「聖剣伝説」
聖剣伝説3(HOM)

聖剣伝説3 小説 『夢夜』 1

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注意
六人分の話を書きますが、全体の繋がりはなく、それぞれ単独の話としてお読み下さい。
共通しているのは「夢」の話というだけです。











デュラン編~『魂の記憶』~

こんな夢を見た。

他を威圧する要塞の如き巨大な城。
堅牢な城砦の屋上に一人の男が立っていた。
眼下に広がる真夜中でも煌々と輝く城下町の明かり。
男は穏やかな笑みを湛えて、町に広がる人々の生活の灯火を眺めていた。

ここから見る街の明かりが好きだった。
立ち入り禁止区域故に滅多に人が来ないので、自分の時間を邪魔されないことも好ましかった。
眠れない時や、何も手がつかない時は、ここに来て城下町を眺めて過ごすことが多かった。
ここから見る明かりは、まるで命や人々の夢を宿した煌きのようで、見ているだけでも心が和む。
醜いものは大嫌いで、人間も好かないが、この風景だけはいつまで見ていても飽きなかった。

「――――」
名前を呼ばれて振り返る。
そこにいたのはよく見知った人物。
気配と音から切り離された存在の如く歩み寄り、彼の隣に立つ。
高々と結い上げた青紫の髪が風に靡き、鋭い光を宿す双眸が彼を見つめる。
宝石のように美しい瞳に映される姿に自らの姿に違和感を覚える。だが、それも飛沫の泡の如く消え去り、すぐにその存在自体も忘れた。
「デュラン」
毅然と彼を見つめる青年の形のいい唇から紡がれる低く美しい声に、眉根を寄せる。
聞いた事があるような、ないような妙な感覚だった。
「お前は、もう――――じゃない。 デュランという人間だ」
青年が立ち竦む彼の頬に優しく労わるように手を当てる。
「だから、全てを忘れて……早く夢から覚めるんだ」
途端、自分の存在自体が曖昧になり、急速に意識が遠のいた。

「……デュラ……ラン……デュラン!」
遠くから聞こえてくる呼びかけに、デュランがハッと我に返り、慌てて飛び起きると周囲を見回す。
目の前にいたのは親友のホークアイ。
一瞬誰かの姿と重なったような気がしたが、すぐに霧散した。
焦点の合わない目を向けるデュランに、ホークアイが頬をパシッと音を立てて叩く。
「デュラン。 疲れているのは分るが、不寝番のお前が眠りこけたら皆が危なくなるんだぞ」
「あぁ……わりぃ……」
―そうだ。俺が不寝番を勤めたんだった。
紅蓮の魔導師に負けて以来、深い眠りにつけなくなった。
僅かな物音でもすぐ目が冴えるから、不寝番を引き受けることが多かった。
だが、立て続けに起きたローラント解放、幽霊船、火山島のブッカからの脱出劇などで疲労が蓄積してたらしく、抗いきれない眠気が襲い意識が切れていた。
そして……
―あれ? 何の夢を見ていたんだ?
夢を見ていたことは覚えているが、その内容は全く思い出せない。
何かしこりのようなものが残っているような気がするが、それもすぐに消えた。

焚き火の炎に照らされた親友の顔を見つめていると、無性に胸が痛んだ。



言い訳
一度完成してから半分以上削った話です。
デュランの夢の内容について色々なタイプの話を考えてみたのですが、どれもしっくりと来ないのでこの話になりました。

ギャグでならヒヨコ戦士にクラスチェンジしてしまったデュランが、チョコボ騎士→フェニックス戦神へと華麗なクラスチェンジを遂げるという夢オチのネタがありましたが、話が異様に長くなりますし、序盤と最後のデュランがあまりにも可哀想なので没にしました。
流石にいくら夢オチでも、これは酷すぎるな…という内容でしたので。

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