未完

聖剣伝説 『女神の騎士』 未完 【Forcena】1

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副題 『フォルセナの騎士』1





ひび割れて荒れ果てた大地に、風が駆ける。
砂を舞い上がらせながら進む風は猛威を振るい、フォルセナの民にとって幾つもの害を及ぼすのだ。
砂の害は幾つもあれど、一番恐れられているのは肺の病。
汚染された土壌の粉塵が器官を通して肺へ通るごとに死の重みが着実に体内に降り積もってゆく。
文明水準の低さから、原子的な予防しか出来ないフォルセナ人の寿命は劣悪な環境も含めて、40歳まで生きられるものは非常に稀だ。

最下級国、フォルセナ。
それが、あらゆる国から見捨てられて”廃棄場”とされた土地を統べる国の格と名だった。

草木も生えぬ荒野の中を一人の青年が進んでゆく。
全体的に栄養失調ゆえに痩せ細って、小柄のフォルセナ人にしては長身で、鍛えられた体躯の持ち主だった。
特徴的な獅子の鬣のような力強い髪を風に靡かせ、猛威を増した風に口元を覆っていた防砂布を引き上げて、フォルセナ王が他国から輸入したゴーグルを調整しなおした。
青年は大きく疲労の吐息を漏らすと、厚い雲に覆われ、日の光が殆ど差し込まぬ空を仰ぐ。
光の見えぬ空は、まるで今の自分を表しているようで、目頭が熱くなる。
そんな弱く女々しい自分を振り払うように、雄叫びと共に頭を掻き毟った。

フォルセナの生命線である土のマナストーンの守護という大役を終えて帰途に着いている途中だった。
マナストーン。
それは遥か昔に存在したマナ帝国と呼ばれる一大国家を滅ぼした神獣が封じられているという禁断の石だ。
マナストーンに関する伝承や伝説の類をデュランはあまり知らないので詳しくは分からない。
なんでも、五千年前に支配国ヴァンドールが世界中を侵略して、各地にあったマナストーンとマナの種子の封印を解いていったという。
一部とはいえ神獣が封じられている石は、それ自体が強大な力を持つ。本来なら生物が住むに適さないほど汚染されたフォルセナが、国として成り立てるのもマナストーンの恩恵だ。
それら全ての封印を解けば、世界を滅ぼした神獣の力を得られるらしい。
だが、後一歩というところで闇のマナストーンが”この世ならざる何処か”へと飛ばされ、神皇タナトスの野望は途絶えたのだ。
神獣を解き放つにはすべてのマナストーンを解放しなければない。一つでも欠けていれば封印を解除しても意味がなく、逆に”毒”を放出して周辺の生物が全て死に絶えるのだという。

マナストーンを保有する国々は守護と隠蔽に必死で、その研究や成果は最大級の国家機密情報だ。
最もフォルセナのように魔法も科学も劣った国の対策は常に警備の兵士を怠らぬ程度で、マナストーンが発するという甚大なエネルギーを利用できないのだ。
土のマナストーンが近辺の土壌の汚染を浄化するおかげで、フォルセナ人は生きられる。だが、周辺が他国からの廃棄物で汚染されており、毒素や砂が風に乗ってフォルセナの領土内に入り込むのだが。

半年のマナストーンの守護という人気を終えて、家に帰られる。
本来ならば心躍る時だが、今の彼には帰りを待つ者はいない。
―……ウェンディ……。
井戸汲み出かけて、帰る前に奴隷商に浚われたたった一人の妹。
最下級国フォルセナでは、人が浚われるのは日常茶飯事だ。
主に汚染度合いの低い子供は、重大の若い女が毎日連れ去られる。


唯一の家族を失ってからは、見ていて痛々しいほどまでに落ち込み憔悴しきったデュランの顔を見ていられずに、束の間だが目線を逸らした。
幼い頃から見守ってきた親友の忘れ形見たちに降りかかった禍事に、フォルセナ王こと英雄王も激しい憤りを覚えていた。

「デュランよ。 お前にはマナストーンの守護を頼みたい」
「英雄王様!!」
英雄王の口から齎された衝撃的な言葉に、デュランが我も忘れて声を上げた。
王が眉を顰め、無礼を悟ったデュランが素早く頭を下げて謝罪した後に頭を上げる。
「そのような大任を。 私のような若輩者に勤まりませぬ」
マナストーンはフォルセナの生命線であると同時に、他国にとっても喉から手が出るほど欲しい存在だ。
動かすことは出来ずとも、機械やら魔法やらを用いてエネルギーを奪うことが出来る。
そんな事になり浄化の力が弱まれば、フォルセナは間違いなく滅ぶ。
それ故に守護の任は、国家の精鋭部隊が担うことになっていた。
狼狽するデュランを安心させるように、英雄王が微笑む。
「デュラン。お前は若手の中では一番の強者だ。
儂はお前の実力を見込んで、マナストーンの守護の任を与える」

―もしかして、ウェンディの事があったからか?
あれ以来自暴自棄になっている自覚はある。
憔悴して、荒れてゆくデュランを見かねてのことだろう。

その心遣いだけでも、十分だった。
英雄王に深々と頭を下げた。

風の轟き声に混じって聞こえてきた獣の唸り声と少女の金切り声に、デュランの体が強張った。
―確か、あの声は……。
記憶の中を洗い浚い探って、該当するものを見つけた途端血の気が引いた。
環境汚染による変質したモールベアの亜種で、三級に属する魔物だ。
鋼鉄に勝る体は剣を弾き、大地を穿つ力は容易く人体を破壊する化け物。
幸いにも縄張りはフォルセナからかけ離れているため実害はないが、フォルセナと土のマナストーンの間は魔物の通り道であるのか、この付近には時折出没していた。
多くの勇敢な騎士達を屠ってきた魔物。奴に敵う術はなく、気配を感じたら即逃げるようにと先輩の騎士達から半年間教え続けられていた。

今の彼の実力では、倒すのは不可能な魔物だ。
だが……。
――デュランよ。 弱き者を助けてこそ、フォルセナ騎士だ。
嘗ての英雄王の言葉に、覚悟を決めた。






言い訳
あくまでもデュランの語る”伝説”なので、タナトスはあの時点では神皇を名乗っていません。名乗り始めたのはヴァンドールが支配国になって、千年の節目を迎えた頃です。
それにしても……デュラン。仮にも騎士なのに他国に関して初歩的な勉強すらも怠っていたから、これから先、苦労することになるというのに……。

フォルセナの領土は土のマナストーンを中心として、猫の額ほどの土地しかありません。(領土の広さによって支配国に支払う税が増えるので、あまり広いとそれだけで破産するから。この世界では真っ先に削られる部分でもある)

三級云々ですが、魔物の強さによって0~10までランク付けがされており、今現在のデュランの実力では七級がやっとです。(一般人は十級にも敵わない事を考えれば……そこそこの実力です)
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