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「火星物語」
火星物語 小説

火星物語 小説 『密室にて』

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23話を見た人なら、一度は気になるであろう冒頭の話です。















今は亡き風機の製作者ヴィルドの研究室前。
未来の世界では最後の風使いと呼ばれている少年フォボスが、研究室の扉に深々と凭れ掛かっていた。
「……遅いなぁ……」
少年が手持ち無沙汰に懐中時計を見た後に、扉に目を向ける。
二人っきりで話があるといって、仲間達が扉の向こうに消えてから、既に一時間以上が経過していた。
―幾らなんでもこんなに遅くなるかな?
疑問が湧き出るが、それをすぐに封じ込める。
もし歴史通りになればクエス達は今日死んでしまう。歴史を変えるといっても、やっぱり不安はあるから、話すことは山程あるだろう。
だったら、自分が割り込んでは駄目だ。長い付き合い同士の二人を一緒にさせてあげないといけない。
それが今、彼らにしてあげられる唯一の事だ。

「…遅い!」
静寂に包まれた空間の中、苛立たしげな声が辺りに響く。
あれから時計の長針はもう三周目を回り終えていた。
今まで退屈を紛らわせるために道具や銃の整備を行っていたが、それらが終わった今、することがない。
リュートとの戦いを控えているのに、いつまで待てばいいのか分からない。それがフォボスの苛立ちを増大させていた。
何処か恨めしげに扉を見つめる。
堅く閉ざされた扉は、フォボスの前に立ちはだかっていた。
「……流石に遅すぎるよね…?」
―何を話してるのかな?
ここまで遅いと、無性に気になってきた。
―ちょっとだけ、見てみようかな。
悪魔の形をした好奇心が彼の耳元で囁く。天使の形をした常識は3時間以上待たされたせいだろうか、姿を見せなかった。
―二人とも気配に聡いけど、近づかなければ大丈夫だろう…。多分。
意を決して扉に手を伸ばす。
音を立てないように、注意深く慎重に重い扉を少しずつ開けていく。
漸く部屋の中が窺えるくらい扉を開けて、恐る恐る覗き込むと……。
*****
火星物語は「家族にやさしいRPG」です。
*****
我に返り、慌てて扉を閉める。
予想以上に大きな音を立てた扉に、体が強張り肩を震わせる。
―……大丈夫。絶対、気づいてない
彼らに音が聞こえたのでは?と危惧するが、すぐに自分に言い聞かせるように心の中で何度も唱える。
だが、動揺を押さえつけようとするほど扉の向こうの光景が鮮明に蘇ってきた。
頬が紅潮するが、それを必死で振り払う。
――見てはいけないものを見てしまった――
深い後悔と罪悪感に苛まれるが、彼の本意とは裏腹に鼓動は高まっていく。

フォボスが何とか平静を取り戻せた頃、扉が開きクエスとサスケが出てくる。
扉を見ないように背を向けていた少年が、大きく体を震わせて恐る恐る振り返る。
出てくるタイミングは明らかに彼が覗いたことに気づいている。
彼女達の顔が赤いことも相俟って、とても顔を合わせられなかった。




言い訳
いつか書こうと思っていたネタです。
一度はあの二人が何をしていたのかって考えますよね?
ゲーム中のフォボスの様子からして結構長い時間待たされたようですし、部屋から出てくる時には二人とも顔が真っ赤なので、こうじゃないかな?とゲームしながら思ってました。
キスをしていたのは確かですが(最終話より)あれだけの時間じゃ、時間にルーズな傾向のあるフォボスは待たないでしょう。(アービンじゃあるまいし…)
例えそうだとしても、通常時のポーズのまま扉を見つめているだけだったでしょう。でもそうではありませんでした。だから、何時間も待たされたんだと思います。
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