未完

聖剣伝説3 未完 『限られた選択肢の中で…』2

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注意
デュランが壊れています。














「……ねえ、デュラン。 いい加減クラスチェンジをしないと、本当に危ないわよ?」
「煩い! 俺は、俺は……!!」
―本当なら今すぐにでもクラスチェンジをしたいが、それが出来ねえんだよ!!
胸中で悲痛な雄叫びを上げた。

フェアリーが優しく窘めるが、デュランは一向に頑なな姿勢を崩さなかった。
一向に変わらぬやり取りに、彼女が眉を顰めてデュランを見た後に空を仰ぎ、聞こえがしに大きな大きな溜息を吐く。
神獣との戦いを前に控えて、戦力を高めなければならないのに、宿主は未だにクラス1のファイターだった。

クラスチェンジに凄まじい執念を燃やしていたはずのデュランは、何故か風のマナストーン以降頑固にクラスチェンジを拒み続けていた。
一体宿主にどんな心境の変化があったのか、フェアリーにもわからない。
何度かクラスチェンジを行う機会はあったのだが、デュランは毎回クラスチェンジに挑んでは、武器を破壊しつくすまでマナストーンを斬りつけていた。
何故そんなことをするのか?
数え切れないほど仲間達から問いただされたのだが、デュランはその話題では貝のように口を閉ざしたまま黙秘を貫いていた。
フェアリーが彼の記憶を読もうとしても、誰にも知られたくないという凄まじいまでの意思はそれに纏わる情報に厳重なる鍵をかけており、見ることは叶わなかった。

ファイターのままではこれからの旅にお荷物になる。
何よりも神獣と戦うのだから、せめてクラス2になるまでは帰ってくるなという仲間達の厳命により、デュランとフェアリーはマナの聖域に来ていたのだが……。

聞くからに重い溜息を吐きながら、灰色の女神像と対峙するデュランに、フェアリーが眉間に針を立てた。
「デュラン! クラス2にならないと、皆のところには帰れないのよ!!」
「わかってる!! 俺だっていい加減クラス2になりてぇんだ!!」
「だったら、その機会なんて今まであったでしょうに、何でしなかったのよ?」
「それは……」
視線を逸らし、口ごもるデュランにフェアリーがマナの樹の方向を見つめた。
―女神様。 出会った当初のデュランはこんなのじゃなかったのに……一体どうしてしまったんでしょうか?
フェアリーの痛切な思いに答えるものはなく、眼前にあるのはうじうじしたまま決めかねている情けない宿主の姿。

いつもの通り、己から立ち上るオーラと女神像から放たれるオーラが交じり合い、重なっていく。
もう数え切れないほど体験した感覚だったが、その時は何かが違っていた。
今までと違う何かに、一気に期待が膨らんだ。
―もしかしたら、ひよこ戦士から解放されるかもしれねぇ!!
凄まじい歓喜の雄叫びを上げながら、脳裏に表示される選択肢を心待ちにする。
―やっと、やっと解放される!! これで漸くクラスチェンジが出来る!!
これで仲間達の皮肉や白眼視とはおさらばだ!
パラディンになるための道具は手に入れてから常に肌身離さず持っている。
ナイトになったら即パラディンになって、晴れ晴れした姿を仲間たちに見せてやる。
一秒にも満たぬ時間の間に頭の中で繰り広げられる輝かしい未来!(という名の妄想)

→ひよこ戦士
→チョコボ騎士
今までにない選択肢に、デュランが目を丸くして、唖然と口を開く。
―あれ、チョコボ?
確か一万数千年前に絶滅した巨大鳥類だった……ような気がする。
それにしてもチョコボなんて今までなかったよな?どうしてまた、チョコボなんだ?
同じ鳥つながりか? でもチョコボは……
そんなことをつらつらと考えている間にも、選択肢がチョコボ騎士へと向かっていく。
―冗談じゃねえ!!俺はナイトになりてえんだ!!
慌てて精神統一を断ち切った。
それに応じて交じり合っていたオーラが分離されてゆく。
危うくチョコボ騎士になるところだったと、冷や汗を拭った。

今度こそという期待を篭めて、女神像と対峙する。
そこに至るまでの経緯は、いつもと同じで。
この時点で、既に諦めがついてしまう。
→ひよこ戦士
選択肢は、一つだけになっていた。

歯軋りしながら女神像を睨み上げたが、やがてがくりと肩を落とした。
―もしかしたら、チョコボ騎士になった方がよかったのか?
ふと、そんな考えが脳裏を掠めたが、獅子のごとき頭を掻き毟り、勢いよく邪念を振り払った。
―いや、待て待て!チョコボだぞ!!鳥だぞ!! おかしいだろ、普通に!!
クラスチェンジの本にはファイターからはナイトかグラディエーターに進めると書かれていたが、デュランの選択肢に表示されるのは常にひよこ戦士という文字だけだった。

以前この状況に耐えかねて占い師の婆に一言文句を言おうとしたのだが、その時には既に引っ越しており現在行方不明だ。
もしあの婆にひよこ戦士という汚名を取り消させられれば、もしかしたら真っ当なクラスチェンジを出来るかもしれない。
そう思って占い婆を探そうとしたのだが、仲間達の白眼視に晒されて、やむなく引き下がるしかなかったのだ。

追い詰められているというのは、自分でも分かっている。
それでも鳥関連のクラスのクラスになるくらいならば、一生ファイターとして生きてやる。
「……なぁ、フェアリー」
「なぁーに?」
またかと言いたげな面倒くさそうに間延びした声だった。

真顔で思いつめた宿主の顔に、フェアリーが適当な返事をした事を悔やみながら正座をしてデュランと向き合った。
デュランがやや間を置いてから、ゆっくりと重い口を開く。
「……Lv70くらいになれば、ファイターでも神獣と戦えるだろう」

次回予告
とうとうクラスチェンジを諦めてしまうのか、デュラン。
例えLv70越しても、ファイターのままで皆に受け入れられるのか?
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