未完

火星物語 未完 『ステータス値』~料理~

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タローボー視点です。
フォボスの話なのに、フォボスが出てきません。















「フォボスのステータスの数値について、色々と思うことがあります」
開口一番にそう告げたセイラに、タローボーが肩を竦めて見せた。

ステータスの数値。
その一言だけで此処まで重い空気を纏わせるものは……たった一つしかない。
料理、という決して触れてはならぬ禁断のカテゴリー。

ステータス云々という台詞から、ゲーム設定と幕間設定が入り混じっているのではないかという疑問もあるだろうが、そのあたりは逆として軽く受け流せば済む話だ。

「セイラ、まだ言っているのか。 いちいち突っ込んだところで無意味だと、皆分かってることじゃないか」
フォボスの料理の腕は、原因不明の殺人シェフレベルだ。
ただの殺人シェフならば、料理の作り方から、レシピまで根気よく教えていけば、時間をかけても覚えていくだろう。
幸いにもフォボスは機械士だけあって、手先は器用で物覚えはいい。だから、当初はすぐに覚えるだろうと、セイラは期待していたようだ。
そうしてセイラの血と汗の滲む努力と、フォボスの強固な維持により、料理を作る手際のみではプロと見紛うほどの腕前になった。
しかし、最後の風使いであるフォボスは、こと料理においては常識と呼べる範疇を超越した人間でもあったのだ。
味見の段階では美味しく、完成が楽しみだと嗤い合える料理も、完成したときには生物の許容範囲を超えた殺人料理=ザ・劇物!という代物に変わり果てていた。
当初はどこかで致命的な失敗をしているのではないかと、常識的観点から疑ったセイラ監督の下何度も料理を作ったのだが、完成したものは全て殺人料理だった。
ここまできたら最早永遠に謎の解き明かせぬ未知の領域。
謎の究明に奔走していたセイラも、いずれ諦めたようで何も口出すことはなくなった。

「フォボスの料理の腕は皆さん承知の通り、殺人級のレベルですよ! なのに、星が一つついているだけでも信じられません!!」
「そういう仕様だから仕方ないだろ」

セイラからすれば星が一つついている時点でおかしい。本来なら0にするべきではないかという訴えだ。
まあ、フォボスの殺人料理に誰よりも苦しみ続けたセイラのことだ。そう思うのは仕方ないだろう。

「そんなことを言ったらクエスやサスケはどうなるんだ? あいつらだって料理はド下手だったらしいぞ」
「いえ、クエス様やサスケさんのは……まだ”下手”の範疇に入るじゃないですか」
「口に含ませる事すら躊躇われるような代物を、”下手”のカテゴリーにいれるのか?」

俺達は二人の料理を食べたことがないのでわからない。
全てはフォボスの証言によるものでしかないのだ。
だが、あの二人に関しては悪く言わないフォボスが、料理においては顔を真っ青にして沈黙の後、思い出したくないとポツリと呟くほどの代物だ。
一度話せば、もう胸中に止めておくことはできなかったのだろう。
あのフォボスが、思い出したのか時に涙交じりで、時に恐慌を引き起こしながら語ったのだから、その姿以上に説得力溢れるものはなかった。

少なくともフォボスの料理のように一口含ませただけで昏倒するような代物ではなく、飲み込める範囲ではあるが限りなく劇物に近い料理という名の物体Xではないかという認識だった。

「……でも、同じ星1でも、フォボスの料理は誰も食べられないような代物なんですよ!!」
「ある話では巨大三度ワームを抹殺するほどの劇物と化していたから、そうだろうな」

晩年に書かれたアンサー王の回想録では、共に旅をした風使いの殺人料理ぶりについて所々書かれていた。
よほど鮮烈な印象を与えたのだろう。その気持ちがよく分かるセイラは、我が身のように同情しながら読んでいった。
そして、フォボスの料理で巨大サンドワームが死んだという事実に着いては、詳細に書かれていた。
それを見たフォボスは憤慨していたが、文句を言うべき相手は数百年前に天寿を全うしている。
故に回想録を地面に叩きつけた上で、ゴミ箱に投げ捨てるという非常に子供じみた八つ当たりをした。
自分の年齢が幾つなのかわかっているのか?と問いたくもなったが、汚点の数々を数百年に渡ってこのような形で残されたフォボスの心中は察するに余るので口出ししなかったが。

俺はロボットでフォボスの料理を食べられないから、”殺人料理”と呼ばれる料理の威力を知らない。
ここまでセイラやブラパン党、アロマ+風の谷の住人達が戦々恐々となるものなら、怖い物見たさで少し味わってみたいかなと思っていた。
まあ、言ったら言ったで、味覚をも感じられるようにフォボスに改造させられて、実際に食べさせられる事になりそうなので死んでも口には出さないが。
なんというか、一口でも食べたら、最終兵器の今のボディでもフリーズして、記録が―記憶とは違うぞ―飛びかねないような気がする。

「あろまん獣虐待の……」
「いやいや、待て待て。 それはセイラが毒見に連れ込んだものだろ」
フォボスが料理を作るたびに一口食べて昏倒していては話にならないので、鼠や昆虫、ちょっとしたモンスターなどを毒見役として色々試していた。
その中でもあろまん獣が一番フォボスの料理に耐性があったらしく、食べた直後は多少の症状が表れるものの、後にまで響くということがなかった。

「…………私だって、恋人の悪口なんて言いたくはありませんよ。
でも、これだけはどうしても譲れないんです」
消えそうなほど小さな声で紡がれたのが、実際の本音だろう。
まあ、その気持ちは分からんでもない。






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