「聖剣伝説」
聖剣伝説3(HOM)

聖剣伝説3 小説 『邂逅』 デュランside1

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注意
書き溜めている長編の一部を使った話です。
ジャドでの仲間達の出会いを、デュランの視点のみで進めます。(長編は5人分の視点で繰り広げられます)
序盤だけですので、ケヴィンとホークアイとの出会いだけになります。











物陰に隠れながら、恐る恐る周りを伺っている少年の姿を見かけて、立ち止まる。
見慣れない服を纏っており、固く跳ねた、濃い金髪の持ち主だった。
見るからに挙動不審な少年に、デュランが声をかける。
その途端、少年は大袈裟なほどに身を跳ね上げて、反射的に長く尖った耳を隠す。
『うわっ!びっくりしたあ!』
デュランの聞いたことのない言葉で、声を上げた。
言葉はわからないが、表情と素振りで何を言いたいのかは大体分かった。
―俺の方が驚いたぜ…。
少年の過剰なまでの驚きように、デュランも内心驚いていたが、少年の手前それを表に出さなかった。
少年は驚きと怯えを滲ませた目でデュランを見上げている。
「お前、こんな所で何をしているんだ?」
鋭い眼差しを向け、問い詰める。
無意識に険しい顔つきをしているのか。少年の顔に宿る怯えの色が濃くなっていく。
あからさまな反応にデュランが苛々し始めた時に、少年がおずおずと喋る。
「……えーと……。頼む、オイラが、ここにいること、誰にも言わないで…」
酷く訛った共通語で、一瞬何を言っているのかわからなかった。
数秒遅れて内容を把握する。
「何故だ? お前は……」
問いかけながら、改めて少年の全身を見て、目を大きく見開く。
特徴ある尖った耳と、縦長の瞳孔は彼が獣人である事を示していた。
―獣人兵!?
思わず剣を抜き取ろうとしたが、少年がビクッと体を震わせて、後ずさる。
その獣人らしからぬ態度に、デュランの敵意が削がれていく。
――弱き者を助けてこそ、誇り高いフォルセナ騎士だ――
少年の怯えた目の奥に、英雄王の姿と言葉が浮かび上がった。
舌打ちと共に剣を鞘に収めると、少年が目を丸くしてデュランを見つめた。
―……なんなんだ、こいつは? 獣人兵じゃねぇのか?
デュランが少年の姿を改めて観察する。
彼の体は見事なまでに鍛え抜かれており、年若いながらも熟練の戦士である事を窺わせる。
少年からは他の獣人兵と異なり好戦的な空気が一切感じられず、瞳には戦意の欠片も見出せなかった。
体は戦士でも、その心は非戦闘員そのものだった。
「安心しろ。 フォルセナの兵士は弱い奴を守るのが誇りだ。
お前をどうこうしようというつもりは…ねぇよ」
頭をかきながら、極力優しい声音で言う。
敵意と戦意が消え去ったデュランに、少年が安堵の息を吐いた。
少年が彼を真摯な眼差しで見つめ、ハッキリした口調でゆっくりと言葉を紡ぐ。
「オイラも獣人。だけど、町を占領している連中と、違う」
少年が周囲を見回して、声を潜める。
「今、他の獣人達に、見つかるわけにはいかない……」
共通語に慣れていないのか、片言に近く訛りの強い言葉だった。
少年の真摯な面持ちに、デュランが力強く頷く。
デュランの答えに、少年が安堵したように笑う。
その太陽のような笑顔に、デュランの毒気が完全に抜かれる。
「なぁ、お前……」
デュランが言葉を紡いでいる最中、人の話し声が遠くから聞こえた。
聞こえてくるのは小さな声で、何を話しているのかデュランにはサッパリ理解できなかったが、少年の体が強張った。
「おい、どうした?」
「頼んだよ!」
一言言い残すと、少年が慌てて声が聞こえている方向とは反対側に走り去っていく。
そちらは行き止まりだと思わず声をかけようとするが、少年は高い塀を軽々と跳躍して、飛び越える。
あまりにも見事な逃げっぷりに、デュランが唖然と見送る。
「……何だよ、あいつは?」

「おい、そこの人間!! こんな所で何をしている!?」
背後から聞こえてきた野太い声に、デュランが振り返る。
三人の獣人が、居丈高にデュランを睥睨していた。
その敵意を露わにした眼差しに、デュランが内心で舌打ちを零す。
「別に大した理由はねぇよ。 猫を追いかけていたらここで撒かれただけだ」
「猫だと?」
「俺の食い物を背後から疾風のように奪い去った野良猫だ!」
忌々しげに吐き捨てる。
ここに来るまでの経緯を思い出した途端、それまで消えていた腹立たしい思いが再燃する。
デュランの表情と声音から、それが本当のことだと分かった獣人達が互いに見交わして何事かを口にする。
獣人の言葉で交わされた会話の内容はデュランには分からないが、表情と声音から嘲笑うものだというのは嫌でも分かった。
「そうか。野良猫に逃げられて、ここまで来るとはご苦労な事だ」
「ハハハハ。 人間じゃ、猫の素早さには絶対敵わねぇだろうな」
馬鹿に仕切った獣人達の笑いを背に、デュランが走るようにその場を立ち去る。
―畜生!! 何もそこまで笑うことはねぇだろ!!
獣人達に凄まれている中、いい言い訳も思いつかずに、咄嗟に本当の事を口にしたのだが……。
目頭が、無性に熱かった。



言い訳
公開日当日に一部改訂しました
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