「聖剣伝説」
聖剣伝説2

聖剣伝説2 小説 『呪歌』3

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注意
2は3の遠い昔という設定です。
オリジナル設定や要素があります。














民を焼き尽くす煙と炎の熱が目を突き刺し、涙が次から次へと枯れることを知らずに流れ出す。
眼下に広がるのは、筆舌に尽くしがたい地獄絵図。
この”悪夢”を現実として認められずに目を閉ざすが、音は嫌でも耳に入り込んでくる。
国の断末魔の悲鳴が。
「お気に召されましたかな、フォルセナ王」
すぐ側から、からかうような口調の声が聞こえる。
そこに声に虚ろになっていた王の心が現実に戻り、この惨事を引き起こした現況へと意識が向いた。
己のみを拘束し、上空に浮かばせる呪術師を鋭い眼差しで睨む。
それは視線で人を射殺せるのならば、用意に呪術師を殺められるほどの激しい憎悪が篭められていた。
呪術師が肩を竦めて、口角を歪める。
「それは、残念」
芝居じみた動作で眼下に広がる光景を指し示した。
呪術師の意思に応えて王の体が動き、目を閉ざすことも許されずに地獄の光景を目に焼き付けられる。
己の意思と関係なく動く体に、王は血を流す程強く唇を噛み締めた。
「貴殿のために用意した最高の舞台だというのに、気に召されないとは……」
仮面の奥にある目に、鋭く昏い光が宿る。
「真に、残念です」
「き、さま……!!」
血を吐く思いで、掠れた声を絞り出した。
今王の心を占めるのは、目の前にいる呪術師への殺意と、国を殺すヴァンドール帝国への憎悪。
いや、それだけでは飽き足らぬ想いがドス黒い炎となって全身を燃やした。
術にかけられても尚、喋られる王の精神力に呪術師は軽く目を瞠った後に、鼻白む。
「フォルセナ王」
深い威厳ある声が呪術師から放たれた。
「何故、ヴァンドールがフォルセナを滅ぼすのか……。 その理由を知らずに死ぬのは耐えられませんか?」
嗤い声と共に紡がれた言葉に、王は呪術師を睨み据えて、呪詛の言葉を吐く。
「私が欲しいのは、マナの要塞。 ここまで言えば、貴殿は全て承知のはずだ」
愕然と憤怒が入り乱れた王の目を、呪術師は蛇のような目で凝視する。
代々のフォルセナ王は知識の守り手として、マナの要塞に纏わる情報を悪用されぬように他者に知られぬ方法で伝承してきた。
即位時に古代文明時代から連綿と伝えられてきた情報が精神に刻まれて、情報を明かされぬように特殊な術を施される。
そのために要塞の知識を得られるのはフォルセナ王のみで、他者には決して得られなかった。
「あ……ああぁ、あ…あぁああああぁ…!!」
精神が術の限界を超えたのか、泣き喚き慟哭の雄叫びを上げる王を、呪術師は冷めた目で眺めていた。
―マナの要塞の情報を得る”手段”として、国が滅ぼされるのがそんなに耐えられないか。
人間とは、これほどまでに惰弱な存在か。
愚かなものを嘲笑するような思いで王を観察し、声を詰まらせた頃合を見計らい、そっと耳元で優しく囁く。
「フォルセナ王よ。 これならば、あなたも気に入っていただけよう」
呪術師が王の額に手をかざした。
掌が紫の光を放ち、一筋の光が王の額へと吸い込まれていく。
直後、王の精神を満たしたのは、真の地獄。
今この時に繰り広げられているフォルセナの最期。
民衆の苦痛、絶望、恐怖、憎悪、怒り、悲しみ、怨嗟…。
様々な感情と光景が怒涛の津波の如く王の心を彼方へと押し流して、消し飛ばした。
力なく深々と俯き、糸のに切れた人形の如く崩れ落ちた王の姿に、タナトスが愉悦の笑みを浮かべる。
フォルセナ王だった廃人の頬をつかみ、無機質で虚ろな目を見つめる。
人格も全て消し飛んで、精神の死んだ抜け殻。
王の脳に刻まれた古代文明の遺産、マナの要塞の封印解除の方法を知るべく呪文を唱えた。

草原は地と屍に染まり、街は地獄の炎に包まれ、城は静寂のまま死に絶えた。
阿鼻叫喚と断末魔の悲鳴が隣国にまで響き渡り、帝国の非道を世に知らしめた。
フォルセナ滅亡によって、そのような歌が後の世にまで伝えられたという。

聖剣の勇者達の活躍によって帝国が滅びた後、外遊で虐殺を逃れたフォルセナ王子とタスマニカ共和国によって、”フォルセナ”は再建された。
これ以後、フォルセナは軍事優先で国を発展させていった。そうして、嘗ての文化都市、学術国家の名残は大図書館のみに伝えられる事となる。





言い訳
本当はもっと長い話でしたが、収拾がつかないので削っていったらこんなに短くなりました。
削った部分については、いつか別の形で再利用できたらいいと思います。
四天王達の所業については……流石に酷すぎるので、二文のみで書き表しました。
題名の『呪歌』というのは最後のあれです。


2012/2/23 小説へ移行
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