未完

聖剣伝説2 未完 『mystic』2

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注意
2は3の遥か過去という前提があります。
オリジナル設定があります。
オリジナル設定については、こちらを一読して下さい。















舞台設定
シーク…26。ファウナッハ…24。ゲシュタール…22。タナトス…不明。





























青年に連れられる形で妖魔が歩く。
しかしそれは機械的に動かしているようで、生気のある動きとはいえなかった。
妖魔の意思とは関係なく体は動いているのだから、それも無理ないと言えよう。
―はぁ……何でこんなことになったんでしょうネェ。
心中で思い溜息を漏らすと、男が鋭い眼差しで妖魔を睨む。
まさか血統者は妖魔の心すらも読み取れるのかと戦慄するも、彼は関心をなくしたのかすぐに妖魔から視線を外した。
それはそれで苛立つものだ。
―まったく、この私をどこに連れて行くつもりなんでしょうネ。
たかが人間に、上級妖魔である自分が従わされているという屈辱は身を焦がした。

「あの―……」
そっと男を上目遣いで窺い、恐る恐る尋ねる。
しかし彼は妖魔を一瞥すらしなかった。
「ワタクシを何処に連れて行くつもりですか?」
額から冷や汗を流しながら伺うと、男は足を泊めて妖魔に射抜くような眼差しを送った。
「貴様のような奴を放置するわけには行かないから、専門家の所に連れて行く」
尋ねた事に答えてくれるとは意外と律儀だと思いながら、次の言葉を続けた。
「専門家? たかが人間にワタクシ達妖魔に精通した者がいるとでも?」
しかし男は失笑して、嘲笑と哀れみの混じった視線を向けた。
あからさまな態度に妖魔は頬を痙攣させたものの、体は持ち主の意思に従って動かなかった。
―……これほど人間を殺したいと思ったのは、初めてデスネ。
妖魔にとって人間は食料であり、何かしらの感情を抱く対象ではない。
しかし、今目の前にいる男は別だ。
「無駄だな」
まるで心を読み取ったかのようなタイミングのよさでかけられた言葉に、妖魔が目を見開いた。
「私と貴様では相性が悪すぎる。 現に先程呆気なく負けたではないか」
暫し、驚愕の面持ちで男の顔を凝視した。
屈辱の瞬間を張本人から告げられてはらわたが煮えくり返るものの、手出しできないという状況に変わりなく。
顔を引き攣らせながらも、男の機嫌を損なわないようにペコペコ笑うことしか出来なかった。

街を離れてゆくにつれて、あれ程濃密に漂っていた負の思念が薄まっていく。
楽になっていく体に、思わず安堵の息を吐く。
幾ら気の流入を制限しても、戦場跡地の独特の気配は彼の体を苛み、蝕んだ。
これでも混血だからまだ動けるのだ。純血ならば即意識を失い、やがて死に至るだろう。
―ここまでくれば空間転移も使えるな。
負の思念を纏った気を取り込めば著しく体を害するが、此処までくれば存分に気を取り込める。
第一、わざわざ足を使って長距離を移動する必要などないのだから。

―それにしても……。
傍らで媚び諂う妖魔を冷淡な眼差しで見遣った。
幾ら表面上を取り繕っても、血統者である彼には妖魔の殺意や敵意など手に取るように分かるというのに。
先程の妖魔とのやり取りを思い出しつつ、妖魔への評価を一つ出す。
―この妖魔、上級だがあまり頭の出来はよくないな。
今まで見てきた上級妖魔は海千山千の狡猾さと、遠謀遠慮に卓越した者ばかりだった。
それらと比べれば目の前の妖魔は些か残念だが、何事も例外があるのだから仕方がないと思い直す。
気を取り直して、気を取り込んで印を結び術を発動させた。
直後、見目麗しい青年と道化じみた格好の妖魔の二人組みの姿はそこになかった。

瞬きをしている間に辺りの風景が一変したことに妖魔が驚愕し、男を見上げる。
血統者がマナを用いない、気と呼ばれる力を行使して術を行うのだと知っていたが、空間を渡るほどの高度な術をこれほど簡単にやってのけるとは思いもしなかった。
そんな事が出来るのは人間の中でマナの一族と、闇の血族だけだと思っていた。
―なるほど、確かに厄介な人種とされるわけですね。
人間を遥かに凌駕する魔界の住人にすら畏怖を与える三強人種。
―あー、やだやだ。 人間界は楽で愉快と聞いていましたが、まさかこんな連中達が蔓延っているとは思いもしませんでしたヨ。
これからは相手をよく見極めなければなりませんネ。
しかし、今の妖魔の行動次第では、その”今後”すらもなくなるかもしれない。

妖魔の視線が巨大な飛行艦艇に向けられた。
人間世界に興味のない洋間は知らないことだが、飛行艇自体は珍しいものではない。
しかし一般に広まっているのは小型の飛行艇であり、巨大な飛行艦艇はタスマニカとヴァンドールのものに限られていた。
「シーク」
横合い呼び止められて動きを止めた男に従う形で、妖魔も足を止めさせられた。
腕を組み、木の幹に背を預けていた青年がシーク達を見据えた。
肩下まで伸ばした淡い碧の髪と力強い翡翠の瞳を持つ秀麗な顔立ちで、その美貌は常人の息を遥かに上回ると人間の美醜に関心ない妖魔でも理解できるほどだった。
しかし、彼の表情には苛立ちが宿っており、鋭さが増していた。
「何処に行っていた?」
「戦場跡でおかしな気配がしたから行ってみれば、これを見つけたのだ」
”これ”呼ばわりされたが反抗する術など、悔しいが妖魔は持ち合わせておらず。
せめてもの反抗に、シークと呼ばれた男を睨み据えるしかできなかった。

「勝手な真似は慎むのだな。
……化け物になったとはいえ、貴様は四天王だ」
「心外だな。 妖魔と契約しただけで”人外”の存在にあった覚えはないと、いつも言っているだろう」
肩を竦めて、嘆息交じりに放たれた言葉にゲシュタールが顔を強張らせた。






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