「聖剣伝説」
聖剣伝説3(HOM)

聖剣伝説HOM 小説 『出会い』4

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注意
オリジナル設定があります。
こちらの設定を使っているので、まず一読してください。
サンドアローの両親という、オリキャラのみの話になります。











薄暗い室内で、二人の男が向き合っていた。
店主が人相の悪い片目の男に一枚の紙切れを渡す。
「ここに蛇王団の幹部がいる。 大至急呼んで来い」
店主の瞳に鋭い光が走る。
「お望みの品物を入手した……。 そう伝えろ」
男が沈黙を保ったまま頷き、影の如く部屋を立ち去る。
それを見送った店主が苛立たしげに舌打ちを漏らした後、天井を振り仰いだ。
視線の先にあるのは天井ではなく――。
店主の脳裏に渦巻くのは先程の光景。
シルフが艶やかな笑みを浮かべて男に腕を絡ませた姿や、身を寄せて仲睦まじく二階へ上がる姿が鮮明に蘇る。
思い出しただけでも胸が熱くなり、反吐が出そうになった。
―クソッ!
彼女の関心を奪い取った男の姿を脳裏に浮かべた途端、腹の底から激しく全てを燃やし尽くしかねないマグマが沸々と湧き上がって来た。
酒瓶を勢いよく床に叩き落し、破片が周囲に飛び散って、店主の体を傷つける。
だが、彼は一切気に介さなかった。

部屋の中は簡素極まりなく、大き目のベッドが一つ置かれた殺風景な内装だった。しかし清掃がしっかりと行き届いており、砂漠特有の砂埃は床に落ちていなかった。
「さて…と」
シルフが振り返り、男を見据える。その鋭い眼差しに射抜かれ、彼が動きを止める。
「ねえ、変化の術を解いてくれない?」
束の間男が目を伏せて逡巡するが、毅然とシルフを見返す。
「何故私が変化の術を使っているとわかるんだ?」
眼差しが鋭さを増して彼女をまっすぐ見据える。
「貴女は何者だ?」
―それは、私の台詞だ。
男が何者で、何処から来たのか。どのようにしてこれほどまで濃い血を維持してきたのか。聞きたい事は山ほどある。
だが、それよりも先にすべき事は……
「あんたが術を解いたら、私が何者かを教えてあげる」
「それとこれとは関係ないだろ」
「本来の姿もわからない相手とは信を置いた話もできないでしょ」
彼女の正論に、それもそうだと思ったのか。
男が大きく息を漏らすと、その姿は蜃気楼のように歪み始めて、先程束の間の幻影として現れた男の本来の姿へと変わっていく。
壮年の男から、若々しい青年の姿へ。2m近くあった筋骨隆々の体が、シルフと変わらぬ身長の華奢ながら鍛え抜かれた戦士の体へと変わっていく。
その様子はまるで醜い皮を脱ぎ捨てた蝶の如く。
露わになった姿は、目を疑うほど美しく若い男だった。
まるで神が精緻に作り上げた、この世ならざる芸術品。
背中まで伸ばした絹糸の如く艶やかな青紫の髪。宝石を思わせる深紅の瞳。雪と見紛う白皙の肌。
優美という言葉を体現した彼は、この世のものとは思えぬほど神々しい。
変化の術が完全に解けたとき、シルフの目に前にいたのは今まで見たことがないほどの美貌の持ち主だった。
男の本来の姿に見惚れ、彼女の心臓が溶けそうになり、吐息が漏れる。
「……美しい……。なんて、美しいんだ………」
羨望と賞賛を称えた視線に、男が顔を逸らして目を伏せる。
彼の様子に忘我の境地に達していた彼女が我に返る。
それを見計らったように男が、低く美しい声で言葉を紡ぐ。
「それで貴女は何者なんだ?」
聞く者を虜にする声。
「私は……」
平静を装うが、絶世の美貌の男に見つめられて彼女の頬が紅潮して、胸が高鳴る。
「…シルフ。ナバールの忍者だ。 あんたの名前は?」
彼女の問いに男が思案する。
名乗るべきか、名乗らざるべきか。
男は少し迷って、本名を名乗る事にした。
本当の姿に、今までの偽名は似つかわしくない。
『zephyr』
「は?」
数年ぶりに口にした本当の名はいつまでも胸の中で渦巻いていた。
しかし彼女は聞き取れなかったのか、怪訝そうな顔を向ける。
共通語の発音に合わせて、もう一度名乗る。
「……ゼファーだ」
「ゼファーか…。いい名前だ」
シルフが頷きながら、名前を噛みしめるように呟く。

「シルフ。何故変化の術を見破れたんだ? 変化の術を見破れるのは、唯一気を操れる同族のみだ」
早速本題を切り出してきたゼファーにシルフが、せっかちだなと思いながら答を返す。
「私も血統者だからだ。 血の濃度は……薄いけれど…」
最後は言葉を濁すように付け足した。
彼女の言葉に、彼が目を瞠る。
「大昔に滅びたと聞いていたが……まだ存在していたのか」
―…おかしな事を言う奴だ。
血の濃い男の言葉に違和感を覚える。
―この言い方ではまるで……。
脳裏に過った考えは、あまりにも馬鹿げていた。その考えを振り払い、言葉を紡ぐ。
「ナバールは今までその血を守り、保ち続けてきたんだ」
国を滅ぼされ、逃げるように砂漠へと逃れた先祖達。
辛うじて生き延びた者達は砂漠の水脈を操り、失われた故郷と同じく自然豊かな地へと変えた。
しかし、それも薄れていった血と共に失われたもの――
シルフが真剣な面持ちでゼファーの目を真っ直ぐ射抜く。
血統者の末裔がいるのはナバールのみ。だというのに、何処から来たのかわからない彼は、遥か昔に失われたものを持っていた。
「ゼファー。あんたの故郷は何処?」
彼女の問いに、彼の目に陰りが宿る。
「…知ってどうする?」
毅然とシルフを見つめ返して問い返した。
「あんた達の血を、ナバールの血統者に混ぜ合わせるの。 そうすればナバールは命を永らえることが出来る」
純血の消滅と共に”楽園”は消え去った。今も水脈を操り、水を確保している。しかし薄くなっていく血と共に、年々井戸の水が枯渇しかけていた。
砂漠という特殊な環境の中、長い年月に渡って水脈を酷使し続けてきたことも原因の一つにある。しかし水脈を癒せず、不完全な状態でしか操れないことが大きな原因の一つだろう。
このままいけば150年以内に井戸は完全に枯れ果て、ナバールは砂漠の民と同じく水に飢えた生き方を余儀なくされる。
それを打開する方法は新天地を求めるか、気に頼らずに人間の力だけで緑化作業を行うかのみ。
しかし新天地を求めても、それは他国を侵略すること。そして気という力に頼りきった血統者が、力も使わずに長い年月をかけて緑化作業を行うわけがない。
だがゼファーの故郷の人間の血を混ぜれば、それを打開できる。再び血が濃くなれば、弱りきった水脈を活性化できる。
そのように彼女は考えていた。
シルフの言葉にゼファーが薄く儚い笑みを浮かべる。それはとても寂しげな色合いを宿していた。
「それは不可能だ。 …私の故郷はとうの昔に滅びて、皆死に絶えたから」
「だけどあんたは生きている。 だったら他にも生き延びた者がいるんじゃない?」
納得できずに食い下がるシルフに、ゼファーが静かに首を横に振る。
「私以外で生き延びている人間などいない。 ……いるわけがないんだ」
悲しみの滲み出た声が、部屋の中に木霊した。






言い訳
シルフはゼファーに一目惚れしてます。
サンドアローとホークアイの顔立ちはシルフ譲りです。ゼファー譲りなのは色素だけです。(瞳と肌はサンドアロー。髪はホークアイ)
ちなみに二人の身長はシルフは172cmでゼファーは175cmです。

2011/10/8 小説へ移行
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