「聖剣伝説」
聖剣伝説 『女神の騎士』

聖剣伝説 『女神の騎士』 番外編 【箱庭の少年】1

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注意
『女神の騎士』本編より数十年前の、ナバールの話です。
ファルコンとサンドアローの出会いです。

『箱庭の少年』全体を通してフレイムカーン→サンドアロー要素があります。
















「そこまで!」
鍛錬上に響いた鋭い声に、双剣を繰り出していた少女はぴたりと動きを止めた。
一人は屈強な体格の壮年の師範。対するはあどけなさの残る少女。
勝利したのは、少女の方だった。
少女が男の喉元に狂いなく定まった切っ先を下ろして、一気に息を吐き出す。
男がファルコンに膝をついて、頭を深々と下げた。
「ファルコン様、お見事です」
ファルコンは双剣を鞘に収め、師範に向き直って深々と頭を下げる。
「これも師範の厳しい指導のお陰でございます」

師を見送った後、ファルコンが周囲を見回す。
先程の訓練の最中から、どこかから視線を感じていた。
嫌な気配はなかったので敢えて気にも留めていなかったが、流石に気になってくるもの。
気配の源を探り当てて、振り仰ぐ。
古くからある塔の最上階の壁に穿たれた窓。そこから一人の少年が顔を覗かせていた。
―誰だ?
ここからでは距離が離れているので少年の顔立ちはよくわからない。気を探ろうとしても、塔自体に結界が張られているため読み取れなかった。
少年がファルコンの視線に気付いて、微笑んで手を小さく振るう。
和やかな気配に、ファルコンが手を振り返そうと掲げた時、動きを止める。
少年の後ろに、政務で忙しい筈の父王フレイムカーンが姿があった。
ファルコンが目を瞠る中、フレイムカーンは少年の肩を掴むと、窓から遠ざけて、遮光性の高いカーテンを閉ざしてしまった。
「……何、あれ?」
驚きのあまり唖然としていた彼女が、小さく呟いた。
次第に冷静を取り戻していくと、見てはならないものを見てしまったという後悔が我が身を襲い始める。
父王に限って、そんな事はないと信じている。しかし、あの状況ではそれ以外考えられなかった。
―父上にあのような性癖があったなんて……
先程の父王の気配。あれは――……
つらつらと浮かび上がってくる嫌な考えを振り払い、塔の頂上を振り仰いで睨み据えた。
このまま疑念に凝り固まってしまうのは嫌だ。
ずっと思い悩み続けるくらいならば、信じがたいものであってもハッキリ事実を確認しよう。
そう決めた彼女の行動は早かった。

守衛の隙をつき塔の中に入り込み、監視カメラの網を潜り抜け、数え切れぬトラップを解除して見つけた隠し扉。
普通の人間の目には壁にしか見えないが、物心着く前から忍者としての訓練を徹底して受け続けてきたファルコンにはそれが扉だとわかった。
息を潜め、足音を忍ばせて、気配を完全に断ちながら慎重に階段を昇っていく。
長い長い階段が終わりを迎えた所には、重厚な扉が威圧するように彼女を待ち構えていた。
ファルコンが扉に何度か手を伸ばそうとするも、触れる寸前で手を引っ込めるのを繰り返した。
―今更何を躊躇っているんだ、ファルコン。
真実を確かめるためにここまで来たのだから、ここで引き返しては意味がない。
神経を落ち着かせるために何度も深呼吸した後、真っ直ぐ前を見据え、勢いよく扉を開いて昂然と室内に入った。
質素だが品のよい内装を施された部屋の中には父王の姿はどこにもなかった。
ファルコンが鋭い眼差しで部屋の中を見渡す。そうして部屋の主を見つけて、息を呑んだ。
瑠璃を溶かし込んだ色素の薄い髪。宝石と見紛う深紅の瞳。雪の如き白皙の肌。
そこにいたのは今までに見た事もない端正な顔立ちの美しい少年だった。
驚いたような切れ長の目がファルコンに向けられるも、その顔は花が開くように次第に綻んでいく。
「やあ、初めまして」
穏やかで優しい声。
少年の美貌に見惚れたファルコンが、その声で我に返った。
「お前は……誰だ? 何故ここにいる?」
「僕はサンドアロー。 5年前にフレイムカーン様に拾われて以来、ここで暮らしているんだ」
―5年前。
だとすると、父王は母が生きていた頃からこの少年を囲っていたのか。
激しい失望と落胆が我が身を襲い、父王への怒りへと憎しみに変わるのにさほどの時間は掛からなかった。
ポーかフェイスの少女の感情を、気で読み取った少年がファルコンに近付く。
「どうしたんだい?」
「……私がお前をここから出して、父から解放してやる」
「え?」
「女だけに飽き足らず、男にまで手を出すとは……見下げた王だ」
忌々しげに吐き捨てた後、目裏に父王に抱かれる少年の姿が浮かんだ。
鍛え抜かれた筋骨逞しい戦士の体躯を持つ男と、それに体中を嬲られる細くしなやか肢体の類稀な美貌の少年の裸体が、生々しく絡みつく光景が浮かんで頭の中から離れなかった。
それを必死の思いで振り払う。
考えただけでも反吐が出そうになり、父王への嫌悪が更に深まった。
「……私の父親であるのが恥ずかしい」
父王の欲望の犠牲になっている少年に彼女が出来る償いは、この場から助け出すことだった。
暫し少年は目を丸くしていたが、陰りのない笑い声を上げた。
予想外の反応に、憮然としたファルコンが少年を睨む。
少年が声を上げて笑うのを止めて、頭を振った。
「ファルコンさん。君はとんでもない誤解しているよ。 僕は彼に守られているだけで、そんな関係じゃない。
大丈夫。あの方にそんな趣味はないから、安心して」
「………本当に?」
穏やかに微笑んだままの少年に、疑わしげに訊ねた。
あの時の父王の気配は情念を押し殺しているものだった。
娘にすら見せた事のない、一人の人間としての姿。
サンドアローはフレイムカーンの事を”保護者”と考えているようだが、父王は少年にただならぬ執着を宿しているのは確かだった。


言い訳
サンドアロー14歳でファルコン12歳の時の話です。

稚児疑惑は、ファルコンの勘違いです。(疑われるようなことをしているのは確かですが…。サンドアローの言うとおり、何もありません)
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