了されたあの美しさのままで。
タナトスが呪文を唱えると、一人ひとりを囲むように魔法陣が浮かび上がる。
おもむろに腕を上げると、複雑な文様の描かれた魔方陣が発動して、三人の遺体が宙に浮かび、丁寧に解体されていく。
細かい肉片から絞り出された血は魔法陣の上に落ちて、陣と同化する。黒く光っていた魔法陣が、赤くおぞましい色に変わっていく。
乾ききった肉片と骨は粉末状になり、砂粒のように魔法陣の上に落ちていく。そして粉が意思を持っているかのように陣の上を流動して、線をなぞっていく。
粉が完全に線の上に重なり終えると、タナトスが口角を歪める。
「さぁ、君達に永遠の美しさを与えよう」
両手を大きく天に向かって掲げ、遠い昔に失われた言葉で呪文を唱える。
呪文を唱え終えると、タナトスの頭上の空間が歪んでいく。歪みから瘴気が流れ出し、魔法陣を覆い尽くす。
タナトスのものとは異なる瘴気。それは嘗て世界を滅ぼしかけた滅びのこだまを生み出した魔界の空気。
魔界の穴が完全に開かれた途端、魔法陣の細い線が宙に浮かび、人間の姿へと形成されていく。
それらの線が、完全に人型を形成したのを確認して、タナトスが目を爛々と光らせて、早口で呪文を唱える。
すると人型の線が”亡骸”と同じ姿に戻っていく。そうして出来上がったものは、解体されて形の失せた筈の亡骸と同じもの。
死体を基にして作られた”人形”。
呪術師が歓喜に唇を震わし、仕上げの呪文を唱える。
一言ずつ唱える度に、死人そのものの肌だった元人形達の肌が血の気を帯びていく。
魔界の瘴気が三体を包み込み、瘴気が渦巻き、体の中に入っていく。
瘴気が消えると、人形達が仰向けのままゆっくりと床に落ちた。
軍服に身を包んだその姿は、生前の見る者を虜にする絶世の美貌がそのままを再現されていた。
タナトスが机に上に置かれた三つの呪具を手に取ると呪文を唱えた。それがシーク、ファウナッハ、ゲシュタールだった者達をそれぞれ包み込み、透明の棺の形に変わった。
棺の中に横たわる人形達には生気が宿っており、まるで眠っているようだった。

生前のままの美しい姿に呪術師が感嘆の息を漏らす。
タナトスの魔力と魔界の力を用いられて作られた人形と棺は、決して壊れない。タナトスと同等の魔力と知識を持つ者が命を引き換えにしない限り、壊すことは不可能。そして人形達を永遠に保たせるエネルギーは魔界そのものの力。
――つまり人形達は損なわれることなく、永遠に美しい姿のまま。
「…漸く、私の”物”になった…」
―三人一緒に。永遠に私の側に…―
美しき四天王の姿を見るたび、独占欲と羨望と渇望が激しく渦巻き、一時は彼らを手に入れることしか考えられなくなった。
それほどまでに、深く激しく求めていた美貌の存在達。
願いが叶えられた喜びで高らかに哄笑する。しかし仮面から覗かせる目はとても昏く、歓喜に打ち震えている者の目ではない。
笑い声は部屋中に響いて、すぐに立ち消えた。
後には静寂のみが訪れる。
*
美しき人形達はタナトスの魔力と共に、彼の宿していた歪んだ妄執すらも宿した。
その妄執は、人形達の神々しいまでの美貌も相俟って、見る者達を狂わせていく。
それはさしずめ、自分達を物としか見ない者達への糾弾と復讐の如く…。

言い訳
神獣戦後マナの要塞は破壊されたのでなく、再び海底に没したという設定です。
ちなみに1話や2話で出てきた『転生の秘法』や次元魔導砲についての本も、研究室内にあります。

次からは未来~3の時代の話になります。

2011/5/13 小説へ移行
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