未完

聖剣伝説2 お題 未完 『Raven』 3

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注意
オリジナル設定があります。
こちらの設定を使っているので、まず一読してください。
2は3の遠い過去の世界という大前提があります。
シーク・ファウナッハ前提です。















舞台設定
シーク…21歳。 ファウナッハ…19歳。 ゲシュタール…17歳。 タナトス…不明。















マンテン山、グランス高山に次いで、世界三位の高さを誇るバストゥーク山。
風を猛り狂わせる過酷な地形と共に神獣が多く住まう事から、神の山として恐れられる禁断の土地。
人の手による侵食もなく自然に溢れ、神獣も多く住まう事からマナが豊富でエネルギー源として求める国は数知れぬが、何人たりとも手を出せない事情があった。
バストゥーク山のあるローラント付近には豊かなマナを求めて、神獣の縄張りを侵さぬようにあらゆる色の竜族が巨大な群を成し暮らしていた。
その規模はまさしく竜の国と呼ぶに値し、竜族から見て取るに足らぬ種族である人間など到底近づけない、数少ない自然の楽園だった。

バストゥーク山の中腹付近の、眼下を一望できる崖の上。
竜族の領域から離れた場所が安全区域と呼ぶならば、そこは安全だ。しかしもっと恐るべき存在である神獣の縄張りでもあった。
蜃気楼の如く空間が歪むと、何もなかった所から二人の男女の姿が現れた。
防塵マスクを被り頭厳重に目元付近まで覆われているが、僅かに覗かせる部分だけでも二人の容貌が非常に整っていると推察できるほど、美しすぎる男女だった。

風の猛威は突如現れた者達にも等しく襲い掛かり、女性の体が風に煽られて小さい悲鳴と共にバランスを崩しかけた時だった。
男が腕を伸ばし、手を広げた瞬間強風は唐突に止まり、谷間から聞こえる龍の唸り声と称される轟音も完全に消え去って、異様な静寂に包まれた。
完全なる凪に、女性が仄かな羨望と簡単を宿した溜息を漏らす。
森羅万象に存在する”気”と呼ばれる力を用いて封脈を操る。ただそれだけで、いかなる魔法すらも困難とすることも容易くやってのけた。
環境すらも思うがままに操れる能力を先天的に持つ血統者への羨望や妬みはあるが、決して得られぬ力を求めるほど、愚かな事はしない。
彼らが決して感知できぬマナを用いた魔法を極め、タナトスと同等に並び立てるほどの術者になる。
それが、常識外れの威力と影響を与えた忍術を事も無げに使ったシークを見てからの、ファウナッハの目標だった。

天高くから聞こえる威嚇するような、金属を擦り合わせたような甲高い声に、ファウナッハが目を輝かせて空を振り仰ぐも、シークはうんざりしたように顔を曇らせて目を伏せた。
黒い神獣達が何匹も宙を旋回し、中には挑発するようにシーク達の近くを飛ぶものもいた。
それらを無視する形でシークの歩みは止まらなかったものの、小柄な神獣が無礼な侵入者めがけて急降下した。
その鋭い鍵爪が地面を抉るのと、シークが少し離れた位置にいるファウナッハに結界を張りながら後ろに跳躍したのと、ほぼ同時だった。
土埃が舞う中、小柄な神獣は何処か楽しそうに鳴き声を上げて翼を大きく振るい、シークめがけて先程抉られた岩石を投げ飛ばした。
マナの篭められた岩石は凶器となって寸分違わずシークに襲い掛かったが、結界に阻まれて粉々に砕かれた。
しかし僅かにそれた岩石は背後の崖を貫いただけでなく、何と砕いて崖崩れを引き起こしたのだが、シークが術を使い崩落を未然に防いだ。
自らの攻撃を防いだだけでなく、崖崩れすらも防いだシークに純粋に驚いたのだろう。小柄な神獣は喜声を上げると急上昇して、様子を見るように旋回する群の中に戻っていった。
シークが空を振り仰ぎ、忌々しそうに顔を歪める。
彼らから漂う気に悪意は微塵もなく、あるのは好奇心と玩具を前にした高揚感。
ローラントに住まう神獣達にとって、”人間”は滅多に現れぬ娯楽の一種なのだが、付き合わされる方はたまったものではない。
連中にとってはただの遊びでも、人間にとっては死神の遊戯だ。
ただでさえ神獣は伝説の聖剣以外の物理攻撃は通じないし、魔法や忍術も威力が半減以下になる。
例え竜族の巣を越えられたとしても、神獣の玩具にされて死ぬ。それがこの山での人間の末路だ。
「……だから、こいつらは嫌いなんだ!!」
シークが他の人間と違う事を知る神獣達は、彼を見つける度、嬉々として”遊ぼう”とする。
唯一の安全地帯は、これから行く目的地くらいなものだ。
本来ならば目的地に直接行くつもりだったのだが、神獣を一目見たいという連れの要望に負けて、目的地付近の神獣の縄張りに空間転移したのだ。
連れには悪いが、現れるな神獣。せねて今だけは竜族と遊んでいろ、というシークの切なる願いも虚しく現れた連中に、心底嫌気がさす。
図らずも”目的地”を守護する役目のある神獣だとわかっていても、嫌なものは嫌なのだし、トラウマでもあるのだ。

神獣の攻撃の余波が連れにまで及んでいるのを見た瞬間、徹底した感情制御をものともせずに、頭に血が上った。
「いい加減にしろ!!」
腹の底から吐き出された怒声と共に放たれた膨大な気は、乱気流の嵐となってシークを中心に巻き上げられる。
神獣の強靭な翼でさえも気の猛威に煽られて、彼方へと飛ばされていく。
中には墜落し、地に叩きつけられるものもあったが、それらはシークが融合術を用いて息の根を止めた。
例え殺しても神獣はマナがある限り、死ぬ事はない不死の生物なのだ。
だから暫くすれば何事もなかったかのように息を吹き返し、蘇り続ける。
神獣を殺すという事は、蘇るまでの時間を稼いだに過ぎない。


「……本当に凄いところで育てているのね、眠り花を」
「その方が安全だからな」
竜族の巣を越え、神獣の縄張りを越えた先にある目的地。
神獣は凶暴化にならなければ温厚だというが、その姿をシークは見た事がない。


小ぶりの花々が咲き誇り、一面真紅色に染まっていた。
眠り花。
花粉を嗅いだ者に深い眠りを齎し、その危険性から魔の花と呼ばれている。
ファウナッハが花を踏まぬよう慎重に足を踏み入れながら、周囲を見回す。
「これが眠り花……」
影で囁かれるのみで存在すら定かでない伝説の花を前に、ファウナッハが純粋な好奇心に満ちた眼差しで見つめる。
職業柄、薬学や魔法薬については詳しい知識を持っていたが、その知識を以ってしても、眠り花の事は殆ど知らなかった。
血統者のみに伝えられる神秘の花。

シークがしゃがみ、眠り花の花弁にそっと触れる。
その瞳に宿るのは、亡き父親への深い思慕。
「この眠り花は父上が私のために遺してくれた大切な物だ」
混血ゆえに冷遇されてきた幼少期。
父親は、忍者なのに眠り花を与えられぬシークのことを想い、彼のために厳重な処罰を覚悟で極秘裏にバストゥーク山に花を栽培した。
眠り花は使い方次第で国を滅ぼす死の花。そのため危険物として厳重な管理化に置かれている。
それを多量に持ち出されたのは長の家系故。
大切なものを語る少年のような純粋な眼差しで手に取った眠り花を見る恋人に、ファウナッハが目を細める。

ファウナッハがシークの隣に座り、彼の顔を覗き込む。
「眠り花って、元からこれほど強力な性質を持っていたの?」
以前眠り花に纏わる文献を探した時、千年近く前のワンダーの森に眠気を齎す花があったと共に、広大な森の半分以上が一瞬で焼け野原になったという記述が残されていた。
シークが静かに首を横に振り、花に向けていた視線を彼女に向ける。
「原種はただ眠気を催すだけの効果しかなかったが、長い年月も品種改良と異種交配を繰り返すことで、強力な”毒薬”になった。
元々そうしたのは血統者の得意分野だからな」
動植物に何十世代も気を流し続け、強力な性質を付け加える。特に有用だと判断した物には様々な性質も備えさせる。
そうして作られた品々には、人知を超えた強力な力を持つ物が数多く存在していた。
「原種とあなた達の眠り花とでは、どう違うの?」
「その性質はあまり変わらない。 ただ、我々の眠り花の効果は無制限で、花弁を用いた調合次第では死を齎す花になる」
眠り花の原種の効果は一度きり。その効果は花粉のみにあり、花弁や葉、茎や根には何の力もない。
だが、品種改良を施された眠り花は調合次第で命を容易く奪う猛毒や、様々な薬の繋ぎにもなる便利な薬草。
原種は血統者が生息区域を根こそぎ焼き払ったので、もうこの世に存在しない花だった。

強い風が吹き、彼らの髪が靡く。
シークが立ち上がって花畑を見渡した後に、切なそうに目を伏せる。
「私が死ねば、ここにある花も全て枯れてしまうのがとても残念だ」
父親との大切な思い出の場所が、時の流れと共になくなってしまうのが悲しかった。
眠り花は気の流れのない場所では枯れるように作られている。そして、彼の死と共に眠り花を生かす気の流れは途絶える。
それが、国を滅ぼす魔の花に対する血統者の安全弁だった。

「あら、知らないのシーク? 植物って強い生命力を持っているのよ」
見事に咲き誇る花畑を見遣る。
「こんなに大事に育てているんだから、花も先祖返りでも起こして生き延びようとするわよ。 きっとね」
「……そう、だといいな……」
儚く笑って、花畑を見つめた。



言い訳
黒い神獣は2で四季の森を飛び回っているあれです。
彼らが防塵マスクをしているのは、花粉を吸い込んで眠らないためです。

ここの眠り花は先祖返りを起こして強力な性質をなくす代わりに、長い年月を生き延びて3に至るという流れです。(無制限だったのが、一回限りとか…)
血統者達が管理下に置いていた眠り花は彼らの衰退と共に完全に滅びたので。3の時代には眠り花はバストゥーク山しかありません。


次の話からはHOMの時系列になります。
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