「聖剣伝説」
聖剣伝説3(HOM)

聖剣伝説HOM 小説 『Sandarrow in Bautcher viewpoint』1

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注意
オリジナル要素があります。
全体的にバウチャー→→サンドアローです。
















舞台設定
バウチャー…17歳。
サンドアロー…12歳。
ファルコン…10歳。


バシィッ!!
景気のいい音とその後の苛立ちをぶつけるかのような荒々しい足音が廊下に響いた。
その場に居合わせた人々は何事かと音が聞こえた方向を見遣り、そこにいた人物を見て得心した。
首領の弟のバウチャー。
ならば先程の音はいつも彼に絡まれているサンドアローか、と。
皆の視線を浴びる形になった黒髪黒目の青年は呆然と赤くなった頬に手を当てていたが、注目されている事に気がつくと眼差しを鋭くして、逆に周囲を睨み返した。
「おい、何を見ている!?」
身分ある者の恫喝に慌てて視線を逸らす者も多いが、中には非難の眼差しを向ける者もいた。
気まずい空気に青年は忌々しそうに舌打ちを零した後、先程足音が去った方向とは逆の方向へと踵を返した。
それを見送り、ある者はまたかと溜息と共に零し、またある者はどちらかが手を上げたのは初めてだと思った。
色々と考えることは異なるものの、共通しているものは叩かれた方ではなく、叩いた人物に同情している事だった。

見晴らしがよく利便性の高い居住区域はナバールの上流層のみに与えられた権限。そこから見える風景は圧迫感など皆無で、広大な砂漠とナバール内を一望できる絶好の場所だった。
バウチャーは自室に佇んで窓から見える風景を睨み据えていた。
その視線の先にあるのは、先程己を叩いた人物の姿。
色素の薄い髪が光に反射して、きらきらと輝いて綺麗だから大勢の人間の中からでもすぐに見つけられた。
上流層の彼にとっては一生言葉を交わさなくてもよい下層の”只人”に囲まれて、朗らかに笑っている姿。
―胸糞悪い。
自分には決して見せない笑顔を、”只人”には極自然に見せている。
その事実が無性に腹立たしく、顔を見ればいつも酷い罵声を浴びせてしまう。その度に彼の顔が曇り翳って、険しい顔になった。
サンドアローのバウチャーへの嫌悪が増すほど、彼の望んだ笑顔を見ることは出来ない。そんなことはわかっている。
これ以上嫌われたくなければ喧嘩を吹っかけなければいいが、顔を見れば絡んでしまう。顔を合わせないように心掛けても、視線は常に彼の姿を捜し求め、見つければ彼に気付かれぬように後をつけていることが多かった。
このような行動を何というか知っており、同性相手に何を馬鹿な事をしていると幾度も兄に叱責されるが、これだけは止められないのだ。
フンと傲慢に鼻を鳴らす。
「……あいつが目立つから悪いんだ」
整った容貌も瑠璃を薄く溶かし込んだような髪も、紅玉のような深紅の瞳も、雪のような白皙の肌も。誰も持ち合わせていないものだから特に。
何よりも目立つのは彼の置かれている立場だ。
「成り上がりの癖に」
ポツリと呟いた。
いつも口にしてから、それが一番癪に障る理由だと思い知らされる。
成り上がり、ボサボサ髪、吸血鬼、気狂い。
これらは彼の生まれや容貌、忍術を捨てて魔法を選んだ愚かでイカレた所業を揶揄と侮蔑交じりに表現したものだ。
そしてバウチャーがサンドアローを呼称する時に用いる言葉でもあった。

本当は今のナバールで誰よりも濃いその血に惹かれたりとか。
癖の強いたっぷりした髪は柔らかそうで、一度でもいいから撫でて梳きたいとか。
紅玉のような深紅の瞳はどんな宝石と比べても見劣りしないとか。
雪のように白く透き通る肌は儚い美しさで、日焼けして爛れないか常日頃心配したりとか。
皆から反対され説得されても尚、魔法を選び取った揺ぎ無い確固たる信念とか。
そうしたものを含めて、彼の全てが好きなのに立場と矜持がそれを口にする事は許さなかった。
だから言葉を変えて口にするのだが、それは所詮陰湿な嫌がらせに他なく。
サンドアローがバウチャーに向ける眼差しは常に嫌悪と憤りの色が宿っていた。

顔を叩きつけるような突風が吹いて、思考の深くまで潜り込んでいた意識を取り戻した。
先程までいた場所に彼の姿がないのに気付いて慌てたが、素早く視線を巡らせて目的の姿を探し出す。
「見つけた」
ここからでは多少見えづらい所だが、まだ見られる範囲にいた事を確認して愉快そうに口角を上げた。
ふと、その時気に入らない姿を見つけて眉間に皺を寄せた。
バウチャーが見ている中で、ファルコンが一目散にサンドアローの元に駆け寄ってくる。
途端、花が綻ぶような笑顔を浮かべたサンドアローの姿に胸が痛み、どす黒い炎となって嫉妬が込み上げた。
妬みという言葉では最早足りない。これは憎悪と呼んでも差し支えない。
いかに切望して焦がれようと、決して手に入れられぬそれらを当然のごとく手にしているフレイムカーンとファルコンに。
そして、”妹”という最も身近な立場で誰にも憚ることなく彼の側にいられるファルコンに。
所詮只人などバウチャーにとっては牛馬のようなものなので嫉妬の対象にはならない。だが同じ民族の彼らに対しては激しい嫉妬と憎悪、憤怒が渦巻いていた。
一際鋭く険しさを増した視線に気づいたのか、二人がこちらに顔を向けた。
途端サンドアローの顔が曇り、ファルコンの顔が嫌悪に満ちた。

常にサンドアローの後を付け回し纏わり着いて絡んでくるせいか、ファルコンのバウチャーを見る眼差しは鋭く険しい。
敵意剥き出しでサンドアローを庇おうとするファルコンを、彼はいつもこう言って宥めるのだ。
「気にする事はないよ。 …彼は可哀想な人なのだから」と。
その言葉を聞くたびにバウチャーがどれだけ憤るか。分かっていて言っているのならば、無自覚よりも残酷だ。
それが無性に悔しくて、先程はわざと怒らせるような真似をしたのだ。
自分のことでは受け流す彼も、親しい人間に対する侮辱には心底腹を立てたらしい。
そっと、先程叩かれた頬に手を当てる。
未だ赤く腫れて、痛みを訴える箇所。
よほどの力を込めて叩いたのだろう。よくぞあんな痩身でこんな力が出せたものだと感心する。
「……成り上がり風情が」
悪意をたっぷり込めて侮辱を放つも、虚しく消えた。






言い訳
バウチャー視点でサンドアローのナバールでの微妙な立場について書いていこうと思います。
成り上がり云々に着いては次の話で出します。

オウルビークスは実の子供に等しい程、年の離れた弟が可愛かったんでしょう。(ナバールって早熟っぽいし。14歳のミネルバに手を出すくらいだから結構若かったんじゃないかな)
もしかしたらナバールでは一般的に十代前半から半ばまでが適齢期及び出産期で、十代後半がギリギリのライン。二十歳を越したら生き遅れなのかも。
だとしたらサンドアローとファルコンはナバール基準でいえば晩婚かな…。

そうなると、ホークアイ……(実年齢20歳)。フレイムカーンも本気で孫の将来を心配してそうだ。


2010/5/5 小説へ移行
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