「聖剣伝説」
聖剣伝説3(HOM)

聖剣伝説3 小説 『雨宿り』

 ←聖剣伝説2 小説 『暗殺』 1 →聖剣伝説2 小説 『呪歌』3
「もう、信じられない!!」
辺りに女性の高い声が響いた。
滝のように降る雨音にも負けない大声に、濡れた荷物などの確認をしていた仲間たちは思わず身を竦ませる。
「ついさっきまで雲一つなかったのに、何で突然こんなに降るのよ!?」
アンジェラが癇癪をぶつけた後に、忌々しそうに天を仰ぐ。
彼らがいるのは六人がやっと入れる狭い洞穴だ。
虫が多く、入る際には一瞬躊躇っていたが、豪雨の前に迷いを捨てて中に入った。
そのような事情から、彼女の機嫌は最悪だった。
雨が降っていることも関係しているのだろう。彼女の高い声はいつも以上によく響いた。
デュランが露骨に顔を顰めて、獅子を思わせる髪を掻き毟り、首を振るう。
「おい、アンジェラ。 天候相手に苛立っても意味ないぜ」
子供を諭すような声音がアンジェラの癪に障った。
次の瞬間には彼女の平手打ちがデュランの頬に吸い込まれていった。

始まった痴話喧嘩という名の壮絶な言い争いに、皆の顔に呆れと疲労の色が浮かぶ。
感情を素直に表に出すシャルロットは言うまでもなく、ケヴィンやリース。また滅多に本音の感情を出さないホークアイも。
突然前触れもなく土砂降りの雨が襲い、皆慌ててこの洞穴に逃げ込んだ。
走ったのは数分だけだが、その間に全員が濡れ鼠になり荷物も全滅したことから雨の激しさが伺える。
漸く六人が入れる狭い空間では火を焚いて暖を取る事もできずに、寒さに凍えながら雨が降り止むのを待っている最中だった。

更に激しさを増した口論にケヴィンはおろおろし始め、ホークアイは耳栓を嵌めて我関せずと無関心を決め込んだ。
リースも困ったようにデュランとアンジェラを見るが、両者の口論に手を出さないのには理由があった。
旅を初めて間もなくから衝突ばかりを繰り広げていた二人だが、両者の間に他者がわりこめば後々にまで尾を引いてしまう。
下手に手を出して厄介な事になるのなら、二人が疲れた頃合に仲裁すればよい。
それが仲間達の、騎士と王女への痴話喧嘩対策だった。
時と場を選ばない二人にシャルロットがうんざりとした目を向けた後に、見てられないとばかりに外に目を向ける
空は厚い雲に覆われ、雨は激しさを増すばかりでやむ気配はない。
シャルロットが憂鬱そうに溜息を漏らした瞬間。
閃光が走り、地をも揺るがす轟音がすぐ近くから聞こえてきた。
悲鳴と共にすぐ側にいたケヴィンに抱きついて身体を震わせていると、ふといつの間にか喧嘩の声が止まっている事に気づく。
小動物のように目を真ん丸くしたまま顔を上げると、デュランとアンジェラは顔を赤らめ、背を向け合っていた。
その二人にホークアイがニヤニヤ笑い、リースが微笑ましそうにしているのを見て、シャルロットにも事の成り行きが分かった。
雷の音に驚いたアンジェラがデュランに抱きついたのだろう。
喧嘩をしていようと王女を突き放すほど騎士は非情ではない。
そんな状況で喧嘩など出来るはずもなく、なし崩し的に静まったようだ。
シャルロットがホッと安堵の息を吐いて、先程まで憎らしかった雷に深く感謝した。

実は雷に驚いたデュランが反射的にアンジェラの抱きついたのだと、ケヴィンから聞かされたシャルロットが笑い、いたたまれなくなったデュランが大人げもなく二人に噛み付いたことは……また別の話。
スポンサーサイト


総もくじ 3kaku_s_L.png ドラゴンボール
総もくじ 3kaku_s_L.png 火星物語
総もくじ 3kaku_s_L.png 聖剣伝説
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ
総もくじ  3kaku_s_L.png ドラゴンボール
総もくじ  3kaku_s_L.png 火星物語
総もくじ  3kaku_s_L.png 聖剣伝説
もくじ  3kaku_s_L.png その他
もくじ  3kaku_s_L.png 未完
もくじ  3kaku_s_L.png 考察もどき
もくじ  3kaku_s_L.png 短文
もくじ  3kaku_s_L.png 裏部屋
  • 【聖剣伝説2 小説 『暗殺』 1】へ
  • 【聖剣伝説2 小説 『呪歌』3】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【聖剣伝説2 小説 『暗殺』 1】へ
  • 【聖剣伝説2 小説 『呪歌』3】へ