「ドラゴンボール」
DB 『IF』

DB IF 小説 『仲間・兄弟』

 ←DB IF 小説 『王と王子の会話』 →『加筆修正』
注意
オリキャラが出ます。
ターブル12歳、ゴハン9歳の頃の話です。
ターブルがデミサイヤンのレジスタンスに入った時の話です。









デミサイヤンのレジスタンスの仲間は皆家族であり兄弟だから、僕には多くの家族がいる。
僕達とリーダーのベルとは血は繋がっていないけれど、同族のレジスタンスの中では一番年上だから皆彼の事を”お父さん”と呼んでいる。
そのお父さんがあの人を連れてきたのは、凍えるように寒いある日のことだ。
その日を、僕はよく覚えている

床と壁の塗装が剥がれて、蜘蛛の巣が張り巡らせ、廃墟と見紛う程老朽化が進んでいた。
僅かな照明しかない薄暗い廊下の中を二人の男が歩いている。
一人は二十代前半の赤毛臭い瞳をした筋骨隆々の、凛々しい顔立ちの男だ。
彼の隣には十代前半の少年が歩いている。
男と呼ぶには早すぎる少年は、やたらと華奢な体格で、薄暗い中でもはっきりと分るほど白く透き通った美しい肌をしている。
黒髪黒目の逆立った髪と、全てを射抜くような鋭い目つきはサイヤ人の特徴を色濃く宿していた。
年恰好の違う二人だが、それ以上にこの二人には大きな違いがある。
青年はボロに近い服を纏っているが、少年は特上級のサイヤ人の民族衣装を纏っていた。そして青年の体は今までの過酷で凄惨な半生が用意に推察できるほど、全身傷だらけで、顔にも目を覆うような酷く深い傷が残されていた。だが少年の肌には一切傷はなかった。彼が非常に強いというのもあるが、掌の珠玉のように大切に育てられてきたことが推察できる。
様々な違いのある二人だが、最たる違いは尻尾だ。少年はデミサイヤンには存在しないはずの尻尾を腰に巻いていた。
尻尾は超優性遺伝子の一つだから混血に尻尾が生えているのは当然だ。しかし尻尾はサイヤ人にとって民族の象徴という特別ない身をもつ。それを汚らわしい下等な混血に生やしておくなど彼らの矜持が絶対に許さない。だから生まれたばかりの混血の赤子は尻尾が二度と生えないように”処理”をされる。
純血の重罪人のように薬で尻尾が生えない体にするわけではない。赤子の頃に臀部に焼き鏝をあて、尻尾周辺の細胞を死滅させる。だからデミサイヤンの尾の付け根には酷い火傷の痕が死ぬまで残り続ける。
この処理を生き延びても、碌な治療を施されずに、競売にかけられて売られていく。その先に待ち受けるのは過酷過ぎる人生だ。だからデミサイヤンは大人になるまで生き延びられる者は全体の数パーセントしかいない。

青年が隣を歩く少年を、気付かれぬように監察する。
振る舞いや身のこなしは優雅で、まるでサイヤ人の上流貴族そのものだ。
身も心もサイヤ人として育てられ、自分がデミサイヤンだというこを最近まで知らなかったという。
そうした事情にも驚いたが、彼が一番驚いたのは少年の育ての親についてだ。
異星人や混血嫌いで有名なレーコンが、混血である少年を愛情深く育てていたことなど、到底信じられなかった。
視線に気付いたのか、少年が彼を見上げる。
問いたげな眼差しを向けられて、青年が言葉を紡ぐ。
「ターブル。君には感謝してるよ」
青年が微笑みながら、少年に話しかける。だが少年は汚らわしいとばかりに顔を逸らす。
「……俺は貴様達と契約したから当然だ。 そうでなければ、誰が汚らわしいデミサイヤンの巣窟などにいるものか」
少年が漸く青年を見るが、その目には蔑みの感情しか宿っていない。
サイヤ人達は自分達以外の種族を”奴隷”と蔑む。混血も彼らにすれば”奴隷の亜種”に過ぎない。
この少年はサイヤ人貴族として育てられたから、選民思想が骨の髄まで染み込んでいるのだろう。ましてや育ての親が…
青年がそこまで考えた時、少年が険しい眼差しで見据える。
その視線に、彼の背筋に冷たいものが走る。
少年の目を見ていると全て見通される気分になり、心の奥底まで覗き込まれているかのような恐ろしい錯覚を覚える。
気のせいだと自らに言い聞かせて、言葉を紡ぐ
「あぁ、わかってるよ。君は戦力を、俺達は食料と設備が欲しいからな。 そのための契約だ」
契約の期限はベジータを殺すまで。それまでは少年はレジスタンスのパトロンになる。その代わりレジスタンスは彼に戦力を提供する。それが契約だった。
ベジータを殺す事はレジスタンスの目的に即していた。それにレジスタンスという名の烏合の衆だった彼らにとっては、少年が資金提供を行うことで漸く餓死寸前から解放される、願ってもない好条件だった。
青年の答えに満足したのか、少年が鼻を鳴らす。

「皆、紹介したい者がいる!!」
高らかに上げられたベルの声に、周囲の混血達の目が期待に輝く。皆、”新しい兄弟”への興味と好奇心で一杯だった。
その場にいる皆の注目が集まったのを確認して、振り返る。
「さあ、ターブル」
ベルが襤褸布で作られた垂れ幕の向こうにいる人物に声をかける。
少年は出るのを渋っていたが、ベルが何事か声をかけると、少年が垂れ幕を上げて、姿を現す。
見るからに”異質”なその姿に、周囲にいた者達が騒然とする。

「この子が新しい”仲間”のターブルだ」
いつもベルは新しい仲間を連れてくるたびに”兄弟”と紹介している。それをあえて”仲間”といったことで、ターブルとの距離を明確にしていた。

少年の姿を目にした時に、尻尾とか服装だとか様々驚かされたが、ゴハンの目を釘付けにしたのは彼の漉き取るほど白く美しい肌と、黒曜石の瞳だ。
他の者達が胡乱そうにターブルを遠巻きに見る中、ゴハンが一人だけ輪を抜けて少年に近付く。
間近まで来ると顔を上げ、ターブルの顔を見つめる。
雪のように白い肌も、傷一つない顔も、全てがゴハンの育った環境では絶対に目にできない。それらを少年は当たり前のように持ち合わせていた。
嫉妬よりも、見る者の心を吸い込み虜にするような黒曜石の瞳に見惚れて胸が高まるが、見返されて我に返る。
少年の顔色を窺いながら、おずおずと手を差し出す。それはいつものゴハンらしくない態度だった。
「あの…初めまして。ゴハンと言います。 これからも宜しくお願いします…お兄さん」
言い終える前にターブルがゴハンの頬を叩く。強い力に、ゴハンが横倒れになる。
「無礼者!!」
ターブルが嫌悪も露わにゴハンを見下ろした後、ベルに顔を向ける。
「この無礼者を処罰せよ!」
「無礼者?」
「血の繋がりもないくせに、俺を兄弟扱いしたこの愚か者だ!!」
侮辱されたと、怒りの炎を滾らせる少年を見つめて、ベルが内心溜息を漏らす。
奴隷として育ってきたデミサイヤン達と、傅かれることが当然として育ったターブル。軋轢や衝突は必ず起きると予測していたが、まさかこれほどまで早く起きるとは思わなかった。
「デミサイヤンは同族を家族としてみなしているんだよ。 俺達のように初期の者は親で、それ以降は兄弟ってね」
言い終えた後、ターブルの様子を観察する。彼の予想通り、彼は眉に深く皺を寄せていた。
サイヤ人は身内の結束が最も強い。戦場暮らしの者は戦友との結束が最も強いが、一般的には身内を重要視する傾向がある。
そして血を重んじる環境で育てられたターブルには、赤の他人を家族と断言するなど考えられない。家族というのは血の繋がった者限定だというのが、彼の考えだ。
理解できない文化に不快感を露わにする少年の姿に、ベルが苦笑する。
「今までサイヤ人として育った君からすれば異様かもしれないが、我々からすればそれが普通なのだよ」
「………………」
顔を逸らし、黙り込んだターブルを見てから、倒れたゴハンを優しく起こしてやる。
「ゴハン、大丈夫かい?」
「…はい、これくらい平気です」
ゴハンがすぐに起きるが、ターブルに叩かれた頬は赤く腫れ上がっていた。


2011/3/15 小説へ移行
スポンサーサイト


総もくじ 3kaku_s_L.png ドラゴンボール
総もくじ 3kaku_s_L.png 火星物語
総もくじ 3kaku_s_L.png 聖剣伝説
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ
総もくじ  3kaku_s_L.png ドラゴンボール
総もくじ  3kaku_s_L.png 火星物語
総もくじ  3kaku_s_L.png 聖剣伝説
もくじ  3kaku_s_L.png その他
もくじ  3kaku_s_L.png 未完
もくじ  3kaku_s_L.png 考察もどき
もくじ  3kaku_s_L.png 短文
もくじ  3kaku_s_L.png 裏部屋
  • 【DB IF 小説 『王と王子の会話』】へ
  • 【『加筆修正』】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【DB IF 小説 『王と王子の会話』】へ
  • 【『加筆修正』】へ