未完

聖剣伝説3 未完 『限られた選択肢の中で…』1

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注意
デュランが壊れています。















目の前にあるのは、神話の存在マナストーン。
遠い昔に世界を滅ぼしかけた神獣が封じられたという禁断の石。
その力を用いれば、”クラスチェンジ”を行うことが出来るという。
今から語るのは、クラスチェンジという力に翻弄され続けた一人の男の物語である。

「よーし! じゃあ、まず俺からだ!!」
溌剌とした声に、その場にいた者達が声の主を見る。
「えー、デュランしゃんが最初でちかー?」
「まぁまぁ、シャルロット」
不満を露わに頬を膨らませたシャルロットを、ホークアイが優しく諭す。
「デュランはクラスチェンジのために旅をしてきたようなもんだからな。 ここはリーダーをたたせてやろうぜ」

紅蓮の魔導師に負けて失意の中、占い婆の言葉を胸に抱いてウェンデルへと向かった先で、いつの間にか運命と呼べるものに巻き込まれていた。
まぁ、そのおかげで強くなり、今こうしてマナストーンと向かい合えるのだから、運命というのも悪くはない。
―クラスチェンジか……。
そこで嫌な記憶を呼び起こしてしまい、眉根を寄せる。
占い婆に「あんたみたいなヒヨっこは、『ひよこ戦士』にでもクラスチェンジするのがオチだよ!」と罵られた事を。
一抹の不安が心の中に湧き上がったものの、所詮は老人の戯言と切り捨てた。

腕を鳴らして、剣を構えて精神統一を図る。
夢にまで見た瞬間が間もなくやってくる。
その高揚から心臓が激しく脈打ち、武者震いが起きた。
自身の身から溢れ出すオーラとマナストーンのオーラが交じり合っていく。

脳裏に光か闇に進むかの選択が間もなく現れる……。
そして、それはデュランの意識の前に浮かび上がった。
→ひよこ戦士(white)
→ひよこ戦士(black)
頭の中に突きつけられた選択肢に唖然として、精神統一が途切れた。

クラスチェンジを行う直前、突如として頭を抱えて掻き毟るデュランに仲間達が何事かと彼を見る。
なにやらブツブツ小声で呟いていたが、それは聴覚の優れたケヴィンとホークアイにしか聞き取れなかった。
―― ひよこ戦士なんてクラスはなかったぞ!! そもそも何故ひよこ戦士なんだ。 白と黒って何なんだ!? エトセトラ… ――
一部を抜粋すればこのような感じか。

「ちょっと、デュラン! さっさと終わらせなさいよ!!」
アンジェラの声にデュランが正気に戻り、反射的に振り返る。
仲間達は呆れたり苛立ったり、なにやら不気味なものでも見るような顔でデュランを見ていた。
「あ、ああ。 わかってる!」
仲間達の眼差しの意味を考える前に、答えを返した。
色々と思うことはあるが、今優先すべきはクラスチェンジのみ。
そう頭の中を切り替えて、再び精神統一を行った。
先程と同じように自身から立ち上るオーラとマナストーンから放たれるオーラが交じり合い、重なっていく。
だが、脳裏に現れた選択肢は……。
→ひよこ戦士
→ひよこ戦士
→ひよこ戦士
→ひよこ戦士
  ・
  ・
  ・
 endless

「ふざけんなあぁ!!!!」
突然けたたましい怒声を上げたデュランに、全員がギョッと目を剥いた。
仲間達が唖然とする中、デュランは凄まじい形相で剣を抜いたかと思うとマナストーンを攻撃し始めた。
だが剣が刃毀れするまで斬りつけるも、手応えは全くなかった。
とうとう甲高い音と共に剣が折れると、デュランが大きく息を吐きながら膝をついて、マナストーンを睨み上げる。
遥か古から存在するマナストーンがクラス1のファイターによる安物の剣でどうこうなるはずもなく。
傷一つないまま、その場に堂々と君臨していた。
「……フフフ……ハハハハ……」
「デュ、デュラン君?」
俯き肩を震わせて笑い始めたデュランに、ホークアイが恐る恐る声をかけた。

「俺は、もう……いい。 お前ら、先にクラスチェンジをしろ」
無理してクラスチェンジを行い、ひよこ戦士などになっては末代までの恥だ。
そう判断して仲間達に先を譲る。
彼らは不安そうにデュランとマナストーンを交互に見比べるだけで、誰も我が一番先にと名乗りを上げなかった。
やがて、一人の勇士がおずおずと手を上げた。

無事クラスチェンジを果たし、新しいクラスについて盛り上がる仲間達とは裏腹に、デュランの気分は急降下して今にも奈落の底が見えそうな勢いだった。
当初は彼らもすぐに自分と同じくクラスチェンジを打ち消す事になると思っていたが……。
――何故、自分だけがまともなクラスの選択肢がなかったのか?
デュランにとって重大すぎる程の疑問が数え切れぬほどの堂々巡りを繰り返す。
それと共に寂寞が胸を覆い尽くすが、それを必死で振り払った。
―下手にひよこ戦士なんかにクラスチェンジするよりは、ファイターのままがずうっとマシだ!!
己自身に言い聞かせるも、胸のうちは…ただ虚しかった。

仲間達が何事もなくクラスチェンジを行えたという事は、もしかしたら”無事”にクラスチェンジが出来るかもしれない。
そんな希望を持たせるには十分すぎた。
チラリと横目でマナストーンを一瞥する。
―もう一度だけ、試してみるか?
訝しむ仲間達を先に行かせて、マナストーンと対峙する。
三度精神統一を果たし、マナストーンと意識を共有させた。
先程と同じ感覚に、無事クラスチェンジを果たせると確信した。
だが、その選択肢は……
→ひよこ戦士
たった一つのみだった。







言い訳
デュランの回想に出てくる占い師の台詞を一部改竄しました。

次回予告
デュランは運命を受け入れて『ひよこ戦士』になるのか!?
それともファイターのまま、神獣とラスボスに挑むのか!?
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