未完

火星物語 未完 『お題8』

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『リュート反乱』


注意
ギャグです。
リュートのキャラが著しく壊れています。


















アショカ将軍リュート。
卓越した政治手腕と実力を持ち、アショカ法王を傀儡として、異例の若さで将軍となった。
黒の風をその身に取り込み、心を失う代わりに生物のキャパシティを大きく超えた魔力を手に入れた、強大な力を持つ戦士。
世界征服を企む野心家で、己が野望のためにアショカ軍を操る。
……そして彼は人々の想像とは異なり、とてつもなく多忙な生活を過ごしていた。

アショカ将軍リュートの執務室。
リュートが目に濃い隈を作り、山と積まれた書類と格闘していた。
書類は摩天楼の如く執務机を圧巻し、リュートの姿を隠す。
処理しても増え続ける書類の山を、親の仇を見るように睨み付ける。
「…何故、こんな大量に……」
手を休ませる時間は惜しいとばかりに、延々と書類にペンを走らせながら悪態をつく。
侵略戦争により肥大し続けるアショカ法王国の軍事、政治、民事、経済などの国のすべてを統括しているリュートの元に送られる書類は必然的に膨大な量に及ぶ。
それらを処理するのに慣れる前に、リビドーに続いてカンガリアンまでクエスを筆頭とした風使いに解放され、その事後処理に終われる日々が続いていた。
本来ならこのような雑事は専門の文官に任せ、リュートは指示するだけだ。今まではそのようにしていたが、もう今のアショカではそれが出来なくなっていた。
「法王や部下共は全く使えぬ……」
手を止めることなく、忌々しそうに吐き捨てる。
法王にこれらの書類を捌くだけの頭はない。
軍内の主だった者も黒の風に浸食され、思考能力は通常の人間よりも酷く劣り、頭脳労働には全く向いていない。
自分の思い通りに動く手駒にすべく、余計な事を考えない人形に変える必要があったが…。
―…まだ早すぎたか…。
意思を奪う時期を見誤ったのは、大きな誤算。
まさか少し早めただけで、このような事態になるとは思いもしなかった。


漸く目途がつき、筆を止めて深呼吸し、背凭れに身を預けた。
途端、今まで意識していなかった疲れが、一気にリュートの体に襲い掛かる。
粉骨砕身で働き、不眠不休の日々が続いていた。
酷使された体が、悲鳴をあげている。

幾ばくかの仮眠を取った後、法王の元に伺い形ばかりの報告と、”異教徒”襲来に怯える法王を内心せせら笑いながら宥めた後、足早に執務室に向かう。
早く仕事を再開しなければ、待ち受けるものは書類地獄。
一刻も早くクエス達を始末せねばと、寝不足で鈍くなった頭で考えを巡らせながら廊下を歩いてゆく。


大きく息を吐き、執務室の扉を開く。
目に映った室内に広がる光景に、頭が真っ白になり、言葉を失う。
執務机の上に置ききれなかった書類が乱雑に床に置かれて、山として形を保っていられなくなったものは崩れて床に散らばっていた。
リュートの見ている中、一際うずたかく積み重なっていた紙の山が崩落した。それは他の山を巻き込んで、紙を広く散乱させる。

石と化したリュートの脇を幾人もの下級神官が積み重なった書類を黙々と運んでゆく。
散乱し、足の踏み場をなくした紙々を纏めようともせずに、手持ちの紙束を床の上に置くだけでそくさくと立ち去っていく。

更に目も当てられない惨状となった空間を前に、将軍の気が遠のく。
心の中で、何かが…大きな音を立てて、壊れた。

法王、神官、軍人、科学者などの国の中枢を担う者達を皆殺しにし、教会を業火の炎で焼き尽くした将軍は、天高く巻き上がる炎を前に高々と哄笑していた。
その様は地獄の魔王のようだったと文献は伝える。
アショカ法王国将軍リュートの反乱により、アショカは”国”として完全に滅びた。

「…独裁政権にこだわりすぎたようだな」
「たった一人で国や軍、民を動かせるわけがないのに…」
事の顛末に、今は滅びた国の王女と忍者が淡々と言葉を紡ぐ。
その口調とは裏腹に、アショカと戦うために自国の歴史に幕を引いた彼らの心中はかなり複雑だ。
風使いの少年が、おろおろと二人を交互に見る。
「二人とも、これからどうするんだよ?」
―……僕、ちゃんと元の時代に戻れるのかな?
王女と忍者が死なずにすんだことへの喜びと安堵よりも、自分の’歴史’に帰れるのか分からなくて不安だった。




言い訳
本当はあまりの多忙にリュート失踪(ストライキ=反乱)だったんですが、書いていくうちに失踪じゃインパクトが足りないと思い、このようなオチになりました。

リュートが黒の風を使う時期を見誤ったのは、縁の下の力持ちの存在を忘れて、「間もなく目障りな存在もいなくなる。そうなれば文官も必要ない」と考えてしまったからです。
自分一人さえいれば世界征服も可能だから、他を切り捨てたら…こうなったというわけです。

あくまでも歴史が枝分かれしただけで、未来が書き換えられたわけじゃないので、フォボスはちゃんと”自分の歴史”に戻れます。
…この歴史のハーネス(アショカ)でのリュートは「史上最悪の罪人」なので、映画なんて夢のまた夢です。
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