未完

DB 未完 『血の病』2

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注意
オリジナル設定があります。
時期的にベジブル成立前です。
ブルマ→ベジータ前提です。
どんな形で荒れブルマに悪口を言うベジータや、ブルマは誰が何と言おうと美女だという方は、ここで引き返してください。









オリジナル設定の説明
サイヤ人は近親婚を行っても平気な遺伝配列をしている。
王家は一万年以上もの間親子兄弟間のみの近親婚を行ってきた。
濃くなりすぎた血の異常で体が腐るという遺伝病がある。これが発病すれば決して助からない。















自身で腹を貫いた激痛と、放たれた気によって爆発した建物に押しつぶされる感覚。
それが意識を失う寸前の記憶。

凍えるほどの寒さと、底知れぬ暗闇に包まれた静寂の空間。
誰一人として侵入できぬ、彼だけの空間。

人の気配を感じて、そちらを振り向く。
そこにいたのは数十年前にフリーザに反旗を翻し殺された父王。
佇まいのみで誇り高きサイヤ人を統べる王者の風格を漂わせる男は、ベジータの元に昂然と歩み寄る。
「王子。…久しいな」
尊敬しつつも、嫌悪してやまないその存在。
ベジータが険しい眼差しで王を睨むが、王は威風堂々たる態度を崩すことなく、赤いマントを靡かせながら歩を進める。
「夢にまで出てくるとは、しつこい野郎だぜ」
嫌悪丸出しに吐き捨てる。
幼い頃とは変わらぬベジータの態度に、王が愉快そうに肩を震わせる。
「クックックッ。そう邪険にするでない」

「亡霊が何の用だ?」
「王子。そなたは父との再会を喜ばぬのか?」
「用がないのなら、今すぐ消えろ」

「王子。……覚悟するように言ったのに、お前はそれが出来ておらぬようだな」
”覚悟”という言葉と共にベジータの脳裏に蘇ったのは、目の前のいる男の腐り果てた腕。
心臓に氷をぶちこまれたような感覚が走る。
「………何のことだ?」
「ホゥ、とぼけるつもりか?
分かっていてなお、受け入れられぬとは……つくづく強情だ」
王の言葉に全身に悪寒が駆け巡る。
――いつか発症する――
ならば、今この瞬間にも……
「ふざけるなっ!! 俺は腐食病など発症しておらん!!」
死を振り払おうとする叫びに、王が哀れみの眼差しを向ける。
「では、それは何だというのだ?」
王がベジータの右腕を指差す。
指し示す先に視線を向けると、指先が…腐っていた。
恐怖から逃れるように反射的に気弾を放ち、手首を焼き落とす。
激痛に顔を歪ませる。
片手がなくなったことで今後の戦いが不利になるも、今は腐りゆく死から逃れたい思いが強かった。
ベジータの心境と抵抗を嘲笑うように王が喉を震わせ、哀れみの視線を送る。
「無駄だ。 王子、これが遺伝病だとわかっておるだろう。 目に見える患部を切り落としたところで、また別の箇所が腐っていくだけだ。
一度遺伝子が暴走すれば、全身が腐っていく。 …表面的に取り除いたところで、意味はない」

「そろそろ臭ってくるのではないか…? 自分の体の腐りゆく臭いが」
「そんなことはありえん!!」
いつもとは異なる体臭に不安を覚えるが、恐怖も王の言葉も撥ね退ける。
病を認めれば、こんな形で死ぬ事も認めることになる。そんな事は断じてあってはならない。
戦わずして死ぬなど。体が腐り惨めに死ぬなど。戦闘民族サイヤ人の王子として、そんな事は絶対に認めない。
だが、彼の気持ちとは裏腹に、体は少しずつが腐り始めていく。そして、健康体そのものだった王の体が急速に腐っていく。
最早、ただの腐肉と化して外見も性別も分らなくなった父王だったものが、更に言葉を紡ぐ。
「王子。この病からは決して逃れられぬと言っただろう。 お前は戦って死ぬのではない。このように腐り朽ちて死んでいくのだ」
言い終えた直後、王の体が朽ち果て、足元に倒れる。
そこにあるのは、近い将来の自分の姿…。
――戦って死ぬのではない。このように腐り朽ちて死んでいく――
頭の中で王の言葉が何度も何度も再生される。
「黙れ!!黙れ!!! 俺は死なない!!カカロットを殺すまでは絶対に死なんぞ!! こんな形で、惨めに死んでたまるかぁ!!」
全てを拒絶するかのように叫び、蓄えた気を一気に放出する。
全てを消し去るために

ベジータが声にならぬ絶叫を上げて飛び起きる。
その声に、彼のベッドに突っ伏して眠っていたブルマがギョッと目を覚ます。
何かに怯えている様子だったが、彼が漸く意識を取り戻したことを喜ぶブルマはその事に気付なかった。
「ベジータ!!」
歓喜の余り、彼を抱きしめないのが不思議なほどの喜びを全面に出す。
ベジータの姿を瞳に映して、目に涙が潤む。
「もう……三日も昏睡状態だったのよ!! 本当によかった……」

身体を起こした途端、酷い頭痛が襲い、呻き声を上げる。
まだ現実と夢の区別がつかず、切り落とした手を見る。夢では腐った肉と化していたが、今目の前にあるのは見慣れた健康的な手だ。
何度か動かし、神経が繋がっている事を確認して、安堵する。
――いつか発症する――
――このように腐り朽ちて死んでいく――
頭の中に夢の記憶と言う名のノイズが走り、不安を掻き立てた。
包帯に覆われたところを調べなければ気がすまない。
ブルマの制止を無視し、上半身の包帯を全て破り捨て、念入りに調べるが何処にも腐りかけの兆候はなく、健康的な体そのものだ。
体臭も腐った肉の臭いはしない。
ただの夢だと一蹴しようとするが出来なかった。夢だと笑い飛ばすには強烈で、何時現実になっても可笑しくない未来だ。
顔を真っ赤にしたブルマが、彼の頬を引っ叩く。
脆弱な地球人の力では彼を傷つける事はできないが、注意を向けるには十分。
ブルマの存在に気付いたベジータが抗議の言葉を放つ直前に、ブルマが一気に捲くし立てる。
「ちょっと!!乙女の前で何するつもりよ!?」
「何…だと?」
ベジータが剣呑な眼差しでブルマを睨む。
如何なる修羅場を乗り越えた人間でも恐怖に慄く眼差しも、彼女には一切効果なかった。
「漸く目覚めたと思ったら、ただならぬ様子で裸になり始めて…!! ハッ!!まさか、あたしを襲うって魂胆じゃないでしょうね!?」
大声で捲くし立てられ、耳障りな大音量にベジータの眉間に皺が寄る。
漸く彼女の前で裸になろうとしていた事に気付き、訳も分らずに照れるが、その気持ちを素早く消し去る。
胸を隠すように腕を交差させ、後ずさるブルマに蔑みの視線を向けた。
「ふざけるな!貴様のような不細工な女など、こちらから願い下げだ!」
「な、なんですって…!? この世界一の美女のブルマ様に向って、不細工ですって!?」
「ハッ!!貴様が”美女”だと? 地球人というのは見る目のない連中ばかりだぜ」
嘲るように言い放つと、ブルマの欠点を次々と捲くし立てる。
幼少期に絶世の美貌を持つ母と養育者を見ていたベジータは美的水準が非常に高く、ナッパやラディッツが美人だという異星人を前にしても”美しい”などと思った事は一度もなかった。彼にとって美しいという言葉が相応しいのはたった二人だけ。
だからこそ、厚かましくも美貌を口にする厚顔無恥な異星人の口を塞がなければ気がすまないと常々思っており、その思いが彼を駆りたった。
初めて彼女を見た時に、一瞬でも”美しい”と思った事をなかったことにするためにも、更に言葉を紡ぐ。
「貴様程度では、せいぜい”まとも”がいところだ」
嘲笑うように薄く嗤う。
ブルマが怒りに打ち震えて、手を振り上げるが、容易く手首を捕まれた。
互いに今までないほど激しく罵倒しあった後に、とうとう息切れを起こして二人とも口を閉ざす。

「もう、おしまいか?」
完璧に見下した眼差し。
皮肉に満ちた笑みを向けるベジータを、ブルマが目尻を吊り上げ、青筋を立てる。
「見てなさい!! 絶対あんたにあたしの美貌を認めさせてやるんだから!!」
「そんな日など、永遠に訪れはせん」



言い訳
この程度ではグロテスクのうちに入らないと思ったので、注意書きしませんでした。
ベジータのブルマへの暴言は、ただの八つ当たりです。
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