未完

聖剣伝説2 未完 『呪歌』1

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注意
2は3の遠い昔という大前提があります。
オリジナル設定や要素があります。

























舞台設定
シーク…21歳。 ファウナッハ…19歳。 ゲシュタール…17歳。 タナトス…不明。
















珍しく四天王全員が揃った定例会議の最中。”それ”は唐突で、またいつものことだった。
「君達にある国を滅ぼしてほしいのだ」
今まで沈黙を保ち、三人の議論に耳を傾けていた呪術師が口を開く。
彼の言葉に、その場にいる者達はそれぞれ異なる反応を返す。
一人は困惑気味に深く目を伏せ、一人は呆れの色濃い溜息を漏らし、一人は逸らしていた顔を興味深げに呪術師に向ける。
「タナトス様。私、今は生憎と皇帝の我が侭に付き合えませんわ」
ファウナッハが手早く書類を纏めながら、言葉を紡ぐ。
「いいや。これは皇帝のお遊びではないよ」
タナトスが嗤いを含ませて続ける。
「私の頼みを”皇帝が聞き届けてくれた”のだ」
ファウナッハが目を大きく瞠り、命令書を手に取ったシークが顔を上げる。
今まで淡と素が国攻めに口を出したことはなく、”皇帝の暇潰し”として我関さずの姿勢を貫いていた。
二年以上昔、ゲシュタールの前任が国攻めの最中に亡くなって以来、大規模な侵略戦争がなくなり、”狩り”と称して帝国領内や近隣小国の村や町を襲撃するのが常だった。
ゲシュタールが柳眉を寄せ、命令書を淀みなく破り捨て、タナトスに敵意を満ちた視線を送る。
「我々は貴様の”駒”ではない!」
荒々しく席を立つゲシュタールの背中に向けて、タナトスが喉を震わせる。
「おやおや、いのかい? これは君にとって”初陣”になるのだよ」
立ち止まり、ちらりと横目で呪術師を見る。その瞳に宿るのは、嫌悪と苛立ち。
「だからこそ貴様に穢されるのは我慢ならない」
鋭く言い放つと、呪術師よりは幾分か表情を和らげて、同僚二人に視線を向ける。
他人を悉く見下すゲシュタールが認める数少ない存在。
だからこそ、嫌悪してやまない呪術師と共にいることが気に入らなかった。
「シーク、ファウナッハ。こんな奴と一緒にいれば、お前たちまで穢れるぞ」
「クックックッ……。随分と酷い事を言うものだな」
呪術師が立ち上がり、距離を詰める。それと同じだけ、ゲシュタールが後ろに下がる。
「幾ら私でも、悪意に満ちた言葉の刃で傷つくこともある」
仮面の奥から覗かせる闇に染まった瞳は、真っ直ぐゲシュタールを射抜く。
底の見えぬ目は、見る者に全身を凍らせる悪寒を与える。
心の弱い者なら、タナトスに睨まれただけで死に至る。
ゲシュタールの足が竦み、嫌な汗が流れる。
恐怖を相手に見抜かれるのは彼の矜持が許さない。
強靭な意志を総動員させて、動揺を封じ込めてタナトスを睨み返す。
「それはよかった。 これ以上傷つきたくないのならば、二度と我々の前に姿を現すな」
己を鼓舞するために、タナトスの憤りをぶつけるように壁を力強く叩く。
優れた軍人でもある男の与えた衝撃で、部屋中に大きな音が響いた。
「今すぐ消えろ!!」
一言一言、意識して強く言い放つ。
「君もつくづく酷い人間だね「」
演技がかった芝居で、大袈裟に肩を落とす。
その声音は傷つけられた者が出すものではなく…。
馬鹿にしきったタナトスの態度に、ゲシュタールの額に青筋が立つ。
それが罵倒の合図だった。
一向に留まる事を知らぬ罵詈雑言を捲くし立て、悪意の限りをタナトスに浴びせる。
いつもの流れにシークが呆れの色濃い眼差しを二人に向ける。
ゲシュタールが幾ら言葉を重ねようと、タナトスには全く効かない。
タナトスが彼を玩具に遊んでいるのは誰が見ても明らかで、知らないのは本人だけだ。例えわかっていても何かを言わねば気がすまないのだろう。
頃合を見計らって、シークが声をかける。
「ゲシュタール。いい加減にしないか」
諌めるが返ってきたのは、常人なら尻尾を巻いて逃げ出す鋭い眼差し。
一切怯まずに、更に言葉を続ける。
「お前の気持ちは分るが、今は仕事中だぞ」
「わかっているなら、黙っていろ!」

「皇帝のお遊びの”狩り”でなく”戦場”だ。 殺しでなく戦いは君が今まで望んでいたものではないか?」
「フン。どちらも同じことだろう」
冷ややかに吐き捨てる。
場所の違いはあるが、どちらも本質となる行動は同じだ。
タナトスの目が怪しく光る。
「いや、違うね。 狩りは逃げる相手を追いかけるものだ。だが、戦いでは相手は強く、逃げずに立ち向かってくる。
どちらが君にとって面白いといえるものか、よく考えてご覧?」
諭すような言葉に、ゲシュタールが小さく舌打ちを零す。
暇を持て余した皇帝が行わせる”人間狩り”では、逃げる相手を追いかけるだけで正直面白みに欠けていた。
部下達はそれを楽しみ、獲物を追い詰める事にこそ価値があるといっていたが、ゲシュタールにとってそれは卑しい行為そのもの。それはシークやファウナッハも同様だ。
彼に比べてモラルを重んじる彼らは、自分達の直属の部下には目に余る非道な行為を硬く禁じている。
ゲシュタールも他の二人と同じく狩りを楽しみ、嬉々と略奪に走る者達に軽蔑を抱いているが、兵士の士気を高めるために黙認している。

ゲシュタールが渋々と席を腰を降ろした後に、シークが鋭くタナトスを見遣る。
「タナトス。今度は何処の国を滅ぼさせるつもりだ?」
「フォルセナだ」
呪術師の言葉に珍しく三人揃って驚きを露わにする。
学術国家フォルセナ。
世界の知の殿堂とされ、数多くの優秀な学者や研究者を輩出する国。そしてマナ帝国以前から存在する国であり、今の世で最古の国。
何代にも渡ってタスマニカとフォルセナの王族は婚姻を結び、縁戚関係にある。そのためか両国の言語、文化や思想など共通点が数多くある。
他国からは名前と頭脳だけが異なる国々として揶揄されている。
そしてタスマニカの高度な科学技術の発展には、フォルセナから得た古代文明の知識が大きく関わっている。
「フォルセナを滅ぼせだと!? タナトス、何を馬鹿な事を!!」
珍しくシークが気色ばんで、声を荒げる。
「フォルセナを潰せばタスマニカを筆頭とした国々と全面的に争う事になるのだぞ!! 貴様の気紛れの為に、帝国全体を危険に晒すわけにはいかない!!」
「シーク。お願いだから落ち着いて、タナトス様の話を最後まで聞いて」
激昂するシークを、ファウナッハが宥める。
彼女に諌められて、シークが渋々と言う様子で怒りを静めて、いつもの冷静さを取り戻す。
「フォルセナを潰せというからには、高いリスクを背負うだけのメリットがあるのだろうな?」
険しい面持ちに浮かべられた真実を射抜かんとする冷徹な眼差しに、タナトスが口角を歪める。
ここで適当な答えを返しても、決して納得せずに追求遷都するだろう。普段なら相手の意思など関係なく行うが、今回は彼らの”戦力”を確かめるためには、双方納得した形で行うのが最良の道。
「皆も知っての通り、フォルセナは長い歴史を持つ。 マナ帝国が滅びると同時に失われた情報を残す唯一の国なのだよ」
一旦言葉を止め、皆の注意をひきつける。
「例えばマナの要塞に纏わる情報や、かの要塞の封印解除に必要不可欠な情報も……全てかの国に極秘裏に伝えられている」
呪術師は獲物を前にした大蛇のような目で三人を見渡した後、真っ直ぐシークを見つめる。
「マナの要塞の封印を解けば、他の国々など取るに足らぬ存在となるだろう?
それがフォルセナを潰す理由だ」



言い訳
四天王達がマナの要塞の復活に、種子の封印解除が必要と知る切欠となった話しです。
この時点では現物がまだ実在している事を知っているタナトス以外は、「マナの要塞は遥か昔に滅びたもの」という認識です。
ゲシュタールは古代の超高度な科学技術の結晶というべき要塞に興味津々でしょうね。
他の二人は……この時点では大して興味を抱かなかったと思います。

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