「聖剣伝説」
聖剣伝説2

聖剣伝説2 小説 『mystic』1

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注意
2は3の遥か過去という前提があります。
オリジナル設定があります。
オリジナル設定については、こちらを一読して下さい。















舞台設定
シーク…26。ファウナッハ…24。ゲシュタール…22。タナトス…不明。




















建物が悉く破壊され、生きる者の存在しない廃墟となった町。
数多の亡骸が至る所に無造作に捨て置かれ、目を覆いたくなる惨状が広がっていた。
その廃墟となった町の中、空間を切り裂くように一人の人物が現れる。
それは道化じみた格好をした小男だったが、纏うオーラが”人間”のものとは大きく異なっていた。
目立つ容貌の中でも一際印象的なのは、禍々しい装飾の施された身の丈近くある大きな鎌。それは見る者を不安にさせる底知れぬ暗いオーラを漂わせていた。

周囲には平凡だった日常を突如として奪われ、負の思念に満ちた魂が彷徨っていた。
好物の死魂が溢れかえっている光景に、妖魔が満足そうに周囲を見回す。
「フフフフ…笑いが止まりませんヨ。 どこぞの皇帝様とその手下どもが人間を殺しまわってくれるお陰で、魂には困りませんからネ」
嘲笑と共に手近にあった魂を鷲掴みして、口の中に放り込む。
魂という実体のないものであるにも関わらず、租借し、飲み込む音が生々しく聞こえる。
生きているものの存在しない死の静寂に包まれた空間の中では、妖魔が魂を食らう音がよく響いた。
「ぶっはー!! やっぱり恨み辛みの籠もった魂は格別じゃ!!」
極上の美酒を飲んだ直後のように満足げな面持ちで、魂に手を伸ばしていく。
「こんな魂を大量に作ってくれる帝国には、感謝しなければ罰が当たるというもの」
租借しながら更なる魂を求めて手を伸ばす。だが次の獲物を掴む直前、妖魔の手めがけて手裏剣が投げられた。それは妖魔の体に傷をつけられなかったが、関心を引くには十分だった。
食事の邪魔をされ、妖魔が苛立たしげに手裏剣の投げられた方向を見遣る。
いつの間にいたのか、一人の男が気配もなく立っていた。
年の頃は二十代半ば。短く切り揃えられた瑠璃色の髪と瞳。雪のような白皙の肌。力強く端整な顔立ちは誰もが振り向き、心奪われるだろう。
人間の美醜には全く関心も興味もない妖魔にも、彼の容貌が並外れて整っていることが分かるほど、美しかった。
細身ながら鍛え抜かれた戦士の体躯。忍装束を纏い、目の前にいるのが信じられぬほど気配を完全に絶ち、闇に同化する様は凄腕の暗殺者そのもの。
しかし、青年はまるで毒に中てられたかのように青褪めており、生気が儚かった。
青年の中の”何か”が、妖魔に違和感を与えていた。しかし妖魔はそれを深く考えずに、鎌を持ち直す。
青年が鋭く切り裂くように妖魔を睨む。
「貴様…妖魔だな。 それもかなり性質の悪い」
「おや?人間の癖に、ワタクシ達の事を知っているようですネ」
魔界の住人である妖魔は理由がなければ、魔界から出ることはまずない。
人間界に出没するはぐれの妖魔もいるが、それらは下級妖魔であり、瘴気のない人間界では長く生きられない。
その妖魔達に対して、人間は突然変異の魔物という認識だ。だから一部の人間を除いて、妖魔の存在を知らぬというのは魔界での常識。
青年が目を細める。
「上級が一匹。 何をしに現れた?」
「魔界ではワタクシの食事をするにも一苦労ですから、楽で愉快と評判の人間界に現れた所存ですヨ」
獲物を狙う狩人の如き目を光らせ、青年の魂を素早く観察する。
外郭は環境による負の思念が染み付いているが、中核は綺麗なまま保たれ、輝いていた。
思わぬ収穫に妖魔がゴクリと唾を飲む。
「あなた…負の力を色濃く宿しているというのに、随分綺麗な魂をしていますネ」
青年の魂の味を想像して、舌なめずりをする。
「こういう強い魂は、とっても美味しいんですよネエ…」
鎌を構えて、クツクツ笑いながら青年との距離を詰める。
妖魔が迫っているのに、青年は逃げる素振りすら見せず、感情の宿らぬ冷徹な眼差しで妖魔を見つめていた。
いつもとは異なる反応に、妖魔が少し拍子抜けする。
青年の目を見れば、彼が恐怖に侵されていないのは明白。
「影縛り」
青年が素早く印を結び終えると、跳びかかろうとしていた妖魔の動きを完全に封じた。
「え゛!?」
人間が、妖魔を封じる。
今までありえなかった出来事に妖魔が驚愕し、混乱するものの、すぐさま冷静さを取り戻す。
いくら身体を動かそうとしても、体は意思の命令を一切聞かない。それどころか首から下の感覚すらあやふやだった。
絶体絶命とも言える中でも、妖魔は不敵な笑みを浮かべて、金縛りを解くべく呪文を唱える。
妖魔には勝算があった。
いくら魔力に優れていたとしても、所詮は人間。上級妖魔には絶対敵わない。
しかしマナを取り込み、魔法を相殺しようとしても出来ない。そこで漸く自らを縛る術がマナを媒介とした魔法でない事に気づく。
「チッ!!どんな手段を使っているのか知りませんが、小賢しいです!!」
目の前にいる術者を殺さない限り、呪縛から解放されぬこと直感的にわかった。
身動きが取れないので、鎌を使って呪殺の威力を増大させられない。だが、自らの呪殺は容易く人間を殺せるだけの威力を持つと確信している。
妖魔の目が大きく見開かれ、血色の瞳孔が青年の姿を捉える。
途端に青年の全身に身を削るような痛みが走る。だが、それらは青年を苦しめど、命を奪うには至らなかった。
青年が不快そうに眉を寄せている間、彼の体内に巣食う”妖魔”が呪殺の術を食らってゆく。
予想だにしなかった出来事に、妖魔が薄気味悪いものを見るかのような眼差しを向ける。
「ど…どうしてデスか!? 私の力が効かないなんて…! あなた、何者ですか!?」
滑稽なまでに動揺を露わにした妖魔の言葉に、青年は何一つ答えなかった。
完璧に自分を見下している態度に、妖魔のはらわたが煮えくり返る。
―気に入らないですネ!! 食料に過ぎない下等な人間の分際でこのワタクシを馬鹿にするなんて…!!
「あなた、人の話を聞いているんですか!?」
「妖魔の話など聞くに値しない」
一顧だにせず、冷ややかに切り捨てる。
妖魔が青年を睨みつけながら、この状況を打開するために考えを巡らせる。
この世の魔法の根源はマナ。マナを媒介としない”魔法”は存在しない。
だが青年の使うものはマナを媒介としたものでない。だからこそ妖魔は負けた。
そして人間相手なら一瞬で命を奪う呪殺を無力化するほど、マナの異常なまでの親和度の低さ。
青年の姿を改めて観察する。
一見すれば毅然とした面持ちのまま。だが、冷や汗が額から流れて、呼吸が浅くなっていた。
明らかに先程より具合が悪くなっている。
負の思念に満たされた空間の中で、弱体化する体質。
それらの特徴を併せ持つ民族は、たった一つ。
「……もしかして、血統者?」
妖魔の声に、青年の眉が僅かに動く。
今まで噂で聞いた事があるも、実物を見るのは初めてだった。
ありとあらゆるものに存在する”気”と呼ばれるものを操れる唯一の民族。魔界ではマナの一族と闇の血族に並んで厄介な人種とされている。
幻術や呪術を主な攻撃とするタイプの妖魔には、攻撃が無力化されるも同然なのだから、相性が悪すぎた。
妖魔が嫌味な笑みを浮かべる。
「ですが、おかしいですね。 ワタクシの記憶が正しければ連中は黒髪黒目。だというのに、あなたは…」
その続きは言えなかった。
青年が目にも留まらぬ速さで妖刀を抜き、妖魔の喉元に突きつけていた。
彼と同僚の三人は、呪術師から魔界の住人と戦える武器を渡されていた。そのおかげで妖魔と接触した際に襲われても、特殊な方法を用いずに倒せるようになった。
「このまま貴様を殺してもいのだぞ」
「フン、人間ごときが何を生意気なこと言ってるんですか! 生憎私達は、そう簡単に殺せませんヨ!!」
妖魔が馬鹿に仕切った笑いと共に、傲慢に言い返す。
生与奪の権利は青年の手の中にあるというのに、それを理解していないのか。
そのことを知らしめるために、青年が僅かに刀を動かすと、妖魔の首から血が一筋流れる。
その事実に妖魔が驚愕する。
自分達を傷つける事のできる代物…それは即ち殺せる代物という意味。
―どうして人間風情がこんなものを持ってるんですカ!?
妖魔を殺す術は、遠い昔人間が古代マナ文明と呼ぶ時代に存在していた。だがその知識は神獣と共に滅ぼされた文明と共に完全に消失した、筈だった。
―……まさか、人間如きにこうも容易く負けるとは……
勝敗は既に決していた。
上目遣いで青年を探るように見る。相手を不快にさせぬ程度の媚を含ませるのを忘れていない。
「……ワタクシを、どうするつもりですか?」
「本来なら殺すところだが…気が変わった」
青年が薄く笑う。
「さぁ、来い」
青年の意志に応じて、妖魔の意思とは全く関係なく体が勝手に動き、青年の隣を歩く。
成す術もなく操られるだけの体に屈辱と悔しさと情けなさがこみあげる。
―全く、血統者という生き物は大嫌いですよ!! 奴らの術はマナを使わないからこちらで解除できないし、マナの親和度が異常なまでに低いから呪殺も幻術も効きやしない!!
青年の姿を盗み見る。
漆黒の色を宿さぬその姿は、まるでただの人間。
だが、その中身は……。
―この男、色素からいって混血のようですけど……能力は純血に近いと見て間違いないでしょうね。
魔界での噂で聞いた彼らの実力。
マナの一族と闇の血族と共に恐れられ、厄介な人種とされたエピソードの数々。
下手に逆らっては、反撃も出来ずに瞬殺される。それならば、大人しく様子を窺い、隙を見て逃げ出すのが得策だ。

2011/7/12 小説へ移行
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