未完

聖剣伝説 『女神の騎士』 番外編 未完 【王女の略奪】1

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注意
『女神の騎士』本編より数十年前の、ローラントとナバールの話です。(ローラント系列の話なので、目次ではローラントの項目になります)
この話はジョスター・ミネルバ←バウチャーが前提です。




















「ガルラ様!! 何故ミネルバを見捨てるのですか!?
渋い顔で眼下に広がる景色を睨みつける女王に、青年が捲くし立てた。
今にも掴みかからんばかりの必死の形相を向けてくる娘の婚約者の姿を痛ましく見つめる。
「……ジョスター殿……」
しかし母親としての姿は瞬く間に消えて、為政者としての毅然たる顔でジョスターを見返した。
平然とした態度にジョスターの腹の底から沸々と怒りが湧き起こってくるが、理性が暴れ狂う黒き炎を厳重に封じ込めた。
そうでもしなければ、後先考えずに女王に罵声を浴びせてしまいそうだったから。
「ミネルバが拉致されてから既に半日が経過しております!! 早くグランスから連れ戻さねば、ミネルバが……!!」
女王の手前極力平静を装ったものの、最後は人目を憚らずに取り乱した。
ローラントで開催された世界会議を終えて、慌しい日々を送っている時期で警備が常よりも手薄になっていたのだ。
王女ミネルバの拉致という火急の報告を受けて未来の王婿としての視察から戻った時、目の前にあったのは成す術もなく立ち竦み、嘆き哀しむ人々の姿だった。

王女拉致の見事なまでの手際のよさから上級国グランスの奴隷商と判明したが、それ以降は何も出来ないのが現状だった。
中級国ローラントが王女を浚われたからと言って、歴史ある上級国に楯突く事は許されない。そんな事をすれば忽ち国は潰されてしまう。
ならば、せめて。ミネルバが上級国の富裕層に奴隷として買われて玩具にされる前に救い出さねばならない。

「ジョスター殿。 何故、グランスがミネルバを浚ったと思いますか?」
「何?」
「グランスといえど、国際条約を無視して王位継承者を誘拐はしません。
上級国の国々は傲慢なれど、愚かではありませぬ。
危険を冒すだけの動機がなければ、幾らグランスといえども引き受けないでしょう」
グランスの奴隷商は国家事業で、全てを国が管理している。
王族の売買を禁止する法律を違反すれば、ヴァンドールや同格の国々からの批判は免れない。
取引相手の不興を買うことはグランスにとって大きな痛手だ。
それだけのリスクを背負いながらも、何故たかだか中級国の王族を浚うのか?

「……グランスがそこまでする相手となれば、限られています」
一度言葉を区切った後に、顔面を青白く染めて愕然と立ち尽くす青年の顔を見つめる。
「上級国の中でも特権階級の存在」
―上級国の王侯貴族!!
支配国ヴァンドールさえも敬意を払う、雲の上よりも更に高い存在。
―そんな者達の手に、ミネルバが……。
言葉を失うジョスターを見ていられずにガルラが背を向けた。
「……ジョスター殿、諦めなさい。
ミネルバは、もう亡くなったのです」
頭を鈍器で殴られたような衝撃だった。
誰よりも愛してやまぬ婚約者を、実の母が死んだものとせよ、と。
血が滲むほど拳を硬く、握り締める。
「ミネルバは、まだ生きております!!」
「……生きていたとはいえ、二度とローラントの地に踏み入れられないのならば、死んだも同然です」
生きていたとしてもそれは奴隷という名の玩具としての生。
未来の国母として育てられた”王女ミネルバ”の人生は終わったのだ。

「王女誘拐の罪でグランスを、訴えましょう。
そうすれば、ミネルバも……」
怒りが先立ち冷静な判断が出来なくなっている青年に、女王は哀れみの眼差しを向けた。
「それはなりませぬ」
「ガルラ様!?」
「上級国にたてついた国々の歴史はよくご存知でしょう」
長い歴史の中で上級国に逆らった国々は悉く滅亡の道を辿っていた。
幾万の民を預かる統治者として、王女一人のために国を危険には晒せぬ。

「上級国を裁けるのは同格の国と、ヴァンドールのみです。
下位の国が訴訟を起こしたところで、誰も相手にはしない」
上級の国々が下位の国にどれほどの悪行を行おうとも、”上級国”という一点のみで罪には問われない。
待遇も特権も、何もかも。上級国と中級国の間には大きな隔たりが立ち塞がっていた。

「……上級国ならば、何をしても許されるというのですか?」
「許されて当然なのです。
ジョスター殿。 それは、あなたもよくわかっているでしょう」

「…………ガルラ様。
俺は、必ずミネルバを取り戻してみせます」
「ジョスター殿!!」
王女の悲鳴に近い叱責を受けても、ジョスターは昴然を顎を上げた
その身がどれ程汚されていようとも関係ない。
己の隣に建つ女性はミネルバ、ただ一人だけなのだから。
「必ず!!」
例え、一生を費やす事になってでも。






言い訳
まぁ、正直なところジョスターに出来る事は何一つとしてないのだけれど…。
王女を浚われても泣き寝入りするしかないという理不尽極まりないですが、これが上級国と下位の国々との力関係であり、立場です。


さて、次はミネルバの話です。

ちなみに此処に出ている条約ですけど、端的に言うといかなる国の王族でも拉致して奴隷にするな、というものです。
それ以外なら別に誰でもいいんですが、人攫いの被害にあうのは中級~最下級国であって、上級国(支配国)はその被害に全く遭いません。(そんなことをすればグランスが危ない…)

グランスは上級国の王侯貴族とは専属契約を交わしているので、上級国の王族やヴァンドールの貴族を浚って来いという無茶難題以外ならどんな人物でも取引します。

補足程度に。ヴァンドールが敬意を払うのは王族のみで、貴族は”下々”です。(中級国はそのあたりの事情を知りません)

2012/7/2 『princess was robbed』から『王女の略奪』に題名を変更しました。
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