未完

聖剣伝説2 未完 『Fourkings Sheex version』1

 ←聖剣伝説 『女神の騎士』 未完 【Forcena】1 →火星物語 未完 『ステータス値』~料理~
注意
オリジナル設定と要素があります。
この設定を使っています。

シークが四天王選定の切欠となった話です。
最も一話目ではタナトスオンリーですが。

















政務を追えた後に夕餉の場で皇帝と共に表向きの事案に耳を通し、進言しつつ遅い夕食を食べる。そして自室に戻ってからは古今東西の様々な書物を堪能するのが、タナトスにとっては密かな楽しみだった。
最近彼が夢中になっているのは、東国の詩や小説などの文芸作品の数々。
呪術師という職業柄、意外だと思われるが、長い年月を生きる彼はその分野の知識を全て網羅しており、専門書を読んでも泣いを今更分かりきった事をと冷めた目でしか見られないのだ。
現在の魔法体系や呪術は大昔、古代マナ文明時代に作られたものだが、最盛期の時代に全てが完成されていた。
今の魔法に纏わる知識、書物や論文などは失われた多くの魔法の中で、当時の文献から読み解かれたものを現在の技術や知識で解析し、再構成しているだけに過ぎない。
古代文明時代に生を受け、史上最高峰の魔法や呪術に纏わる勉学を励み、全てを記憶したタナトスにとっては、現在の魔法公式は用地で稚拙、見るに耐え難い粗雑なものにしか見えないのだ。
彼に言わせれば、現在の世界の魔法において進歩や発展はない。第一、古代文明が滅亡してから一万年も経ているのに、当時を上回る魔法公式が一つもないのがいい例だ。
そして呪術も多くの情報が神獣との戦いで欠落しており、文献もなく口伝のみで伝えられているだけだった。
それならば、と。日々変化や進歩のある文学作品に、いつからか目を通していた。
最早数千年も昔からの習慣となっているが、この趣味はタナトスにとっては飽きる事のない貴重な趣味だった。

椅子に深々と腰掛けて、背凭れに身を委ねる。
照明で煌々と照らされた明るすぎる部屋なら文字は見えやすいが、風情がない。
そのため照明を消して、ランプの灯りに似せた魔法の灯り一つを光源に書物を読むのが常だった。

ふと、タナトスが壁に備え付けられている時計を見ようと顔を上げた際にあるものを見つけた。
厚みのある大きな封筒。
幾冊もの本が塔となって連なっている机の上。丁度、タナトスの視界に入りやすい位置にそれは置かれていた。

自室には特殊な結界が張られており、術者以外は決して立ち入れず、干渉は出来ない。
だというのに、それは結界を掻い潜り、タナトスの部屋に送り込まれたことになる。
―通常の魔法ではまず不可能だ。
それは術者である己自信がよく理解している。
例えそれを行えるだけの実力者が何かしらの目的で送り込んだとしても、魔法である限り必ず”マナ”が動く。
幾ら読書に夢中になっていたとはいえ、結果以内のマナの動きは全て察知できる。睡眠時でも頭の半分は覚醒し、警戒を怠らぬ野田。
だというのに、その気配は微塵も感じられなかった。
マナを用いる”魔法”を使わず、それ以上の力を行使できる存在。それならば、答えは一つしか存在しない。
―……血統者か。
極東に住まう一族で、森羅万象に存在する”気”と呼ばれる力を行使できる唯一の民族。
稲生を用いて各国の中枢不覚まで潜入し、全世界の国家機密を詳細に知り尽くし、各国家の司令塔を意のままに操るという。
凄まじい影響力を与えながらも、自らは決して表舞台に登場せず、影に徹するという謎の大国。
「ふむ。 極東の人外魔境が私に何の用だろうな」

封筒に触れようと手を伸ばすが、それは触れる間際に止められた
暗殺業に長けた血統者のことだ。触れるだけ弟子に至る猛毒が仕込まれていたり、何らかの術が仕掛けられていてもおかしくない。
そして、彼らの術はマナを媒介としないので、こちらで調べる事は出来ないのだ。
―あの賢い連中が、こんな分かりやすい愚かな真似をするとは思えぬが……。
しかし、血統者に恨まれている心当たりは数え切れぬほどあり、その中には損得関わらずタナトスを殺したいと血迷った連中がいるかもしれないのも、また事実だ。

―用心に越したことはない。
早口で呪文を唱え、指を切ると空間に小さな歪みが生じてゆく。
それは魔界へと繋がる綻び。
あらゆる呪術を極め、闇の血族であるタナトスだからこそ極微小の”ヒビ”とはいえ呪文のみで魔界への道を開けるのだ。
綻びから闇が漏れ出し、集まった闇は塊となり、悪魔の形へと模ってゆく。

呪文を唱えてゆくにつれて、血に飢えた凶暴な眼差しのチビデビルが、虚ろな眼へと変わってゆく。
タナトスが呪文を唱え終えた頃には、敵意は愚か生気のかけらすらない悪魔がそこにいた。

チビデビルが封筒に触れた瞬間、苦悶の呻き声と共に塵も残さずに霧散した。
その様を見届け、仮面の奥の瞳が鋭い光を放つ。
「ホゥ……。 大した念の入れようだ」

髪の毛を一本抜き取り、封筒の上に落とす。
だが、それはタナトスの推測から外れたが、予想通りに消え去ることなくその場にあり続けた。
「生態波動を感知してのものか、気とやらの個人認識によるものなのか……。判断に困るところだな」
生態はどうならくぐつを使えばいい。しかし気で相手を認識をしているのならば、タナトスには触れられない可能性もある。
「ここまでしているのだ。中身が何か……非常に興味深い」

何もない空間で指を上に撥ねると、封筒が弾かれたように裏返しになったが、封を切ることは出来なかった。
―魔力封じが施されているな。
タナトスの実力ならば解除できるだろうが、血統者がマナの一族への対抗策として編み出したであろう術だ。幾ら闇の血族のタナトスとはいえ、解除するのは面倒くさい手間が生じる。
封筒の中身が何かは気になるが、そこまでして読みたいかと問われれば、首を傾げざるを得ない。

裏返しになった事で、それまで見えなかった宛名が見えた。
東国独自の筆記具で書かれた宛名は月神を意味するシンという名。
それに纏わる情報を、圧縮された記憶の中から掘り出してゆく。
―確か、血統者の長の三男だったな。
彼が十年以上に帝国を騒がせた張本人であることと、彼の人となりを思い出した。
―彼ならば陰険な手段は講じないだろう。 ならば、これは私以外の目に触れさせぬための防衛手段か。
「さて、彼が此処までするのだ。 一体どのような面白い事を伝えてくれるのだろうな」


真剣な面持ちで一文字漏らさずに読み進めていく。
そこに書かれていた内容は、タナトスの予想外のものだった。
要約すると、このような内容だ。
亡き妻の延命のために、彼女の病を我が身に取り込んでいった自分の寿命は後十年もない。
唯一の心残りである息子のシークが15歳になったら、帝国四天王に迎えて欲しい。
没落したとはいえ家柄の不備はなく、混血でありながらも忍者の精鋭部隊という食が提示された息子の能力は保証する。
自分が死ねば血統者は息子を捕らえ、飼い殺しにする。そのようなことになでば死んでも死に切れない。
と、大分省略したがこのような内容だ。
四天王の選出の権限を持つタナトスに、直に依頼した形だ。

シーク。
血統者の古い言葉で”鋼”を意味する名を持つ少年。
同封されていた一枚の写真を取り出して、彼の目は吸い寄せられた。
一目見れば心を奪われるほどの端整な顔立ちの玲瓏たる凛々しい美貌の少年。
写真を見ただけでも、鋭く力強い印象を与える切れ長の目が近寄り難さを醸し出している。

彼は幼いながらも美しかった。
まるで匠の技で鍛えぬかれ、磨きぬかれた刀剣のごとく。
日の光が似合う明るく朗らかだった父親と瓜二つの顔立ちでありながらも、纏う雰囲気は別人だった。


―実際に見なければわからぬが、血統者だ。無能ということはありえないだろう。
それも超最難関と称される忍者の精鋭に選定されるだけの能力と適正の持ち主ならば、実力は申し分なく。
帝国に引き抜いても損はない。

手紙と一緒に収められていた書類には、息子の能力や技能などを長短合わせた情報が仔細に書かれている。
その内容は客観的で、贔屓目などという無駄な要素が微塵も感じられないものだった。
”取引”において嘘の情報を開示するような愚か者でないシンならば、この情報は正確なものと見て間違いない。

タナトスがヴァンドール帝国に来てからは、それまで行き来のあった血統者の往来が途絶えていた。
生きている限り気を取り込み続ける彼らにとって、タナトスに纏わりつく負の思念や怨念は致命的な猛毒だ。
双方の力を得ることは不可能ゆえに、帝国は泣く泣く血統者を諦めざるを得なかった。
だが、混血ならば彼の取り巻く負の思念に耐えられる。
多少は体に不具合が生じるだろうが、純血のように蝕まれて死に至る事はない。

帝国としても、血統者の異能は喉から手が出るほど欲しい。
―だが、幾ら混血とはいえ長の血族を連中が易々と渡すとは思えないな。
何分血統や家柄意識の強い一族だ。
穢れていても、自らの主の血を野に放つなど考えもせぬだろう。
タナトスが手を伸ばさなければ、シンの危惧したとおり息子には飼い殺しという未来しかない。

帝国が手に入れるということはすなわち、タナトスの手元にあること。
そうなれば血統者は決して手に出せない。
そこまで考えて、ヴァンドール帝国、それもタナトス自らに”取引”を持ちかけたのだろう。


―余命幾許もないとわかっていても、息子が10歳を超えて間もないうちから根回しとは、大した親馬鹿ぶりだ。
15歳といえばヴァンドールでは成人年齢であり、四天王になれる年齢でもあった。
最も欠員が出てから選定までには基本的には約一年という時間がかかる。それ故に四天王になりたい者はそれ以前からの根回りが必要だ。
その根回しとして、実質的な支配者であるタナトスに白羽の矢を立てたのであろう。

それとはまた別に、ある四天王の悪行や敵国との内通、横領などの詳細な情報と書類、写真、そして音声や動画を収めているであろうデータチップなどの証拠が収められていた。
素早く目を通す。
いかなる国のスパイよりも優れた諜報能力を持つ血統者だからこそ得られたもの。
今からでも裁判にかければ、確実に有罪にして社会的に抹殺できるほどの証拠の数々だった。
口角を歪めて、喉を震わせる
―よほど、息子が可愛いらしい。
「フフフ……。 これではこの後釜に我が子をつけろと言っているようなものではないか」


ヴァンドールの建国王の時代から存在した名門オルナハトの最後の生き残りで嫡男。
東国の支配階級にある血統者の長の一族。
少年の家柄を頭の中で並べて、ふむと頷く。
―これならば貴族達からの反発もさほどなかろう。

「どれほど使えるか……。これからじっくり試させてもらおうか」



言い訳
次はシークと父親の話です。

タナトスですが、この頃は読書という健全な趣味を持っていたようで。
2の頃にはマナの要塞に纏わる解析作業か。
スポンサーサイト


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ
総もくじ  3kaku_s_L.png ドラゴンボール
総もくじ  3kaku_s_L.png 火星物語
総もくじ  3kaku_s_L.png 聖剣伝説
もくじ  3kaku_s_L.png その他
もくじ  3kaku_s_L.png 未完
もくじ  3kaku_s_L.png 考察もどき
もくじ  3kaku_s_L.png 短文
もくじ  3kaku_s_L.png 裏部屋
  • 【聖剣伝説 『女神の騎士』 未完 【Forcena】1】へ
  • 【火星物語 未完 『ステータス値』~料理~】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【聖剣伝説 『女神の騎士』 未完 【Forcena】1】へ
  • 【火星物語 未完 『ステータス値』~料理~】へ