「聖剣伝説」
聖剣伝説3(HOM)

聖剣伝説HOM 小説 『Last latter』

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注意
この設定を使っています。
フレイムカーン→サンドアロー要素があります。













珍しくも血の気をなくした部下から恭しく差し出されたのは一枚の手紙。
妻子と共に離反した、愛しの娘婿の筆跡で綴られた最後の手紙。
文面に目を通してゆくうちに、家族を失いやつれ果てた顔から、鬼と見紛う修羅の形相へと変貌してゆく。
「……フレイムカーン様」
「殺せ」
恐る恐る気遣うように顔色を窺う部下に、一言命令を与えた。
僅かに動揺した部下を無視して、掌に気を集めて最後の手紙となったものを燃やし尽くす。
火を纏いながら落ちてゆく黒き灰を、怨念に満ちた目で凝視し続ける。
灰が全て地に落ちて風に飛ばされる頃には、一線を画した無表情がそこにあった。
「ナバールを裏切る者はいかなる立場であろうとも、死のみだ」
例え中枢にいた者でも掟の前には等しく処刑される。そして情報と血の流出を防ぐために離反者は必ず殺さねばならぬ。
それは遥か古からの慣わしだった。
物言いたげな面持ちで上司の顔を窺っていた部下は意を決したのか、気配を絶つと忍者特有の俊足でその場を去った。
その場に残されたのは、フレイムカーン一人のみ。

一人になった途端、極限まで封じ篭められていたありとあらゆる感情が止め処もなく噴出し、強固な精神を崩してゆく。
爪が食い込むほど硬く握り締められた掌からは血が流れ出しているというのに、限界を迎えた心は痛みすら認識していないようだ。

―許せぬ。
心が、軋み声を上げてひび割れてゆく。
痛みに耐えかねて悲鳴を声高に訴えるが、本人自身ですら気づくことなく、何が起きているのかすら知らなかった。

どれだけの時間が流れたのか。現実にはさほど時が流れていないのかもしれない。
フレイムカーンにとって、一瞬であり、永遠ともいえる時間が流れた。
ふと顔を上げて、卓上に置かれた娘夫妻の白黒写真を虚ろな眼差しで眺める。
いつも肌身離さず、持ち運ぶ大事な写真の一枚。
無邪気に満面の笑顔を見せる孫。朗らかな笑みと共に孫を愛しく抱く娘。幸せそうに笑う、元養子の娘婿。
幸せな家族の姿が、そこにはあった。
大切な、大切な宝物。
衝動に突き動かされるままに納められた額を壊し、写真を原型も分からぬ程に破り捨てた。
幸せな家族の光景はなくなり、残骸だけが散らばってゆく。
修復不可能なまでに細かく破り終えた時、机の上に雫が幾粒か落ちているのを見て、目を瞠った。
頬に手を当てれば、視野が制限されるほど目元は赤く腫れ上がり、止め処もなく涙が溢れて出している。
この時点で、彼は漸く声もなく慟哭している事に気づいた。
―何故だ。 何故、只人ごときのために……。我々を裏切ったのだ!?
自分達の繁栄のためならば、只人がどれほど死のうが顧みるまでもない犠牲だというのに。
何故、そんな些細な事を娘婿を筆頭とした娘や幾人の部下が深く気に病んで、離反という重大な決断をしたのか。フレイムカーンには全く理解できなかった。
それでも、ナバールでなく只人を優先させた彼らは血と誇りを捨て去り、同胞に刃を向ける”裏切り者”だ。
そんな決断をした娘夫妻が……。

―許さぬ。
嘆きと悲しみが、怒りと憎しみに変わってゆく。
純粋だった思いは死に絶えて、白い布が黒く染まるように裏切り者達への殺意に満たされてゆく。

――僕達は死んだものと思い下さい――
”家族”の裏切りを突きつけた手紙に書かれていた、ある一文。それがフレイムカーンの魂を熱く焼き焦がした。
―それが、お前の意思ならば。
殺してやる。
この手で、必ず。

愛する者に裏切られた憤怒と憎悪。
それが大戦士フレイムカーンを突き動かす原動力となった。


言い訳
当初は短文にしようと考えていたもので、
ナバール夫妻出奔直後の、愛しさ余って憎さ100倍の傷心フレイムカーンの話です。

最初は殺す気満々だったけれど、実際に彼らの顔を見て、躊躇いが起きて引き返したんでしょう。
そしてホークアイを引き取るという約束をした時は、丁度頭が冷えた頃だったと思います。もしも怒り狂っている時にこの提案が出されても、ふざけるな!!と一蹴したでしょうし。

後、文明水準からして写真があっても白黒だと思う(軍事産業と民間では文明水準に大きな開きがあるように見えるHOM(3は中世っぽいんですけど…。航空艦がいけないな)なんで)
そんな中でピンホールカメラでなく、瞬間を写し取れるカメラとなったら、かなりの超高級品でしょう。
でも一国の中枢深くに位置する華麗な一族だから、案外彼らにとっては何が貴重?そうでもないし、使うのは当たり前だろう、な代物だったとも射ますが(庶民代表格のキュカだと一生に一度拝めればいいとか、実物を見るだけですげー!とか、こんな貴重なものを見せてもらっていいのか!?と大騒ぎするイメージが……。軍事産業特化で民間技術はおなざりなHOMでは、両者の技術間の格差はかなり激しいと思う)

2013/6/19に小説に移行
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