未完

聖剣伝説3 パラレル 未完 『祭り』2

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砂漠の王国』のシリーズです。














「リース!」
背後から聞こえてきたのは低く耳に優しい、美しい声。
それは夜毎この身を弄ぶ男の声だった。
反射的に身体が強張る。
今すぐこの場から逃れたい気持ちに駆られるが、必死にその気持ちを押さえ込んだ。
この相手にだけは、自分が怯えている事を絶対に知られたくない。
ローラントの王女、アマゾネスの隊長がナバールの王子から逃れるなど……
――絶対にあってはならなかった――
意志の力を総動員して振り返るが、旗から見ればその動きはぎこちなく明らかに無理していると分かった。
ゆっくりと振り返って、そこにいた人物の姿に目を丸くする。
普段纏っている装飾の施された王族の服でなく、侍女のトーガを纏い、腰まで届く艶やかな青紫の髪を下ろしているホークアイの姿があった。
予想だにしなかった格好に、彼女が驚きの声を上げる。
「どうしたんですか!?その格好は」
「んー……ちょっと、色々とね……」
顎に手を当てて苦笑したホークアイに、困惑してただ彼を見つめた。

ホークアイが飾られている花束に目を向けた後に、軽く落胆する。
「あーあ…。 俺の手から直接君に贈りたかったんだけどなぁ……」
「もしそうなっていたら、この花は飾れるような状態ではありませんよ」
目も合わさずに冷ややかな言葉を放たれて、ホークアイが溜息を漏らす。
「………リース……。そんなに俺が嫌いなのか?」
「…好きになれると想いますか?」
非難めいた目で鋭く睨むリースに、ホークアイが一瞬寂しそうな色合いを宿すがすぐにそれを霧散させた。
「いいや。 嫌われて当然だね」
故郷から引き離され、好きでもない男に身を捧げ続けるという地獄を味合わせる張本人だ。
身体は手に入れられても、彼が恋した心を手に入れるのは不可能だと初めからわかっている。

「そんなことよりも、今は牢屋に閉じ込められていると聞きましたが?」
「ああ、あれね。 監視つきだったから抜け出すのも、身代わりを使うのも一苦労だったよ。
それにしても祖父様も酷いぜ。 大事な孫を牢屋に閉じ込めるなんて」
「本当は誰もそんな事したくないそうですが、そうでもしなけれがあなたが逃げ出すのだと、ニキータさんは嘆いていましたよ」
「ニキータが? ……あいつ……余計な事を」
苛立ちを滲ませた声音に、リースが毅然と答える。
「言っておきますが、彼は何も悪くありません。 悪いのはあなたの日ごろの行いでしょう。
王族としての自覚が足りなさ過ぎるんじゃないですか?」
他姪島理事に呆れた面持ちで放たれた台詞に、ホークアイが苦笑した。
―君も大概自覚が薄いけどね。


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