未完

DB パラレル 未完 『螺旋』3-5

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注意
悟天→トランクス要素があります。
















賑わう食堂の中、店の隅にある席に悟空と悟天が向かい合って座っていた。
メニュー表を食い入るように見つめていた悟天が顔を上げ、ウェイトレスにメニュー表の一面を見せる。
「すみませーん。これ全部ください」
「おい!悟天!! そんなに食ったらオラの貯金が…」
悟空の抗議に悟天が眉を寄せる。
「何言ってんの? 自分でおごるって言ったくせに、もう忘れたの?」


「ついでにデザート全メニュー五人前お願いね。あと、テイクアウトできる? え?無理なの? じゃあ中華メニュー10人前追加ね。それから…」
次々とウェイトレスに注文していく悟天の姿に、悟空の顔が青褪めていく。

警邏隊本部を出た直後、悟天からC.C社長アポ取りのための前金代わりに奢りを強要された。
当初はおごるつもりなど毛頭なかったのだが、気がついたら悟天の話術に呑まれて了承していた。

「それからフカヒレとツバメの巣のスープ…」
悟空が勢いよくウェイトレスの書付を奪う。
途中で止められて、悟天が不機嫌そうに悟空に鋭い視線を向けるが、悟空も負けじと見返す。
「悟天!! これ以上は頼まねぇでくれ!!」
今後の生活のために頭を下げて必死に懇願する。
その姿に流石に哀れみを催したのか、ぼやきながらも引き下がった。


悟空がむくれて頬杖をつきながら、饅頭をおいしそうに頬張る悟天の姿を見つめる。
「…よく食うよなぁ…」
僅かに滲ませた非難の声音を聞き取ったのか、悟天が顔を上げる。
「これは奢りじゃなくて、C.C社長のアポ取りのための報酬代わりだって、さっき言ったばかりじゃないか」


「なぁ、C.C社長って二人いるのか?」
「何言ってるの? そんなわけないよ」
突然の悟空の言葉を、悟天が呆れと共に一蹴する。
「でもさっき、他に心当たりのあるような事を言っていたじゃねぇか」
何の事だろう?と思いつつも記憶を探る。どうも悟飯登場以降の印象が強すぎて、中々思い出すことが出来なかった。
――…なぁ、悟天。おめぇ、C.C社長のこと知ってるか?
――C.C社長?…あぁ製薬会社の方…か。
そんなやりとりをした、ような気がする。
「あぁ…。あれね。 別に心当たりって程でもないよ」
珍しく歯切れの悪い物言いに悟空が食いつく。
暫くあしらっていたが、あまりのしつこさに根を上げて、渋々と言葉を紡ぐ。
「昔、龍球年にC.C社長一家が住んでいたんだよ。だからC.C社長のブルマさんを思い浮かんだだけ」
「その社長と知り合いだったのか? じゃあ、すぐにアポ取り出来るじゃねぇか!」
目を輝かせた悟空に対して、悟天は深々と椅子に腰をかけ、顎を上げて冷ややかに悟空を見返す。
「バーカ。同じC.Cといっても、名前が違うよ。 第一C.C社はもう15年前に倒産しちゃったんだから関係ないし」
「待て、悟天。 その二つってどう違うんだ?」
「C.C社はカプセルコーポで、お前の言っているC.C製薬会社はケアフルセンター。
カプセルコーポは機械関連が主な事業だったんだから、製薬関連とは関係ないし」
メディカルマシンやメディカルジェルといったカプセル社の商品の事を考えれば無関係ではないが、同じ医療事業といっても外科と内科では違う。
悟天が箸を悟空の鼻先に突きつけて、低い声音で言葉を紡ぐ。
「通称は同じでも専門業種と正式名称は違うから、そこんところは勘違いしないように」


「それにしてもカプセル社ってサイヤ人の技術を使っていたんだろう? どうやって手に入れたんだ?」
ホイポイカプセルのみならず、重力制御装置、超回復促進剤を用いた機器など、C.C社の製品には現在の文明を大きく上回る技術が数多く使われている。
それはC.C社が唯一サイヤ人の政府に自分達の技術を使うことを許可したからだが、それでも許可されたのはホイポイカプセルのみだ。
サイヤ人は自分達の高度な技術を外に流すことはなかった。現在でも僅かに残されたサイヤ人の遺産を調べているものの、原理すら不明なものが数多く存在する。
だからこそ、サイヤ人の技術を数多く使った商品を世に出したカプセルコーポは異例の存在だった。
「ブルマさんの旦那さんがサイヤ人の王子だったからね。 それでじゃない?」
衝撃の告白に悟空が目を剥く。
「サイヤ人の王子が、地球人を妻にしていたのか!?」
「そうだよ。 子供の頃は色んな意味でとっても驚いたなぁ…」


「トランクス君、元気にしているかなぁ…」
最初で最後の大親友の姿が鮮明に蘇る。
同じサイヤ人の眷属。自分を”人間”として見てくれた数少ない一人。
滅多に見せる事のない夢見る子供のような眼差しに、悟空の興味が俄然と湧く。
「トランクスって、誰だ?」
「俺の大親友で、兄ちゃんとピッコロさんのように大切な人さ。 そんでもってベジータさんとブルマさんの子供、サイヤ人最後の王子様だよ
写真持ってるけど、見る?」
純粋な思いで目を輝かせながら、懐から写真を取り出す。
何度も手に取っていたのだろう、写真は手垢に汚れていたが、その分悟天の親友への思いの深さを感じさせた。
写真には淡い灰色の髪に水色の瞳をした少年が映っていた。
「…トランクスって、混血だろ? なのに何だ、これ?」
サイヤ人の眷属は皆黒髪黒目が原則だ。
彼らの遺伝子は地球人と比べて超優性であるため、混血はサイヤ人の親に似る。特に黒髪黒目は何代にも渡って現れる色だ。
「あぁ、それ。トランク君、髪染めてカラーコンタクトしてたもん」
昔見せてもらった写真には漆黒の髪と瞳という本来の色を持つトランクスの姿が映っていた。
引っ越す前の町で色々とあったのだろう。兄を病で亡くし、立て続けに祖父母も事故で亡くなって、逃げるように引っ越したという話を聞いた事がある。
姿をごまかすことが卑怯だといえば、そうとは思わない。生きていくためにはやむをえないということもある。
悟天達兄弟は既に混血だと知られていたので、そんな無駄なことはしなかったが、引っ越してきたトランクスは違う。極力差別をなくしたいと考えるのは当然だ。
だが、例えサイヤ人としての姿を誤魔化していたとしても、トランクスが誇り高いサイヤ人の眷属であることは確かだ。


「トランクス君に会えるんだったら、俺は何でもするのに…」
未だ再会を果たせていない大切な人への羨望を込めて、呟く。
「なぁ、悟天」
「何?」
顔を上げると真剣な視線とかち合った。
悟空の少し躊躇ったような口元に悟天が怪訝そうな面持ちになるが、すぐに興味をなくしたのか頬杖をつき、ストローに口つける。
やがて覚悟を決めたのか、彼が悟天に身を乗り出して言葉を紡ぐ。
「おめぇ………ホモか?」
直後、悟空の顔面に悟天の拳が深々と食い込んだ。

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