その他

ハリポタ 小説 『届けられなかった恋文』

 ←聖剣伝説3 小説 『Insane empress』 →聖剣伝説HOM 小説 『Sandarrow in Bautcher viewpoint』1
つい最近ハマッたCPで、ドラハーです。

注意
ドラコ→ハーマイオニー前提の話です。











悔やんでも悔やみきれない出来事があった。
今でも父の秘密を垣間見てしまった事を深く後悔している。

何の用があったのかは今では思い出せないが、僕は一度だけ父の書斎に足を踏み入れた。
しかし生憎と誰もいなかったので、そのまま踵を返そうとした。その時だった。
用心深い父にしては無用心に開け放たれていた窓から強い風が吹き、机の上に置かれていた手紙が飛ばされて宙を舞い、僕の足元に落ちた。
その時は仕事関係の手紙かと思い、元の位置に戻そうと何気なく手に取っただけだ。
だけど、インクの色が違った。
普段父が愛用しているインクは夜の暗さを写し取った漆黒だけど、これに用いられていたのは深い藍色。
上品だけど、何処か切なく哀しい色だった。
それに興味を引かれて、何気なく手紙に目を通してしまった。
何故そんな事をしてしまったのか。ただの純粋な好奇心ゆえに起こした浅はかな行動を今でも後悔している。
手紙を読み進めていくにつれて、我が目を疑った。
そこには今まで見たことのない父の姿があった。
冷徹で威厳に満ち溢れて、情熱とは無縁であるはずの父が書き綴った恋文だった。
その内容は読んでいるだけで頬が紅潮する程恥ずかしくなる、切実で激しい想いが篭められていた。
読み終えてから本当にこれは”あの父”が書いたものかという疑問が湧きあがった。あの時はただ認めたくなかったのだ。
けれど手紙の筆跡は父のものであり、何より父の書斎にあったのだから、父の物だという答えしかなかった。
しかし、この時の僕にはそれを受け入れることが、到底出来なかった。
ただ、認めてはならないという強迫観念に駆られていたに過ぎない。
何故これほどまでに人を愛せるのに、家族には情を見せないのか。
父にとって僕は、一体何なのか、と。

両親は純血を守るための政略結婚で、子供の僕から見ても冷え切っていた。
昔は他の家族のように暖かな愛情を望んでいたけれど近寄りがたい父を前に、いつしか情を期待する事すらも諦めてしまうほど、父は冷徹だったのだ。
冷淡で、情のない人なのだと思っていた。
だというのに、この手紙の文面には溢れんばかりの恋心が詰められていた。
父に知られるという恐れよりも、自分でも理解できない衝動に駆られるままに僅かに開いていた引き出しを勢いよく開くと、そこには無数の手紙が綺麗に整頓されていた。
一枚一枚手に取り、読んでいく。
それは先程読んだのと同じ”誰か”への恋文で。優しく愛を囁く情熱的な父の姿があった。
けれど手紙を読み進めていくうちに、その想いは報われないものだということが文面から伝わってきた。
―あの父が、片想いをしている?
子供の僕が言うのも可笑しな話だが、父は高い身分だけでなく容姿端麗で頭脳明晰だ。
これほどの情熱を注がれて、靡かない女性はいないといっても過言ではない。
その父が思春期の少年のように片想いをして、恋文を書いている。しかも相手に渡すことなく、自分の手元に置いたままで。
恋文を届けられない相手なのだろう。それでも父は手紙を書かずにはいられないのだ。
愛しい、誰かを密かに想って。
父の中で恋文の相手は別格なのだということがひしひしと伝わって、ただ哀しくて遣る瀬無かった。
その時の僕に出来たのは、父に気づかれぬように手紙を元に戻して、涙を堪えながら逃げるように部屋から立ち去ることだけだった。

あの後、父は僕が書斎に入ったことに気付いている筈なのに、眉を少し動かしただけで怯えを押し隠す僕への咎めや叱責はなかった。
本当なら安心するべきなのだろう。けれど、まるでどうでもいいのだと言われているようで、僕は辛かった。

――愛をこめて。 H・G――
その文面が、今でも脳裏に焼きついている。


2012/6/23 小説へ移行
スポンサーサイト


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ
総もくじ  3kaku_s_L.png ドラゴンボール
総もくじ  3kaku_s_L.png 火星物語
総もくじ  3kaku_s_L.png 聖剣伝説
もくじ  3kaku_s_L.png その他
もくじ  3kaku_s_L.png 未完
もくじ  3kaku_s_L.png 考察もどき
もくじ  3kaku_s_L.png 短文
もくじ  3kaku_s_L.png 裏部屋
  • 【聖剣伝説3 小説 『Insane empress』】へ
  • 【聖剣伝説HOM 小説 『Sandarrow in Bautcher viewpoint』1】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【聖剣伝説3 小説 『Insane empress』】へ
  • 【聖剣伝説HOM 小説 『Sandarrow in Bautcher viewpoint』1】へ